微妙な10センチ。〜最終〜
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#312 [あき]
真っ青ペンダント。
なおちゃんペンダント。
それ以来、私は数あるコレクションをつけなくなった。
私だって一応、女だし。
それなりに持ってはいるけれど。
つけられない事が寂しくて、悲しくて。
あのペンダントが大切過ぎて。
他の何も
何もつけられなくなった。
(※真っ青ペンダントの詳細は、続編にて。)
:09/08/15 03:31
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#313 [あき]
『気に入ったものあれば買ってやるよっ。』
『いいよっ!そんなのっ。〃行こうっ〃』
スマートに店へと入って、綺麗なお姉さんと談笑しながら、アクセサリーを選び、勝手やると言う西条さん。
緊張しながらドカドカと入って、私が選んだペンダントを、さりげなく買ってくれた、なおちゃん。
両極端な二人に、私の心がついて来ない。
早くこの場から逃げたくなった。
:09/08/15 03:45
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#314 [あき]
『…やっぱ俺が買ってやりたいからっ!よしっ。決まりっ〃』
西条さんは、私の返事を待たずに、最初に私が可愛いと微笑み、手に取った小さな石のついたネックレスを指さして、お姉さんを呼んだ。
慌てる私に、いいからと微笑むと、カードを差し出しだす。
『ちょっとっ!高いからっ!いいってばっ』
必死に止める私の頭をポンポンと撫でて…
あれよあれよと、小さな紙袋が私の手に乗ってしまった。
:09/08/15 03:53
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#315 [あき]
右手には満足げな西条さん。
左手には小さな紙袋。
それを私は、何も言えずただ握るしか出来なかった。
『…ありがとう…〃』
『いいえっ。』
だけど、このお方の、破天荒振りはこれでは収まらなかった。
それは、せめてもの御礼とホームまで見送ると言った私。
…そのホームで起きた。
:09/08/15 04:03
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#316 [あき]
改札を抜け、行き交う人々の中、新幹線ホームへと上がる。小さな街の新幹線ホーム。待合室に座り、二人並んで座る。残りの時間を、静かに過ごしている時に彼が言った。
『あーっ〃やっぱ我慢できないっ!それっ!開けてみて?』
指差すは、さっき買ってくれた、ネックレスが入っている小さな紙袋。
戸惑いながらも、私は、左手に握っていた紙袋を開けた。
ネックレスの箱の下には、見覚えのない箱がもうひとつ。
『なに?これっ…』
:09/08/15 04:10
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#317 [あき]
その小さな四角い箱を開けると、心臓が止まるんじゃないかと思う程、私の胸はどくんと鳴った。
『これ…』
『…それも気に入ったからっ。』
『嘘だっ…』
思わず声を上げた。
そこには、小さな花をモチーフにした、煌びやかな指輪が私を見つめていたのだ。
:09/08/15 04:15
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#318 [あき]
どうしてっ?
いらないって意志表示したのにっ?
いつの間にっ?
頭は混乱に混乱を招く。
彼は、そんな私に気づきもしないで、ネックレスを手に取ると、私の髪をかきあげる。
されるがまま、座っていると、彼の細く長い指が、私のうなじで細やかに動き、それは長い髪と一緒に、首元に舞い降りた。
『似合うよっ〃』
太陽の光にあたりより一層に輝き、それを見て彼はそう微笑んだ。
:09/08/15 04:23
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#319 [あき]
『はいっ。次、手貸して』
私は右手を差し出した。
『…こっちなんだ。』
差し出した右手を見つめ、彼が呟いた。
『あ…ごめんなさい。入るかなぁっ〃』
ドキリとして、直ぐに左手を差し出す。そして咄嗟の言い訳で、その場を取り繕った。
二人が見つめる中、指輪は、スルスルと、呆気なく薬指に入る。
『おっ!入った〃うん。これも似合うね〃』
わかってた。
だから、出さなかったのに。
右手と左手。
薬指のサイズが同じな事をこれほど複雑な心境になった事はなかった。
:09/08/17 00:10
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#320 [あき]
ショーウインドの中、ライトを浴びて光っていたそれは、太陽の光を浴びて、本来の輝きを取り戻したかのように、嬉しそうに光る。
私にはとても眩しくて見れなかった。
『…私には派手じゃないかな?〃』
『そっか?いいじゃんっ。』
『そう?…ありがとっ。』
キラキラと光るそれを私は照れ笑いと称した笑みでかえす。
『大切につけさせて頂きます〃』
『よしっ。』
そして微笑み差し出された西条さんの右手に、キラリと光る指輪がはめられた左手を差し出し微笑んだ。
:09/08/17 00:21
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#321 [あき]
じっとりとした風が私達の間をすり抜けて、また厚い雲が、空を覆いだす頃、鉄の塊が駅へと入ってくる。いつの間にか増えた人が一斉に動き出したと同時に、別れを惜しむ人で、入り口付近が混雑した。スーツ姿のサラリーマンは迷惑そうな顔を向けながら、急ぎ足で次々に乗り込んでいく。私もまた、その迷惑そうな顔を向けられながら、ありきたりの言葉を交わし、いつまでも離れない手を握り、うんうんと返事しながら微笑む。
もう待てないぞと、最後の発車音がホームに鳴り響いて、私達の間に隔てられるドアがプシューと音を立て閉まった。
西条さんは、ドアの向こう側、手を挙げまたねと言って、私は大きく頷き、手を振る。
塊が動き出して、彼は遠く離れた向こう側へと帰って行った。
ある休日の昼下がり。
私達は、二度目の再会を終わらせて。
私は自分自身の何かを終わらせたー…
:09/08/17 00:39
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