俺と幼なじみ

“産んでもいいやろ？”と聞いてくる未知の顔は真剣やった。
子供が出来ると分かって中で出しとったし、子供が出来たら産んでほしいってのが俺の考えやった。

『当たり前やろ。産んでほしい。』

『うん･･･ありがとう！』

妊娠なんて“奇跡”に近いもんやと思う。
しかも俺と未知の子供やし、そりゃ産むしかないやろう。
未知もそれを強く望んどった。

『けど、うち等付き合ってからまだ短いよ･･･？』

『期間なんて関係ねぇわ。俺等がどうしたいかだわ。』

『･･･私は産みたい！』

けど未知はもうすぐ卒業やけどまだ高校生や。
ずっと一緒におる事は出来んし未知の体が心配や。

しかも就職どうすんの？

せっかく就職すんのに妊婦になって主婦になってまっていいん？
そんな不安な考えが頭の中をよぎったけど、俺はやっぱり未知に産んでほしい。

１８で父親かぁ。
あぁ、産まれる時は１９になっとるか･･･
とか１人で考えとった。

『俺等の考え、ちゃんと親に話さないかんな。』

『そうやね･･･』

後日、まずは未知の親に話をしに行った────

『どうすんの？』

もう嫌ってほど何回も会っとるのにも関わらず俺は緊張して言葉が出てこんかった。
しびれをきらせたおばさんから聞いてきた。

『産みたい。』

『･･･そう･･･』

おばさんもおじさんも冷静やった。

『２人がそんな仲になるなんて全く思ってなかったわー。』

とか言って笑われた。

『お母さん、産んでいいやろ？』

『仕事はしないって事？』

『うん･･･』

『遼君はどう考えとるん？』

『俺は･･･未知に子供産んでもらいたい。結婚もする。』

『そう･･･』

おばさんとおじさんはわりと早く納得してくれた。
俺が一生懸命働いとんのも分かっとったし、このまま働いてくれれば生活には苦労しんと思ったみたいやわ。
育児に協力するとも言ってくれた。

未知の親の了解を得たところで、次は俺ん家に言いに行った。
そしたら母ちゃんが･･･

『話聞いたわー。ほらー、もうアンタ等結婚しちゃいな！』

と、やけに母ちゃんから結婚を進めてきた。
まさかこんな軽く言われるなんて思ってなかったもんで普通にポカンとしてまった。