微妙な10センチ。〜最終〜
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#671 [あき]
淡々と彼に話す私は強くなった?


違う。


どうでもよくなった…


ただそれだけ。

⏰:09/10/27 00:23 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#672 [あき]
涙を流す事なくただ淡々と話す私に彼は、しばらく黙り込み、そしてまた強く私を抱きしめて。

大丈夫。俺は、そんなの信じない。

そう言った。
彼は、一体何を信じないのだろうか。

私の体?
私の話?
それとも
私達の未来?

彼の胸の中で鼓膜を震わせる彼の言葉は何も胸には響いては来なかった。

ただ、突然に強引に
押し付けてられた愛の証。

その行為が。
私は信じられないでいた。

⏰:09/10/27 00:30 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#673 [あき]
彼はその後もまた、ただ脱け殻となった私を抱いては、愛を囁き、私の中で二度目の愛を注ぐ。私は、またかと、人生二度目のそれをただ天を見つめ、受け入れた。

本当はね。

こんな私でも
心の隅。奥底では奇跡を信じていた。
いつか―…
そんな儚い夢を持っていた。

だからこそ、こんな体の私でも、決して許さなかった。

その願いは。
今更気付いた。
奇跡を信じたい相手とは違う人

から与えられた―…

⏰:09/10/27 00:57 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#674 [あき]
私だって、もう小娘じゃない。
今更、慌ててシャワーを浴びたって、跳んだって跳ねたって、逆立ちしたって…
何の意味もない事くらい知識として知っている。
ただ、情けない事に

自分の体を熟知しているが故の強さと

もし、彼との間に
奇跡が生まれたら…
そんな弱さの間で

もう彼から
逃げられない。

そう覚悟するしかなかった。

やっぱり涙も出なかった―…

⏰:09/10/27 01:08 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#675 [あき]
そして、これが
あきと、なおちゃんの
最後の壁。



この壁は。

決定的に

私達を引き裂き

それは

別れを示していた。

⏰:09/10/27 01:45 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#676 [あき]
――――――――

『…ねー…眠いんだけど?』

『なら帰れば?』

『いや、呼び出したのは貴方ですが?』

『用件は済んだ。』


相変わらず、意味の解らない突然の呼び出しに、まんまとハメられ、ここまで車を出してきた私。

そんな苦労に労いひとつも無く、趣味のギターをポロリンポロリン奏でながら、私の存在を無視しやがるこいつ。

溜め息が出る。

⏰:09/10/27 01:50 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#677 [あき]
『…なおちゃんさ〜…ほんっっと!!オヤジになったよねぇ。』

元はと言えば幼なじみ。出会った頃の事は、さて置いて。再会したのは、十代最後の歳。
そして、今や二人共に、結婚適齢期。私の目の前にいるこの彼は、一体誰なんだと言いたいぐらいに様変わりしていた。

『うっせ。貴女もいい加減いい歳だろうが!』

『…ですよねー…あーあ…』

急激にテンションが下がる。
私は、この部屋での定位置。
お気に入りのクッションを抱え、お気に入りのソファーにボスリと横たわった。

⏰:09/10/27 02:00 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#678 [あき]
『…あーっ!!幸せになりたーいっ!!』

これは、ここでの私の口癖。
お気に入りの大きなクッションをボスボスと叩きながら、足をバタバタさせた。

『はいはい。ぶちゃいくさん、うるさいよ。』
なおちゃんは、そんな私の叫びを聞き流し、最近、新しく買ったギターの楽譜をテーブルに置き、ポロリンとまたメロディを奏でた。

『不細工言うなっ!』

⏰:09/10/27 02:06 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#679 [あき]
『はいはい。おでぶちゃん。』

『あのねぇ!!』

なおちゃんの部屋で、彼が奏でるアコースティックギターの音色を聞きながら、こうやって憎まれ口を叩き合う時間が、私には、とてつもなく、心地好い時間だったりするけど。
それは口が裂けても言えない言葉。

『なおちゃんが知らないだけで、こんな私を好きだという人は、いるんですぅ!!』


『ほぉ〜〃良かったじゃんっ!なら、その人に幸せにしてもらえ。』


なおちゃんは、またいつもの調子で、私の戯言を聞き流した。

⏰:09/10/27 02:13 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


#680 [あき]
いつもそう。

なおちゃんは、いつも、私が何を言っても、顔色ひとつ変えないで。
笑って聞き流す。
私だけが、好きで好きで…たまらなく好きで。そんな月日だった。

それがツラかった。
だから私は…

『……本当だよ?』

そんな姿が、あまりにも哀しくて、ついポロリと漏らす。

『…知ってるよ。例の彼だろ?』

なおちゃんは、楽譜に目を落としたまま、静かに答える。

今夜。久しぶりに
私達の間に静かな時間が流れた。

⏰:09/10/27 02:19 📱:W64S 🆔:ZHpiXnGs


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