微妙な10センチ。〜最終〜
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#126 [あき]
いつしか私達は、何も語らなくなったし、何も言わなくなった。
言葉を交わさなくても、何が言いたいのかを理解できるし、時間を重ねなくても、傍にいると思えていた。
それは、私達が、出会ったあの頃から。
再開したあの日から。
重ねた時間や、重ねた言葉が、歩いた道が、そうさせたに違いない。
あの頃みたいに、だらだらと電波を駆使して時間を重ねなくても
あの頃みたいに、長々と時間を重ねなくても。
私達は何かを共有していた。
それで満足していたんだ。
:09/07/26 01:48
:W65T
:G/V7tpkE
#127 [あき]
だけど、本当は、それじゃダメなんだ。
きちんと言葉を交わさないと、自分の思いは伝わらないんだ。
相手の思いも伝わらないんだ。
きちんと時間を共有していないと、自分の気持ちは確かめられないんだ。
相手の気持ちもわからないんだ。
そっか。
私達。そういや
たった一言。
好きって言葉すら
言えてないね。
心だけじゃ…
不安だよ。
:09/07/26 01:59
:W65T
:G/V7tpkE
#128 [あき]
あの出張から、時間が経った。
私は、毎日を仕事に追われ、早朝から深夜まで、仮面を付けた日々。
ただ、唯一違う事が起きた。
西条さん。
あの日から、彼が毎夜、私の携帯電話を鳴らす。
お疲れ様から始まって、1日の報告を費やし、おやすみなさいで締めくくる。
その時間が、毎夜毎夜続く。
いつしか
彼は、遠方にいる知人。
私の中で、そう位置付いていった。
:09/07/26 02:07
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:G/V7tpkE
#129 [あき]
その夜、また彼からの電話。私は帰宅して、ソファーに体を投げ出したところ。
―ピッ
『はいはーいっ』
《おーっ。お疲れい》
『お疲れ様ですっ。』
また何気ない会話。
私は、ジャケットを脱ぐと、煙草に火をつけながら、彼の声を聞いた。
《なに?今帰ってきたの?》
『うん。疲れたしっ』
彼の方言にも、もう幾分か慣れた。(※文章では標準語ですが、彼は方言なまりで話ます。)
:09/07/26 02:13
:W65T
:G/V7tpkE
#130 [あき]
『西条さんは?』
《俺は今から帰るんだよね。》
だいたい彼は、会社から帰宅道中に、私の携帯を鳴らす。それから約一時間の道のりを、私達は共有するのだ。そして、彼が無事に帰宅する頃、私の睡魔は限界に近づいて、じゃぁまたと終了する。
そんな毎日だった。
:09/07/26 02:24
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:G/V7tpkE
#131 [あき]
彼の言葉を聞きながら、今夜も、そろそろ私の睡魔も、限界だと思った頃。
私の瞳孔がかっぽ開く言葉が、飛び込んできた。
《俺の事、どう思ってる?》
『どうって?何んですかっ〃きゅうにっ。』
笑って流す私に
彼は静かに、言った。
《…彼女になってくれる?》
それは突然の―告白―だった。
:09/07/26 02:33
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#132 [あき]
『なっ…何言ってるんですかっ!〃』
突然の出来事に、私は笑った。
いや、正確に言うと、とっさに、私でいる為の防御策。笑う。しか出来ないでいたのだ。
本当は、バクンと音が鳴って、ぎゅっと胸が掴まれて。、毛穴という毛穴がかっぽ開いて、その穴から妙な汗が吹き出していた。
《俺、結構真剣なんだけどっ…。君の気持ちを聞かせて欲しいな。》
そう、彼は私にトドメを刺した。
:09/07/26 02:57
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#133 [あき]
『はっ…鼻水出たっ!〃』
突然の告白に、なんとも色気のない返事をしてしまう。
仕方ない。
本当に、あまりの事に、鼻水が吹き出たのは事実で、冷静さを失った私は、ばか素直に、その現状を伝えてしまったのだ。
そんな私の答えに、彼は、きたねーと、笑っていた。
『何を突然言い出すかと思ったらっ〃もうっ!そりゃ吹き出ますよっ!!〃』
:09/07/26 03:03
:W65T
:G/V7tpkE
#134 [あき]
《でも、俺、そうゆう飾らない君が好きなんだよね〃。彼女なる?》
『いやいや…〃話飛びすぎでしょ…』
《そう?》
もう。
勘弁して下さい。
西条 祐介。
新人種だ。
イケイケオラオラなんですね…
私、鼻水どころか
脇汗が止まりませぬ…
:09/07/26 03:12
:W65T
:G/V7tpkE
#135 [あき]
やはり、女の涙は武器なのかもしれない。
ただ、私は見せる相手を間違った事も明確だった。
彼は、言った。
あの夜、泣いてる私に何もしてあげられなかった事が、悔しかった。
間違いなく男で泣いてるんであろう君を守ってやりたいと思った。
笑う昼の私と
泣いてる夜の私
頭から、離れなくなったと−…
そう言った。
:09/07/26 03:30
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