微妙な10センチ。〜最終〜
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#277 [あき]
『やっぱ、本場は違うねっ!〃美味いよ。』
『そう?私は食べ慣れてるけどっ。』
『なんだそれっ!〃』
『は〜…すごいねっ。』
『うん。…実は私も、初めて見た〃』
『おい地元人っ!!〃』
『地元人だから見ないんでしょ?〃』
繋いだ手。
これでいい。
これで、いいんだよっ。
:09/08/14 00:33
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#278 [あき]
彼となら幸せになれる。
彼なら、忘れさせてくれる。彼なら…
この夜。
二度目の私達の夜。
淡い光の中で、初めて彼と向き合った。
私を見つめる目。
私に伸ばす腕。
私を包み込む胸。
全てを彼に託した。
私に触れる体が
とても優しくて、涙が溢れた。
:09/08/14 00:40
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#279 [あき]
朝、目覚めると彼が気持ち良さそうに眠っていた。
起こさないように、腕を伸ばし洋服を探す。
きしむベッドで、彼が目覚めた。そのまま、フワリと腕が伸びて、私を包んだ。そのまま強く引きつけられた腕に、私は体ごと、彼に寄りかかる。その腕は、私をしっかりと抱き寄せ離さない。笑いながら、離してよと言うと、離さないと言った。
離したら、どこかに行ってしまう。
そう言った。行かないからと言うと、彼はフワリと微笑んで、また強く私を抱き寄せた。
:09/08/14 00:55
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#280 [あき]
西条さん来郷二日目。
感動する私を横目に、彼は、ちょちょいとカーナビをセッティング。
暖かい日差しの中、リラックスムードで次の目的地へ移動中。私の携帯電話が鳴った。バックを弄り、着信音がはっきりと聞こえた時、私の手は止まる。携帯電話を見つめて、指が固まった。
『出ないの?』
西条さんは、そう言った。
『え…うん…いいかなって…』
わかるから。この着信音。咄嗟に都合のいい嘘すら出てこなかった。
:09/08/14 01:12
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#281 [あき]
『出れば?…出れん相手?』
西条さんが冷たい空気に変わる。
ビクリと体が固まった。
怖い。
そう感じた。
『じゃ。ごめんなさい』
そう言って、受話ボタンを押した。
これが、私の始まりだった。
:09/08/14 01:22
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#282 [あき]
―ピッ
『はいっ?』
《何してる?》
私が大好きだった声。
聞きたくて、聞きたくて、どうしようもなかった時、聞けなかったのに。
諦めると、こうやって聞かされる。
本当に卑怯だよ。
『出掛けてる。なにっ?』
右側。無言の西条さん。
体の左側がとても痛い。
無意識に冷たい声で返事した。
:09/08/14 02:03
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#283 [あき]
《あっそ。ならいいや。》
なおちゃんは、また、相変わらず一方的に要件をまくし立てた。
私は、相槌を打って適当に返事する。
『わかったから。とにかく、また電話するよっ。』
《おぅ。帰ったら電話して。》
『わかった。』
そう言って、半ば強引に電話を切った。
細くため息をついて、反射的に顔中の筋肉を上に持ち上げる。
にっこり微笑んで、右側。西条さんを見た。
:09/08/14 02:09
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#284 [あき]
『ごめんなさい〃友達が…』
時間にして、5分。
そう言って、西条さんの顔を見た瞬間に、私は、体が萎縮した。
前を見据える西条さんの顔が、怒りに満ちているのがわかり、ハンドルを握る腕に力が込められているのがわかる。
『…また男だろ?』
その声は、まるで地獄の底から響いてくるような。
とても低い声。
『…友達…です…』
体を硬直させながら、私はそう呟いた。
:09/08/14 02:14
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#285 [あき]
『それは男?』
『…うん…』
『なんて?』
『…用事だよ。』
西条さんは、無言で私の言葉を受け入れる。
数秒黙って私の言葉を、噛み砕いた。
『彼氏いるならそう言えよ!!俺を騙してたのか!!』
『違うっ!!彼氏なんていないっ!!』
また彼は噴火した。
あの優しく微笑んでくれる彼はいなかった。
:09/08/14 02:20
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#286 [あき]
荒々しく車は進む。
恐怖で体が固まり、言葉を失った。
それでも、その中で、必死に私は、西条さんの怒りを静めようと言葉を探した。
『友達にしたら、親密な間柄を感じれる会話だったけどねっ!!?』
『だからっ!!それは…仲良いからっ!』
『その彼だろっ?あきが好きな奴はっ!!』
『今は違うっ!ねぇ。怖いって。スピード緩めて…』
:09/08/14 02:24
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