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#143 [我輩は匿名である]
6−3 小説的な文章を心がける
「男の身長は165センチです」
「え?」
「どれぐらいの大きさかな?」
「いや、わかんねーよ165センチとか言われても」
「そう。新しいキャラを登場させた時に、そのキャラについていろいろ描写するよね。
そこで身長165センチとか具体的に言われても分からないよね?」
「わからんな」
:08/11/23 21:31
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#144 [我輩は匿名である]
「じゃあ、『天井に頭がつきそうなほどの男』だったら?」
「かなりの大男だな」
「では反対に『そばにある石碑ほどしかない男』だったら?」
「ものすごいチビだな」
「うん。あまり具体的すぎると、かえって分からなくなったりするからね」
「難しいな…」
「それから、説明的な文章もだめだ」
「説明的?」
「ちょっと例文を用意してみたから見てくれ」
:08/11/23 21:32
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#145 [我輩は匿名である]
時は2008年11月。
とある古いアパートに、いわゆるニートと呼ばれる職業である、太郎という男ががいた。
彼は17歳の頃に高校を中退し、以後引きこもりながらネトゲ三昧という生活を送っていた。
初めは親も将来について考えるように忠告してはいたが、どうやらすでに諦めたらしく、最近では太郎に金を渡して放置している状態だ。
それにつけこんで、太郎は好き勝手なニート生活を満喫していた。
「あーあ、暇だなぁ」
:08/11/23 21:33
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#146 [我輩は匿名である]
「……と、この小説を見たらどう思う?」
「いや、別に…ちゃんと主人公の説明ができてるんじゃないの?」
「そうか。僕なら3行目で読むのをやめるね」
「それはなぜ?」
「これも初心者によくあるミスなんだけどね、文章が説明的すぎるんだ。『描写ができてない』と言い替えてもいい」
「どういうことだ?」
:08/11/23 21:33
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#147 [我輩は匿名である]
「小説とは、読者にイメージを創造させることに意義がある、って言ったよね。
読者は創造力を刺激されることを望んでおり、描写からシーンを創造することが小説の醍醐味だ。
だから、上の例文みたいに説明されたんじゃ読む気をなくしてしまう」
「なるほど…」
「では、どうすれば『描写』がなされている小説らしい文章を書けるのか。
コツとしては、イメージを連想させるんだ」
「連想?」
:08/11/23 21:35
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#148 [我輩は匿名である]
「例えば、さっき君が書いた歌箱の村の描写から引用すると」
春がすぎ、じめじめとした梅雨が明けて間もない頃。
気温もどんどんと漸増していく中、変わらない太陽がさんさんと輝いていた。
「この一文。直接『夏』とは書いていないけど、季節が夏だということは分かるだろう?」
「たしかに」
「これは『夏』という場面を連想させる描写をしているからなんだ」
「ほうほう」
:08/11/23 21:36
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#149 [我輩は匿名である]
「分かりやすいのが冒頭の一文。春がすぎ、梅雨が明けたら季節はいつ?」
「夏だな」
「気温が上がっていき、『太陽がさんさんと輝いている』イメージがあるのは?」
「まがうことなく夏だ」
「そう。『梅雨明け』『気温の上昇』『さんさんと輝く太陽』、これらはすべて『夏』を連想させるもの。
他には『入道雲』なんかがあってもいいかもね。
小説を書くときは、こういった『場面を連想させるもの』を文章に取り入れていけばいいのさ」
「なるほど」
:08/11/23 21:37
:P903i
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#150 [我輩は匿名である]
「では、さっきの例文。季節が秋、主人公がヒキオタニートであることを連想させるならば…」
:08/11/23 21:38
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#151 [我輩は匿名である]
雀の鳴き声が響き、カーテンから朝陽が射し込む。
吹きすさぶ冷たい木枯しが、古アパートの立て付けが悪くなった窓をカタカタと鳴らした。
窓の外では、葉が落ちて枝が露出した街路樹の下を、これから出勤するサラリーマン達がコートを着込んで歩いている。
その最中、部屋の住人である太郎はまだ布団の中にいた。
緩慢な動作でテーブルの上に置かれたエアコンのリモコンに手を伸ばす。
暖房をつけ、リモコンをテーブルに放り投げたとき、壁に掛けられた月カレンダーが目に入った。
:08/11/23 21:38
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:epQG/68k
#152 [我輩は匿名である]
もうすぐ残り一枚になるそのカレンダーに、予定が書き込まれたことはない。
事務的な用事以外で人と話すこともない。
家族ですら、ご飯ができたことを伝えにくる母親に、唸るような返事をするだけだった。
太郎はカレンダーから視線を外し、ベッドから這い出るように起き上がる。
伸びをして、脂肪で重くなった体を支える足を動かし、ドスドスと床を踏み抜くような音を立てながらパソコン机に向かった。
高校を中退して以来、パソコンとベッドの往復すら億劫になってきている。
いつものようにパソコンの電源を点け、ディスプレイにうつる起動中の画面を眺めながら呟いた。
「あーあ、暇だなぁ」
:08/11/23 21:38
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