微妙な10センチ。〜最終〜
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#341 [あき]
逆に集団行動は苦手かもしれない。
ただ、その場の空気を読むのが、ピカイチだっただけ。
今思えば、幼少期から泥めかしい人間関係の中で育ち、自然と身に着けた、生きる術がそうさせたのかもしれない。
求められたように、求められたあきでいるのだ。
本当の私という人間を知るのは三人だけだとしても?
その時、その場所、人種、年齢、性別。そんなもの全く関係なかった。私はその場、その場で順応してきたのだ。
お陰様で私は、幼き頃から、いつも人間には恵まれた。

⏰:09/08/23 00:16 📱:W65T 🆔:W0tlzhuo


#342 [あき]
結局、そんな私のスタイルが、彼の中で[友人の多い社交的なあき]になっていた。
そんな私が、彼の不安要素なのだと言った。

私が社交的だって?
ちゃんちゃら可笑しい。

私は、そんな人間じゃない。
お家が大好きで。
一人が大好きで。
いつも、ヒトリでいるんだ。
過去も現在も…
いつでも私はヒトリなのにね。

⏰:09/08/23 00:22 📱:W65T 🆔:W0tlzhuo


#343 [あき]
彼は、毎夜毎夜、私という人間に、怒りに満ちていた。
何度話をしても、私を認めようとも理解しようともしてはくれなかった。
ただ、私が居なくなる恐怖に怯え、その反動が怒りとなって現れるのだ。

自分という人間を否定される。
そんな毎夜にウンザリしていた。だけど、手放す事が出来なかった。ただ、このチャンスを逃したら、私はもう駄目かもしれない。幸せになりたい。幸せになるんだ。そればかりが、先に頭をよぎり、ごめんなさいと言うこの言葉で、またその夜を乗り切るのだ。彼が求める私になればいい。彼が、私を必要とするならば。
私は、なれる。今までだってそうしてきたじゃない…

彼に何度も抱かれたあれ以降、彼が、帰ったあの日以降。
そう言い聞かせる日々が続いていたー…

⏰:09/08/23 00:49 📱:W65T 🆔:W0tlzhuo


#344 [あき]
自分という人間を否定される。
そんな毎夜にウンザリしていた。
だけど、手放す事が出来なかったのも事実。
彼が私を失う事に恐怖を覚えるように。
私もまた、彼を失う事に恐怖を覚えていた。


このチャンスを逃したら、私はもう駄目かもしれない。
幸せになりたい。
幸せになるんだ。
ごめんなさいと言うこの言葉で、この夜を乗り切れば、私は幸せを掴めるはず。
だから今、彼を失いたくない。


彼に何度も抱かれたあれ以降、彼が、帰ったあの日以降。
そんな日々が続いていたー…

⏰:09/08/23 00:52 📱:W65T 🆔:W0tlzhuo


#345 [あき]
どんより空ではあるけれど、そんなの私は気にしない。
ぴょんと飛び起きて、朝から、シャワーを浴びて、メイクもきっちり装備して、時計を確認。
待ち合わせ時間まで、あと一時間。気分が踊る。
今日は久しくぶりに、さえちゃんと会う。
彼女は、今春、長年密かに暖めた恋を実らせて、電撃結婚した。
もちろん電撃というのは表向きで、昨年秋頃より密かに準備を進めていた事を私は知っていた。ただ、今日急遽会う話になったのは、つい先日、彼女の体内に、小さな、まだまだ本当に小さな命が宿っている事がわかったのだ。さすがの私も、これは電撃だった。

⏰:09/08/25 19:46 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


#346 [あき]
《ほんとーっ!!〃おめでとーっ!!〃》

《うんっ〃もうっ〃今、彼と病院帰りなんだよっ!!あきに一番に教えたくって!!》

《ほんと嬉しいってっ!!〃おめでとー!!〃》

そして、今日という日が急遽決まったのだ。
彼女達の苦労を間近に見てきた数年だった。
結婚が決まった時、そして今、
とても嬉しかった。


そしてまた、彼女は女の幸せという道を、順調に歩いている。
それが、とても羨ましかった。

⏰:09/08/25 19:52 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


#347 [あき]
待ち合わせの時間より数十分早く、約束のカフェへと私は車を滑らせた。
ちらりと周囲を確認しても、まだ彼女は到着していないみたい。この時間はたまらない。
愛しい人に会える待ち時間。
ドキドキワクワクが止められない。
待つこと数分。
また、約束の時間より数十分早く彼女の愛車が駐車場へ入ってくるのが見えた。
ついついニンマリとしてしまう。彼女は私の愛車を直ぐに見つけ、幸せ一杯の笑顔で手を振りながら、すぐ傍に愛車を停めた。私は、その笑顔にニンマリしたまま手を振り、助手席に投げ置いたバックを掴み、車を降りる。

『久しぶりっ!!〃』
『久しぶり〃』

私達は、まるで恋人同士の様に少し照れ笑いをしながら、歩み寄った。

⏰:09/08/25 20:00 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


#348 [あき]
カフェに入り、昔は庭に面したオープン席が私達の定位置だったけれど、今日は程よい空調の整った店内の隅に座った。
いつものランチをオーダーすると、一息。
スタッフが席を離れるやいなや、私はニヤニヤしたまま一言。

『…まずは、おめでとうっ!!〃』

『うんっ〃ありがとうっ〃』

照れ臭そうに微笑むさえちゃんは本当に綺麗だった。
妻になり、母になるさえちゃんは輝いていた。
久しぶりに彼女を綺麗だと心底思えた。

『こっちでいいのっ?』

『いいって〃』

⏰:09/08/25 20:07 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


#349 [あき]
新人駆け出し時代、一緒にランチをしていた頃は、よくフタリで、いろんな店を発掘しては楽しんだ。
食の好みが似ていた私達は、よく雑誌を見てはめぼしい店をチェックしたもんだ。
だけど、唯一の問題がコレ。

《タバコ吸えないと、休憩した気分になれない〃》

私が、ことある毎に嘆いた愚痴。否喫煙者の彼女は、そんな私に笑っていた。
最終的に、私達が、数々の発掘した場所の中でも、好んでこのカフェに来るには理由があった。
勿論、雰囲気、味共にお気に召したのだけれど、ここは、いまの世間には珍しく、ランチタイムでも、庭に面したオープン席のみ喫煙が出来たのだ。

今日、こを選んだのは彼女だった。なのに、座った席がいつもと違う。
恐らく彼女はそれを言ってるんだろう。

⏰:09/08/25 20:20 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


#350 [あき]
『この店、久しぶりだよねっ〃懐かしい!
なのに、なんか気使わせてごめんねっ。』

『なにそれっ。〃』

沢山いた同期の中、たった数年で私達だけが生き残った。
そのまま、数年であれよあれよと、互いに似合った部署へ移動を命じられた。
おまけに、互いに忙しくなり、社内でも顔を合わせる事も減った。
昔は、よく二人で日、時間を合わせてはこうやってランチに出かけたもんだ。

⏰:09/08/25 20:28 📱:W65T 🆔:1iFCvnmU


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