微妙な10センチ。〜最終〜
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#40 [あき]
何も言い返せなくなった。
悲しくなった。
お疲れ様って言いたかっただけの電話は。
バイト、頑張ってねって言いたかっただけの電話は。どうして、こんな事になってしまったんだろう。
『……もうやめよう。楽しくないもん。なおちゃん、そろそろ行かないと、いけないんでしょ?』
《ほらな。都合が悪くなりよ、逃げる。相変わらず、変わんねーよな!!》
『…そだね。ごめんね。言い過ぎた。ぢゃっ。切るね。』
この日の夜を境に
私達は、しばらく連絡を断った。
何度もあった、連絡を取らない日々とは違う。
言いようのない闇が、私達を包んでいたからだった。
:09/07/08 17:17
:W65T
:Uanw3whY
#41 [ゆか]
ずっと読んでました。
頑張って下さい(´;ω;`)
:09/07/08 18:21
:SH903i
:☆☆☆
#42 [あき]
ゆかさん。有難うございます。
―――”
あの言い争いの夜から、連絡を断つ日々。
だけど、私にとっては、会えない日々も、話せない日々も、いまや何の違和感でもなかった。
私達の関係に置いて、そんな事は特別でもなんでもなかったから。
私は、ただただ日々に追われていた。
:09/07/09 21:37
:W65T
:XNcN9gtw
#43 [あき]
出張に出張を重ね。
月の半分以上を仕事に費やし、休日は一人で過ごす。私の生活スタイル。
ただ、隙間を埋めるように重ねていた時間が無くなっただけ。
もう何年も、変わる事のないその着信音が
その日
その週
鳴らなくても…
私には。
代わり映えのない日々だった。
:09/07/09 21:42
:W65T
:XNcN9gtw
#44 [あき]
そんな時。
思いもよらない転機が私に訪れた。
突然、割り当てられた一週間の出張。
《明日から一週間。○○地方に飛んで。はいっ。これ》
有無も言わさず、ニコリと微笑む、おっかない上司に手渡された、大量の資料に、往復チケット。
《えぇっ!!や…》
だとは言わせてはもらえない。
悲しい、ただの平社員で雇われの身。
:09/07/09 21:50
:W65T
:XNcN9gtw
#45 [あき]
重い資料を両肩に抱え、背中にのしかかる重圧。
私は、全てを抱えて、帰路についた。
ソファーに身を投げ出し、ため息が漏れた。
さすがに、一週間はキツい。ヒドい。長い。いや…長すぎる。
手渡された二枚のチケットを確認。
印字された文字は
明日の始発に始まり
一週間後の最終便。
どんだけ働かすんだよ…
やっとの思いで出た言葉は、虚しく消えた。
:09/07/09 21:56
:W65T
:XNcN9gtw
#46 [あき]
ふと携帯電話が目に入った。
あれからしばらくの時間が経ってる。
すっかり着信履歴からも、発信履歴からも、名前が消えていた。
おもむろに握り、短縮番号ゼロを押す。
声を聞きたくなった。
バカでもアホでもいい。
なんでもいいから、なおちゃんの声が聞きたくなった。
:09/07/09 21:59
:W65T
:XNcN9gtw
#47 [あき]
私が求めていた声は、なかなか繋がらない。
ふと時間を見ると、21時を過ぎた頃。
ああそうか。
もう繋がらないか。
私は、電話を切った。
なおちゃんは、バイトに行ったんだ。
そう自覚した時、何だか、言いようのない疲労感が襲ってきた。
嫌な事があると、彼の声が聞きたくなる。
悲しい事があると、彼の声が聞きたくなる。
いつまで、彼に頼るんだろう。
私は、彼がいないと、何も出来ないのかな。
そう思えた。
:09/07/09 22:05
:W65T
:XNcN9gtw
#48 [あき]
結局、なおちゃんからのコールバックも無かったおかげで、私は、彼の声を聞くどころか、彼に一週間の留守を伝える事もなく出発をした。
ここから、少しづつ、私達の歯車がきしみ出して行く。
本当に、じわりじわりと、きしみだす歯車だった。
:09/07/09 23:51
:W65T
:XNcN9gtw
#49 [あき]
―――――――
渡されたチケットを駆使して、早朝に出発したはずの私は、目的地に舞い降りた時は、もうジワリと汗ばむ程の気温だった。
移動中の夢心地さが、まだまだ残るけれど、一週間分の荷物をガラガラと引きずり、食い込む程の重いバックを肩にかけて、私は、教えられた場所へと向かう。
ロータリーへと入ると、数台もの車が、停まっている。その間をすり抜けて、周囲を見渡し、らしき車を探す。
:09/07/10 00:00
:W65T
:VckcM2.Y
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