Chaotic
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#7 [まなか]
棗は暗い、アンモニア臭の充満するトイレの一室にいた。

制服は破れ、頭から滴り落ちる温い水は、まるで涙のように顔を濡らした。

まわりに散らばる数個のトイレットペーパーと女子高生の小部屋。

慣れているはずなのに、棗の体の芯がざわざわと黒い影に覆われていた。

⏰:07/06/20 21:59 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#8 [まなか]
「無常だなぁ」
モップ掛けされた髪を撫でるとそう呟く。




鈍い音がして、斜め向かいの小部屋のドアが開いた。
一つじゃない息遣いが聞こえる。

⏰:07/06/20 22:02 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#9 [まなか]
息遣いはどうも二つのようだった。
はじめは穏やかだった息遣いが段々とはっきりと聞こえるようになると、棗はそれが男と女のものであると気付いた。


濡れた左手首の時計に目をやると、針は八時を指していた。

⏰:07/06/20 22:05 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#10 [まなか]
「んっ…あぁ」


棗は自分の心臓がものすごい速さで拍動するのがわかった。


ガタガタとトイレ全体が揺れているかのように男女の動きに合わせて激しい音が立つ。


女の喘ぎ声は段々と大きくなり、同時に棗は自分の下腹部が熱くなる感覚をひどく憎んだ。

⏰:07/06/20 22:11 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#11 [まなか]
「あああぁ!イク!イクう!」

そう叫び声にも近い荒い声が聞こえると、それまでは息遣いだけの存在だった男が小さな声で
「中に出すぞ」と切れ切れに言った。

⏰:07/06/20 22:14 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#12 [まなか]
暫くして激しい揺れが治まり、また始めのように男女の荒い息遣いだけが聞こえるようになった。

息を殺すことも困難なほど、胸が苦しく、いじめられても泣かない棗の目が少し潤んだ。

⏰:07/06/20 22:20 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#13 [まなか]
あまりの苦しさに少しふらついた瞬間、足元に転がる、染みの着いたトイレットペーパーを踏みつけ、
「あっ」と間抜けな声が出た。





急いで息を止め、存在を消そうとしたが遅かった。

⏰:07/06/20 22:24 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#14 [まなか]
斜め向かいのドアが再び鈍い音を立てると、足音が棗とトイレットペーパーの小部屋に近づいてきた。

コンコン

「大丈夫。出てきなよ。」
優しい声がする。
久しく聞かない優しい声だ。

心拍が急に穏やかになった。



棗はドアをそっと押した。

⏰:07/06/20 22:27 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#15 [まなか]
視線をあげると、長いまつ毛と大きな瞳があった。

さっきまであんな激しい声をあげていたとは思えない整った口角があがり、
「一緒にする?」
そう一言が放たれ、棗の湿った手にひんやりと注射器があたった。

⏰:07/06/20 22:34 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


#16 [まなか]
後ろには見知らぬ男がたっている。
彼も整った顔立ちと長身、細身。

まさにお似合い。



そう一瞬思うと、急に彼らに近づきたくなった。

彼らが砂漠の中で神々しく輝く一本のミネラルウォーターの入ったペットボトルのように感じられた。




棗は小さく頷き、注射器を握った。

⏰:07/06/20 22:39 📱:N703iD 🆔:KW05ByfI


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