微妙な10センチ。〜最終〜
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#301 [あき]
愛さん。ありがとう。

そうですよねっ。
でも、この時の私は、そう思ったんですよ。
バカでしょ?笑

ありがとう。

⏰:09/08/15 01:46 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#302 [あき]
朝目覚めて、相変わらず伸ばされた腕が私に絡まりついている。
正直、かなり寝苦しかった。真夜中何度も試みたけれど、離れようと体を動かせば、寝ぼけながらも、彼の腕は私を強く引きつけた。強く引きつけて、絡まりつくのだ。
その絡まった腕を静かに離すと、彼は目覚める。

『…おはよぅ…』

『うん。おはよう。喉乾いたのっ。起きていい?』

『…ん…』

そう言って、彼はやっと私を離してくれる。
ベッドから降りて、冷蔵庫を開けて水を飲んだ。

⏰:09/08/15 01:54 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#303 [あき]
冷えたミネラルウォーターはとても美味しい。
一気に飲み干すと、私は剥ぎ取ったシーツをズルズルと引きずりながらソファーに座った。

パチンとテレビを付ける。朝のワイドショー、コメンテータ達が芸能人の私生活を、面白ろおかしく、はやし立てていた。

ちらりとベッドを見ると、スヤスヤと眠る彼。

シーツを失った布団が私の代わりに彼にまとわりついていた。

⏰:09/08/15 02:04 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#304 [あき]
しばらく一人の時間を過ごすと、彼がようやく目覚める。

『あき…おいで。』

横たわったまま、寝ぼけ眼で、両手を私に伸ばした。
私は微笑み、立ち上がる。
ベッドへと歩み寄り、彼の両手の中へと体を入れると空調で少し冷たい腕が、すぐに絡まり、少し冷たい唇が私の顔を覆った。
それを優しく受け入れると、彼の体がまた熱を帯び始めて、強く私を抱きしめた。

⏰:09/08/15 02:13 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#305 [あき]
『ずっとこうしていたい…』

彼は私を腕の中に入れてそう呟いた。
私は、頷く事も何もせず、ただ微笑み返す。

『…離したくないんだよ。』

まるで赤ん坊が母親の胸の中で無償の愛を欲しがるように。彼は私の胸に顔をうずめて、愛を求めた。私は、彼の髪を撫でながら、うんと囁く。

これでいい。
これでいいんだよね…
なおちゃん…

⏰:09/08/15 02:22 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#306 [あき]
ギリギリまで、そんな時間を過ごした後は、しぶる彼を急かすように、その場を後にして、また車を東に走らせる。

西条さんは、帰りが心配だからと、一番近い駅でいいよと笑って言った。
それひどい、なんて笑いながら、彼の言葉に逆らわず、私は一番違い大きな駅へと車を向かわせる。
一時間程で、車は駐車場へと入った。
彼がこの地を後にするまで残り、二時間。
また二人並んで、手を繋いで歩く。

『あっ…ちょっとここ見ない?』

西条さんが突然に、立ち止まり指を指した場所。
私は、笑顔で頷いた。

⏰:09/08/15 02:31 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#307 [あき]
そこは、女としては、煌びやかな場所で、心踊る場所。

『これ、可愛い…』

飾られた品々を見ながら若干浮かれぎみ。
手に取って、鏡にあててみたりする。

彼自身、私の話はそっちのけで、ショーケースを眺めながら、これがいいと、綺麗なお姉さんになにやら言っている。

『あき、はめてみて?』

振り返ると、西条さんの手には、キラキラと輝くー…指輪。

⏰:09/08/15 02:39 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#308 [あき]
『えっ…うんっ。』

指にはめてみると、それは尚一層輝いて見えた。シルバーのリングに小さな花がモチーフとなり、キラキラと宝石が光っている。
宝石に疎い私でも、それが、何の宝石かわかる。

『似合うじゃん〃』

西条さんが、満足げに頷く姿に、ショーケース越しのお姉さんも、微笑んで、ありきたりの褒め言葉を言った。

『そう〃?』

そう言って私は指から抜くと、お姉さんに渡す。
西条さんは、腕を組み、少し首を傾げて考え込んだ。

⏰:09/08/15 02:48 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#309 [あき]
『私、あっち見たいっ!』

咄嗟に指した方向には、これまた煌びやかなネックレス。

『あきはネックレス好き?』

『うんっ…どちらかと言うと…?〃私指輪なんて持ってないしっ〃』


逃げる様に、その場を動いた。いくら、私でも、今の流れはー…わかる。

咄嗟の言い訳。

⏰:09/08/15 02:59 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


#310 [あき]
『そっかっ。〃』

二人並んで、その場所を離れ、ネックレスのケース前へと移動する。

『これなんて可愛いよね?〃』

『うーんっ。俺は、こっちかな?』

『あ…それも可愛いかもっ!』

二人で、品定め。
お姉さんは、ニコニコと私達の背中を眺めていた。

⏰:09/08/15 03:02 📱:W65T 🆔:MIdAGCFQ


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