偽りの“ジン”...
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#551 [我輩は匿名である]
「待ってたんだ。理沙のこと」


“理沙”


ジンは私をそう呼んだ。


(やっぱり聞こえてたんだ…)

⏰:09/09/06 04:31 📱:N904i 🆔:9ttrUjyI


#552 [我輩は匿名である]
『そっかぁ!なんか用事?』


私は名前のことは触れず、何事もなかったかのようにジンに言った。


怒らせるとまずいので、
とびっきりの笑顔にした。


だけどそんな笑顔も今もジンには通用しない。

⏰:09/09/06 04:37 📱:N904i 🆔:9ttrUjyI


#553 [我輩は匿名である]
「あんた誰?桃じゃないん?」


ジンは小さく、そして低い声で言った。


顔を見ればジンが完璧キレているのがすぐ分かった。

⏰:09/09/06 04:39 📱:N904i 🆔:9ttrUjyI


#554 [我輩は匿名である]
『ジン…とりあえず違う場所で話さない?ここじゃ落ち着ついて話せないし。』


バイトの裏口でジンと口論してたら、いつ他のバイトの子に目撃されるか分からない。


それは避けたかった。

⏰:09/09/06 04:45 📱:N904i 🆔:9ttrUjyI


#555 [我輩は匿名である]
『ね?お願い?』


私はジンの機嫌を損ねぬよう下手にでてジンに頼んだ。


「まぁ…いいけど」


ジンは了承してくれた。

⏰:09/09/06 04:47 📱:N904i 🆔:9ttrUjyI


#556 [我輩は匿名である]
そして少し離れた駐車場に行った。


ここなら全く人気がないわけでもなく、かといって目立つ場所でもない。


一応街中の駐車場なので、襲われそうになったらいつでも助けを求めれる。

⏰:09/09/07 00:41 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#557 [我輩は匿名である]
『・・・・・』


「・・・・・」


駐車場についても、お互い口を開くことはなく気まづい空気が流れた。

⏰:09/09/07 00:44 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#558 [我輩は匿名である]
「俺は桃を信じてた。」


沈黙の中、ジンが口を開いた。


「俺前に言ったよな?桃はウソつかない子だって。」

⏰:09/09/07 01:22 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#559 [我輩は匿名である]
『うん…』


確かにそうだ。


まだ私とジンが仲良いときにジンは私のことをウソをつかない良い子だって言っていた。


だから私はなおさらジンに本名を明かすことが出来なかった。

⏰:09/09/07 01:25 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#560 [我輩は匿名である]
結局言いだせないまま私は“桃”のままで通した。


(だけど…ジンだって外見を偽ってたくせに。私を責めるの?)


「最初から俺を騙してたんだな。」

⏰:09/09/07 01:46 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#561 [我輩は匿名である]
『言おうと思ってたけど、なかなか言いだせなかった』


「名前を偽る意味がわかんねぇ」


『出会い系だったし。まさか会うと思わなかったから』

⏰:09/09/07 02:16 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#562 [我輩は匿名である]
「だからって俺と仲良くなった自転で普通本当のこと言うだろ。マジ信じらんねぇ。そんな女だったのかよ」


カチン


(いい加減にしろよ…)

⏰:09/09/07 03:02 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#563 [我輩は匿名である]
下手に出ていた私も、まるで天狗のように人をおもいっきり見下してモノを言うジンの態度に怒りが込み上げてきた。


「そうやって世の男を騙して楽しんでたんだろ!」


「だいたい桃はいつも人を傷つける態度なんだよ!」

⏰:09/09/07 03:05 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#564 [我輩は匿名である]
ジンは私の本名の話からどんどんずれていき、私のひとつひとつをけなしてきた。


(我慢…我慢するんだ)


ジンが何を言おうとも私は揉め事を避けるために今にも爆発しそうな怒りを抑えていた。

⏰:09/09/07 03:08 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#565 [我輩は匿名である]
私が何も反抗せずにいるとジンは調子にのっているのか言いたい放題。


(悔しい…)


何で私はこんなに我慢しなくちゃいけないのか。


ジンに言い返したい言葉がたくさんある。

⏰:09/09/07 03:14 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#566 [我輩は匿名である]
だけど、まだ怒りより恐怖のほうが大きい。


だからジンに何も言えずにいた。


「お前はだらしない女だ!」


(やばい…もう無理かも…)

⏰:09/09/07 03:16 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#567 [我輩は匿名である]
ジンの言葉を聞くたびに、怒りがどんどんとヒートアップしていた。


恐怖より怒りが上がっていく。


(がんばれ…自分…。)


自分に言い聞かせつつも、そろそろ限界だと思った。

⏰:09/09/07 03:18 📱:N904i 🆔:b0ej2Mso


#568 [我輩は匿名である]
「だいたい口の悪い糞ガキの変な男と付き合いやがって!たいして可愛くもねーのに男を手玉にしてよ!
このアバズレ!」



ブチン…



ジンのその言葉に私の中で何かが切れた。

⏰:09/09/08 04:10 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#569 [我輩は匿名である]
『…さっきからなんなの?アバズレ?ジンは私の何を知ってそんなこと言ってんの!?』


「!!?」


黙っていた私が口答えした瞬間、ジンは驚いた表情を見せた。

⏰:09/09/08 04:13 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#570 [我輩は匿名である]
だけどそんなことでジンはひるまない。


「俺ほどお前のこと分かってるやつはいないだろ!」


意味の分からないことを、すぐに言い返してきた。

⏰:09/09/08 04:51 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#571 [我輩は匿名である]
『何も分かってないし。
分かってもらうつもりもない。もう迷惑なの分からんのん?』


「ふん、強がりだろ。本当は弱虫のくせに!」


(はぁ?本当何言ってんのこいつ?マジガキだ…)

⏰:09/09/08 05:03 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#572 [我輩は匿名である]
「なぁ、素直なれよ!」


“素直になれ”


何度ジンにこのセリフを言われただろう。


私は素直にジンが嫌いだ。

なのに何でいつまでも分かってくれないんだろう。

⏰:09/09/08 05:07 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#573 [我輩は匿名である]
「なぁ?桃!?」


『もう本当うっざい!どこで勘違いしたかしらないけど、好きじゃないし関わりたくないんだけど!バイト先来られるのも迷惑!ストーカーじゃん!!』


私はジンに怒鳴り付けた。

⏰:09/09/08 05:14 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#574 [我輩は匿名である]
「お、お、お前…」


ジンに怒鳴った私を見て、ジンは目を真ん丸にしていた。


(てかお前ってなんだよ…)

⏰:09/09/08 05:18 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#575 [我輩は匿名である]
「こ、この糞尼!!ついに本性表したな!!」


ジンは私に指を差してそう言った。


「お前は名前も偽るし、性格も最悪だし、ど、どーしようもない女だ!!」

⏰:09/09/08 05:21 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#576 [我輩は匿名である]
「ハァハァ…」


ジンはすごい勢いで怒鳴っていたので息切れをしていた。


「なにあれ?」


「ケンカ?」


ジンの怒鳴り声に気づいた女の人、二人組がこっちを見ていた。

⏰:09/09/08 05:26 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#577 [我輩は匿名である]
(やばっ…恥ずかしい)


『ジン、人いるから小声にして…』


私はジンに小声で頼んだ?


「あん?」


ジンは私の言葉を聞いて、その女の子らを見た。

⏰:09/09/08 05:30 📱:N904i 🆔:GnEl9mGw


#578 [我輩は匿名である]
「見てんじゃねー!!」


ジンはその人達に叫んだ。


(やだ…!他人まで巻き込まないでよ…恥ずかしい)


その人達は笑いながらヒソヒソ話をし、その場を立ち去った。

⏰:09/09/09 02:49 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#579 [我輩は匿名である]
「きも〜い」


小さな声だったがそう聞こえた。


こんな場面を通行人に見られてバカにされるなんて、恥ずかしくて仕方なかった。

⏰:09/09/09 02:51 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#580 [我輩は匿名である]
(こいつといると本当ろくなことがない…)


「嘘つきさん、俺に謝れよ!」


女の人らが立ち去った後、ジンが私に言ってきた。

⏰:09/09/09 02:53 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#581 [我輩は匿名である]
『はぁ?今何て?』


私は思わず聞き返した。


謝れ?


私が?


ジンに?


なんでよ?

⏰:09/09/09 03:01 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#582 [我輩は匿名である]
「俺にウソついてごめんなさいって言えよ!謝れ!」


ジンは必死に私に謝罪を求めてきた。


(ほんっとありえない。こいつは…!!)

⏰:09/09/09 03:08 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#583 [我輩は匿名である]
『…ねぇ?ウソついてたのはジンも同じじゃないん?』


私はジンに低い声で言った。


「あぁ!?なんのことだよ?」


ジンはすぐにキレた口調で聞き返してきた。

⏰:09/09/09 03:14 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#584 [我輩は匿名である]
『顔!体型!写メとは別人じゃん!自分の写メじゃなくて悪用したやつじゃん!それで名前偽っていた私を責めるわけ!?自分はどーなん!?おもいっきり詐欺じゃん!』


(言ってやった…!!)


言いたかったことを吐き出した瞬間、胸がスカッとした。

⏰:09/09/09 03:17 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#585 [我輩は匿名である]
「・・・・・・」


ジンは何も言い返してこなかった。


(勝った…!!)



私の心の中は勝利で輝いていた。

⏰:09/09/09 04:16 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#586 [我輩は匿名である]
『だからおあいこだから!ジンが謝らないなら私も謝らない。それでいいでしょ?』


本当はジンに今までのことで土下座してほしいぐらいだが、もう関わりたくない気持ちのほうが大きいから私はジンに無理に謝れなんて言わない。


だけど私からジンに謝るつもりもさらさらない。

⏰:09/09/09 04:20 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#587 [我輩は匿名である]
名前を偽ったくらい、ジンのしてきたことに比べると可愛いもんだ。


詐称


置き去り


しつこい連絡


悪用


ストーカー

⏰:09/09/09 04:22 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#588 [我輩は匿名である]
私がジンにしたこと。


ジンが私にしたこと。


ジンのほうが絶対酷いはずだ。


だから私はなにがなんでも絶対ジンに謝るつもりはない。

⏰:09/09/09 04:24 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#589 [我輩は匿名である]
「……謝れ。」


(は?)


ジンは小さく呟いた。


「謝れ、謝れ、謝れー!」


そしておもいっきり大声で叫んできた。

⏰:09/09/09 04:26 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#590 [我輩は匿名である]
『な…!だからジンもウソついたんだから謝らない!』


「うるさい!いいから謝れ!謝れーー!!」


まるでただをこねるガキだ。


見た目はおっさんだが中身は完璧なガキ。

⏰:09/09/09 04:29 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#591 [我輩は匿名である]
言い返すことが出来なくなったら、“謝れ”の一点張り。


意味不明だ。


『いや!謝らない!』


だけど例え謝って解決できたとしても私はジンに謝らない。


絶対に。

⏰:09/09/09 04:34 📱:N904i 🆔:CG38Pp1U


#592 [我輩は匿名である]
「謝れ!謝らないと痛い目みるぞ!」


グイッ


ジンは私の手をおもいっきり引っ張った。


『痛ッ!!』

⏰:09/09/10 01:36 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#593 [我輩は匿名である]
どんだけ最悪な奴でもジンは男。


力は相当強かった。


『やだ!痛い離して!触らないで!』


痛いのもやだ。


だけどジンに触られた気持ち悪さが更に嫌だった。

⏰:09/09/10 01:38 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#594 [我輩は匿名である]
『……グスッ』


私は泣きだしてしまった。


「あ、ご、ごめん」


私が泣き出し、我に返ったかのようにジンは手を離してくれた。

⏰:09/09/10 01:53 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#595 [我輩は匿名である]
「痛かった?でも桃が悪いんだから反省しなくちゃな?」


こんな状況になってもジンは私を責めていた。


「な?」


そう言ってジンは私の頭をポンポンと触った。

⏰:09/09/10 02:03 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#596 [我輩は匿名である]
ゾクッ…


ジンに触られた瞬間寒気が走った。


(や…いやっ!!)

⏰:09/09/10 02:05 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#597 [我輩は匿名である]
『触んな!キモイ!』


突発的に私はそう叫んでしまった。


「…なに?」


ジンは暗い表情で私に言った。

⏰:09/09/10 02:29 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#598 [我輩は匿名である]
『私に触んないで!気持ち悪い!キモイキモイキモイ!』


私は泣きながらジンに訴えた。


「・・・・・」



ジンは目を真ん丸にしながら私を見つめていて。

⏰:09/09/10 02:31 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#599 [我輩は匿名である]
『もうやだ…。私の世界に入ってこないで。本当関わりたくないの…。』


「・・・・・・」


ジンは何も言ってこない。


だけど体がぷるぷる震えていた。

⏰:09/09/10 02:33 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


#600 [我輩は匿名である]
そして私は無言でジンの前を立ち去った。


(これで終わり…)


だけどジンに捕まれた左手がヒリヒリする。

⏰:09/09/10 05:07 📱:N904i 🆔:ffZFGmXo


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