$ 貢ぎちゃん「ユリサ」 $
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#366 [りぃ]

そんなこだわりを持ったまま、
プレゼント用にラッピング
してもらった商品を受け取ると
数分前の虚しさが嘘のように
清々しい気分で店を出た。


凛子さんが前に言っていた、
──相手から求められる前に
自分で考えて先を行くべき──
という言葉が改めて心に響く。

ただの自己満足でもいい。
虚しさだけが残るより
少しでも満足できるなら
それでいいと心底思えた。

⏰:09/09/20 16:36 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#367 [りぃ]

「あら〜?このBVLGARIの
 袋はなぁに〜?♪」

ホテルの部屋に戻るなり、
1人で退屈そうに待っていた
萌に早速からかわれる。

「…翔君は?」

「部屋で寝てるー。
 それにここの鍵私が持ってたから
 ユリサが入れないと思って
 待っといたんだよ。
 じゅん君が帰ってきたら
 出ていくから心配しないで♪」

⏰:09/09/20 17:35 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#368 [りぃ]

部屋の中へ入ると、
テーブルの上に無造作に
積まれたお菓子の山が
ふと目についた。

「なにこれ。」

私が尋ねると、萌は
食べかけのお菓子を
頬張りながら答える。

「ん?翔君にもらったのー。
 なんかライブの差し入れで
 ファンの子達からもらったけど
 食べないし荷物増えるから
 お前ら食ってーって。」

⏰:09/09/20 17:49 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#369 [りぃ]

「へぇー…なんかファンの人
 かわいそうな気もするけど…」

新たにバンドの裏側を知り
複雑な気持ちになりながらも、
すっかり仲良しになっている
2人がなんだか微笑ましかった。

そうやって色々と話していると
傍らに置いていた携帯が
不意に鳴り始めた。

「じゅん君?!じゅん君?!」

萌に捲し立てられ画面を確認すると
そこには待ち望んだ名前が表示されている。

⏰:09/09/20 18:02 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#370 [りぃ]

第一声は何て言われるんだろう…

「もしもし…?」

『あ、ユリサちゃん?
 今から行っていいー?』

いつもと違う緊張を感じながら
電話に出ると、聞こえてきたのは
いつもと変わらないじゅん君の声だった。
いろんな思いが混ざって胸が詰まる。

「うん、来て!」

手短に部屋番号を伝えると
そそくさと電話を切って
じゅん君の訪問を待った。

⏰:09/09/20 18:35 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#371 [りぃ]

「じゃあ私も行くね!」

萌は数種類のお菓子を適当に
掴んでバッグの中へ放り込むと、
手荷物を持って部屋を出ていった。


部屋にひとりになると、
私は大急ぎで化粧を直し
じゅん君へのプレゼントを
ひとまず目につかない位置へ隠した。

──じゅん君、財布のこと
  私に話してくれるかな…

⏰:09/09/21 16:28 📱:P905i 🆔:fc7lWhx.


#372 [りぃ]

「電話もメールもできなくてごめんね」

すぐに部屋へやってきたじゅん君は
真っ先に私にそう告げた。

「あ…うん、忙しかった?
 こっちこそ何度もごめんね」

そんなじゅん君に対し、
事情を知りながらも
なんとなく必要以上に
気を遣ってしまう自分が居る。

⏰:09/09/23 00:41 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#373 [りぃ]

「いや、昨日財布無くしちゃってさ
 どうしようもないから
 とりあえず助けてもらいにね」

じゅん君は誤魔化すように
笑いながらそう言った。

「あ、そういえばさっき翔さんから
 その話チラッと聞いたんだよね。
 これ良かったら使って。」

じゅん君の口から他の女の子の
話はやっぱり聞きたくない。

私は遮るように口を挟み、
プレゼントの袋を掴むと
じゅん君の目の前に差し出した。

⏰:09/09/23 01:28 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#374 [りぃ]

「え?!BVLGARI?!
 翔から聞いたって何を?」

じゅん君は突然差し出された
紙袋を見て心底驚いた様子で
何度も紙袋と私の顔に
視線を往復させた。

「じゅん君がお財布無くしたみたい
 って言ってたから」

私が言うが早いか、じゅん君は
リボンの掛かった箱を取り出し
待ちきれない様子で開封し始める。

⏰:09/09/23 20:51 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#375 [りぃ]

箱の中の長財布と対面した
じゅん君は、一瞬の沈黙の後
財布を握りしめ私へ向き直った。

「やべぇまじ嬉しい…!
 ほんっとありがとう!」

無邪気に喜ぶじゅん君の笑顔に、
これまで感じたことのない
充実感で満たされる。

じゅん君はおもむろに
デニムのポケットから
数枚の1万円札を取り出し
長財布の中へ仕舞い始めた。

⏰:09/09/23 20:58 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


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