Chaotic
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#14 [まなか]
斜め向かいのドアが再び鈍い音を立てると、足音が棗とトイレットペーパーの小部屋に近づいてきた。
コンコン
「大丈夫。出てきなよ。」
優しい声がする。
久しく聞かない優しい声だ。
心拍が急に穏やかになった。
棗はドアをそっと押した。
:07/06/20 22:27
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#15 [まなか]
視線をあげると、長いまつ毛と大きな瞳があった。
さっきまであんな激しい声をあげていたとは思えない整った口角があがり、
「一緒にする?」
そう一言が放たれ、棗の湿った手にひんやりと注射器があたった。
:07/06/20 22:34
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#16 [まなか]
後ろには見知らぬ男がたっている。
彼も整った顔立ちと長身、細身。
まさにお似合い。
そう一瞬思うと、急に彼らに近づきたくなった。
彼らが砂漠の中で神々しく輝く一本のミネラルウォーターの入ったペットボトルのように感じられた。
棗は小さく頷き、注射器を握った。
:07/06/20 22:39
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#17 [まなか]
男が手慣れた様子でガラスの小瓶をライターの火で炙ると、中の半透明な結晶が見る見る液化していくのが見えた。
きらきらと光を透かし、棗には美しいとも感じられた。
女が待ちきれないのか足をバタバタと鳴らすと、男は微笑み、棗を手招きした。
:07/06/20 22:58
:N703iD
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#18 [まなか]
恐る恐る男に近づくと、香水の匂いがふっと鼻腔を擦り抜けた。
男の細い指が棗の手を包み、導くようにして注射器のピストンを引いた。
すーっとなめらかに液体が入ってゆく。
男がすっと棗の手を引き、「あっこれくらいでいいのか」
と呑気なことを棗は思った。
早く、早くと女が急かし、男は棗の手から注射器を抜き取ると、にやにやと笑う女の白い腕に針を挿れた。
:07/06/20 23:04
:N703iD
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#19 [まなか]
液体は針の中心にある細い道を通り、女の体に流れる。
不思議な儀式を棗はただ眺めるだけだった。
針を抜くと、女は首をうなだれ、低く唸った。
:07/06/20 23:06
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#20 [まなか]
と、女は突然大声で笑いだした。
視線は宙を泳いでいる。
アンモニアと香水が交じりあったなかに、男と女の愛液の匂いが顔をのぞかせる。
濡れた少女と、甲高い声で笑い、蝶のように舞う少女。
ひとり、注射器を腕に挿入する美しい男。
転がるトイレットペーパー。
なんてファンキー。
:07/06/20 23:11
:N703iD
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#21 [まなか]
世界に酔っていた棗の腕がぐっと引かれた。
その瞬間、痛みが走り、体のなかに異物が入ってくるのがわかった。
:07/06/20 23:13
:N703iD
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#22 [まなか]
体中の血管―大動脈から毛細血管を電気が流れ、体がカッと熱くなる。
マンコから温かい液が流れ、目がこぼれ落ちそう。
頭に浮かぶのはただ、男女のファックシーンだけ。
:07/06/20 23:16
:N703iD
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#23 [まなか]
それからどれくらいの時が過ぎたのか、棗は見覚えのない車のなかにいた。
頭がひどく痛む。
これ、飲みな。
あの砂漠のミネラルウォーターが目の前に現れた。
手を伸ばし、一口ふくむと経験したことのない快感が棗を楽しませた。
:07/06/20 23:19
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