禁断って何?
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#849 [シバ]
「ちょっと待て!あんた、ご飯食べたの?」
シバは体育座りをして、あっちゃんの言葉を聞いていた。
「あー、バタバタしてこっち来たから何も食べてないよ」
あっちゃんは微妙な半笑いみたいな表情を浮かべて、その場に立ち上がる。
「早く言え(笑)酒弱いのに胃の中カラッポで酒飲んだら胃が荒れちゃうよバカ!ちょっとアルコールストップ!ストップ!アルコール!」
とかなんだか言いながら、すぐにキッチンへと向かった。
あー、本当にシバって酒弱いんだなー…熱いわー…とか考えながら、体が変な汗かいてることに気付いた。
疲れ、寝不足、空腹の三拍子が揃った中での酒一気飲みはダメっすねー。
熱いんだけど寒い。
これがまたたちの悪いアルコールパワー。
まただらんと足伸ばしてボーっとしてると、ジュージューと音がする中、なんかいい匂いがしてくる。
「おい、シバ!起きてるー?」
あっちゃんの声だ。
ちょっと大きめの声だった。
「起きてるよ〜」
「焼きそば作ってるから、食べなよ。食べるまで絶対寝かせないから(笑)。ってか、美味しそうだからあたしも食べよう♪」
とか何とか聞こえてきて数分後、2つの皿を持ったあっちゃんが登場した。
「ほれ、キャベツたっぷり焼きそば!とりあえず今すぐよく噛んで食べな」
:14/03/26 01:49 :F02B :51ePH.6s
#850 [シバ]
あっちゃんと2人きりになったのはこれが初めてだ。
リィとあっちゃんとシバの3人の時は、あっちゃんはリィに対して今みたいな接し方をする。
3人となると、シバに対してはやんわりとした関係というか、遠慮がちというか、そんな接し方をしていた。
悪く言うと、本当に『他人』に対する感じ?
こうして2人きりになってみると、あっちゃんっていう人間のことがよく分かって面白い。
まぁ、事情が事情だけに『あっちゃんと仲良くなれた〜』なんて浮かれてる場合じゃないけど。
あっちゃん特製の焼きそばは大変美味でした。
キャベツがシャキシャキで、丁寧に豚肉ともやしとにんじんも入ってた。
あっちゃんも美味しそうに食べていた。
「シバに作ったつもりだったのにさ、匂い嗅いでたら食べたくなって具材と麺足しちゃった(笑)。ほら、この時間の麺類って特に美味しいし」
とか言って、2人でモリモリ食べた。
ヤバい、また食べたいってことを伝えると、
「嬉しいこと言ってくれるじゃない(笑)。こんなのでいいならいつでも作ってあげるわ」
って言葉をいただきました。
そして、アルコールの力恐るべし。
酔っ払いはしないものの、めったに飲まないってだけあって、体中が赤くなってフラフラだった。
「ダメだー、ちょっと横になっていいかな?」
足震えてて涙目。なんとまぁ、みっともない。
あっちゃんに散々迷惑かけたのに、そのあっちゃんの手を借りて立ち上がろうとするも力が入らず断念。
:14/03/26 02:07 :F02B :51ePH.6s
#851 [シバ]
「ちょっと待ってて」
急に優しい声で話しかけた後、あっちゃんは立ち上がってどこかへ行ってしまう。
シバは土下座する体勢でペタンと床に引っ付いた。
心臓の音が早くて自分でもビックリしてしまう。
土下座の体勢のままで会話が始まる。
「何その体勢(笑)。どんだけ酒弱いの。おいで、膝枕してあげる」
「…なんですと?」
「え?背中さすってあげるから。布団持ってきたし、ちょっと休みな」
「いや〜、そりゃちょっとマズいんじゃないか」
「何で照れてんのよ(笑)。可愛いとこあるね、意外にも(笑)。そのままが楽ならそれでいいけど、土下座と膝枕どっちがいい?」
年上の綺麗なお姉さんってズルいですね。
不覚にもキュンとしてしまいました。
「…膝枕」
土下座のシバをズリズリ引っ張って、あっちゃんの膝にシバの頭をコテンと置いてくれた。
「よくできました…よいしょ。疲れてるんだよ。リィに話したいことあるだろうけど、今は自分のことだけ考えればいいの。あんたが落ち着いたら話聞くから」
そう言って背中スリスリしてくれる。
メチャクチャ落ち着きました。
あっちゃんの太ももは細かった。だから痛いんじゃないかと心配すると、今は自分のことだけ考えろって怒られました。
:14/03/26 02:24 :F02B :51ePH.6s
#852 [シバ]
横になったシバに、あっちゃんは布団をかけてくれた。
しばらくは胃の中でアルコールがドタバタ暴れてて気持ち悪かった。
焼きそばのお陰で、心なしか楽ではあったけど頭ぐわんぐわんするし、心拍数早いし(あっちゃんの膝枕のせいもあるかも)、気持ち悪いし…
うぇ〜とかオェ〜とかバカな声出してると、あっちゃんは背中をポンポン叩き始めた。
赤ちゃんを寝かしつけるようなリズムの、あの叩き方。
あっちゃんと2人きりの空間で多少緊張してたシバだけど、あっちゃんマジックは凄かった。
リラックス感ハンパなくて、頭撫でられるとここから記憶が飛ぶまで時間はかからなかった。
パッと目が醒めると、あっちゃんの太ももの上だった。
「あれ、もう起きた?」
あっちゃんをボンヤリと見上げる。
「あんた、猫みたい。丸くなってスースー寝るんだもん(笑)」
おでこがヒンヤリした。
どこからか持ってきた冷えピタが貼られていることに気付く。
「いっぱい汗かいてたから、勝手に貼っちゃった。大丈夫?」
スッキリ感はないけど、1時間は寝てたのか起き上がれる気力は余裕であった。
「汚い汗かきまくってごめんよ、明子先輩」
「寝起き早々で申し訳ないけど、今更明子先輩とかキモいからやめれ(笑)。普通にあっちゃんか明子って呼べ」
:14/03/27 00:44 :F02B :V1O6Amk6
#853 [シバ]
あっちゃんは笑いながら、濡れたタオルをテーブルにポイッと置いた。
どうやら、冷えピタだけじゃ間に合わないくらいシバの体が熱を持っていたらしく、わざわざタオルを濡らして汗を拭いてくれてたらしい。
行き当たりばったりでここまで来て、無計画が無計画を呼んで一匹狼になったシバに救いの手を伸べ、かつ酔っ払いの介護までしてくれたことに酷く自分の行動を反省した。
「ありがとね、なんか色々…」
そう言って起き上がると、あっちゃんは足をピーンと伸ばした。
「いえいえ。アイタタタタ…痺れたわ。よく考えたら久しぶりに正座したかも(笑)。まぁ、お目覚めってことでこれでも飲めや。酔いも醒めるかもよ」
そう言って烏龍茶を渡してくれた。
喉が渇いてたからゴクゴク飲んだ。
「こんだけの量しか飲んでないのに、こんなにフラフラになるって情けないね」
あっちゃんにそう話した。
「別に飲めなくてもいいじゃん?むしろ、酎ハイで酔える方が飲み会とかで変に飲まされないから楽だと思うけど」
「そうかな?結構、上司とかには笑われちゃうんだよね(笑)」
「シバみたいに体中が赤くなっちゃうのってさ、体に合わないってことだと思うし、あんまり飲まない方がいいかもね」
大先輩の経験談みたいに語るあっちゃんは、涼しい顔して焼酎をお湯で割って飲んでいた。
:14/03/27 01:00 :F02B :V1O6Amk6
#854 [シバ]
そして、立ち上がって窓を開け、タバコをくわえて戻ってきた。
「あれ?あっちゃんってタバコ吸うっけ?!」
この時の純粋なシバは『煙草』というモノに対して、ヤンキーとかおっさんとか、飲み屋の姉ちゃんとか、そういう人達が嗜むモノだと思ってたから、あっちゃんがタバコに火を点けるのをガン見しながら素朴な疑問を投げかけた。
後にタバコには世話になるワケだけど…
「あたし?吸うよ(笑)。何で?」
「いや〜、意外だな〜と…」
透明の灰皿をテーブルに置きながら、あっちゃんはまたあぐらをかいて床に座る。
「シバの周りの子が吸わないからでしょ?リィも由香も吸わないもんね」
煙を吐きながら、淡々と語るあっちゃん。
あれはマイルドセブン(現・メビウス)の8ミリだったはず!
(そして前にも書いたけど、あっちゃんは姉・ゆーちゃんとも仲良しです)
灰皿に灰を落とすなり、あっちゃんは別のお菓子を開封してシバとあっちゃんの真ん中に置いた。
「もう目は醒めた?あー、赤み引いたじゃん(笑)」
シバの顔を覗きこむなり、また笑う。
ねぇねぇ、どうしたらそんな風に綺麗に笑えるの?っていうくだらない質問を言いかけてやめた。
:14/03/27 01:15 :F02B :V1O6Amk6
#855 [シバ]
タバコをグシグシと揉み消して、あっちゃんはお湯割りを飲む。グラスを持つその手は、リィと違って細くて長い指だった。
「で…本題に入ろうか。これからどうするよ?」
突発的な質問だった。
そうだ!そうなんですよ!
それを解決させるためにこっちに来たんだから!
「リィからちょっとは聞いてたんだけどさ。第三者のあたしが入り込んで解決できることじゃないから、とりあえず見守ってたけど…」
シバは烏龍茶を飲み干していた。
それに気付いたあっちゃんは、もうこれしかないって言って三ツ矢サイダーをくれた。
お礼を伝え、意を決して口を開く。
「電話もメールも、態度がどんどん変わってるなーっていうのは気付いてた。別れを考えたけど、シバはリィのこと好きだから手放したくないって思っちゃって、あえてそこは突っ込まず様子見てた」
「うんうん…」
あっちゃんは2本目のタバコに火を点ける。
「ゆーちゃんはシバの大事な姉。リィはシバの大事な彼女。でも、そんな2人が親友だって考えると、もうどうしていいか分からなくなって…それでもシバはゆーちゃんじゃなくて、リィを選んだ。失いたくないのはリィだ!って決めつけて…だから今日、ハッキリさせるためにここに来たんだけど…」
:14/03/27 01:34 :F02B :V1O6Amk6
#856 [シバ]
「その肝心なリィがいなかったってワケね」
「そう」
頷くことしかできなかった。伝えたいことなんて山ほどあったのに。
あっちゃんにはノロケ話さえしたことがなかったから、いつかリィとのおのろけを聞いてもらう日がくると思ってたけど、順番が逆だった。
今更、順番もクソもないんだけども…
あっちゃんはテレビをつけた。
シバが寝てる時に消してくれてたみたい。ケータイでも弄ってたのだろう。
トーク番組っぽい感じのものが流れてた気がする。
「シバって優しすぎるって言われない?」
あっちゃんからの突発的な言葉だった。
リィもそうだけど、いきなり話がぶっ飛んだり、看板破り!とでも言わんばかりの勢いでドカンと質問を投下してくる。
「言われないこともないけど、何で?」
「シバって真面目な子なんだろうなーって思う。リィも言ってたけど」
リィにそう思われてたのか。
サボってた神経が一気に目覚めた感じで、あっちゃんの言葉たちに敏感になる。
:14/03/29 02:10 :F02B :7LT/iRcA
#857 [(^_^)]
あげます!
:14/06/22 11:10 :iPhone :Z/1Yfu.s
#858 [我輩は匿名である]
あげ!
:15/02/01 19:01 :iPhone :S.ktijkQ
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