$ 貢ぎちゃん「ユリサ」 $
最新 最初 🆕
#1 [りぃ]


――ユリサ19歳、夏――

大好きなあの人が望むなら
どれだけでも貢ごう

そう決めたのは

誰にも負けたくなかったから。

彼にとって1番の女になって
優越感に浸りたかったの。

⏰:09/07/10 12:27 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#2 [りぃ]


送信者:じゅんくん
件名:無題
本文:
お金があるときに連絡ちょーだい。

―END―



…またか。

このお決まりのメールが
くるようになったのは
いつ頃からだっけ。

彼が変わってしまったのか。
それとも私が彼を
変えてしまったのか。

⏰:09/07/10 12:38 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#3 [りぃ]


始まりは18歳の冬。

中学の時からの親友・萌に
無理矢理誘われて、
よく知らないバンドの
ライブに行くことになった。

⏰:09/07/10 12:44 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#4 [りぃ]


「はい、これユリサのチケ。」

ライブハウスの前で
萌から渡されたチケットに
目を落とすと、出演の欄には
複数のバンドの名前が
連なっていた。

「今日はイベントライブだから
本命の出番まで暇だな〜」
そう呟きながら萌は
ライブハウスがある地下への
階段を降りていく。

⏰:09/07/10 12:52 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#5 [りぃ]


よくわからないまま
萌の後をついていくと、
地下にはライブハウスの
入り口があり、そのドアに
張ってあるフライヤーが
ふと目についた。

「萌、今日のライブって
 もしかしてこれ…?」

フライヤーを指差しながら
萌に尋ねると、当然のように
萌は笑顔で頷いた。

「うん!楽しいよ〜」

⏰:09/07/10 12:58 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#6 [りぃ]


そのフライヤーに載っていた人達は
目を疑うような派手な髪型で、
よくわからない化粧をして
着てるのは奇抜な衣装…


「…ヴィジュアル系っ?!」

⏰:09/07/10 13:03 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#7 [りぃ]
「うん、そうだけど?
 もう始まってるから
 とりあえず入るよ!」

萌がわたしの腕を掴んで
ドアを開けるのと同時に
中から爆音が響いてきた。

「なにこれっ!!」

私は状況をひとつも飲み込めないまま
萌に引っ張られて
フロア真ん中辺りに入り込んだ。

⏰:09/07/10 13:09 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#8 [りぃ]


ステージには、さっきの
フライヤーで見たような
奇抜な人達がいて、
動き回って飛び跳ねたり
頭を振り回したり、
奇妙な光景が広がっていた。

初めて見るヴィジュアル系の
ライブに衝撃を受けて
ぽかーんとしてるうちに
演奏が終わり、メンバーが
ステージ脇へ捌けていく。

⏰:09/07/10 13:20 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#9 [りぃ]


「あ、最前空いた!行こう」

バンドが変わるたびに
お客さんも移動するらしく、
最前列にいたお客さんが
抜けていくのを萌が見つけ
とっさに私の腕をつかみ
またぐいぐいと引っ張っていく。

⏰:09/07/10 13:30 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#10 [りぃ]


「やっぱりライブは最前で見ないとね〜♪

バンド転換の10分の間、
ご機嫌な萌と喋ってると
次のバンドの出番になった。

メンバーの最初の1人が
ステージに出てきた瞬間、

「きた!これが本命なのっ」

萌が嬉しそうに私に言った。

⏰:09/07/10 13:43 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#11 [りぃ]


ちょうど私たちの目の前の立ち位置にきたボーカルの人に
萌が嬉しそうに手を振ると
ボーカルの人も萌に笑顔を返した。

そんなやり取りの後、
演奏中の曲を楽しげに
口ずさむ萌をみて、
私はほっこりした気持ちになって
視線をステージに戻した。

⏰:09/07/10 17:26 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#12 [りぃ]


それにしても
すごいライブだなあ〜

あの人の衣装すごい!

脚が綺麗〜


そんなことをあれこれ考えながらも
ステージから一瞬も目が離せず、
どんどん引き込まれていくのを感じた。


⏰:09/07/10 17:36 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#13 [りぃ]


「ユリサどうだった?」

ライブ後、会場を出るなり
萌がそう尋ねてきた。

「やー、なんてゆうかさ、
 最初は衝撃だったけど
 なんか…いいね!」

「え、ほんと?
 きもいーとか無理ーとか
 言われるかと思った。」
私の感想を聞いて萌は
意外そうな顔で答えた。


⏰:09/07/10 21:08 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#14 [りぃ]


「あ。萌、それよりさ。」

私はずっと気になってる
ことがあって萌に聞いてみた。

「ライブ中、萌の好きな
 ボーカルの人と萌って
 結構意志疎通ってゆうか
 仲良しな人みたいだったね!
 なんかすごいじゃん」



⏰:09/07/10 21:21 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#15 [りぃ]


私が興奮気味に尋ねると、
萌は得意げに答えた。

「あんなのは、このジャンルでは
 結構普通のことだよ。
 常連とかオキニの子は
 メンバーから構ってもらえるの」

常連?オキニ?構う?

よくわからないでいると
萌は説明を続けた。

「メンバーの好きなタイプの子とか
 可愛い子はオキニになれるんだよ。」

それを聞いて私はヴィジュアル系の
世界をちょっとだけ知り、
とてつもなく魅力を感じたのだ。

⏰:09/07/10 21:31 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#16 [りぃ]


「萌はあのボーカルの人の
 “オキニ”なの?」

私がそう尋ねると萌は
大爆笑しながら答えた。

「自分で自分のことオキニ
 なんて言ってたら
 痛い奴だと思われるじゃん!
 私はオキニってわけじゃないけど
 ライブに通いまくってるから
 覚えてくれてるだけだよ。」

⏰:09/07/10 21:37 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#17 [りぃ]


萌は謙遜してそう言ったけど
私は、萌はオキニなんだと
なんとなく感じた。



その日は自分の知らない世界に
入り込んだ気がして、
どきどきしてなかなか眠れなかった。

⏰:09/07/10 21:39 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#18 [りぃ]


その日から、頭の中は
ライブのことでいっぱいになり、
また萌と一緒にライブに
行きたくてたまらなかった。

萌にそれを話すと
とても喜んでくれて、
ヴィジュアル系の裏事情などを
色々教え込んでくれた。


⏰:09/07/10 21:42 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#19 [りぃ]


萌の話を聞けば聞くほど、
私はなんだか萌が
羨ましくなってきた。

あんなにお客さんが居る前で
大好きなメンバーに自分だけが
構われるってどんな気持ちなんだろう。

すごい優越感なんだろうなあ。

私もそんな風になってみたい!

⏰:09/07/10 21:45 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#20 [りぃ]

お知らせ

感想トピ作りました

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4461/

⏰:09/07/10 22:04 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#21 [りぃ]

萌と一緒にいろんなライブに
行くようになって数週間。

私にも気になるバンドができ、
気になるメンバーがいた。

そのバンドのことや
メンバーのことは全然
詳しくなかったけど、
なんとなく、これからも
見てみたい気になったのだ。

⏰:09/07/10 22:15 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#22 [りぃ]

私は萌とライブに行くまで、
勝手なイメージで、
ヴィジュアル系のお客さんって
黒っぽい服を着て、目の周りが
真っ黒な激しい人とか
お人形みたいな人とか
そうゆう人ばっかりかと思ってた。

でも実際にライブで見てみて
意外だったのは、萌や私も
そうだけど、巻き髪お姉系とか
ギャルみたいな子とか
盛り盛り姫系の子とか
全然普通の子達も結構居て
私のヴィジュアル系のイメージとは
まったく違っていた。

⏰:09/07/10 23:44 📱:P905i 🆔:2CS068IU


#23 [りぃ]


私と萌は、普段はお互い
バイトをしながらの大学生。

そんなある日。

「ユリサユリサ!!」

学校に登校するなり、
先に来ていた萌が
元気よく私に駆け寄る。

⏰:09/07/11 08:23 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#24 [りぃ]


「ユリサが気になるって
 言ってたJEWELって
 バンドね、今度渋谷で
 インストアやるんだって!」

萌は楽しげにそう言ったけど
私はよく意味がわからなかった。

⏰:09/07/11 08:58 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#25 [りぃ]


「インストアってなに?」
「だから、
 インストアイベントだよ!」

「イベント??」

やっぱりわからない。

「だからー、メンバーのトークとか
 握手会とかサイン会とか
 あるじゃん!」

⏰:09/07/11 09:00 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#26 [りぃ]


握手?サイン?

私はそれを聞いて驚いた。

「え!メンバーと握手とか
 できるってこと?!」

私がそう聞くと萌はもっと
驚いて答えた。

「ユリサそんなことも
 知らないのー?
 CD購入者が参加できる
 イベントだよ。
 新曲が出るたびにやるから
 結構頻繁にあるんだよ。」

⏰:09/07/11 09:05 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#27 [りぃ]


そうなのかー…
わりと普通のことなんだ…

萌から聞く話は私の知らないこと
だらけで驚くばかりだった。

「だからユリサも大好きなじゅん君と
 お喋りできちゃうよ〜♪
 せっかくのチャンスだし
 狙っちゃいなよ。」

萌がニヤリとけしかける。

⏰:09/07/11 09:10 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#28 [りぃ]


「え!喋れるの?!
 狙うってなに?!
 何話そう…♪」

「あははっ
 早速行く気満々じゃんユリサ。
 私も付き合うよインストア。
 一緒に行こう!
 じゅん君狙っちゃえー!」

⏰:09/07/11 09:14 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#29 [りぃ]


私がなんとなく萌に
遅れをとっていると
萌は続けて“狙う”
とゆう意味を説明してくれた。

「狙うってゆうのはね、
 好きなメンバーに電話番号とか
 渡して繋がっちゃうってことだよ。
 向こうが気に入ってくれたら
 連絡がくるの♪」

⏰:09/07/11 09:19 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#30 [りぃ]


「繋がるって付き合えるってこと?」

私がわくわくしながら萌に
そう聞くと、萌は冷静に答えた。

「繋がるのと付き合うのは
 違うんだよ。
 ファンから本カノには
 なかなかなれる人は居ないの。
 繋がってる女の子も何人か
 いるかもしれないし、
 その中の1人にしかなれないかも。
 セフとかミツカノとか…」

⏰:09/07/11 09:29 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#31 [りぃ]


それを聞いて私は
なんとなく理解した。

バンドマンってやっぱり
日頃から女の子に囲まれてるし
繋がりの子がいっぱいいるんだ。

当たり前だよね。

一緒に寝れるだけでも幸せ
ってみんな思ってるんだろうな。

本カノになれないなら
いっぱい居る女の子達の中で
1番になればいいんじゃない?
私がそうなれたらすごいよね…

⏰:09/07/11 09:37 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#32 [りぃ]
「あれ?」

私が1人であれこれ考えていると、
さっき萌が話した中の一言が
ふと引っ掛かった。

“ミツカノ”って言ったっけ。

「ねえ萌、ミツカノって何?」

⏰:09/07/11 09:41 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#33 [りぃ]


「ああ。ミツカノってゆうのは
 メンバーにお金とか物を貢ぐ
 女の子のこと。
 ちょっと虚しい気もするけど
 考え方によっては
 メンバーを支えてあげてる
 って思えるんじゃないかな。
 バンドマンってなにげに
 儲からないからね〜」

萌は笑いながらそう言った。

へえ〜
繋がりにもいろんな形が
あるんだなあ〜

⏰:09/07/11 09:46 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#34 [りぃ]


「あ、多分ミツなら1発で
 繋がれるよ。
 手紙に1万円くらい現金入れて
 ミツします。って書いて
 インストアとかで手渡しするの。」


それを聞いて衝撃だったけど
私は決めた。

「じゅん君狙ってみる!」
1番になりたい
ただそれだけの気持ちだった。

⏰:09/07/11 09:53 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#35 [りぃ]


方法は簡単だった。

萌に教わったとおり、
手紙を書いて、中に
1万円を入れた。

もちろん電話番号も書いて
あとは渡すだけ。

もし繋がれなくても
それはそれでいい。

何もなかったことにして
今まで通り普通にライブを
見に行けばいいだけだから。

ダメ元で試してみよう!

⏰:09/07/11 09:57 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#36 [りぃ]


生まれて初めての
インストアイベント。

初めてのイベントで
本命のメンバーを狙う
なんて無謀かもしれない。

でも不思議と後ろ向きな
気持ちにはならなかった。

優越感に浸れるなら…

心のどこかにそんな気持ちもあった。

⏰:09/07/11 10:02 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#37 [りぃ]


イベント当日。

会場となるCDショップの
イベントスペースの前には
参加するお客さん達の
列ができていた。

「お〜結構集まってるね〜!」

萌が楽しげに辺りを見回す。

私もどきどきしながら
萌と一緒に列に入った。

⏰:09/07/11 12:35 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#38 [りぃ]


「あ〜。ついにきたね」

つい口から出た言葉に
萌が笑いながら答える。

「ははっ。ユリサさっきから
 そればっかりじゃん。
 初インストア緊張する?」

「当たり前じゃん!
 いつもライブか雑誌で
 見てるメンバーに直接
 会えるなんて…ねぇ?」

⏰:09/07/11 12:53 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#39 [りぃ]


「そんな緊張してないで
 ちゃんと落ち着いて
 がっつり喋らないと
 もったいないよー!」

どきどきしっぱなしの
私と違って、やっぱり
こうゆうことに慣れている
萌は普段通り落ち着いていた。

⏰:09/07/11 13:00 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#40 [りぃ]


「萌は落ち着いてるね。
 もう慣れてるから?」

私が尋ねると萌は真顔で答える。

「てゆうか私は別に
 JEWELが本命じゃ
 ないからねえ〜
 だから特に緊張とかも
 しないのかも」

なるほどそうゆうことか…

⏰:09/07/11 14:43 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#41 [りぃ]


そんなふうに萌と話していると
いつの間にか開場時間になり、
列が少しずつ前に進み始めていた。

「わー!萌、進んでるよ!」

「あ、ほんとだ。
 やっと入れる〜
 この整番だとあんまり
 前の方には行けそうにないな〜」

萌はそう言いながら
私の少し前を進み始めた。

⏰:09/07/11 14:59 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#42 [りぃ]


「多分イベントはトークから
 始まるからできるだけ
 前のほうで見たいよね〜」

歩きながら萌はそう続ける。

「見る場所は自由なんだけど
 メンバーがどんな順番で
 並ぶかわからないから
 どこに行くか悩むな〜。」

「じゃあ真ん中あたりが
 無難なんじゃない?」

2人でそんなことを
話し合いながら、ついに
イベントスペースの入り口まで
列が進んできた。

⏰:09/07/11 15:10 📱:P905i 🆔:9vx8iWJQ


#43 [りぃ]


イベントスペースは、
CDショップの隣の
空きテナントを利用し、
壁で仕切られて周りからは
中が見えないようになっていた。

入り口でスタッフに整理券を渡し、
萌に続いてイベントスペースに入る。

⏰:09/07/12 19:25 📱:P905i 🆔:6MSS92kE


#44 [りぃ]


中へ入ると、会場は
横長のテーブルが1つと
5脚の椅子が並べてあり、
その向かい側にお客さんが床に体育座り、
といった形式になっていた。
既に前から4列ほど埋まっている。

⏰:09/07/12 20:12 📱:P905i 🆔:6MSS92kE


#45 [りぃ]

「この辺にしよっか」

萌に促され、5列目の
真ん中辺りに座る。

メンバーのために用意された
席を眺めながら萌が口を開いた。

「やっぱりちょっと遠いけど…
 メインは握手だからね!
 別にいいよね。」

私は萌が言うほど遠さは
気にならなかったけど、
握手の時に何を話そうか、
その事で頭がいっぱいに
なりながらメンバー登場までの
しばらくの時間を過ごした。

⏰:09/07/13 10:24 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#46 [りぃ]

私はなんだ落ち着かず、
じゅん君へ宛てて書いた
例の手紙を何度もバッグから
取り出して確認しては
またバッグへ戻す。

そんなことを繰り返しているうちに
司会のスタッフが登場し、
会場の緊張が高まる。

⏰:09/07/13 10:53 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#47 [りぃ]

司会のスタッフによる
いくつかの注意事項の後
ついにメンバーが登場する。

「それではJEWELの皆さんでーす!」

ファンの歓声と共に
会場の隅の扉が空き
メンバーが順番に出てきた。

いつもライブで見るステージ衣装とは
違い、私服姿のメンバーを
見るのは新鮮だった。

⏰:09/07/13 17:11 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#48 [りぃ]

「じゅん君私服オシャレだね!
 ユリサの好きなお兄系じゃん。」

「ほんとやばい!
 どストライクだよ〜」

メンバーのトークも聞かず
萌と盛り上がっていると、
しばらくしてトークは終了した。

⏰:09/07/13 19:53 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#49 [りぃ]

「これから握手とサインに
 うつりますので、1列に
 並んでお待ちください。」

司会の言葉で、体育座りだった
ファン達が一斉に立ち上がり、
握手の列ができ始めた。

ふと見ると、会場の後ろの方では
一生懸命化粧を直したり
髪型を整えている子達も大勢いる。

⏰:09/07/13 20:07 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#50 [りぃ]

私も一応軽く鏡で化粧や髪を
確認しつつ、萌と列に加わる。

「ユリサ、サインは何に
 書いてもらうー?
 何か持ってきた?」

萌に言われてハッと気づいた。

サイン何に書いてもらうか
考えてなかった!!
てゆうか…握手のことで
いっぱいいっぱいで忘れてた…

⏰:09/07/13 20:12 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#51 [りぃ]

「やばー…忘れてた!
 萌は何に書いてもらう?」

「私はとりあえず普段から
 使うもののほうがいいかと思ったから
 これにする〜」

そう言って萌が取り出したのは
普段から使っている
折り畳みミラーだった。

⏰:09/07/13 20:17 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#52 [りぃ]

「あ!いいねそれ!
 私も鏡にしよう〜」

私は鏡と、例の手紙を手に持って
他の子達がメンバーと話している
様子を眺めながら
自分の順番がくるのを待った。

⏰:09/07/13 20:26 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#53 [りぃ]

「見て、あの子泣いてる!
 ウケるんだけど〜」

萌は私の前で余裕で笑う。

「ねぇ萌、1人あたりの持ち時間が
 思ってたより長いよ!?
 どうしよう、じゅん君に何喋ろう…」

私が戸惑いながら萌にそう聞くと、
萌はケロッとして答えた。

「は?何言ってんのユリサ!
 落ち着きなよ。喋る内容ごときで
 困ってるようじゃ、繋がれても
 やっていけないよ!」

⏰:09/07/13 20:38 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#54 [りぃ]

「それはそうだけど〜…」

メンバーと楽しそうに話している
他の子達を見ていると、
私の自信はどんどん
無くなっていく一方だった。

⏰:09/07/13 20:40 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#55 [りぃ]

「大丈夫だって!
 場面でなんとかなるよ!
 さすがに沈黙は気まずいけど
 向こうから話振ってくれるっしょ〜」

「そうかな…」

萌が励ましてくれたけど
自分の順番が近づくにつれて
不安が大きくなってきた。

⏰:09/07/13 20:45 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#56 [りぃ]

「あと2人だねっ♪」

ついに私たちの番まで
あと2人とゆう所まできた。

すぐそこにじゅん君がいる。

「やばいやばい
 1番目がじゅん君だよぉ〜」

私が取り乱していると、
ついに萌の番がきた。

「ユリサしっかりね!」

私にそう言うと、萌は
じゅん君と握手して喋り始めた。

⏰:09/07/13 20:57 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#57 [りぃ]

じゅん君が萌の鏡にサインしている間、
萌はじゅん君に話を振った。

「この次にくるの私の友達なんですけど
 ちょー緊張しちゃってて
 カワイイんですよ〜♪
 じゅん君ファンだから
 よろしくねっ」

そう言うと萌は笑顔でじゅん君から
鏡を受け取り、次のメンバーへと
進んでいった。

⏰:09/07/13 21:05 📱:P905i 🆔:EBMNedJU


#58 [りぃ]

いよいよ私の番だ!

じゅん君の前に進み出ると、
真っ先に手紙を渡した。

「これ読んでくださいね♪」

「ありがとうー」

じゅん君は笑顔で手紙を受け取ると、
しっかり私の目を見ながら
握手してくれた。

⏰:09/07/14 10:12 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#59 [りぃ]

「いつもいちばん前で
 ライブ見てくれてる子だよね?」

私の顔を見たじゅん君は
自分からそう言ってくれた。

何を話そうか必死に考えていた私は
突然の出来事に唖然としてしまった。

「え…知ってるんですか?!」

「毎回最前で見てくれてる子くらい
 ちゃんと覚えてるよー」

「うそ!嬉しいっ…」

⏰:09/07/14 10:20 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#60 [りぃ]

「今さら緊張してるらしーね。
 さっきの友達が言ってたよ。」

じゅん君が笑いながらそう言うので
私はなんだか恥ずかしくなってしまった。

それと同時に、あまりにも
気軽に自分から話を振ってくれる
じゅん君の言葉や笑顔で、
私はさっきまでの緊張や不安が
一気に無くなっていくのを感じた。

⏰:09/07/14 10:25 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#61 [りぃ]

「だってインストア初めてだからー!」

じゅん君に冗談っぽく冷やかされるのが
恥ずかしくて必死に弁解すると
じゅん君は意外そうに答えた。

「あ、そーなの?
 他のバンドのとかも?」

「行ったことないんですよー
 でもじゅん君と喋ってたら落ち着いた。」

⏰:09/07/14 10:35 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#62 [りぃ]

私が素直な気持ちを伝えると
じゅん君は爆笑して答えた。

「あははっ!なにそれ!
 喋って落ち着いたなんて
 初めて言われたんだけど」

「いや笑うとこじゃ…」

「あ!」

大爆笑するじゅん君の前で
私が戸惑っていると、
じゅん君が何かに気づいた。

「サイン忘れるところだった
 何に書く?」

⏰:09/07/14 10:54 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#63 [りぃ]

「あ、そっか。じゃあこれに。」

私は手に持っていた鏡を渡す。

「おっけーい♪
 ついつい喋りすぎたね〜」

さらさらとサインを書いたじゅん君が
ぱっと顔をあげた。

「名前、何ちゃん?」

⏰:09/07/14 11:05 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#64 [りぃ]

「ユリサ!…です」

「ゆりさちゃんね。
 なんか珍しい名前じゃない?
 どう書くの?」

「そのままカタカナで…」

「お〜。なんかかっこいいじゃん」

そう言うとじゅん君はサインの上に
私の名前を入れて鏡を渡してくれた。

⏰:09/07/14 11:14 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#65 [りぃ]

「またライブきてね〜♪」

「はーい。行きま〜す」

最初の緊張が嘘のように
最後はゆる〜い空気だった。

私はじゅん君から鏡を受け取ると、
次のメンバーの前へと進んだ。

⏰:09/07/14 16:47 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#66 [りぃ]

想像を遥かに越えて
じゅん君と話せた気がする…!

手紙も渡せたし
そこそこ話せたし
よし!とりあえず目標達成!

解放感と達成感から、
他のメンバーの持ち時間は
ほぼ記憶にも残らないほどの物だった。

⏰:09/07/14 16:55 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#67 [りぃ]

最後のメンバーにサインをもらい終えると、
一足先に全メンバーを回り終えて
少し離れたところで私を待っていた
萌のほうへ歩み寄る。

「萌ーっ」

「お疲れ〜っ!
 いい感じだったよユリサ!」

へなへなと萌の腕を取ると、
お互いメンバーとの会話の内容を
報告し合いながら会場を出て
近くのファミレスまで歩いた。

⏰:09/07/14 17:01 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#68 [りぃ]

「あー達成感っ!!」

ファミレスの席で私はホッと
胸を撫で下ろした。

「そうだね。あとはじゅん君から
 連絡がくるのを待つだけか♪」

萌のその一言を聞いて、
私は一瞬戸惑った。

「そっか…!!
 まだこれで終わりじゃないんだ!」

⏰:09/07/14 17:06 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#69 [りぃ]

「そうだよ?
 むしろここからが本題なんだから!
 今日からしばらく携帯手放せないね♪」

萌が楽しそうにそう言った。


そうか。
連絡がくるかもしれない
ってことをすっかり忘れていた。

とりあえずイベントで満足
してしまって、繋がりたい
なんて気持ちを一瞬忘れていた。

⏰:09/07/14 17:13 📱:P905i 🆔:.Lo0kSFo


#70 [りぃ]

その後しばらく萌と
ぐだぐだ喋り続け、
終電が近づいた頃やっと
2人で帰路についた。

萌と同じ駅で降り、
同じマンションに入り
エレベーターの中で別れる。

萌とは高校卒業後、同じ大学に入り、
一緒に地元から上京後、
同じマンションで違うフロアに住んでいる。

⏰:09/07/15 10:38 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#71 [りぃ]

「じゅん君から早く連絡くるといいね!
 何かあったら教えて♪
 じゃあおやすみ〜」

5階でエレベーターを降りた私を
萌が見送りながら声をかけた。
そして萌はそのまま6階へ上がる。

⏰:09/07/15 10:42 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#72 [りぃ]


自分の部屋に入り、
ベッドの上にバッグを放り投げると
床のクッションに腰を下ろす。

テレビをつけ、バラエティ番組を
眺めながらぼんやりと
今日の事を思い返した。


じゅん君今日もかっこよかったな〜♪
しかも私がいつもライブ来てること
知っててくれた…

⏰:09/07/15 11:05 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#73 [りぃ]

手紙も渡しちゃったし…

あ。貢ぎますとは言ったけど
もしじゅん君から連絡がきたら
私いくらぐらい貢ぐんだろう?
相場とかあるのかな?
月極め?それとも会うたび?


私は勢いで手紙まで渡してしまったけど
具体的なことを何も考えて
いなかったことに気づいた。

⏰:09/07/15 11:10 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#74 [りぃ]

ま、連絡がきてから考えればいっか。


50%くらいの確率でしか
連絡はこないと思い、
深く考えるのは止めて
とりあえずお風呂に入り
その日は何事もなく1日が終わった。

⏰:09/07/15 11:20 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#75 [りぃ]

―次の朝―

起きて真っ先に携帯を見る。

表示は何もなかった。

「きてないか…」

仕方なく私は学校へ行く
支度を済ませ、携帯を持って家を出た。

⏰:09/07/15 11:26 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#76 [りぃ]

エレベーターを降りると、
ちょうど萌がいた。

「萌!おはようー」

私が声をかけると萌は驚いた
様子で振り返った。

「ユリサ珍しく早いね!
 昨日連絡きた?」

「ううん。何もきてなかった。
 もー、今日は気になって
 早起きしちゃったよ…」

⏰:09/07/15 11:43 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#77 [りぃ]

私の言葉に萌は笑いながら答えた。

「あははっ!だから今日
 こんなに早いんだ!
 ユリサほとんど1限出ないのに
 今日は珍しいと思ったー」

「ほんと、一緒に登校なんて久々だよね」

その後2人で学校へ向かい
私は珍しく萌と一緒に
1限の授業から出ることにした。

⏰:09/07/15 11:51 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#78 [りぃ]

2限目の講義中、
早速うとうとしていると
膝の上に置いていた携帯が
振動し始めた。

『あ、やば…寝てた…』

ぼんやりと携帯の画面を見ると
着信画面に知らない番号が
表示されている。

⏰:09/07/15 11:55 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#79 [りぃ]

「……?」

すっかり寝ぼけてしまい
状況を理解するまでに数秒かかった。

『…あ!!!!!!
 じゅん君??!!』

そう気づいた瞬間、
私は講義なんかそっちのけで
教室を飛び出した。

状況を察知した萌が
自分の席から満面の笑みで
こっちを見ている。

⏰:09/07/15 12:07 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#80 [りぃ]

廊下で思い切って通話ボタンを押す。

「はい…?」

『あ、ユリサちゃん?』

恐る恐る電話に出ると、
親しみを感じる声で名前を呼ばれた。

『俺じゅんだけどわかる?』

その名前を聞いて鼓動が早くなる。

⏰:09/07/15 17:34 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#81 [りぃ]

「わかりますわかります!
 嬉しい…電話きたらいいなって
 思ってたから…」

『あ、まじで?
 今なにしてんのー?』

じゅん君の問いかけに、
浮かれていた気持ちがふと我に返る。

「あ、今学校…ですけど。」

『学校?学生なんだ!』

「そう、大学生。」

『学校って都内?』

「都内ですけど…なんで?」

⏰:09/07/15 17:52 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#82 [りぃ]

『じゃあさ、今から会わない?♪
 学校って抜けれる?』

「え!今から?!」

じゅん君の言葉に喜びながらも
驚きを隠せなかった。

『…無理?』

「えーっと…無理じゃないけど…」

⏰:09/07/15 18:02 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#83 [りぃ]

まず考えたのは今日の格好。

偶然にも今日は早起きしたから
わりと化粧もしっかりできたし
髪も綺麗に巻けてる。
服も…まぁアリかな。

こんないきなり個人的に会えるなんて
思わなかったから気合い入れた
オシャレなんかしてないけど…
なんでもいい!

会いたいっ!!!

⏰:09/07/15 19:27 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#84 [りぃ]

考えた結果、私はいさぎよく答えた。
「行きます!!どこですか?」

『そうだな〜…
 とりあえず俺今渋谷向かっててさー
 昼過ぎから渋谷でスタジオ入るんだけど
 ユリサちゃん今から渋谷来れる?』

「全然行けます!」

『じゃあ俺着いたら駅前の
 スタバで待ってるね〜♪』

⏰:09/07/15 21:48 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#85 [りぃ]

渋谷へ向かう約束をして
電話を切ると、みるみる
顔がニヤけていく。


私じゅん君と繋がったの?!
今から会えるんだ!!
ファンの子が誰も知らない
プライベートのじゅん君に…。
やばーいっ!!!


嬉しすぎて叫び出したい衝動を抑え、
荷物を取るためそーっと教室へ戻る。

⏰:09/07/15 21:57 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#86 [りぃ]

私の座っていた席へ戻ると、
ちょうどいいタイミングで
講義終了のチャイムが鳴った。

「あ、終わった…」

机の上に開いたままだった
テキストやノートを急いで
まとめているところに
萌が駆け寄ってきた。

⏰:09/07/15 22:10 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#87 [りぃ]

「じゅん君?!じゅん君から?!」

萌は勢いよく私に詰め寄ってくる。

「萌聞いて!!
 今からじゅん君のとこに行くの!」

私も興奮を抑えきれず
電話のいきさつを簡単に
萌に説明する。

⏰:09/07/15 22:17 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#88 [りぃ]

「そんなわけだから
 とりあえず軽く化粧直して…
 まぁとにかく急いで行かなきゃ。
 昼過ぎからスタジオって言ってたし」

「おめでとうユリサっ!
 なんかかっこいいよ!
 頑張ってねっ。」

黙って私の話に聞き入っていた
萌は目を輝かせて私を応援してくれた。

⏰:09/07/15 22:32 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#89 [りぃ]

「じゃあ行ってくるね!
 戻れそうな時間だったら
 また学校戻ってくるから。」

「頑張ってね〜!!」

萌と別れると、ひとまず
トイレに直行し、鏡を覗き込む。

化粧は軽く直せばいいや。
髪は今日はゆる巻きだけど
じゅん君ゆる巻き好きかな…
盛り盛りのほうが好きとか?!
服は無難なワンピだしまあ大丈夫か…

よし!急がなきゃ!

⏰:09/07/15 22:50 📱:P905i 🆔:FajTl1x.


#90 [りぃ]

「じゅん君〜っ♪」

スタバの客席でじゅん君を見つけ、
今までにないゴキゲンな声で
じゅん君の名前を呼んだ。


いまだになんとなく実感は
ないけど…

今確かに私の目の前に
私のためだけにじゅん君がいるんだ…!

⏰:09/07/17 08:57 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#91 [りぃ]

「ユリサちゃん、久しぶり〜♪
 学校抜けれた?」

「はい、全然大丈夫♪」

テーブル席に向かい合って座り
一通りお互いに軽く喋った後、
じゅん君が切り出した。

「この間インストアの時に
 ユリサちゃんがくれた手紙だけどさ…」

その言葉で手紙の内容を思い出した。

あ。忘れてたけど…
私貢ぎますとか言ったんだよね。
実際そんなに貢ぐほどのお金なんか
持ってないのにどうするんだろう。
今この場でお金求められたら
普通に困るんだけど…

⏰:09/07/17 09:10 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#92 [りぃ]

そんな矛盾を感じていると
じゅん君は続けて口を開いた。

「お金なんかいらないから。」


一瞬耳を疑った。

お金なんかいらない?

⏰:09/07/17 09:13 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#93 [りぃ]

「え?なんで…」

「これも返すから。」

私が戸惑っていると
じゅん君は私に1万円を差し出した。

「これ…」

差し出された1万円札を見て、
手紙に入れたものだと直感した。

⏰:09/07/17 09:20 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#94 [りぃ]

私いらないの?

せっかく繋がれたと思ったのに
もう切られるの?

ただお金返しにきただけ?


浮かれていた気持ちが急に沈み始める。

⏰:09/07/17 09:23 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#95 [りぃ]

「いや、ちょっと待ってユリサちゃん…!」

私の様子を察したじゅん君が
とっさにフォローする。。

「…お金いらないってゆう意味
 わかってる?」

「え?」

思いがけない言葉に、
頭が混乱した。

⏰:09/07/17 09:28 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#96 [りぃ]

「ユリサちゃんにこんなこと
 させられないって意味だよ。
 ユリサちゃん自身をいらないって
 言ってる訳じゃないからね!」


…どうゆう意味だろう?

私はわけがわからず
ただじゅん君をじっと見つめるしか
できないでいた。

⏰:09/07/17 09:33 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#97 [りぃ]

「今絶対誤解してるっしょ!
 切られるとか思ってる?」

「…うん。違うの?」

私がよくわからないまま
答えると、じゅん君は
笑いながら言った。

「わざわざお金返すためだけに
 学校抜けさせてまで呼び出すと思う?
 繋がる気もない子に
 そこまでしないだろーさすがに。」

⏰:09/07/17 09:39 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#98 [りぃ]

とゆう事は…?

「俺的にはあの手紙もらった時、
 現金なんか入ってなくても
 電話かける気満々だったからね!」

じゅん君は自慢げにそう言った。

⏰:09/07/17 09:45 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#99 [りぃ]

「…………うそっ!!」

じゅん君の発言から少しの間をあけて
やっと事態を理解した。

驚く私を見てじゅん君はまた笑う。

「ユリサちゃんってさー
 見かけによらず純粋なんだね。」

⏰:09/07/17 09:49 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#100 [りぃ]

つまりこうゆうこと?


インストアで初めて喋った時も
私のことを覚えていてくれて、
そんな私にじゅん君は
電話かける気満々だったと…。
お金無いバンドマンなのに
お金はいらないと…。

⏰:09/07/17 09:52 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#101 [りぃ]

これはもしかしてあれかな?

萌がいつか言ってた“オキニ”…

いや!でも私がまさかそんな!
しかも萌も
自分でオキニなんて思う子は
痛い子だって言ってたし…

⏰:09/07/17 09:55 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#102 [りぃ]

「ユリサちゃんって
 こうゆうこと初めて?」

「え?」

じゅん君に話しかけられ
ふと我に返る。

「…何が?」

「だから〜、なんてゆうか
 バンドマンに携番渡したり
 手紙にお金入れちゃったり
 そうゆうの。初めて?」

⏰:09/07/17 09:59 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#103 [りぃ]

穏やかな目で私をじっと見る
じゅん君を見ていると、
なんだかすべてを
見透かされている気がしてきた。


憧れだけで、
知らない世界に飛び込んで
私が背伸びしていることを
じゅん君は全部わかっているの
かもしれない。

⏰:09/07/17 10:05 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#104 [りぃ]

「…うん。初めて。」

なんだか恥ずかしくなって
小さく答えた。

「やっぱそうだよね。
 なんかさー俺らみたいなバンドマンと
 繋がりたがる子達って
 繋がり人数が多いほどステータス
 みたいに思ってる子ばっかりだからさ。
 そうゆう奴らとは全然違う
 って感じたんだよユリサちゃんは。」

⏰:09/07/17 10:17 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#105 [りぃ]

誉められてるのかな…?

「ありがとう…」

何て言っていいかわからず
とりあえずお礼を言うと
じゅん君も嬉しそうに笑った。

「まあそんなわけでお金は
 他の子に任せてればいいから
 ユリサちゃんは気にしないでね。」

⏰:09/07/17 12:57 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#106 [りぃ]

…他の子?!

繋がりがいっぱいいることぐらい
もちろんわかってるけどさ…

でも他の子の話なんかするかな普通!


私は自分がとんでもない人に
手を出してしまったことを
改めて実感した。

⏰:09/07/17 13:00 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#107 [りぃ]

それから少し話して、
じゅん君はスタジオへ向かい、
私は学校へ戻る。

じゅん君が別れ際に言った
「また電話するね〜♪」
とゆう言葉が頭の中を
ぐるぐる回り続ける。


…私、大好きなじゅん君と
ほんとに繋がったんだ!
電話番号だって知ってるし、
会おうと思えば個人的に会える。

展開が早すぎて夢のようだった。

⏰:09/07/17 13:10 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#108 [りぃ]

「あ!ユリサーっ!
 おかえりーっっ♪」

学校に戻り、萌の姿を探していると
背後から名前を呼ばれた。

「萌ーっ!!」

お互いに駆け寄る。

私は1秒でも早く
さっきの出来事を話したくて
たまらなかった。

⏰:09/07/17 13:45 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#109 [りぃ]

次の時間の講義は、
それどころじゃなくて
萌とラウンジでひたすら
喋り続けた。


「え?お金返されたの??」

萌も予想外の事態に驚いていたが
すぐに続けて言った。

「すごいじゃんユリサ…!
 本カノになれるかもよ…
 きゃー!ドキドキするっ!!」

⏰:09/07/17 13:55 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#110 [りぃ]

楽しそうにはしゃぐ萌に
私は慌てて聞き返す。

「本カノ?!」

「多分じゅん君もさ、ユリサのこと
 オキニだったとしたら、
 繋がれて嬉しいんじゃない?
 お金いらないなんて異例だよ!!」

⏰:09/07/17 14:00 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#111 [りぃ]

「さすがにそれはない!絶対ない!」

全力で否定しながらも、
もちろん嬉しい気持ちはあった。
ただ、急すぎて状況がわからない。

⏰:09/07/17 14:06 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#112 [りぃ]

もう考えてても仕方ない。
そもそもじゅん君が何を
考えてるのかさっぱり
わからないし…
流れに任せるしかないか。

次に電話きたら、
それはその時に考えればいいや。

⏰:09/07/17 14:12 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#113 [りぃ]


いつものようにマンションの
エレベーターで萌と別れて
自宅へ入ると、壁に貼っている
フライヤーの中のじゅん君と目が合った。

今日の出来事を思い返すと
自然と顔がニヤけていく。

⏰:09/07/17 18:54 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#114 [りぃ]

次の朝、気分良く早起きして
のんびり学校へ行く支度をしていると
携帯が鳴った。

どきっとして画面を見ると
登録したばかりの“じゅんくん”
の着信表示が出ている。

⏰:09/07/17 21:20 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#115 [りぃ]

また電話するって言ってくれて
期待もあったけど、
社交辞令かもしれない
とも思ってた。

ほんとにかけてきてくれたんだ…♪

嬉しくてしばらく画面を
眺めてから、着信ボタンを押した。

⏰:09/07/17 21:40 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#116 [りぃ]

>>115訂正
×着信ボタン
○通話ボタン

⏰:09/07/17 21:43 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#117 [りぃ]

「もしもし〜♪」

嬉しくて声も自然と明るくなる。

『朝早くにごめんね。寝てた?』

「ううん、起きてた♪
 学校行く用意してたとこ。
 じゅん君こそ早起きだね。」

『いや、俺はこれから寝るとこ。』

⏰:09/07/17 21:51 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#118 [りぃ]

昨日じゅん君と結構話して
ため口で喋るようになり
会話も自然に交わせるようになった。

『寝る前にユリサちゃんに
 おやすみコールしようと思って♪』

「えー?なにそれ〜」

嬉しくて楽しくて、
自分でも謎なくらい笑いが止まらない。

⏰:09/07/17 22:02 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#119 [りぃ]

私の存在を覚えていてくれる
だけでも嬉しいのに
じゅん君にとっての1日の終わりに、
私のことを思い出してくれて
電話かけてきてくれて
ほんとに嬉しい…。

そしておやすみコールなんて
かわいすぎるっ!

⏰:09/07/17 22:13 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#120 [りぃ]

『じゃ!おやすみ〜!
 学校頑張ってねっ』

「あ、うん、ありがとう。
 おやすみ。」

私が返事をするが早いか、
じゅん君はそれだけ言い残すと
あっさり電話を切った。

「……」

ほんとにおやすみだけの
電話だったな…。

⏰:09/07/17 22:40 📱:P905i 🆔:ay.51GUo


#121 [りぃ]

ちょっとだけ寂しさを感じながらも
じゅん君の生活の一部になれた
気がしてなんだか嬉しかった。

⏰:09/07/18 13:01 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#122 [りぃ]

他に何人も女の子がいるかもしれない。
(いや、まぁ確実にいるんだけど。)
みんなに同じように電話してる
のかもしれない。

でもそんなことはどうでもいい。
その中の1人になることが
第1ステップだとしたら
私が狙うべき次のポジションは、
ひとつしかない!

その何人もいる女の子の中の
1番にならなければ。

⏰:09/07/18 13:05 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#123 [りぃ]

そのおやすみコールの後は
るんるんで支度をして
気分良く学校へ出掛けた。

じゅん君の急な呼び出しに備えて、
いつでもおしゃれには気を抜けない。

毎日毎日会えるわけじゃないのは
もちろんわかってるけど、
そうゆう期待も込めて。

⏰:09/07/18 13:43 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#124 [りぃ]

「お!ユリサ今日気合い入ってるー!」

萌とマンションのエントランスで会うと、
私を見るなりそう言った。

「ダーリンとデート?」

萌はにやにやイタズラっぽい
笑顔を浮かべてそう続けた。

「いや、そうじゃなくて!
 聞いて!さっきじゅん君から
 おやすみコールきたのっ」

⏰:09/07/18 14:06 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#125 [りぃ]

興奮しながら萌にそう伝えた。

「あ〜はいはい。
 すっかりただのバカップルですね」

萌は呆れた笑顔で適当に私をあしらうと
すたすたと歩き出して
玄関を出ていってしまった。

いやいやバカップルって…

不覚にも嬉しくなってしまい
どうしようもなくじゅん君が
大好きなんだと気づいた。

⏰:09/07/18 14:20 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#126 [りぃ]

乗せられやすい単純な自分に
自分でも呆れながら萌を追いかけ、
一緒に登校する。


今日は良い日だー☆
1日頑張れる気がする!

そうして1日が始まった。

⏰:09/07/18 14:27 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#127 [りぃ]

「ねえ、ユリサってさー、
 ほんとにじゅん君のこと
 大好きなんだね。」

講義中、隣の席に座り
板書のノートをとっていた
萌が突然私に話しかけた。

「え?何いきなり。」

⏰:09/07/18 14:34 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#128 [りぃ]

「なんかさ、ずっと考えてたんだよね。」

「だから何が??」

「今までの元カレ達全部見てきたけど、
 ユリサってハマるタイプじゃないし
 尽くす子でもないじゃん?
 でもじゅん君にはどう見ても
 ハマりまくりだよね!
 珍しいなあーって思って。」

⏰:09/07/18 14:51 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#129 [りぃ]

「そうなんだよね。
 ちょっと聞いてくれる?♪」

「ノロケなら聞かないよ。」

「……」

萌に言われて改めて気付いたけど、
やっぱり今までの恋愛とは違う。

連絡がくるだけでも嬉しくて
1日ご機嫌に過ごせる。
こんなの今までではありえなかった。

⏰:09/07/18 14:58 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#130 [りぃ]

その後、昼休みになり私は
萌とラウンジでまったり過ごしていた。

「ユリサ携帯なってるー」

萌のその言葉になにげなく携帯を見ると、
表示されている着信の相手は
まさかの“じゅんくん”だった。

⏰:09/07/18 15:45 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#131 [りぃ]

「うそ!じゅん君っ!」

私が驚いて慌てていると
萌は隣で呆れていた。

「またぁ〜?」

私はその場ですぐ電話に出る。

「もしもしじゅん君?♪」

うきうきして話す私を
萌が笑いながらじっと見ている。

⏰:09/07/18 15:51 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#132 [りぃ]

『おはようコール〜』

いつもと違って少しだけ
テンション低めで眠そうなじゅん君の声が
新鮮でつい嬉しくなってしまう。

「もう起きたの?早いね!
 なんかさー、じゅん君って
 意外とマメなんだね。
 嬉しい♪」

私の素直な気持ちを伝えると、
じゅん君が電話の向こうで
笑っている。

⏰:09/07/18 16:30 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#133 [りぃ]

『俺全然マメじゃないよー
 ただユリサちゃんの声が
 聞きたくなっただけ〜♪』

その言葉はただ単純に嬉しかった。

でも、今までと違ったのは
他の繋がりの子への嫉妬…

⏰:09/07/18 16:47 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#134 [りぃ]

今までは、繋がりの子が
何人居ても、その中の1人で居れる
だけでいいと思っていた。

でも「ユリサちゃんの声が聞きたくなった」
って言ってくれたじゅん君の言葉に
初めて独占欲を感じてしまった。

それは絶対感じてはいけない感覚。

⏰:09/07/18 16:53 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#135 [りぃ]

繋がりの女の子は、基本的に
バンドマンにとって都合の良い
女で居なければいけない。

重くなったり、ウザい女になってしまえば
容赦なく切られる。

当然のことだ。

⏰:09/07/18 16:59 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#136 [りぃ]

でも私は、じゅん君にとって
貢ぎでもなければセフレでもない。

なのになんでだろう?

おはようコールとか
おやすみコールとか
すごくマメに連絡してくれて、
声が聞きたいとか
どんなに持ち上げても
何もしてあげられないのに…

なんでそこまでしてくれるの?

⏰:09/07/18 17:04 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#137 [りぃ]

それからしばらくは自分の中での
葛藤が続いた。

多くを望んではいけない立場なのは
もちろんわかっている。
でも、そう考えるとじゅん君の態度は
あまりにも矛盾してるような…

私はどうすればいいんだろう。

⏰:09/07/18 19:16 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#138 [りぃ]

じゅん君からの電話は
毎日ちょくちょくマメに
かかってきた。

そのたびに、嬉しい気持ちと
喜んじゃいけない、
調子に乗っちゃいけない
とゆう自制心で、だんだん
バランスが取れなくなってきてしまった。

⏰:09/07/18 19:48 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#139 [りぃ]

「ねぇ萌、ミツカノさんの
 貢ぐ金額の相場って
 いくらぐらいなの?」

「え?金額?
 んー、繋がりさんの話では
 月10万くらいなら
 高額なほうみたいだよ。
 ミツカノが何人も居れば
 その分1人あたりの額は
 減らせるけどね〜」

私の唐突な質問に、
萌は普通に答えてくれた。

月10万か…

今のバイトじゃ毎月10万以上
貢ぐのは無理だ…

⏰:09/07/18 20:33 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#140 [りぃ]

私が悩んで悩んで出した答えは
やっぱり貢ぐとゆうことだった。

高額貢ぐから、私以外の繋がりを
みんな切ってほしい…

もしこのまま本カノになれても、
貢ぎが居なければじゅん君は
事務所の給料だけでは生活はできない。
だったら私がじゅん君を支えたい。

単純にそう考えたのだ。

⏰:09/07/18 20:43 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#141 [りぃ]

私はただの独占欲の
カタマリだったかもしれない。

でも他に方法がわからなかった。

じゅん君の優しさや
私への想いを感じれば感じるほど、
顔も知らない他の繋がりさん達に
絶対負けたくないとゆう気持ち
ばかりが強くなっていった。

⏰:09/07/18 20:46 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#142 [りぃ]

そう決断した日、
私は今まで週末メインで働いていた
アパレルショップのバイトと掛け持ちで
新しいバイトを始めることにした。

向かったのは新宿歌舞伎町。

⏰:09/07/18 20:53 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#143 [りぃ]

高校卒業後に萌と一緒に
お小遣い稼ぎのため、キャバクラで
体験入店巡りをしていたこともあり、
キャバクラの仕事には
軽く馴染んでいた。

ショップ店員の給料を
今まで通り自分に使って
ここの稼ぎはじゅん君の
為に使うと決めた。

⏰:09/07/18 21:07 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#144 [りぃ]

適当にやっても
10万くらいならすぐに
稼げることくらいわかっていた。

適当に面接を受け、
適当に体験入店を済ませ、
そのまま採用となり、
無駄な緊張もなく、
初出勤の日を迎えた。

⏰:09/07/18 21:25 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#145 [りぃ]

お店で一番最初に親しくなったのは、
私とロッカーが隣同士の凛子さんだった。

私より1歳上で、私にかいがいしく
世話を焼いてくれるお姉さん的存在。

⏰:09/07/18 21:58 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#146 [りぃ]

「リサちゃんお疲れ〜」

営業後、更衣室で
凛子さんに声をかけられた。

本名を一文字抜いただけだけど
源氏名で呼ばれるのはまだ慣れない。

「お疲れさまでした〜」

そう言って凛子さんのほうへ
振り向くと、凛子さんのロッカーの
扉の内側がふと目についた。

⏰:09/07/18 22:42 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#147 [りぃ]

(これは確か…)

「あ、これ気になる?」

私の目線に気づいた凛子さんが
自分のロッカーの扉の内側を指しながら
私に尋ねた。

そこには、見たことあるような人達の
写真が貼ってあった。

⏰:09/07/18 22:49 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#148 [りぃ]

そこに貼ってあるのは、
私も知っているバンドの
メンバーと凛子さんの
2ショット写真が数枚。

それも相手は全部違う人だった。

「…あ!」

その中にじゅん君のバンドの
ギタリストも居た。

⏰:09/07/18 23:13 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#149 [りぃ]

もしかして…

「これ、凛子さんの繋がりさんですか?」

私が尋ねると凛子さんは
笑いながら答えた。

「あ、リサちゃんもこっち系の子か〜♪
 そう!これ今までの繋がりなんだけど
 今はこの人。私が養ってるの♪」

凛子さんが指したのは、
別のバンドの人だったけど
そう言い切った凛子さんの顔は
とても得意げで、かっこよく見えた。

⏰:09/07/18 23:24 📱:P905i 🆔:S7dhNnRI


#150 [りぃ]

それから数日、毎日出勤して
順調に店にも慣れてきて
早速客も付き始めた。

そんなある日、営業後に凛子さんから
思いがけない誘いを受けた。

「リサちゃん、この後よかったら
 一緒にごはん行かない?」

「え?私とですか?」

いきなりのことに驚いたけど
すごく嬉しくて一緒に行くことにした。

⏰:09/07/19 11:28 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#151 [りぃ]

凛子さんに連れていってもらったのは
お店からわりと近くの
おしゃれな個室の店だった。

「リサちゃんもどこかの繋がりでしょ?
 今日はいっぱい話そうよ♪」

⏰:09/07/19 11:39 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#152 [りぃ]

その言葉を聞いて、
なんだか凛子さんが私を
仲間意識してくれているような
気がして嬉しくなった。

凛子さんもバンドマンに貢いでる立場だし、
色々悩みを聞いてくれるかもしれない。

そんな安心感もあった。

⏰:09/07/19 11:45 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#153 [りぃ]

仕事後でお酒が入っていることもあり、
話はだいぶ深いところまで進んだ。

凛子さんは私の質問に
何でも気軽に答えてくれて、
思っていたより
かなり話し込んでしまった。

⏰:09/07/19 11:54 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#154 [りぃ]

話によると凛子さんは、
高校生の頃に追っかけていた
V系のバンドマン数人と、
セフレとして繋がっていたらしい。

高校卒業後はすぐにキャバクラで
働き始め、貢ぐようになったらしく、
今は繋がりも多数いるとのことだった。

⏰:09/07/19 12:06 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#155 [りぃ]

「私はね、愛情の大きさは
 金額の大きさだと思うの。」

凛子さんの発言に私は度肝を抜かれた。
これぞまさにミツカノの発言。

唖然としている私に凛子さんが尋ねる。

「リサちゃんも繋がりくんに
 貢いでるの?」

⏰:09/07/19 12:18 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#156 [りぃ]

私は、
貢ぎます宣言で繋がったこと、
お金を返されたこと、
など、これまでのいきさつを
全部凛子さんに話した。

そして、ずっと悩んでいたことを
思いきって相談してみた。

「もし彼が本当に私のことを
 気に入ってくれてるとしたら、
 私が貢ぐから他の子を切ってほしい
 って思うのは間違ってますか…?」

⏰:09/07/19 12:28 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#157 [りぃ]

こんなことを考えてしまう
自分が間違っているのかもしれない
とゆう不安を感じていると
凛子さんはケロッとして答えた。

「え?それでいいじゃん♪
 それだけ大切にされてれば
 そう思うのが当たり前だよ。
 リサちゃんも彼のこと大好きなんだね♪」

⏰:09/07/19 12:34 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#158 [りぃ]

その返事は意外だった。

「私も貢ぎ始めたキッカケは
 そんな感じだったし、
 目標があるほうが仕事だって
 頑張れるもんね。」

凛子さんの優しい笑顔と
心強い言葉で、心が救われた気がした。

⏰:09/07/19 12:42 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#159 [りぃ]

凛子さんの話の全てに興味深く
聞き入る私に、凛子さんは
続けて口を開く。

「リサちゃん。
 大好きな彼を支えたかったら
 彼の欲しがる額や物をただ与える
 だけじゃだめだよ。」

「え?」

⏰:09/07/19 14:15 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#160 [りぃ]

「言われる前に、彼が求めてるものを
 自分で察して、先回りしてプレゼント
 できる女の子は絶対に
 切られないから。
 そうゆうミツカノを目指さないとね♪」

そこまで深く考えたこと
なんてなかった。
求められる額を与えさえすれば
貢ぎとして胸を張れる気がしてたけど
ミツカノにはミツカノなりの
プライドを持つことを教わった。

⏰:09/07/19 14:25 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#161 [りぃ]

「リサちゃんはせっかく本カノに
なれる状況にあるんだから、
 ただの都合の良い女に成り下がっちゃ
 だめだよ。もったいない!」

凛子さんに励まされて
なんだか泣きそうになってしまった。

自分の気持ちを押し殺しても
都合の良い女にならなければ
いけないと思っていたから。

⏰:09/07/19 14:29 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#162 [りぃ]

「うわ、もう朝じゃん!
 5時だよ〜早いね」

気がつけば閉店時間を
迎えようとしていた。

「え?!もう?!」

凛子さんの言葉で、
もうすぐ朝になることに気付き
思わず焦ってしまった。

⏰:09/07/19 21:35 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#163 [りぃ]

「あ、リサちゃんってそういえば
 学生なんだっけ!
 うわぁーごめんっ!
 付き合わせちゃったね…
 学校つらいよね…??」

凛子さんは相変わらず
私の心配をしてくれた。

「全然気にしないでください!
 時々オールすることもあるんで
 全然大丈夫です♪」

⏰:09/07/19 21:47 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#164 [りぃ]

私がそう言ってる間にも
凛子さんは素早く2人分の
お会計を済ませている。

「あ、すいません、払います…!」

私が財布を取り出そうとする手を
凛子さんに止められ、そのま
店の外に連れ出される。

「いいの!付き合わせちゃったから
 今日はおごらせて!」

⏰:09/07/19 22:31 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#165 [りぃ]

>>164訂正
×そのま
○そのまま

⏰:09/07/19 22:33 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#166 [りぃ]

そして、凛子さんは目の前で
タクシーを止めると、
私に1万円を握らせて
タクシーに乗るよう促した。

「え…!頂けないですよ…!」

私は戸惑いながら答える。

「いいから♪学校の前に
 少しだけでも寝てね。」

⏰:09/07/19 22:38 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#167 [りぃ]

凛子さんはそう言うと
私を押し込むようにタクシーに乗せる。

「じゃあ、また今日お店でね♪」

「あ…、ありがとうございます!
 ごちそうさまでした!」

見送ってくれる凛子さんに
それだけ伝えると、
タクシーの扉が閉まり
ゆっくり進み始めた。

⏰:09/07/19 22:43 📱:P905i 🆔:nagSheC6


#168 [りぃ]

その頃から私の生活のリズムは
だんだん変わり始めた。

キャバのバイト後、
お店の子達とそれなりに交流して
軽く食事に行くことも少なくない。

家に帰ってきて学校に行くまでに
2時間寝れれば良いほうで、
学校に行ってもしんどくて
お昼には帰ってきてしまう。

そして数時間寝てまた出勤…
とゆう生活になっていた。

⏰:09/07/20 15:33 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#169 [りぃ]

そんな生活になって数週間。

「ユリサちゃん
 なんか疲れてる?」

久しぶりに会うじゅん君は
すぐに私の変化に気づいた。

じゅん君にはまだ新しい
バイトのことは言っていない。

⏰:09/07/20 15:38 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#170 [りぃ]

「え?そう?
 学校の課題が多くて
 寝不足気味だからかな…」

私は笑いながら適当に誤魔化した。

じゅん君のためにキャバを
始めたことはまだ本人には言えない。

もし反対されたら…
私はじゅん君の中から
自分の居場所を見失って
しまう気がしていたから。

⏰:09/07/20 15:41 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#171 [りぃ]

そんな生活を続けるうちに、
学校の出席日数は急激に減っていき、
丸一日学校へ行かない日も増えた。

昼夜も逆転しはじめ、
さすがに自分の中に
これでいいのかな…とゆう
不安も芽生えてきた。

⏰:09/07/20 15:52 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#172 [りぃ]

そんな不安を拭ってくれるのは
他でもないじゅん君からの
毎日の電話だった。


すべてはじゅん君のため!

不安に負けそうになり
時々揺らいでしまう最初のその決心を
再確認させてくれる気がするのだ。

⏰:09/07/20 15:57 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#173 [りぃ]

そんなゆらゆらした気持ちで
過ごしている中、初めての
給料日を迎えた。

給料袋に、今までのバイトでは
感じたことのない重みを
ずっしりと感じる。

適当に始めたつもりだったバイトも、
指名やボトルが入るたびに
嬉しさがやる気に繋がり、
思っていた額の数倍もの収入になった。

⏰:09/07/20 16:59 📱:P905i 🆔:3vOMWBJo


#174 [りぃ]

私はとりあえずその70数万円を、
じゅん君との関係がもう少し
進展するまで様子を見ながら
貯金しておくことにした。

いつでも即戦力になれるように。
じゅん君に喜んでもらいたい♪

そんな気持ちでいっぱいになり、
大金を目の前にしても
自分の物欲など一切感じなかった。

⏰:09/07/21 16:43 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#175 [りぃ]

そんなことを考えているうちに
不安なんてすっかり消えていた。

お金があることで、
自分に自信も持てた。

じゅん君の欲しがるものを
すべて与えることができれば
絶対誰にも負けない!

そんな不思議な自信が
止めどなく湧いてくる。

⏰:09/07/21 16:52 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#176 [りぃ]

キャバクラ生活に慣れ、
生活パターンが安定してきた頃、
学校にはほぼ行かなく
なってしまっていた。

萌はそんな私を心配して
こまめに連絡をくれるけど、
私が今頑張りたいのは
学校ではなくバイトだった。

大学の単位はきっと足りない。
4年での卒業もきっとできない。

大学辞めちゃおうかな…。

⏰:09/07/21 16:59 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#177 [りぃ]

大学を辞めようと思っていることは
誰にも言い出せなかった。

誰に話しても、間違いなく
反対されるだろうから。

男に貢ぐためにキャバを始めた結果、
キャバを優先して大学を辞める

なんて…誰が聞いても呆れる話だ。

⏰:09/07/21 17:03 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#178 [りぃ]

親元を離れて一人暮らしをしながら
親の知らないところで夜のバイトを始め
大学には全く行かず
バンドマンに貢ぐなんて
親のことを思うと心苦しかった。

だけど私の気持ちは揺るがない。

世間から見れば自分がどれだけ
馬鹿なことをしているか…
そんなことは当然わかっていた。

⏰:09/07/21 17:08 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#179 [りぃ]

今はじゅん君のためだけに
存在していたい。

将来、もし後悔する時が来ても、
その後悔以上の幸せな思い出があれば
そんなこともあったねと
笑い話にできる気がする。

それでいいじゃん。

⏰:09/07/21 17:23 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#180 [りぃ]

「おかあさん?久しぶり。」

とても久しぶりな母への電話。

学費、家賃、生活費…
親のお金でぬくぬくと
生きてきた私には、さすがに
親に黙って勝手に大学を
辞めることはできなかった。

「ユリサ!元気にしてるの?!」

⏰:09/07/21 20:53 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#181 [りぃ]

「うん、元気だよ。
 …ちょっと話があってさ。」

『なに?どうしたの?』

母はなんとなく察したはずなのに
あえて何もわからないフリをして
答えてくれていたと思う。

「大学のこと。」

『うん。どうしたの?』

⏰:09/07/21 21:06 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#182 [りぃ]

「私こっちに出てくるとき
 やりたい事とか全然なくて
 とりあえず大学通いながら
 何か探すって言ってたじゃん?
 でも最近やりたい事が見つかったの。
 だから大学にはもう行かない。
 夏休みを機に、前期で辞めるね。」

私が一気に話すのを母は黙って聞いていた。

⏰:09/07/21 21:17 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#183 [りぃ]

反対されても説得されても
私は絶対に決心は曲げない
と固く心に誓って母の返事を待った。

『何か見つかったんだ。
 よかったねユリサ。
 大学辞めて後悔しないなら
 ユリサの決めた通りにするといいよ。』

返ってきたのはあまりにも
予想外の前向きな言葉だった。

⏰:09/07/21 21:28 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#184 [りぃ]

「うん。ありがとう。
 頑張るね。」

初めて心からの親への感謝を
素直に伝え、充実感でいっぱいのまま
電話を切った。


―よし!
 これでじゅん君に専念できる!―

⏰:09/07/21 21:35 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#185 [りぃ]

お父さんお母さんごめんなさい。

親不孝な娘ですが
私は今この瞬間、
この恋が終わるまでは
じゅん君のためだけに
生きていきますっ!


もう迷いはない。
今の私のやるべきことは、
ひたすら働いてお金を貯めること。

それだけだった。

⏰:09/07/21 23:36 📱:P905i 🆔:pvFEKFSQ


#186 [りぃ]

夢中で働いて、キャバを始めてから
あっとゆう間に3ヶ月ほどたっていた。

もう季節は夏を迎えている。

3ヶ月間貯め続けた給料は
200万を超えた。

誰かのために尽くすことが
こんなに楽しくてやりがいを感じる
ことだなんて知らなかった…!

⏰:09/07/22 09:29 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#187 [りぃ]

じゅん君は相変わらず
電話はマメにくれるし
週に1回か2回くらいのペースで
会ってくれるけど、
手を出されることもなければ
本カノらしく“付き合おう”
なんて言ってくれるわけでもなかった。

いっそのこと、貢いで!とか
言ってくれれば割り切れるのに
なんで何も言ってくれないの…?

⏰:09/07/22 09:53 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#188 [りぃ]

そんなある日。

いつものようにじゅん君に呼び出された。

指定の場所へ向かい、顔を合わせると
いつも以上にご機嫌なじゅん君の笑顔に
私の期待も高まる。

⏰:09/07/22 10:04 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#189 [りぃ]

「ご機嫌だね♪どうしたの?」

私が尋ねると、じゅん君は
待ってましたとばかりに口を開く。

「ツアーが決まったよ!」

「……???」

一瞬、何が言いたいのかよくわからず
ぽかんとしてしまう。

⏰:09/07/22 10:08 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#190 [りぃ]

じゅん君はそのまま続ける。

「パス出すから一緒にツアーまわろう♪」

「え!!!」

私はやっと理解した。

これはある意味、招待?!
しかも各地で同じホテルを取れば
いっぱい一緒に居れる…

「行くっ!!」

私は迷わず答えた。

⏰:09/07/22 10:24 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#191 [りぃ]

即答した私にじゅん君は
嬉しそう笑顔を向ける。

…なんでそんな嬉しそうな
顔で笑うの?
嬉しいのは私のほうなのに。

「ユリサちゃんがライブ来てくれたら
 頑張っちゃうよ〜♪」

「……」

そうゆう事は言ってくれるのに
なんでもっと本質的なことに
なにも触れてくれないの?

⏰:09/07/22 11:13 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#192 [りぃ]


それにしても…

このままじゃ私がじゅん君から
色々与えられてるだけみたい。

ツアーを機に関係も進展させたいし
じゅん君の役に立てるようになりたいな…

⏰:09/07/22 11:37 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#193 [りぃ]

「凛子さん、
 私、例の彼にパスあげるから
 一緒にツアーまわろう!とかって
 言われたんですけど…
 何もしてあげれてない私に
 そんなこと言ってくれる理由って
 なんだと思いますー?」

凛子さんは、同じ繋がりの先輩として
すっかり私の良き相談相手
になってくれていた。

⏰:09/07/22 15:42 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#194 [りぃ]

「え?!パスくれるって?!
 リサちゃんすごいじゃん!」

私の言葉を聞いた凛子さんは
やたらと驚いている。

「…?」

「私パスなんてなかなか
 もらえなかったよ〜?
 やっぱりリサちゃんって
 本カノ前提なんだね♪」

「そうなんですか?!」

そんなにすごいことだったのか…
と、その時に初めて知ったのだった。

⏰:09/07/22 15:49 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#195 [りぃ]

「パスなんて繋がりちゃん達の
 ステータスだからさ、
 お金払ってでも手に入れたい!
 って子も多いんだよ。
 パスでライブに入る時が
 一番鼻高々な瞬間かもね〜♪」

「そんなにすごいことだったんですか…」

私は改めて自分の無知さを
思い知ったけど、じゅん君が
私にそこまでしてくれることが
純粋に嬉しいと思えた。

⏰:09/07/22 15:57 📱:P905i 🆔:JF6gnPPQ


#196 [りぃ]

数日後、萌と買い物に出掛けた。

少し前までは毎日会っていたのに
最近では生活パターンが
逆になってしまったこともあり
同じマンションに住んでいながら、
顔を合わせて話すのは久しぶりだ。

⏰:09/07/23 11:32 📱:P905i 🆔:CZcult76


#197 [りぃ]

私は萌にもツアーのことを話してみた。

「ねぇ萌、じゅんくんが
 ツアーの全ヶ所パスくれる
 らしいんだけど1人は寂しいから
 一緒に行かない?」

「は?!パス?!」

萌も凛子さんと同様に
驚きを隠せず、声をあげた。

⏰:09/07/23 11:41 📱:P905i 🆔:CZcult76


#198 [りぃ]

「うそ!私にもくれるなら行きたい!!」

萌は目を輝かせて食いついてきた。

「くれるんじゃない?…多分。」

「バンギャはパスに弱いからね〜♪
 友達に自慢しちゃおー♪
 しかも全通なんて楽しみ!!」

すっかり浮かれる萌。

「え?“全通”ってなに?」

⏰:09/07/23 11:48 📱:P905i 🆔:CZcult76


#199 [りぃ]

私の問いかけに萌はキョトンと
驚いた顔をした。

「ユリサ、全通も知らないの?
 ツアーのライブを全会場まわること!
 一般的に言う“おっかけ”
 ってやつじゃない?
 …てか、おっかけとか死語?あはは!」

萌は全通の意味を簡単に説明すると
ご機嫌に笑った。

⏰:09/07/23 11:53 📱:P905i 🆔:CZcult76


#200 [りぃ]

そして萌は喋り続ける。

「ツアーは全部で何ヵ所?
 ホテルの予約と〜
 新幹線取らなきゃね♪」

さすが萌は慣れてるなー
と、私は圧倒されていた。

「あ。」

声と同時に、ふと萌の勢いが止まる。

⏰:09/07/23 13:46 📱:P905i 🆔:CZcult76


#201 [りぃ]

「でもホテルの部屋どうする?」

―ホテルの部屋?
私はそれを聞いたとき
萌が何に疑問を持っているのかが
よくわからなかった。

「だってさ、じゅん君は
 メンバーと2人部屋とかだから
 会うときはこっちの部屋にくるでしょ?
 私お邪魔になっちゃう♪」

萌のからかうような説明で
ようやく理解した。

⏰:09/07/23 18:50 📱:P905i 🆔:CZcult76


#202 [りぃ]

「そうゆうことか〜。
 じゅん君と相談してみよ♪」

「はいはいよろしくね。」

萌は笑いながら私をあしらうと
思い出したように周りの
アパレルショップをあれこれ
眺めながら歩き出した。

⏰:09/07/23 20:56 📱:P905i 🆔:CZcult76


#203 [りぃ]

数時間ぶらぶらとショップを巡り、
買い物を終えた後、私たちは
それぞれバイトへ向かうため
揃って駅へ向かった。

「あっ!」

ふと萌が何かを見つけ声をあげる。

「あれ、まさかのじゅん君?」

⏰:09/07/23 21:23 📱:P905i 🆔:CZcult76


#204 [りぃ]

「うそっ!どこ?」

萌の指差すほうを見ると
人混みの中にじゅん君の
姿を見つけた。

「あ…」

その瞬間、萌が気まずそうに
呟いたかと思うと、
私の視界に入ってきたのは
嬉しそうにじゅん君に腕を絡める
やたらと派手な女の子の姿。

⏰:09/07/23 21:35 📱:P905i 🆔:CZcult76


#205 [りぃ]

「ごめんユリサ…
 めっちゃ気まずいとこ見つけちゃった…」

「……」

さすがに少しだけ戸惑った。
少し前までは気になって気になって
仕方なかった“他の女の子”の事。
じゅん君のまわりには
私以外にどんな子がいて、
どんな会話をして、
どんな表情を見せてるんだろう
ってずっと気になってたけど…

⏰:09/07/23 21:41 📱:P905i 🆔:CZcult76


#206 [りぃ]

じゅん君と繋がってる女の子が
いっぱい居ることくらい
最初からわかってたから
いつか目撃してしまう日が
くることは容易に想像できた。

でも初めてそんな場面を
目の当たりにして、
私は自分でも驚くほどの
余裕を感じていた。

⏰:09/07/23 21:54 📱:P905i 🆔:CZcult76


#207 [りぃ]

「あんなのただの貢ぎでしょ。
 行こ。」

申し訳なさそうに俯く萌に
声をかけ、人混みに流されるように
そのまま駅へと歩いた。

「ユリサ余裕なんだね。
 あんなの見てヘコまないの?」

萌は落ち込みもしない私の態度を
逆に心配しているようだった。

⏰:09/07/25 11:11 📱:P905i 🆔:iYJteRIQ


#208 [りぃ]

――ヘコむ?ありえない。

だって私は見てしまったから。

さっきのじゅん君の
私には見せたことのない顔。
女の子相手にあんなにも
つまらなそうな顔を
するなんて知らなかったよ。

私の前ではいつもニコニコして
常に楽しそうにして
くれてるのに…

⏰:09/07/26 11:41 📱:P905i 🆔:N6AgTC/A


#209 [りぃ]

そのあまりにも大きな
ギャップに、私はむしろ
嬉しいくらいだった。

仮にもあの子が貢ぎだったら
私よりも立場は上でしょ?
何の役にも立ててない
私より、もっと大切に
されるべき存在でしょ?


あんな無関心な顔見ちゃうと
私は特別なのかなって
馬鹿なこと考えちゃうじゃん…

⏰:09/07/26 11:45 📱:P905i 🆔:N6AgTC/A


#210 [りぃ]

その夜。
ツアーの相談のこともあり
私は思い切ってじゅん君に
自分から電話をしてみる
決心をした。

これまで自分から電話を
かけたことなんてなかった。

今大丈夫かな?
忙しいかな?
出てくれるかな?

色々な不安も抱えながらも
携帯の発信ボタンを押した。

⏰:09/07/26 13:47 📱:P905i 🆔:N6AgTC/A


#211 [りぃ]


『ユリサちゃん?!どうした?』

呼び出し音が1コールほど
聞こえたかと思うと
すぐにじゅん君の声に
切り替わった。

“どうした?”の声色の優しさに
キュンキュンしながらも
あまりにも早い反応に
少しだけ戸惑ってしまう。

「あ…今大丈夫?」

『うん!大丈夫大丈夫!』

⏰:09/07/26 14:34 📱:P905i 🆔:N6AgTC/A


#212 [りぃ]

『ユリサちゃんから電話くれるの
 初めてじゃん!どうしたのー?』

いつも以上に楽しそうな
じゅん君の声。

「ツアーのことなんだけどね、
 ひとりで行くの寂しいから
 友達とふたりで行ってもいい?」

『あ、友達?いいよー。
 俺的にもそのほうが
 安心だしね♪』

「ほんと?ありがとうっ!」

じゅん君が心配してくれている
様子がなおさら嬉しくなる。

⏰:09/07/26 16:07 📱:P905i 🆔:N6AgTC/A


#213 [りぃ]

いつもどおりの優しさが
いつも以上に嬉しい。

私特別な存在かもしれない
って思っててもいいのかな…

それからしばらく話して、
メンバーの泊まるホテルについては
ツアー日程の詳細が公表されてから
話し合おうとゆうことになった。

⏰:09/07/27 13:06 📱:P905i 🆔:Fc62fMAw


#214 [りぃ]

「長くなってごめんね。」

『大丈夫だってー♪
 ユリサちゃんから電話くれて
 嬉しかったよ!
 また気が向いたら電話してね〜♪』

「うん!じゃあ作業とか
 色々頑張ってね。」

『ありがとー。じゃあね〜♪』

私は清々しい気分で
電話を切った。

⏰:09/07/27 13:21 📱:P905i 🆔:Fc62fMAw


#215 [りぃ]

なんだ…私やればできるじゃん!

私なりに遠慮とゆうか
じゅん君の迷惑になったらやだな
ってゆう気持ちから、なかなか
電話をかけれずにいたけど
じゅん君はすごく歓迎してくれた。

嬉しそうな反応をしてくれたことが
なにより嬉しかった。

⏰:09/07/27 13:36 📱:P905i 🆔:Fc62fMAw


#216 [りぃ]

じゅん君と繋がってから
ここ最近は、ふと冷静になると
自分のキャラの崩壊ぶりに
自分で驚くことがよくある。

本来の私はどちらかといえば
貢ぐより貢がせるタイプだし
来るもの拒まず、去るもの追わず
な性格で自分から誰かを好きに
なったことなんてなかった。
これまでの元彼とは、
流されるまま付き合ってるだけで
相手を大切にしたことなんて当然ない。

⏰:09/07/28 13:09 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#217 [りぃ]

今の私の原動力は

じゅん君の役に立ちたい
じゅん君を支えたい

ただそれだけだった。

そんな自分に驚きつつも
ツアーまではとにかく
頑張って働いた。

ツアーでじゅん君と一緒に
過ごせることを考えると
寝不足だろうと何だろうと
何も辛くなかった。

⏰:09/07/28 13:17 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#218 [りぃ]

世の中の夏休みが少し過ぎた頃、
大学生の夏休みが始まった。
萌は夏休みに入り、
私は大学生からフリーターになった。
大学を辞めることに
何も躊躇いはない。

あとはツアーで何かキッカケを掴み
じゅん君に尽くすだけ。

⏰:09/07/28 13:34 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#219 [りぃ]

じゅん君から教えてもらった
ツアー日程は
札幌、名古屋、大阪、福岡、東京
の全国5ヵ所。
期間は10日前後だった。

メンバーは車移動のため、
ライブ後にすぐ移動する所もあるらしく
それ以外はメンバーと同じホテルに
泊まれることになった。

⏰:09/07/28 13:55 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#220 [りぃ]

やばいやばいっ☆
ツアーめちゃくちゃ楽しみ!!


何かにこんなにもワクワク
したことが今まであっただろうか。

萌にこまめに連絡して
ツアーをまわるときに
どんな物が必要かなど
色々教えてもらいながら
荷物をまとめる。

⏰:09/07/28 15:16 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#221 [りぃ]

今まで色んなバンドのツアーを
まわっている萌と違い
私はキャリーバッグすら持ってなくて
キャリーバッグを買うところから始った。

萌と一緒にツアーのための
買い物に出掛け、わくわくしながら
キャリーバッグから服まで、
2人であれこれ買い込んだ。

⏰:09/07/28 15:28 📱:P905i 🆔:4./PtuU6


#222 [りぃ]

ついにツアー前日。

私は部屋で萌と電話しながら
荷物を詰めていた。

「あ、てゆうか服が
 全部入らないんだけど…!
 どうしようー。
 どれも外せないのにー」

『服?服は圧縮袋で潰すといいよ!
 待ってて、今からユリサんちに
 降りていくから。』

荷造りがうまくいかず困っていると
萌が手伝いに降りてきてくれた。

⏰:09/07/29 15:37 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#223 [りぃ]

「ほら。これ使いなよ。」

萌は部屋へ入ってくるなり
小さいビニールの衣服圧縮袋を
私に差し出してくれた。

「ありがとう!」

「うっわ。ユリサ荷造りヘター!!」

私のキャリーバッグの中の乱れ具合を
見た萌は笑いながら手際よく
私の荷物をまとめ直してくれる。

⏰:09/07/29 15:44 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#224 [りぃ]

「こうやって袋の空気抜けば…
 ほら!かなり小さくなるでしょ?」

萌の指示通りに荷物を詰めていくと
さっきの状態が嘘のように
かなり余裕を持ってキャリーバッグの
中がまとまった。

「できたー!準備完了ー!」

やっとのことで荷物ができあがったのは
もう日付が変わろうとしている頃だった。

⏰:09/07/29 15:52 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#225 [りぃ]

「ありがとう萌!助かった〜。」

「あ、それはいいんだけどさ、
 そういえばパスっていつもらうの?
 まだじゅん君から
 もらってないんでしょ?」

萌は私のベッドに腰を下ろしながら
そう尋ねてきた。

⏰:09/07/29 16:00 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#226 [りぃ]

「あ、そうそう!
 ごめん、言うの忘れてたんだけど
 最近忙しかったからじゅん君と
 なかなか都合が合わなくて
 もらいに行けなかったの〜…。
 だから明日早めに会場に
 取りにきてって。」

「えっ?!会場で密会?!
 やるねぇ〜じゅん君!」

萌が楽しそうにはしゃぐ。

⏰:09/07/29 16:13 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#227 [りぃ]

「じゃ。私帰るわー。
 明日は飛行機だから11時くらいに
 出れば余裕だよね?
 迎えに来るねー。おやすみ〜」

萌はひとしきりはしゃぐと
嵐のように去っていった。


私も明日に備え、シャワーを済ませ
久しぶりに夜に眠りについた。

⏰:09/07/29 16:40 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#228 [りぃ]

──次の朝。

早めに起きて身支度をしていると
携帯が鳴った。

表示は“じゅんくん”。

「はーい♪」

『おはようコール〜。
 起きてた?』

「うん、起きてたよ!」

『今日何時ごろ札幌着く?』

「多分2時とか3時とか
 それくらいかな〜?」

⏰:09/07/29 17:01 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#229 [りぃ]

札幌までの飛行機は便数も多く
空港に行ってからスカイメイトで
取るほうがいいと萌に言われ
飛行機の予約はしていなかった。

『俺ら昼頃に会場入りして
 2時くらいなら確実居るから
 札幌着いたらひとまず会場来て?』

「うん、わかった♪
 着く頃に電話するね。」

『よろしくー。じゃあ後でね。』

⏰:09/07/29 17:20 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#230 [りぃ]

身支度を全部済ませ
最後にコテやスプレーなどの
ヘア用品をキャリーバッグに入れ
調度いい時間に準備は完了した。

キャリーバッグを玄関に運び
あとは萌が来るのを待つだけだ。

⏰:09/07/29 17:50 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#231 [りぃ]

それからすぐにインターホンが鳴り
萌がやってきた。

「おはよ〜うっ♪」

ドア開けると、いつも以上に
ド派手な萌がご機嫌に顔を出した。

「萌、今日の盛りデカっ!」

萌のアッシュ系の明るいロングヘアーは
いつも以上に高く大きく盛られていて
気合いの大きさを表していた。

⏰:09/07/29 18:00 📱:P905i 🆔:kSJrCOro


#232 [りぃ]

「早起きして盛りまくったよー!
 あ〜〜楽しみっ♪」

萌の言葉を聞きながら
私はキャリーバッグを運び出すと、
部屋の電気を消して家を出た。


いよいよ私の夏が始まる!

⏰:09/07/30 15:59 📱:P905i 🆔:2DINv3k2


#233 [りぃ]

空港に着くと、
私は右も左もよくわからず、
慣れた様子ですたすた歩く
萌の後をついていくしかなかった。

まず向かったのはチケットカウンター。

⏰:09/07/31 00:37 📱:P905i 🆔:7.kOziP6


#234 [りぃ]

「すいません、新千歳まで
 スカイメイトで2人お願いします。」

萌に言われる通りに学生証を見せ、
萌に言われる通りに支払いをすると
よくわからないうちに
無事に航空券が取れたようだった。

⏰:09/07/31 00:39 📱:P905i 🆔:7.kOziP6


#235 [りぃ]

飛行機の出発までの時間も
ふたりでわくわくしながら
話しているとあっという間だった。

無駄にテンションが上がりっぱなしの
私たちはやたらとデジカメで
どうでもいい写真を撮っては笑い、
札幌までの空路を過ごした。

⏰:09/07/31 00:54 📱:P905i 🆔:7.kOziP6


#236 [りぃ]

「ついたー!!北海道!!」

空港に着くと私たちはまた
あれこれ写真を撮りつつ
はしゃぎながら荷物を取って
ひとまず会場へ向かうことにした。

⏰:09/07/31 14:34 📱:P905i 🆔:7.kOziP6


#237 [りぃ]

今日のライブ会場へは
萌は以前に別のバンドのライブで
行ったことがあるらしく、
会場までの行き方はもちろん、
メンバーが出入りする搬入口や
フロアの構造、見やすい場所
などを知り尽くしていた。

「こっちだよ〜」

私はまた萌の後に続き歩き始める。

⏰:09/08/01 09:35 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#238 [りぃ]

私ってつくづく萌がいないと
何も知らないし
どこにも行けないなー…

そんなことを考えながら
電車に揺られること数十分。

乗り換えを経て、どうやら
会場の最寄り駅に着いたらしい。

「ユリサ、降りるよー。
 ここからはすぐ近くだから♪」

⏰:09/08/01 09:40 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#239 [りぃ]

私にとっての未知の地を
悠然と普段通りに歩いていく萌は、
かっこよくて頼もしかった。

「じゅん君に電話したほうが
 いいんじゃない?
 駅出たらすぐ着くよ。」

改札を出ながら萌に促され、
私はじゅん君に電話をかけた。

⏰:09/08/01 09:46 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#240 [りぃ]

電話の呼び出し音が数回続く。

レコーディングとか仕事中以外は
いつも1コールで出てくれるのに
今忙しいのかな?ライブ直前だし…

鳴り続ける呼び出し音を聞きながら
もどかしさが募る。

⏰:09/08/01 09:52 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#241 [りぃ]

「出ない…。」

一旦呼び出し中の電話を切った。

「あ〜、時間的にリハ中かもね…!」

そう言いながら萌が
自分の携帯で時間を確認しながら
私のほうへ歩み寄る。

「とりあえず仕方ないし
 会場まで行ってみよっかー。」

⏰:09/08/01 09:58 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#242 [りぃ]

萌の後に続き、地下鉄の駅から
地上までの階段を上り
少しばかり直進したところに
すぐに会場が見つかった。

「ほら、あそこ。」

「ほんとだ!近いーっ♪」

その中にはもうじゅん君が
来ているのかと思うと
無性に胸が高鳴る。

⏰:09/08/01 10:03 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#243 [りぃ]

ライブハウスの目の前まで来ると
スタッフさん達が慌ただしく
出入りしながらグッズ販売の
物販コーナーを設営したり
しているところだった。

スタッフさんの出入りで
自動ドアが開くたび
中からは楽器の音が漏れ聞こえてくる。

「あ、やっぱりリハ中だよ今。」

⏰:09/08/01 10:08 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#244 [りぃ]

「どうしようかな〜…」

予想外の事態に頭を抱えていると
萌が口を開いた。

「リハ終わるまでどうしようもないから
 一旦ホテルにこの荷物預けに行く?
 わりと近くだから15分くらいで
 戻ってこれるっしょ。」

「あ、そうだね。そうしよう!」

⏰:09/08/01 10:12 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#245 [りぃ]

今日のホテルはじゅん君と一緒。
メンバーは明日移動で、
私たちは明日の空き日を
観光に充てることにしていた。

同じホテルに泊まれることで
また楽しみも増す。

会場を後にして萌に着いていくと
5分ほどでホテルに到着した。

⏰:09/08/01 10:20 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#246 [りぃ]

ひとまずチェックイン手続きを済ませ
フロントで荷物だけ預かってもらう。

客室の準備が整い次第、
私たちが出掛けている間に
部屋に荷物を運んでおいてくれる
というシステムだ。

手続き後、身軽になった私たちは
ホテルのトイレで軽く化粧を直したり
身なりを整えてから再び会場へ戻った。

⏰:09/08/01 10:25 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#247 [りぃ]

会場の近くまで来ると、
さっき来たときより
会場の周りにファンの人が増えていた。

「なんかバンギャさん増えたね。」

さっきとは違う様子に驚き
 萌に尋ねた。

「あー、わかった。
 3時から物販始まるんじゃない?
 それ待ってるんだよきっと。」

⏰:09/08/01 11:12 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#248 [りぃ]

萌の説明によると、
グッズの先行販売目当てで
ファンの子達が早めに集まってきて
販売開始を待ってるんだろう
ということだった。


それはいいんだけど…

⏰:09/08/01 11:18 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#249 [りぃ]

「これじゃ、じゅん君
 出てこれないよね…?!」

私は小声で萌に問いかけた。

「う〜ん…。
 搬入口にまわれば大丈夫じゃない?」

萌にアドバイスをもらい、
再びじゅん君に電話をしてみた。

⏰:09/08/01 11:22 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#250 [りぃ]

しばらく呼び出し音が鳴った後
慌てた声でじゅん君が電話に出た。

『はいっ…はい!!』

「あ、じゅん君?今大丈夫?」

周りにいるファンの子達のことが
気になり小声になってしまう。

『大丈夫大丈夫!会場きた?』

「うん、でも思ったより周りに
 ファンの子達が多くて…
 どうすればいい?」

⏰:09/08/01 11:31 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#251 [りぃ]

『じゃあさー、
 裏側に搬入口があるんだけど
 そっちに来てもらっていい?』

萌の予想は的中だった。

『隣に駐車場あるじゃん?
 そこから奥にまわれば来れるから。』

「わかった♪今から行くね。」

『はーい。』

⏰:09/08/01 11:37 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#252 [りぃ]

電話を切って萌と搬入口へ向かう。

ファンの目を盗んで裏口へ向かい
メンバーと密会なんて
我ながらドキドキしてしまう。

繋がりの優越感を初めて
肌で感じた瞬間だった。


⏰:09/08/01 11:59 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#253 [りぃ]

駐車場を抜けると、建物の裏側に
機材搬入用の大きな扉と
メンバー用の通用口があった。

その扉のほうへ歩み寄ると
ちょうど通用口が開いて隙間から
じゅん君が顔を出した。

⏰:09/08/01 12:27 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#254 [りぃ]

「ユリサちゃ〜んっ♪」

隙間から覗くじゅん君の顔は
久々に見るフルメイクだった。

最近はライブで見るより
プライベートで会うことが多く、
いつも素顔ばかり見ていたため、
繋がるまではメイク後の
顔のほうが見慣れてたのに
メイク顔が逆に新鮮だった。

⏰:09/08/01 12:41 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#255 [りぃ]

「来て来て♪」

じゅん君はフルメイクなこともあり、
ファンの子達に見られないよう
通用口の中から出ずに
私を手招きした。

嬉しそうな笑顔に
私もより嬉しくなる。

⏰:09/08/01 12:55 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#256 [りぃ]

通用口のすぐ手前で
じゅん君からツアー全会場分の
10枚ほどのパスを手渡された。

「入るとき入り口で見せてね。
 コレで楽屋にも入れるけど来る?」

じゅん君は私にサラッと尋ねる。

「えっ?!楽屋?!」

その言葉を聞いて
私は嬉しさを通り越して
戸惑ってしまった。

⏰:09/08/01 13:18 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#257 [りぃ]

「いや、さすがに楽屋は…」

他のメンバーとかスタッフさんとか
いろんな人が居る手前、
ただの繋がりが
しゃしゃり出てはいけない、と思い
自制心をかけた。
こんな待遇じゃ、
本当に調子に乗ってしまう…。

⏰:09/08/01 16:53 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#258 [りぃ]

「嬉しいけど今日は遠慮しとくね。
 うっかり差し入れとか何も
 持たずに来ちゃったし
 これからランチ行こうと思ってて。
 それにじゅん君ヘアメイク中でしょ?」

じゅん君の頭についたピンや
ダッカールなどの小道具を見て
じゅん君がライブの準備で忙しい中
駆け付けてくれたことを感じた。

⏰:09/08/01 17:02 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#259 [りぃ]

「あぁ…コレ、ごめんね髪作りかけで」

セット途中の髪を気にしながら
じゅん君が申し訳無さそうに笑う。

「ううん、全然。
 こっちこそ忙しい所にごめんね。
 わざわざありがとう♪
 メイクさん待ってるだろうし
 戻ったほうがいいよ。
 また後でライブでね〜♪」

⏰:09/08/01 17:08 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#260 [りぃ]

そう言ってその場を去ろうとした瞬間、
じゅん君に呼び止められた。

「あ!待ってユリサちゃん、
 今さらだけどメアド教えて?」

「メアド?そうだね!
 いつも電話だから
 メールしたことなかった!」

じゅん君に赤外線でアドレスを送ると
すぐに空メールで
アドレスを送ってくれた。

⏰:09/08/01 17:13 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#261 [りぃ]

「ライブの時、会場の中入ったら
 どこらへんに居るかメールして♪」

「メール?わかった。」

何のために?とも思ったけど
私はとりあえず従うことにした。

「あと!ホテルの部屋番
 メールしとくね〜♪」

じゅん君はこれまでにない
いつも以上の楽しそうな笑顔で
そう言って私に手を振ると
楽屋へ戻っていた。

⏰:09/08/01 17:21 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#262 [りぃ]

じゅん君が戻って行って
通用口の扉が閉まると、
珍しく私の隣で静かにしていた萌が
弾けたように一気に喋り始めた。

「ユリサ〜っ!!すごいじゃん!!
 楽屋にも行けるんだね!
 次の名古屋では楽屋行こうよ!
 きゃ〜っ♪パスだパスっ!
 私のちょーだいっ♪」

興奮を身体中で表現している萌に、
萌の分の5枚のパスを渡す。

⏰:09/08/01 17:27 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#263 [りぃ]

「写メ撮っちゃおう〜♪」

萌はすぐさま携帯でパスを
撮影しながら喋り続ける。

「しかもじゅん君、最後に
 ホテルの部屋番メールしとく
 って行ってたね♪
 今夜は私お邪魔かあ〜♪」

浮かれた萌はそのまま
表通りに向かって歩き始めた。

⏰:09/08/01 17:34 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#264 [りぃ]

「あ…!待って萌!」

楽しそうに颯爽と歩いていく
萌を小走りで追いかける。

「こんなの手に持って出て行ったら
 さっき居たバンギャさん達に
 見られちゃうじゃん!しまって!」

私は萌が手に持っていたパスを
バッグにしまうように促した。

⏰:09/08/01 17:39 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#265 [りぃ]

「せっかくの自慢のパスなのに〜」

萌はぶつぶつ文句を言いながらも
ちゃんとバッグの中に
しまい込んでくれた。

そして来たとおりに
駐車場を抜けて表通りに出ると、
不自然な所から出てきた
派手な私たち2人に
会場の前に居たファンのうち
数人の視線が向いた。

「ほら、めっちゃ見てる…こわっ。」

私たちはそそくさと会場を後にした。

⏰:09/08/01 17:59 📱:P905i 🆔:wm/5p3/s


#266 [りぃ]

「ユリサすっかり繋がりだね〜」

近くのカフェでランチを取りながら
萌が唐突に切り出した。

「いいなぁ〜なんかかっこいい。」

「え?何いきなり。」

私がぽかんとしていると
萌は私の顔をまじまじと
見つめながら続けた。

⏰:09/08/02 11:41 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#267 [りぃ]

「さっき思ったんだよね。
 パスしまって!って時。」

「あぁ…。それが何?」

「むやみに繋がりがバレないように
 ちゃんとじゅん君を大切にして
 ユリサってそうゆうとこ大人だよね。」

萌の言葉は意外だった。

⏰:09/08/02 11:45 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#268 [りぃ]

「繋がりの子ってなんか
 自分本位な人が多いじゃん?
 でもユリサってじゅん君最優先で
 ヘタにしゃしゃらず受け身だし、
 やっぱり本カノ候補は違うわ〜と思って。
 私なんて自慢したいタイプだから
 典型的なウザい子だよ。あははっ」

最後は茶化すように笑った。

そんなことは考えたことなかったけど
大好きな人に嫌な思いを
させたくないだけ。
嫌われたくないだけ…

⏰:09/08/02 11:55 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#269 [りぃ]

「まぁ…、悪目立ちしても
 良いこと無いしね。
 大切にしてくれてるじゅん君に
 嫌な思いさせたくないから。」

私の言葉に萌まで嬉しそうに笑ってくれた。

⏰:09/08/02 12:05 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#270 [りぃ]

その後私たちは一旦ホテルへ戻り
ライブのための身支度をし直した。

巻き髪の軽い乱れを直し
化粧も少し濃いめに直す。

2人で鏡に集中していると
携帯がメールの着信を知らせた。

「あ、じゅん君だ。」

⏰:09/08/02 18:25 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#271 [りぃ]


──────────
関係者席がよかったら
スタさんに言って2階に
入れてもらってね!

じゃあまた後で〜

  ─END─


また萌が喜びそうな内容だ…

メールを見て真っ先にそう思った。

⏰:09/08/02 18:34 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#272 [りぃ]

「萌、関係者席がよかったら
 上で見てもいいってよ。」

「うそ!!関係者席っ?!」

思った通りの反応が返ってきた。

「じゃあ関係者席で見ようよ!!!」

「いや、でもねぇ…」

大興奮で喜ぶ萌を必死になだめる。

⏰:09/08/02 18:40 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#273 [りぃ]

「さすがにこんな格好じゃ
 目立ちすぎちゃうよ…
 関係者って柄でもないから
 繋がりって明らかにわかるじゃん。」

「…そっかぁ…」

萌は素直に聞き入れてくれた。

「ごめんね。私周りにはあんまり
 繋がりアピールしたくないんだ…」

逆に申し訳ない気持ちになる私に
萌は笑顔で返してくれた。

「うん、わかってる。
 普通どおりフロアで見よう♪」

⏰:09/08/02 18:51 📱:P905i 🆔:vfCUbcKA


#274 [りぃ]

開場時間が迫った頃、
ライブ会場に着くと
入場の行列で駐車場が
埋め尽くされていた。

私たちは整列に加わらず
少し離れた日陰でひとまず
他のお客さんの入場が終わるのを待ち、
周りの人が減ってから
中に入ることにした。

⏰:09/08/04 18:56 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#275 [りぃ]

「暑いね〜。日陰、日陰…」

私たちは入場の列には目もくれず、
列ができている駐車場の前を
なにくわぬ顔で通りすぎる。

がっつり盛った髪で存在感を
振り撒きまくる萌が、ヒップギリギリの
ミニスカートをひらひらと
閃かせて歩く後ろ姿に着いていきながら
周りからの視線をバシバシ感じる。

⏰:09/08/04 19:38 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#276 [りぃ]

開場後、少し離れた所で
入場の列を眺めながら時間を潰し、
列の人数はだいぶ少なくなった。

「そろそろ混ざってみよっか♪」

隣でご機嫌に鼻唄を歌っていた萌が
様子を伺いながら立ち上がった。

「さりげなく混ざれば
 わかんないっしょ〜♪
 行こ、ユリサ。」

⏰:09/08/04 22:55 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#277 [りぃ]

整理番号順に並んでいる列の中に
さりげなく入り、そのまま入場する。

二重扉の奥へ入ると
狭い会場内は3分の2ほど
人で埋まっていた。

フロアに段差は無く、
真ん中辺りに数本の柵が
あるだけだった。

⏰:09/08/04 23:13 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#278 [りぃ]

「段が無いから、特に見やすい
 って場所が無いね〜」

萌が辺りを見回しながら呟く。

「ヘタに前のほう行くと
 埋もれて見えないから
 後ろのほうで見よっか。」

フロアに入場したお客さんは
基本的にステージに近い
前のほうから詰めていくため
フロアの後ろのほうはわりと
スペースにゆとりがあることが多い。

⏰:09/08/04 23:22 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#279 [りぃ]

萌に促されるまま、
一番後ろの壁際で見ることにした。

「荷物置けるし、壁に寄り掛かれるし
 楽に見れるから後ろも悪くないね!」

ライブハウス自体が広くないため
一番後ろでもステージまでの距離は
さほど感じない。

場所を確保し落ち着いたところで、
私はじゅん君との約束を思い出し
メールをしてみた。

⏰:09/08/04 23:32 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#280 [りぃ]

━━━━━━━━━━
フロアのいっちばーん
後ろにいるよ

  ─END─


何を書けばいいかよくわからず、
とりあえず言われた通り
自分の場所だけ知らせたけど
開演時間が迫っていたこともあり
返事は返ってこなかった。

⏰:09/08/04 23:37 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#281 [りぃ]

それにしても…

「後ろのほうで見てるのって
 お姉系っていうか何ていうか
 age嬢だらけじゃん。」

私の言葉に、手鏡を覗き込んでいた
萌が顔を上げる。

「あ〜、どうせ狙いでしょ?
 じゅん君狙いじゃない?」

「……」

薄々そんな気はしていたけど
萌に言われると100%
事実のように思えてしまう。
じゅん君を狙ってる(と思われる)
女の子を目の当たりにして
私は繋がりの優越感と同時に
闘争心も感じた。

⏰:09/08/04 23:55 📱:P905i 🆔:UyF5TAVo


#282 [りぃ]

しばらく周りの狙いさん達
のことが気になり人間観察を
しているうちに、会場内の
BGMが止まり照明が落ちた。

メンバーの登場に、大きな歓声が上がる。

⏰:09/08/05 19:38 📱:P905i 🆔:hpLB0dMg


#283 [りぃ]


笑顔で登場したじゅん君の姿を
自然と目が追ってしまう。

やっぱりじゅん君は
ステージの上が一番輝いていて
誰よりもかっこいい。

改めてそう思いながら
にやにやしていると
萌が私に耳打ちしてきた。

「じゅん君、早速気付いたね」

⏰:09/08/05 19:48 📱:P905i 🆔:hpLB0dMg


#284 [りぃ]

「え?何が?」

突然の言葉に戸惑ってしまう。

「じゅん君ユリサのこと気付いたよ。
 がっつり見てるもんね!
 あからさまだなぁ〜」

萌は面白がって
爆笑しながら続ける。

「せっかくユリサが目立たないように
 気遣ってるのにじゅん君が
 あれだったらわかりやすすぎるよ〜」

⏰:09/08/05 20:00 📱:P905i 🆔:hpLB0dMg


#285 [りぃ]

萌の心配とは裏腹に
私は不謹慎にも
嬉しくなってしまった。

なにせライブで構ってもらう
"オキニ"という立場に
さりげなく憧れていたから。

ステージと客席越しに
見つめ合っちゃう感じが
ドキドキしてたまらない。

これだけのお客さんがいる空間で
今この瞬間だけはじゅん君の目には
私しか映ってないんだ…☆

⏰:09/08/07 18:01 📱:P905i 🆔:JoLc8fxU


#286 [りぃ]

楽しそうに笑うじゅん君を見ると
私まで嬉しくて楽しくなる。

しばらくして、狙いの女の子達の
存在を思い出した。

少しだけステージから視線を外し、
近くにいる狙いの子達のほうを
ちらりと盗み見る。

⏰:09/08/08 18:12 📱:P905i 🆔:1fOAaU/Q


#287 [りぃ]

2人組の女の子が数組居て
揃いも揃って無表情で棒立ちだ。

時折、顔を見合わせては
笑いながら何やら耳打ちしている。

──感じわるっ…。

どうせメンバーがこっちを見ただの
なんだので盛り上がってるんだろう。

⏰:09/08/08 18:25 📱:P905i 🆔:1fOAaU/Q


#288 [りぃ]

「あいつらはどうせただの勘違いだよ。
 感じ悪いよねー。」

私の様子に気付いた萌が
私の耳元でそう言った。


勘違いだろうとは思っていても
万が一じゅん君の繋がりだったら
どうしよう…などと
無意識のうちに敵意をむき出しに
してしまう自分がいた。

⏰:09/08/08 18:29 📱:P905i 🆔:1fOAaU/Q


#289 [りぃ]

ライブ後、私たちは混雑を避けて
いち早くそそくさと会場を後にし、
遅めの夕食を軽く取ってから
ホテルへ戻って部屋でくつろいでいた。

「ツアー初日なかなか楽しかったね♪」

萌とライブのことを振り返って
語り合いながら、私は
傍らではじゅん君への
メールを作成する。

⏰:09/08/11 17:42 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#290 [りぃ]


━━━━━━━━━━━━
ライブお疲れさまでした
初日からめっちゃ
楽しかったよ

ちなみに今日泊まってる
部屋は705だよ〜
じゅん君はまだ会場?
ホテルに帰ってきたら
遊びに来てね

  ━END━


とりあえず部屋番号を知らせたくて
メールを送信した。

⏰:09/08/11 17:58 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#291 [りぃ]

じゅん君からの返事はすぐにきた。

━━━━━━━━━━━━
俺らさっき会場出て
今から軽く打ち上げ!

俺の部屋は610だよ
今日は翔と同室。

ユリサちゃんとこ行くために
元気残しとこうー
じゃ、後でね!

  ━END━

⏰:09/08/11 18:32 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#292 [りぃ]

「ハート付きっ!!」

私はメールを読むなり、
じゅん君からの文中の
ハートマークに大興奮して
萌に携帯の画面を突き付けた。

「今までメールしてなかったなんて
 なんか意外だな〜。
 今さらハートで喜ぶなんて
 ユリサも可愛いヤツ♪」

萌は茶化すように受け流す。

⏰:09/08/11 21:23 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#293 [りぃ]

「翔ってボーカルだよね?」

メールを見た萌が私に尋ねてきた。

「うん、そうだよ。」

「いけめんだよねー。
 私じゅん君より翔君派だな。
 狙ってみようかな〜♪」

「翔君って普段からじゅん君と
 仲良いみたいだからさ、
 紹介してもらえばいいじゃん?」

⏰:09/08/11 21:47 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#294 [りぃ]

私の提案に萌は喜んで答えた。

「いいねーそれ!
 じゃあタイミング見て
 じゅん君に頼んどいてよ〜♪」

「うん、いいよ頼んどく。
 あ、でもそれはいいけど
 萌、本命他に居るのにいいの?」

私は萌の本命バンドの存在を思い出した。

「うーん。本命は本命、
 繋がりは繋がりでしょ。
 気にしなーい♪」

⏰:09/08/11 22:11 📱:P905i 🆔:2tVg.Fks


#295 [りぃ]

「そう…?ならいいけど…」

翔君の紹介の件が決まったところで
私はこれからのことを考えた。

「じゅん君が帰ってくるまでに
 お風呂入っとこうかな。
 顔だけ残しとけばいいよね。」

ベッドの上でテレビを見ながら
浮かれる萌を残して
私は浴室へと向かった。

⏰:09/08/12 08:48 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#296 [りぃ]

夏場のライブは、外の暑さに増して
会場内の熱気もすごい。

小さい会場だと尚更のことだ。

ベタつく体を洗い流し、
強めに巻いた髪もひとまず解体される。

顔にかからないように
用心深く髪を洗い流しながら
数時間後にじゅん君と過ごせる
時間が楽しみで仕方なかった。

⏰:09/08/12 08:54 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#297 [りぃ]

私が浴室から出てくると
萌は脱いでいたパンプスを履いて
どこかへ出掛けようと
している様子だった。

「小腹が空いたからコンビニ行くけど
 ユリサも行く?」

萌はバッグから財布を取り出しながら
私にそう尋ねた。

⏰:09/08/12 09:03 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#298 [りぃ]

「コンビニ?私髪巻き直したり
 化粧直したりしたいから
 今はいいや。」

「あ、そう?じゃあ何かいる?」

「うーん、特にないかなー」

「じゃあ行ってくるね♪」

私はホテルのすぐ隣が
コンビニだったことを思い出し、
萌を部屋から送り出した。

⏰:09/08/12 09:07 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#299 [りぃ]

髪を乾かし、コテを温めつつ
化粧を軽く直していると
携帯に電話がかかってきた。

じゅん君の顔が頭をよぎり
勢いよく携帯を手に取ると
画面に表示されているのは
萌の名前だった。

⏰:09/08/12 17:25 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#300 [りぃ]

──萌?なんで?

よくわからず電話に出ると
勢いよく萌が話し始めた。

『今、下でじゅん君達に会ったよ!』

歩きながら話しているらしく、
カツカツとヒールの音が
萌の声と共に聞こえてくる。

⏰:09/08/12 17:31 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#301 [りぃ]

萌の話によると、
ホテルを出ようとしたところへ
ちょうどメンバーが入ってきたらしく
ばったり鉢合わせて
少しだけ話をしたらしい。

『じゅん君なんか私を見るなり
 “ユリサちゃんは?”
 って真っ先に聞いてきたよー。
 部屋にいます!ってだけ
 言って去ってきたから
 突撃してくるかもね♪』

⏰:09/08/12 17:47 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#302 [りぃ]

萌はそれだけ言うと
私の返事も聞かずに
電話を切ってしまった。


(…じゅん君に遭遇しちゃうなら
 私もコンビニ行っとけばよかったー!!
 萌まじ運良すぎる…)

ひとりでそんなことを考えながら
ゆるめの巻き髪を仕上げた。

⏰:09/08/12 17:52 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#303 [りぃ]

髪も完成し、全身鏡の前に立ってみる。

服は部屋で着るために持ってきた
キャミタイプのピンクのワンピ。
ブリブリした可愛らしさとエロさが
紙一重なところが気に入っている。
足元は、ストーンがごろごろ付いた
同じくピンクのミュールで
美脚効果も忘れない。

よし。準備は完璧!

⏰:09/08/12 20:03 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#304 [我輩は匿名である]
もの凄く自分に自信持ってるんですねwww

⏰:09/08/12 20:18 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#305 [りぃ]

>>304さん
何を持ってそう思ったか謎ですが
ありがとうございます!w
あと感想板は別なので
↓こちらにお願いします

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4461/

よかったらこれからも
覗いてくださいね

⏰:09/08/12 21:37 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#306 [りぃ]

身支度を済ませてからは、
なんだか落ち着かず
荷物を部屋の端にまとめたり
服やアクセを片付けたりしつつ
萌の帰りを待った。


コンコンッ

部屋の中であたふたしていると
不意にドアがノックされた。

──萌!やっと帰ってきた!

⏰:09/08/12 21:53 📱:P905i 🆔:fhGyKXEQ


#307 [りぃ]

ドアを少しだけ開けて
隙間から顔を出すと
そこに居たのは萌ではなかった。

「あれ?じゅん君!」

「入っていい〜?」

壁にもたれ掛かりながら
甘えたように言うじゅん君の
笑顔がいつになく可愛く見える。

⏰:09/08/14 08:17 📱:P905i 🆔:eD2uCRI2


#308 [りぃ]

でも…萌がいないときに
勝手にじゅん君を部屋に入れても
いいものかな…

そう考えていると、同じタイミングで
じゅん君が口を開いた。

「あ、萌ちゃんなら
 さっき下で会ったとき
 翔のとこに来るって話になってたよ。
 ちょうどいいじゃん♪」
「え?!いつの間に!!」

そんな話聞いてなーい!

⏰:09/08/14 09:47 📱:P905i 🆔:eD2uCRI2


#309 [りぃ]

「萌戻ってこないの?」

「うん。多分ね。」

萌が戻ってこないなら…
じゅん君が来てても別にいいか!

私は半開きだったドアを開けて
じゅん君を部屋へ迎え入れた。

⏰:09/08/14 11:14 📱:P905i 🆔:eD2uCRI2


#310 [りぃ]

「今日さ〜ステージ出てすぐ
 ユリサちゃんわかったよ。
 萌ちゃんとふたりですげー目立つね!」

笑いながら話すじゅん君の言葉を聞いて
やっぱり萌の言ってたことは
本当だったんだと実感した。

実際にじゅん君本人の口から聞くと
尚更嬉しい。

⏰:09/08/14 11:29 📱:P905i 🆔:eD2uCRI2


#311 [りぃ]

話しながら部屋の中へ入ると
じゅん君はすぐにベッドに飛び込み
枕を抱えてごろごろしながら
テレビを眺めてくつろいでいる。

まさにプライベート感満載な
じゅん君の姿に自然と顔がほころぶ。

「ユリサちゃん達明日何するの〜?」

不意にじゅん君がベッドから
私のほうを見上げて尋ねてきた。

⏰:09/08/14 13:20 📱:P905i 🆔:eD2uCRI2


#312 [りぃ]

「明日は観光するの〜♪
 じゅん君達は移動日でしょ?」

もうひとつのベッドに
腰を下ろしながら
明日の予定をお互いに話していた。


そんな中、不意に

「こっちおいでよ。」

じゅん君が寝そべったまま
自分の隣のスペースを
ポンポンッと叩きながら
私を隣に呼んだ。

⏰:09/08/19 13:24 📱:P905i 🆔:E2xvdyVQ


#313 [りぃ]

ツアーが始まる前は、
なんとしてでもじゅん君との
関係をツアー中に発展させようと
必死になっていたけど
実際にじゅん君の優しい
笑顔を見ていると
何も考えず、思うままに
じゅん君に甘えてみたい
と純粋に思えた。

計算なんかいらない。

⏰:09/08/19 13:37 📱:P905i 🆔:E2xvdyVQ


#314 [りぃ]

「じゃあ添い寝してあげるよ〜♪」

私は精一杯の勇気を出して
強がりを言いながら
じゅん君の隣にすり寄った。

うつ伏せで頬杖をついているじゅん君の隣に、
同じ体勢になってみる。

今までにない至近距離に
ひたすらドキドキしてしまう。

⏰:09/08/22 13:35 📱:P905i 🆔:./W8id3U


#315 [りぃ]

「なんかいいにおいする〜」

ただでさえ近い距離で
じゅん君は更に私の髪に
顔を近づけてくる。

私はドキドキしながらも
じゅん君の態度が嬉しかった。

しばらく喋りながら
自然な流れでお互いに
肩に寄りかかったり
相手の背中を枕にしたり
仲良くごろごろしていた。

⏰:09/08/22 14:35 📱:P905i 🆔:./W8id3U


#316 [りぃ]

なんか…
普通のカップルみたいで
すごい幸せなんだけど!!


自分の立場は相変わらず
よくわからないけど
もうそれはそれでいいや。

形式的なことをいちいち
考えるのはやめよう。


じゅん君の腕から伝わる体温を
感じながらそう思った。

⏰:09/08/22 15:15 📱:P905i 🆔:./W8id3U


#317 [りぃ]


──あれ…?


気がつくとテーブルの上で
携帯のアラームが鳴っていた。

「えっ?…は!?」

いつの間にか眠ってしまった私は、
同じく眠っているじゅん君に
寄り添っている体勢のまま我に返った。

⏰:09/08/24 13:41 📱:P905i 🆔:kgcrmQGw


#318 [りぃ]

──うそーっ?!朝?!

ベッドから降りて
アラームが鳴り続ける携帯を
見てみると、"8:00"の表示。

「……」

ベッドを振り返ると
じゅん君はうつ伏せのまま
すやすやと眠っている。

⏰:09/08/24 13:47 📱:P905i 🆔:kgcrmQGw


#319 [りぃ]

そうか…昨日だらだらしてるうちに
そのまま寝ちゃったんだ…!

昨日の記憶を辿ってみると
やっと状況を把握できた。

──せっかくじゅん君が
  部屋に来てくれたのに
  もったいないことしちゃった…

⏰:09/08/24 13:54 📱:P905i 🆔:kgcrmQGw


#320 [りぃ]

ふと目の前の鏡を見ると
アイラインが少し滲んだ
自分の顔が映っていた。

──化粧したまま寝ちゃった!!
  最悪〜…。でもじゅん君いるし
  すっぴんよりマシか…

滲んだアイラインと、
浮き気味のファンデーションを
ティッシュで軽く押さえ、
じゅん君に歩み寄って声をかけた。

⏰:09/08/24 14:02 📱:P905i 🆔:kgcrmQGw


#321 [りぃ]

「じゅん君っ。8時だよ!」

じゅん君の肩を軽く叩きながら
何度か声をかけると
じゅん君はぼんやりと目を開けた。

「ごめんね、時間大丈夫かな?
 もっと早く起こすべきだった?」

メンバーの集合時間を
昨日のうちに聞いておけばよかった
と気付きとても心配になった。

⏰:09/08/24 14:29 📱:P905i 🆔:kgcrmQGw


#322 [りぃ]

「………?」

私の突然の呼び掛けに、
じゅん君は寝ぼけ眼で
ぼんやりとしている。

「…あれ?俺いつ寝た…?」

仰向けに寝返りを打ちながら
徐々に意識がはっきりしてきた
じゅん君はそう言って
側にあった自分の携帯で
時間を確認した。

⏰:09/08/25 18:23 📱:P905i 🆔:FhWL5cMk


#323 [りぃ]

「いつ寝たか私もわからないのー。
 いつの間にか寝ちゃってた…」

私が申し訳ない気持ちでそう言うと
じゅん君は笑いながら答えた。

「あ、まじでー?
 それならよかった。
 俺だけ先に寝落ちしたかと思ったー」

こういう時でも私のことを
気にかけてくれるさりげない
優しさに相変わらず嬉しくなる。

⏰:09/08/25 20:42 📱:P905i 🆔:FhWL5cMk


#324 [りぃ]

「ねぇ、それで集合時間は?大丈夫?」

私は気になって仕方ない
メンバーの集合時間を再び尋ねる。

「時間?10時だからまだ全然大丈夫!」

すっかり目も覚めたじゅん君が
余裕で答えた返事に私もほっと安心した。

⏰:09/08/26 10:08 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#325 [りぃ]

「シャワー浴びてこよー」

そう言うとじゅん君は
ボサボサになった髪を気にしながら
バスルームへ向かっていった。

「…あっ!!」

バスルームに入ったばかりのじゅん君が
声をあげ、慌てた様子で
ひょこりと顔を覗かせる。

⏰:09/08/26 11:08 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#326 [りぃ]

「なに?どうしたの?」

「やべぇ。
 シャンプーとか部屋に置いてきた!
 俺ホテルのシャンプー無理なのに!」

「…なんだ〜そんなこと?」

拍子抜けすると同時に
慌てるじゅん君の様子が
なんだか可愛くて無性に可笑しくなった。

⏰:09/08/26 11:19 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#327 [りぃ]

「私のやつがそこにあるから
 適当に使っていいよ。
 カラーダメージにかなり効くの♪」

バスルームを覗き込み
バスタブの脇に置いておいた
シャンプーやトリートメント一式を
指差しながら説明する。

「まじ?助かるー!!じゃ借りるね♪」

バスルームのドアを閉めながら
慌ただしいながらもじゅん君と一緒に
朝を過ごしている楽しさを実感した。

⏰:09/08/26 12:10 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#328 [りぃ]

──なんか可愛いなぁ〜じゅん君♪

私は相変わらず
じゅん君のことばかり考えながら、
鏡の前に座って髪の乱れを直したり
ベースメイクを直したりして
じゅん君が戻ってくるまでの
時間を過ごした。

⏰:09/08/26 12:41 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#329 [りぃ]

「すげーユリサちゃんの
 匂いに包まれてる!」

バスルームのドアが開いたかと思うと
じゅん君がそう言いながら出てきた。

じゅん君と一緒に、
使い慣れたフルーティな香りが
室内に流れ込んでくる。

「あのトリートメントかなり
 サラサラになるでしょ?」

「うん、まじ良いね!」

⏰:09/08/26 13:41 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#330 [りぃ]

「ドライヤーの前にコレつけると
 もっと良いよ♪」

頭にバスタオルを被ったじゅん君に
私は別のトリートメントを差し出す。

「ドライヤーめんどくせ〜」

その言葉どおりじゅん君は
面倒そうにベッドに腰を下ろした。

⏰:09/08/26 14:01 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#331 [りぃ]

「え?!だめだめ!
 濡れた髪は傷みやすいんだよ!
 ライブが続くとセットで尚更傷むでしょ?
 めんどくさいなら私がやってあげるよ。」

私はじゅん君の座るベッドの脇に立って
じゅん君の髪にトリートメントを
馴染ませドライヤーをかける。

じゅん君は大人しくテレビを眺めていた。

⏰:09/08/26 14:20 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#332 [りぃ]

「なんか…俺ら子供と親みたいじゃん」

じゅん君の言葉にふたりで笑う。

このまったりした雰囲気が嬉しくて
普通のカップルのような時間を
過ごせていることが何より幸せだった。

⏰:09/08/26 14:32 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#333 [りぃ]

その後ふたりで朝食代わりに
お菓子を食べながら
テレビを見てくつろいだり
髪型をアレンジして遊んだり
のんびりとした時間を過ごした。

気がつけば時間は
9時半をまわっていた。

⏰:09/08/26 14:41 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#334 [りぃ]

「そろそろ行くかなー。
 一旦部屋戻って支度しないと。」

じゅん君がテレビ画面に表示された
時間を見てそう切り出すと
またライブで会えると
わかっていながらも
不意に寂しさが募る。

「名古屋でも部屋来てくれる…?」

口をついて出た言葉に
自分でもハッとした。

図々しくなっちゃいけないのに…

⏰:09/08/26 14:50 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#335 [りぃ]

「当たり前じゃーん♪
 じゃ、俺行くね。また連絡する〜」

私の不安と裏腹にじゅん君は
笑顔でそう答えると部屋を出ていった。


ひとりになった途端、
急に静かになったように感じた。

じゅん君が使った
トリートメントの香りだけが
まだ部屋中に漂っている。

⏰:09/08/26 14:58 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#336 [りぃ]

じゅん君が出ていってすぐに
部屋のドアがノックされ、
タイミング良く萌が戻ってきた。

「じゅん君今出てったでしょ?
 すぐそこで会ったよ。
 ユリサと同じ匂いだったけど
 一緒にお風呂入ったの〜?♪」

相変わらず萌はニヤニヤしながら
私に質問を浴びせる。

⏰:09/08/26 15:17 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#337 [りぃ]

「ううん、シャンプーとか貸しただけ。
 昨日も全っ然何もなかったの〜…」

「え?!何もなかったの?!
 私すぐ翔くんとエッチしちゃった♪
 セフにしてくれるって♪
 でもユリサは本カノ候補で大切に
 されてるんだから別にいいじゃん!」

萌は明るく喋り続ける。

⏰:09/08/26 15:49 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#338 [りぃ]

「あっ、それとね!見てこれ。
 写メなんだけどさ〜…」

萌は話しながら携帯を開き
なにやら操作をした後、
画像を表示させた状態で
私に差し出した。

「ほら、翔くんの寝顔〜っ♪」

見ると、そこには萌の言う通り
寝ている翔くんの顔の画像が
表示されている。

⏰:09/08/26 17:50 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#339 [りぃ]

「ツーショットとか〜、
 いっぱい撮っちゃった♪」

萌に何枚か画像を見せられながら
私は純粋に思い出のための
写メだとばかり思っていた。


「この寝顔写メとか、どう使うかわかる?」

萌にこう聞かれるまでは──。

⏰:09/08/26 17:54 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#340 [りぃ]

「"使う"…?」

当然、私は意味などわからなかった。

「知りたい?♪」

萌はニヤリと笑って続ける。

「この写メはね〜、
 もしいずれ翔くんから
 一方的に切られたら
 掲示板に晒すの〜っ♪
 暴露ブログとかもいいよね〜」

萌は楽しそうに高笑いした。

⏰:09/08/26 18:03 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#341 [りぃ]

「…なにそれ、怖〜っ!!」

私は驚くしかなかった。

「え?なんで?別に普通だよ?
 だって切られた挙げ句、
 肉便器とか言われたくないじゃん。
 切る方にもそれなりの
 リスクが無いとね♪
 実際そうやって復讐する人多いんだよ。」

萌は大真面目に復讐劇を語った。

⏰:09/08/26 18:21 📱:P905i 🆔:iK5p42OQ


#342 [りぃ]

──次の日──

ホテルをチェックアウトすると、すぐに
次なるライブ地である名古屋へ向かった。

じゅん君と離れてまだ
1日しか経っていないのに
1秒でも早く会いたくてたまらない。

そんな気持ちでワクワクしながら
移動時間を過ごした。



その頃じゅん君に起こっている
出来事なんて私は知る由もない。

⏰:09/08/29 14:12 📱:P905i 🆔:AUe0Ewnc


#343 [りぃ]

名古屋で空港に降り立つと、
私は真っ先にじゅん君にメールで
名古屋に着いたことを知らせた。

今日はライブは空き日のため
メンバーの予定がわからない。

オフかもしれないし、
それなりに予定があるのかもしれない。

──いつ会えるんだろう
  どこで会えるんだろう
  もしオフだったら一緒に
  どこかに行けるかな?

⏰:09/08/29 14:25 📱:P905i 🆔:AUe0Ewnc


#344 [りぃ]

空港からひとまず
今日のホテルへ向かいながら
考えるのはじゅん君のことばかり。

ただ、いつもはすぐに返ってくる
メールがなかなか返ってこない。

──やっぱり何かお仕事か…

残念に思いながらも、夜には会えると思い
特に深くは考えていなかった。

⏰:09/08/29 14:29 📱:P905i 🆔:AUe0Ewnc


#345 [りぃ]

「じゅん君から連絡ないの?」

ホテルで部屋に入るなり、
携帯ばかり気にする私の様子を
察した萌が問い掛けてきた。

「うん…。なんか仕事なのかも。」

「じゃあとりあえずどっか出かける?」

萌はさりげなく気を遣い
私を気分転換に誘ってくれた。

⏰:09/09/01 11:59 📱:P905i 🆔:SKf2jji6


#346 [りぃ]

食事をしても、買い物をしても
何をしていても、どこを歩いていても
頭はぼんやりしていて
心のどこかでじゅん君のことを
常に考えてしまっていた。

せっかく気を遣ってくれる萌をよそに、
私は何一つ楽しめないまま
夕方を迎えてしまった。

⏰:09/09/04 16:40 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#347 [りぃ]

「あ。電話だ。…あれ?」

携帯に目線を落とした萌が
意外そうに声をあげた。

「翔君だよ!仕事終わったんじゃない?」

「うそ!」

萌にかかってきた翔君からの電話で、
私にもじゅん君からの連絡が
あるかもしれないと、
必然的に期待が高まった。

⏰:09/09/04 16:48 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#348 [りぃ]

「もしもし〜?仕事終わった?」

萌が電話で話す隣で様子を伺う。
じゅん君は今どこで何をしてるの?
ただそれだけが知りたかった。

「え?!うそ…」

萌は、電話口の翔君の言葉に
なにやら驚いたらしく、
驚愕の声をあげると混乱した様子で
隣に居る私に背を向けた。

⏰:09/09/04 16:59 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#349 [りぃ]

「いや、でも…」

萌は話しながら私から数歩離れ、
心なしか私に電話の内容を
聞かれたくないかのようにも
見受けられた。

──なんとなく嫌な予感がする…。

⏰:09/09/04 17:01 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#350 [りぃ]

「うん、じゃあ一旦ホテル戻るわー。
 じゃあねー。」

私には様子がよくわからないまま
萌は電話を終え、私たちは
一度ホテルへ戻ることになった。

「翔君なんて言ってた?」

「……」

萌の気まずそうな表情が、
尚更私の不安を煽る。

⏰:09/09/04 17:06 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#351 [りぃ]

「…萌??」

「いやぁ…なんかね、
 …今日オフらしいよ?」

萌は申し訳なさそうに口を開いた。

「…え?」

「仕事終わった?って聞いたら
 今日はオフだったって…」

──どうゆうこと…?!

⏰:09/09/04 17:15 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#352 [りぃ]

「…もちろんじゅん君もだよね…?」

「うん、多分…」

「……」

ふたりの間に不穏な空気が流れる。

「まあ、とりあえずホテル戻って
 翔君に聞いてみよう!ね?」

萌に促され、真実を知りたいような
知りたくないような複雑な
心境でホテルへと歩き出した。

⏰:09/09/04 17:19 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#353 [りぃ]

じゃあ今何をしてるの?
放置なんかされたことないのに…

何だろう、この悲しさ…
なんか虚しい…


ホテルへ到着しても尚、
頭の中をぐるぐると
いろんな思いが巡る。

萌も私にかける言葉が見つからないのか、
ふたりで黙り込んだまま
ホテルのエントランスへと入った。

⏰:09/09/04 17:24 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#354 [りぃ]

「とりあえず翔君の部屋行くけど
 ユリサも一緒に行く?」

「……」

正直、この状況で事実を知るのは怖い。

でもこのままじゃ気になって仕方ないし
じゅん君にも連絡つかないから
とにかく翔君から話を
聞いてみるしかない。

「…私も行く!」

⏰:09/09/04 17:30 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#355 [りぃ]

「あれ?確かじゅんの…」

「ユリサです。」

ドアを開けて部屋の中から
出てきた翔君は
萌と一緒にやって来た
私を見て少し驚いた顔をした。

私が名乗るや否や、
萌は翔君を質問攻めにする。

「今日オフだったの?!
 今1人?じゅん君は?どうしてるの?」

⏰:09/09/04 17:39 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#356 [りぃ]

「いや、まぁ落ち着けって。
 とりあえず中入れよ。」

翔君は萌をなだめながら
私たちを部屋へ迎え入れてくれた。

「で?どうしたって?」

あまり状況が飲み込めていない
翔君が不思議そうに尋ねる。

⏰:09/09/04 17:50 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#357 [りぃ]

「いつもマメなじゅん君から
 今日は全然連絡が返ってこないから
 勝手に仕事なんだろうと
 思ってたんですけど
 オフだって聞いて驚いちゃって…。
 何かあったんですか…?」

一気に話す私の言葉を
翔君は真剣に聞いてくれた。

⏰:09/09/04 17:54 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#358 [りぃ]

「てゆうか俺はユリサちゃんと
 一緒なんだとばかり思ってたけど
 違ったのか。」

そう言って翔君はしばらく
回想するように何かを考えると
何かを思い出し再び口を開いた。

「てことは、あれだな」

⏰:09/09/04 17:58 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#359 [りぃ]

──やっぱり何かあったんだ…!

「あれってなんですか?!」
「なんかあったの?!」

私と萌はほぼ同時に食い付いた。

「昨日さぁー、あいつ珍しく
 酔い潰れて財布をね…
 どっかで落としたらしく
 朝からかなりヘコんでたんだよね。」


──え!!なにそれ…!

⏰:09/09/04 18:08 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#360 [りぃ]

「で、なんか電話かけまくって
 どっか出てったから
 相手がユリサちゃんじゃないなら
 多分貢ぎの女呼び出して
 現金調達中かもな〜」

最後は軽いノリで笑って
翔君はそう説明してくれた。


──そんな事があったんだ…。

⏰:09/09/04 18:20 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#361 [りぃ]

そんな重大なアクシデントを
知らなかったということより、
そんな時に何の頼りにも
ならない自分が悲しかった。

いざと言うときにじゅん君が
頼るのは、やっぱり貢ぎの女の子なんだ…。

きっと今は私の存在なんか
完全に忘れられてる…。

⏰:09/09/04 18:24 📱:P905i 🆔:ljPHVbQ.


#362 [りぃ]

私には何できるのか

前向きに考えてみると
答えはすぐに見つかった。

じゅん君の財布…
どんなだったっけ…


翔君と萌を残して部屋を出た私は
いつもじゅん君のポケットから
姿を覗かせていた財布の全体像を
必死に思い出しながら
ブランドショップが立ち並ぶ
通りへと向かった。

⏰:09/09/20 15:13 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#363 [りぃ]

ひたすらチャンスを待ちながら
地味に貯めてきた給料が
やっと日の目を見る時が来たのだ。

せっかくのタイミングを
うっかり見落として
しまうところだった。


どんな財布だったかは
結局思い出せなかったものの、
確かBVLGARIが好きって
言っていたような…

あれこれ考えているうちに
なんだか楽しくなってきて
私は意気揚々とBVLGARIの
ショップへと向かった。

⏰:09/09/20 15:47 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#364 [りぃ]

商品を選び、支払いを済ませ
店員さんにラッピングを
お願いしている間に
バッグの中で携帯が鳴った。

「萌?何?どうしたのー?」

『あれ?思ったより元気じゃん』

萌が私を心配してくれている
様子がうかがえた。

⏰:09/09/20 16:06 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#365 [りぃ]

『今どこ?何してんの?』

「いや…ちょっとお買い物。」

『ひとりで?買い物ねぇ…ふ〜ん♪』

電話の向こうで全てを察して
ニヤける萌が目に浮かぶ。

『まぁ、終わったら早く
 帰ってきなよ!じゃあね〜』

さすがに萌には隠しても仕方ない。
でもなんとなく濁してしまったのは
誰よりも早く真っ先にじゅん君に
サプライズしたかったから。

⏰:09/09/20 16:19 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#366 [りぃ]

そんなこだわりを持ったまま、
プレゼント用にラッピング
してもらった商品を受け取ると
数分前の虚しさが嘘のように
清々しい気分で店を出た。


凛子さんが前に言っていた、
──相手から求められる前に
自分で考えて先を行くべき──
という言葉が改めて心に響く。

ただの自己満足でもいい。
虚しさだけが残るより
少しでも満足できるなら
それでいいと心底思えた。

⏰:09/09/20 16:36 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#367 [りぃ]

「あら〜?このBVLGARIの
 袋はなぁに〜?♪」

ホテルの部屋に戻るなり、
1人で退屈そうに待っていた
萌に早速からかわれる。

「…翔君は?」

「部屋で寝てるー。
 それにここの鍵私が持ってたから
 ユリサが入れないと思って
 待っといたんだよ。
 じゅん君が帰ってきたら
 出ていくから心配しないで♪」

⏰:09/09/20 17:35 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#368 [りぃ]

部屋の中へ入ると、
テーブルの上に無造作に
積まれたお菓子の山が
ふと目についた。

「なにこれ。」

私が尋ねると、萌は
食べかけのお菓子を
頬張りながら答える。

「ん?翔君にもらったのー。
 なんかライブの差し入れで
 ファンの子達からもらったけど
 食べないし荷物増えるから
 お前ら食ってーって。」

⏰:09/09/20 17:49 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#369 [りぃ]

「へぇー…なんかファンの人
 かわいそうな気もするけど…」

新たにバンドの裏側を知り
複雑な気持ちになりながらも、
すっかり仲良しになっている
2人がなんだか微笑ましかった。

そうやって色々と話していると
傍らに置いていた携帯が
不意に鳴り始めた。

「じゅん君?!じゅん君?!」

萌に捲し立てられ画面を確認すると
そこには待ち望んだ名前が表示されている。

⏰:09/09/20 18:02 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#370 [りぃ]

第一声は何て言われるんだろう…

「もしもし…?」

『あ、ユリサちゃん?
 今から行っていいー?』

いつもと違う緊張を感じながら
電話に出ると、聞こえてきたのは
いつもと変わらないじゅん君の声だった。
いろんな思いが混ざって胸が詰まる。

「うん、来て!」

手短に部屋番号を伝えると
そそくさと電話を切って
じゅん君の訪問を待った。

⏰:09/09/20 18:35 📱:P905i 🆔:88cGLt0k


#371 [りぃ]

「じゃあ私も行くね!」

萌は数種類のお菓子を適当に
掴んでバッグの中へ放り込むと、
手荷物を持って部屋を出ていった。


部屋にひとりになると、
私は大急ぎで化粧を直し
じゅん君へのプレゼントを
ひとまず目につかない位置へ隠した。

──じゅん君、財布のこと
  私に話してくれるかな…

⏰:09/09/21 16:28 📱:P905i 🆔:fc7lWhx.


#372 [りぃ]

「電話もメールもできなくてごめんね」

すぐに部屋へやってきたじゅん君は
真っ先に私にそう告げた。

「あ…うん、忙しかった?
 こっちこそ何度もごめんね」

そんなじゅん君に対し、
事情を知りながらも
なんとなく必要以上に
気を遣ってしまう自分が居る。

⏰:09/09/23 00:41 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#373 [りぃ]

「いや、昨日財布無くしちゃってさ
 どうしようもないから
 とりあえず助けてもらいにね」

じゅん君は誤魔化すように
笑いながらそう言った。

「あ、そういえばさっき翔さんから
 その話チラッと聞いたんだよね。
 これ良かったら使って。」

じゅん君の口から他の女の子の
話はやっぱり聞きたくない。

私は遮るように口を挟み、
プレゼントの袋を掴むと
じゅん君の目の前に差し出した。

⏰:09/09/23 01:28 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#374 [りぃ]

「え?!BVLGARI?!
 翔から聞いたって何を?」

じゅん君は突然差し出された
紙袋を見て心底驚いた様子で
何度も紙袋と私の顔に
視線を往復させた。

「じゅん君がお財布無くしたみたい
 って言ってたから」

私が言うが早いか、じゅん君は
リボンの掛かった箱を取り出し
待ちきれない様子で開封し始める。

⏰:09/09/23 20:51 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#375 [りぃ]

箱の中の長財布と対面した
じゅん君は、一瞬の沈黙の後
財布を握りしめ私へ向き直った。

「やべぇまじ嬉しい…!
 ほんっとありがとう!」

無邪気に喜ぶじゅん君の笑顔に、
これまで感じたことのない
充実感で満たされる。

じゅん君はおもむろに
デニムのポケットから
数枚の1万円札を取り出し
長財布の中へ仕舞い始めた。

⏰:09/09/23 20:58 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#376 [りぃ]

貢ぎさんにもらった1万円札の束…

気にならないといえば嘘になる。

でも私にもじゅん君のために
やってあげられることはあった。

そしてそれをこんなに喜んでくれた。

私の存在も少しは意味があるのかな。
これからもじゅん君を
支えていきたい…!

思い切って
切り出してみてもいいかな…

⏰:09/09/23 21:06 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#377 [りぃ]

「ねぇ、じゅん君…?」

私が切り出した瞬間、

「…俺他の繋がり切るわ」

じゅん君も同時に口を開いた。

──繋がり切る?!

急な展開に驚きつつ、
まさかの言葉に心のどこかで
喜んでる自分も居る。

⏰:09/09/23 21:37 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#378 [りぃ]

「え、いきなり何で…?」

自分で自分を落ち着かせながら
私は恐る恐る問い掛ける。

「ユリサちゃんだけでいいから。
 最近ずっと考えてたんだけど



 付き合おっか俺ら。」




⏰:09/09/23 22:18 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#379 [りぃ]

「…うん。」

私は何の疑いもなく
自分でも驚くくらいあっさりと
じゅん君の言葉を受け入れた。

これは夢?

嬉しくて幸せで胸が苦しい。
自然と涙が溢れて言葉にならない私を
じゅん君は笑いながら抱き締める。

絵に書いたような幸せに
私は思う存分酔いしれていた。

⏰:09/09/23 22:28 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#380 [りぃ]


─────────

この頃から
私が思っている以上に
私たちの関係は大きく
変わり始めていた。

今考えると、
なんてわかりやすいんだろう。

それすら察することのできない
自分の愚かさや浅はかさ…

ただただじゅん君を
追いかけることに必死だった私は
ホストの営業トークのような
ベッタベタな言葉にすら
気づけずに居た。

⏰:09/09/23 22:35 📱:P905i 🆔:OCvz9NHI


#381 [りぃ]

      
作者のりぃです。
海外赴任中はパソコンから更新しようと思っていたのですが、板にオーダー設定していたせいで書き込みができませんでした
楽しみに待っていてくれた皆様、本当にすみませんでした。
また書き進めていこうと思いますのでよかったら覗いてくださいね
      

⏰:10/06/10 10:39 📱:P905i 🆔:9jl/NkJI


#382 [おりょう♪]
渡辺と申します
私は6年前に1歳の子供を亡くし、その後離婚、バツイチです。

私の小説(切ない感動物語〜メッセージ〜)は大手出版社・文藝社から作家デビュー作として熱烈なオファーを受けています♪.

こんな私ですが、よろしくお願いします<(_​ _)​>

スレッドを作りました
私の小説でみんな感動すること受け合いなのでみんなの力で私を応援してください♪

⏰:10/06/10 10:46 📱:PC 🆔:KEY0IwQU


#383 [我輩は匿名である]
たのしみですがんばれ!

⏰:10/06/11 00:30 📱:SH02A 🆔:wk9GcYqE


#384 [ピメ]
続き楽しみですァゲ

⏰:10/06/12 18:57 📱:P906i 🆔:A9SyOisg


#385 [我輩は匿名である]
楽しみにしてます

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:10/06/12 20:01 📱:SH06B 🆔:stUDDtwc


#386 [我輩は匿名である]
>>80-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400

⏰:10/06/13 21:56 📱:W53H 🆔:QJ1Ng0CU


#387 [我輩は匿名である]
一気に読みました

頑張って下さい

⏰:10/06/14 13:37 📱:SH01B 🆔:j3bqa7qM


#388 [我輩は匿名である]
続き気になります!

⏰:10/06/15 22:56 📱:SH905i 🆔:HpFuU9ns


#389 [りぃ]

     
携帯変わりました。作者です。

みなさん、早速のコメント
ありがとうございます
これからもよろしくおねがいします。
     

⏰:10/06/17 00:32 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#390 [りぃ]

名古屋公演の朝。

目を覚ました私の視界に真っ先に入ってきたのは、
すぐ隣で寝ているじゅん君の寝顔だった。

―――やっぱり夢じゃない!!

私は昨日、晴れてじゅん君の本カノになった。
それも、かなりあっけなく。

でも私の夢は間違いなく叶った。
もう、じゅん君の中に
私より上位の女の子は存在しないのだ。

じゅん君の枕元に置かれた携帯には
もう繋がりの女の子の連絡先は無く、
じゅん君のアドレスも昨夜変わった。
俗に言う“バンギャ切り”と呼ばれる行為だ。
もう必要の無くなった女の子たちは、
こうしてある日突然
連絡を断ち切られてしまうのだ。

⏰:10/06/17 01:01 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#391 [我輩は匿名である]
>>50ー100

⏰:10/06/17 05:23 📱:W61SH 🆔:V7mcmulM


#392 [我輩は匿名である]
>>50-100

⏰:10/06/17 05:40 📱:W61SH 🆔:V7mcmulM


#393 [りぃ]

その日の午後、
私と萌はじゅん君達の楽屋に居た。

ライブハウスの楽屋は、
思っていたよりもだいぶ狭く、
壁は、これまでそこを使ってきた
バンドマン達による落書きで
ごちゃごちゃと埋め尽くされていた。

大きな鏡の前では、メンバーが順番に
メイクさんによって
顔と髪を仕上げてもらっている。

⏰:10/06/17 12:50 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#394 [りぃ]

「あ、また見っけ〜♪」

楽屋の真ん中にあるテーブルの脇に置かれた
パイプ椅子に座った翔君の膝の上に
いつのまにかちょこんと乗っかった萌が
翔君へ届いたファンレターを
勝手に開封しながら声をあげた。

その左手には、開封したばかりの封筒と
右手には一万円札が握られている。

⏰:10/06/17 12:57 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#395 [りぃ]

「マミ、19歳のフリーターさんから
 1万円ゲットでーす♪
 “翔さんを支えたいです。”だって〜」

萌は翔君の膝の上で
キャハハと楽しそうに笑いながら
その手紙の内容を読み上げ
一万円札を翔君の目の前にひらつかせた。

「お、ラッキー♪」

別のファンレターに目を通してた翔君は
手紙から視線を外し、萌の手から受け取った
一万円札を嬉しそうに財布へしまった。

⏰:10/06/17 13:06 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#396 [りぃ]

「はい、こっちは全部“普通の”手紙ね。」

萌が選別した貢ぎレターだけを別にして
手紙の束を翔君のほうへどっさり差し出した。

翔君はその手紙の束をちらりとも見ず
自身でも別の手紙に手早く目を通しながら
ぼそりと言った。


「じゃあ捨てといて。」

⏰:10/06/17 13:15 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#397 [りぃ]

「うん、おっけー♪」

何のためらいも無く手紙の束を
ごみ袋へ運ぼうと立ち上がった萌は、
ふと何かを思い出したように
小さく呟いて翔君を振り返った。

「あ、でも待って翔君。」

「んー?」

「これさ、捨てる前に写メ撮らなきゃ。
 一応ブログにお礼書いたほうが
 翔君の印象が良いでしょ?」

萌はいつもの何かを企むような笑顔で
翔君にそう言った。

⏰:10/06/17 13:24 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#398 [りぃ]

「うっわ、お前計算高けぇ〜。
 こえーよ。」

翔君は笑いながらそう言うと、
さりげなくポケットから携帯を取り出し
萌に言われたとおり無造作に積まれた
手紙の束を手早く写真に納めた。

それにしても萌の順応能力はすごい。
楽屋の中で極力目立たないように
端っこでじーっとしている私と違い、
萌は翔君に差し入れられたお菓子を
次から次へと開けては食べ、
翔君へ届いたファンレターも
自分のもののように全部開封し、あげくにスタッフさんとまで
仲良くなってしまっている。

⏰:10/06/17 13:37 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#399 [りぃ]

なのに、誰もそんな萌を煙たがることは無く、
むしろみんなで盛り上がり、
みんなに可愛がられている印象だった。

さらに萌は楽屋内やメンバーの様子を
遠慮なしにデジカメや携帯で撮りまくっては
楽しそうにはしゃいでいる。

無邪気に過ごす萌を見て、
私まで嬉しくなってしまうのだ。

⏰:10/06/17 13:43 📱:SH03B 🆔:MV0UNhyE


#400 [匿名]
400(^o^)/

⏰:10/06/18 16:58 📱:W63H 🆔:vUKAhuM6


#401 [りぃ]

     

スレ内を見やすくするため
主以外の書き込みを不可に
設定させてもらいます。

何かご意見などありましたら
感想板のほうへお願いします。

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4461/

     

⏰:10/06/18 20:38 📱:SH03B 🆔:o9qB9nqk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194