微妙な10センチ。〜最終〜
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#800 [あき]
―――――――
『はいっ。』
《…どうして電話に出ないんだよっ!!》
『…出先だって言ったしっ。それに、もう別にいいでしょっ!!関係ない!!』
先ずは、強気作戦。
しかし、相変わらずのびびりヘタレっぷり満開の私の手は、しっかりと、なおちゃんの膝を掴んでいた。
《…はぁ?本気なのか?》
『まだ言ってんの?本気だってば!!』
膝を握る手に力が入る。なおちゃんは、いてぇわとジェスチャー。
そして、貸せと手を差し出した。
:09/12/14 02:47
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#801 [あき]
私は、首をプルプルと横に振り、待ってとジェスチャー。
これは、最終手段。
いや。出来る事なら使いたくない。
本当は話し合いで、円満解決したいんだもの。
『私に、どうしろって言うの?』
《どうもしない。本気かって聞いてんだよ。あきは、これでいいのかって?このまま、さよならしていいのかって。》
突然の敵…いや、西条さんの優しい声。
哀しそうな声に
完全に強気発言で応戦体制に入っていた戦意は喪失しそうになる。
『そ…それでいいっ!』
それを慌てて奮い起こした。
:09/12/14 02:55
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#802 [あき]
《そっか…。》
更に響く寂しそうな声。その声に心が折れそうになる。
なおちゃんの膝を強く握る。
『…考えたけど。
やっぱり、もう付き合えない。』
私のその言葉に、なおちゃんは細く息を吐いた。コンコンと膝を揺らし、私の顔を覗き込む。私は、小さく頷いて、目を反らした。
《自由がいいって事か?》
『そうじゃなくて』
《わかった。もういいよ。好きにすれば。》
諦めたのか、はたまた何かを感じ取ったのか、私の言葉に、西条さんはそう返事した。
:09/12/14 03:08
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#803 [あき]
『…ごめんなさい。』
《俺も、あきの暮らしには、耐えられそうにないわ。》
『……』
《今の出先も、男といるんだろ?》
ここで、そうだと認めれば、話は早いのに、どうしても、言えなかった。なのに、西条さんは、電話の向こうで、笑って言った。
《否定しないんだな〃あ〜あ…やっぱり無理だったか…〃》
気付いてたんだ。
私と、なおちゃんの繋がり…
:09/12/14 03:17
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#804 [あき]
『……』
《やっぱり駄目だったか!距離には勝てないのか〜っ。〃》
『…距離じゃないよ。私は、そんなの関係なかった。』
嘘じゃない。
あの時、私は間違いなく、近くのなおちゃんより、遠くの西条さんを選んだ。その気持ちは嘘じゃないのに。
《…どうだか〃》
ズキンと胸が鳴る。
最後の最後まで、西条さんは、私のそんな気持ちすら信じてくれていなかった。
やっぱり私達は、駄目なんだ。
そう改めて認識した。
:09/12/14 03:24
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#805 [あき]
『それが駄目になった原因じゃん?
最後まで、西条さんは、私を信じてはくれないじゃない。
……私達は距離なんかじゃないよ。
気持ちが遠かったの。お互い歩み寄れなかったんだよね。〃』
《……その彼は、違うって?》
その質問に、私はちらりと、なおちゃんを見た。なおちゃんは、何か?と言わんばかりの顔で私達の話を聞いていた。その間抜けな顔に、私は、ぷっと吹き出してしまう。大丈夫だからと合図を送ると、納得したように、ソファーに座った。そして、私は、その部屋から出て行った。
:09/12/14 03:40
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#806 [あき]
部屋を出て、静まり返った古びた階段に座り、西条さんに語る。
『…そだね。
その彼にも、いっつも怒られてるけどさ…
それでも、いつも私の言葉を聞いてくれたし、信じてくれてた。
でも、そうゆうのって言葉じゃないのね?
なんてゆうか…相手を認めてるか、認めてないかって事で。
それって、距離とか時間とか…関係ないんだよね。たぶん。〃』
私となおちゃんの間には、そんなもの関係なかった。時間も距離も…何も関係なかった。
ただ、相手を思いやるそれだけだった。
私と西条さんが築けなかったもの。
:09/12/14 04:02
:W64S
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#807 [あき]
《…その彼がやっぱり好き?》
『…好きかって聞かれたら、そうだけど、もう、私達の間には、そんなもの必要ないの。男とか女とか〃そんなんじゃなくなってるから。』
《…それが、理解できないんだよ。
男にしたら、そんな相手がいる彼女なんてたまんないよ?
これは、俺だけじゃないと思うよ?
たぶん、これからも、あきと、その彼の関係は、誰も理解できないんじゃないかな?》
『…そーだろうね〃
だから、これから先、私は、恋愛出来ないかもねっ〃つくづく思ったよ。』
:09/12/14 04:09
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#808 [あき]
《それでもいいんだ?》
『…仕方ないと思ってる。私には、なおちゃん…彼の存在が大切なの。好きとか、そうゆうの抜きにして?私という人間に、彼という人間が必要なの。彼との関係は、壊されたくないし。壊したくない。』
《あきの、その気持ちは、やっぱりわかんないや〃》
『だろぉねーっ〃』
久しぶりに、西条さんの笑った声を聞いたような気がした。
暖かくて、優しくて。
初めて出会った頃の。
あの、じめじめした蒸し暑い空気の中で、フワリと靡いた優しい風のような声だった。
:09/12/14 04:17
:W64S
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#809 [あき]
《じゃぁ、そいつと結婚しちゃえよっ!なら、俺も諦めつくからっ!》
『あはは〃やめてよ〃もう無理だわっ!!〃』
そう笑った私に、西条さんは、最後の優しさを見せた。
《…したいんだろ?
他の誰でもなくて、その彼と。本当は、ずっと忘れてないんだろ?》
ドキンと胸が鳴った。
ズキンと胸が痛くなった。
電話を握る手が熱くなっていた。
:09/12/14 04:21
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