微妙な10センチ。〜最終〜
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#26 [あき]
このまま、何も言わなかったら、彼は何か言ってくるかな?
《ポケット見ろ》
《なんで?》
《いーから見ろ!!》
《やだよ。理由は?》
《うざっ!!〃》
なんて言うのかな?
想像したら、笑える。
そんな、なおちゃんも見てみたいけれど、そんな事をしたら、間違いなく、次回、会った時にコテンパンに抹殺される。
私は、携帯を握りしめて、短縮番号ゼロを押した。
:09/07/08 15:20
:W65T
:Uanw3whY
#27 [あき]
そうすると、珍しく、数回のコールで、繋がる。
―ピッ♪
《おうっ》
『なに?これっ〃素直じゃないなぁ〃』
《くれくれうるさいから、わざわざ、忙しーい合間をぬって、作ってやったんだろ?》
『にしても、手抜きすぎじゃない?』
《あほぅ。シンプルが一番。てか…その形が一番難しいんだぞっ!》
『……ありがと…〃本当、嬉しい。』
《おお。じゃな。寝るぞ!》
呆気ない会話。
だけど、何時間も会話した気分になる。
暖かい気持ちになった。
この夜は、久しぶりに寂しくも悲しくも辛くもない夜だった。
:09/07/08 15:29
:W65T
:Uanw3whY
#28 [あき]
そのミサンガは、携帯ストラップとして、私の携帯に今でも、ぶら下がっている…。
仕事柄、アクセサリーは厳禁だった私は、不器用ながらに、必死に、携帯ストラップにアレンジしたのだ。
《また無くしたなんて、ウジウジ泣かれたら、たまんねえから、二度と無くすなよな》
言われた通り、私は、今度は切れないように、携帯に繋げた部分を、布用ボンドでガチガチに固めてしまったのだ。
切れないように…
宝物を無くさないように。
結果、頑丈に固められた、ストラップは、ハサミを使わないと取れない状態になった。
ハサミなんて…
ぶちっと切ってしまうなんて。
まだ、私には出来ない。
:09/07/08 15:38
:W65T
:Uanw3whY
#29 [あき]
そうやって、少しづつ、心の距離に負けそうになりながら、だけど、必死に繋ぎ合わせようと、もがいていた私達。
だからこそ。
歯車が狂い出すのは。
本当に些細なきっかけだった。
そこからは、ガタガタと不快な音を鳴らしながら、バラバラになっていった私達の歯車。
そして、リズムを崩し、バラバラになった歯車は、呆気なく止まってしまった。
まさか。
私達の間に、終演があるなんて
知りもしなかった―…
:09/07/08 15:51
:W65T
:Uanw3whY
#30 [あき]
―――――――――
『ねぇ……バイト辞めれば?』
《……あきも、仕事辞めれば?》
『そんな簡単に出来るわけないじゃん。』
《俺だってバイトそう簡単に辞めれるわけねーだろ?》
『……』
《……》
虚しい沈黙。
最近、なおちゃんは、イライラしている。
順調かと思っていた、新しい城の着工が遅れに遅れていたからだった。
最悪、計画自体が無くなるまでの瀬戸際に立たされていた。
:09/07/08 16:12
:W65T
:Uanw3whY
#31 [あき]
原因は、業者との間で折り合わない資金問題。
何も言わないけれど。
私はわかっていた。
おまけに、この、強情っ張りに、この意地っ張りだ。
一度、城を築いてしまった人間は、また、誰かの城で奉公するなんて、考えられない。
一度、大きな城を夢見てしまった城主は、規模を小さくするなんて我慢ならない。
そうゆうもんなんだろう。
結局、なおちゃんは、城を持たず、看板だけの仕事をしながら、夜は資金調達の為に、バイトまで初めていた。
その日々の疲労や睡眠不足。
自宅に戻れば、慣れない介護。
全てが、計りしれないストレスとして、彼にのし掛かっていた。
:09/07/08 16:18
:W65T
:Uanw3whY
#32 [あき]
私もまた、大好きだった、仕事だったけれど。
見えてきた、会社への不信。不満、それが、計りしれないストレスになっていた。私達はお互い、口を開けば
【疲れた】【眠い】
【ダルい】
不平不満しか言わなくなっていた。
結局は、そんな、つまらない、無言に近い電話で終わってしまっていた。
それが今日。爆発寸前だった。互いに、相手にぶつけても仕方ないとわかっていても、なぜか、この夜、ぶつけ合ってしまったのだった。
:09/07/08 16:25
:W65T
:Uanw3whY
#33 [あき]
『なんかおかしいよっ!!なおちゃんの本業は何!?最近、夜の、訳のわかんないバイトばっかりで、朝に帰ってきて、昼まで寝て?仕事きちんと出来てないじゃんっ!!本業はどっちなワケッ!?一攫千金狙ってないで、コツコツ働いてよっ!!』
私が、好きだったなおちゃんは、毎日、毎日、キラキラした目で仕事をしていた。
私が尊敬していななおちゃんは、クタクタになりがらも、小さな城で、誰かの為に一生懸命に仕事をしていた。
それが、今は、夜な夜な、得意?のパソコンで、一攫千金を狙うようなバイトをして、本業の仕事が疎かになっている始末。
:09/07/08 16:34
:W65T
:Uanw3whY
#34 [あき]
『したくても、仕事がねーんだろ!?それにな、世の中、金なんだよ!!金が無けりゃ、何もできん!何の為にバイトしてるのか、わかるだろうがっ。』
『そんな、昼まで寝てるような、締め日に間に合わないような、ダレた人に誰が任せられるのよっ!!お客さん無くしたのは自分でしょっ!!今や、本業よりも、安定した収入のあるバイトが楽しくて仕方ないんじゃないのっ!?私にはそう見えるけどっ!!』
ただでさえ、小さな城で、顔見知りが顔見知りを紹介する繋がりで増えていった固定客。
場所が変われば、また一からやり直しな事はわかっていたはず。
それなのに、なおちゃんは、何もしなかった。
いや、しなかった訳じゃないんだろうけれど。
実を結ばなかったんだ。
結局、焦ったなおちゃんは、バイトの収入に頼るしかなかった。
その気持ちはわかる。
けど…何かが違う。
:09/07/08 16:41
:W65T
:Uanw3whY
#35 [あき]
『そんな、昼まで寝てるような、締め日に間に合わないような、ダレた人に誰が任せられるのよっ!!お客さん無くしたのは自分でしょっ!!今や、本業よりも、安定した収入のあるバイトが楽しくて仕方ないんじゃないのっ!?私にはそう見えるけどっ!!』
ただでさえ、小さな城で、顔見知りが顔見知りを紹介する繋がりで増えていった固定客。
場所が変われば、また一からやり直しな事はわかっていたはず。
それなのに、なおちゃんは、何もしなかった。
いや、しなかった訳じゃないんだろうけれど。
実を結ばなかったんだ。
結局、焦ったなおちゃんは、バイトの収入に頼るしかなかった。
その気持ちはわかる。
けど…何かが違う。
:09/07/08 16:42
:W65T
:Uanw3whY
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