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#262 [我輩は匿名である]
第11章 〜文章力を上げよう! 応用編…分かりやすい文章を書くために〜
「さて、10章では読者が『読む』文章を書くための心構えを教えたわけだが…」
「違和感なく、難しくなく、心理描写のある文章だな」
「うん。総じて『分かりやすい』文章だ。
この『分かりやすい』文章が書けない事には、上級の表現や技法なんて使えたものじゃない」
「ふむ」
:10/04/11 16:11 :P08A3 :O2tsMI0s
#263 [我輩は匿名である]
「たまにね、初心者なのに小難しい表現や言い回しを使う人がいる。
だがそういった文章は、『イメージしやすい』ことを念頭に書いていくもの。
人に分かりやすくイメージさせる文章を書けない奴が難解な表現を使ったって、ワケワカメになるだけだ」
「そうだな」
「というわけで、今回は上級文章の基本となる『分かりやすい文章』の書き方を教えていくぞ」
:10/04/11 16:12 :P08A3 :O2tsMI0s
#264 [我輩は匿名である]
11−1 描写の必要・不要を考える
「小説とは文章で表現するものだ」
「そりゃそうだな」
「映画やアニメ、マンガなんかと違い、はっきりとした映像を見せることができない。
これが小説の一番難しいところでもあり、一番楽しいところでもある」
「うむ」
「さらに、人によってイメージのしかたはまったく違う。
同じ文章でも、読み手が100人いれば100通りのイメージができあがる。
ここまでは分かる?」
「わかるぜ」
「では、なぜこんなことが起こるのか?」
「え?」
:10/04/11 16:13 :P08A3 :O2tsMI0s
#265 [我輩は匿名である]
「そもそも、『イメージしやすさ』とは何で決まるのか?」
「うーん…」
「例えば、こんな文章があったとしよう」
僕は夕暮れの公園に座っていた。
「さて太郎くん。君はこの文章を読んで、どんな情景が頭に思い浮かんだ?」
「どんなって言われても、夕暮れの公園に座ってる男の人、しかなくないか?」
:10/04/11 16:14 :P08A3 :O2tsMI0s
#266 [我輩は匿名である]
「もっと具体的に、だ。例えば公園はどれぐらいの大きさか、地面は砂地かコンクリートか、遊具はどんな物がどれぐらいあるのか」
「そんなの人によって変わるんだろ?」
「ところがどっこい、必ずしもそうってわけじゃない」
「ところがどっこいって古いな」
「ぶち殺すぞ」
:10/04/11 16:14 :P08A3 :O2tsMI0s
#267 [我輩は匿名である]
「確かに、100人いれば100通りのイメージがあるのは事実だ。
でも、その中には必ず『ある程度の共通のイメージ』がある」
「と言うと?」
「例えば『公園』という単語を聞けば、およそ大半の人が『砂地の地面で木や草がある場所』を連想するだろう?
コンクリートで固められた駐車場みたいな公園なんてあまり無いからね」
「確かにな」
「そして次に、ブランコや滑り台なんかも想像する人がいるかもしれない。
ただし、さっき言った『木や草』『砂地の地面』と同じくらいイメージしてる人がいるかと言うと、少し微妙だ」
「ふむ」
:10/04/11 16:15 :P08A3 :O2tsMI0s
#268 [我輩は匿名である]
「さらに『座っていた』という単語から、ベンチを想像する人は多いだろう。
だがこれも木や草に比べれば、ほとんどの人が連想するとは言い切れない。
花壇や遊具に座っているシーンを想像した人がいるかもしれないしね」
「ほうほう」
「さらにさらに。大きな公園が近所にある人や、頻繁に大きな公園へ足を運ぶ人は、噴水や池を連想するかもしれない。
また都会に住んでいる人なんかは、ビルとビルの間にある寂れた公園を連想して、古びたフェンスなんかを連想しているかもしれない」
「うん」
:10/04/11 16:16 :P08A3 :O2tsMI0s
#269 [我輩は匿名である]
「さて、これらの情報を連想率の高さでまとめるとこうなる」
1.ほとんどの読者が連想
・木や草
・砂地の地面
2.割と多くの読者が連想
・ベンチ
・滑り台などの遊具
3.一部の読者が連想
・花壇
・池や噴水
・フェンス
「実際に調査した訳じゃないから『必ずこうなる』とは言えないが、こうなる傾向はあるはずだ」
「うん」
:10/04/11 16:16 :P08A3 :O2tsMI0s
#270 [我輩は匿名である]
「ではここからが本題。さっきの例文だが…」
僕は夕暮れの公園に座っていた。
「この後にさらに公園に関する描写をするとしよう。
この場合、1の描写はほとんどいらない。なぜだかわかる?」
「描写しなくてもほとんどの読者が想像できるから?」
「正解。1については、必要な場合や特徴がある場合だけ描写すればいい。よくある公園像を事細かに描写しても、読み手が疲れるだけだ」
「うんうん」
:10/04/11 16:18 :P08A3 :O2tsMI0s
#271 [我輩は匿名である]
「続いて2。これらは、その要素が物語に直接関係する場合や、シーンの情景を鮮明に伝えたい場合に描写する。
あくまでも風景描写はイメージの補足だからね。たとえ筆者のイメージにそれらがあっても、必要が無ければ細かい描写はしなくていい」
「では3は?」
「3の要素は、筆者のイメージにある場合は描写した方がいい。一般的なイメージと離れてるからね」
「なるほど。でもよくある物ほど描写の必要がないってのは意外だな…」
:10/04/11 16:19 :P08A3 :O2tsMI0s
#272 [我輩は匿名である]
「うん。さっきも言ったけど、『公園』という単語が出た時点ですでに読者の頭の中には公園がイメージされているんだ。
それをわざわざ描写しても疲れるし、文章のスピード感を損なうことになる。
何より読者は想像力を刺激されることを求めて小説を読むからね。ある程度は読者に任せてしまった方が、読み手としても書き手としても『いい文章』になる」
「ただし、作者のイメージが一般像と離れている時はキッチリ描写しないといけない、ってことか」
「その通り」
:10/04/11 16:19 :P08A3 :O2tsMI0s
#273 [我輩は匿名である]
11−2 情景の『前提』
「さて、ある事象について描写が必要な場合とそこまで必要でない場合があることを今説明したわけだが。
実際に文章に起こす場合、描写する必要のないイメージを読者が想像できる文章にする必要がある」
「もっと分かりやすく言ってくれないと理解不能なんだぜ…」
:10/04/11 16:20 :P08A3 :O2tsMI0s
#274 [我輩は匿名である]
「うむ。さっきの例文だが」
僕は夕暮れの公園に座っていた。
「描写の必要がない情景、つまり『公園』という単語からほとんどの読者が連想するであろう情景は『木や草』、『砂地の地面』と言ったね。
これらに関しては描写の必要がないが、実際に書くときは、これらの情景を読者に想像させないとイメージの相違が起きてしまう」
「まだ意味がわからん…」
「簡単な話さ。公園という『名詞』を修飾すればいい」
「あー…確かそれ国語で習った気が…」
:10/04/11 16:21 :P08A3 :O2tsMI0s
#275 [我輩は匿名である]
「では聞こう。『小さな公園』『大きな公園』『普通の公園』。
この3つのうち、『砂地の地面』を一番連想しやすいのは?」
「えーっと…『小さな公園』かな。『普通の公園』でもいい気はするけど」
「では、『ブランコや滑り台などの遊具』『ベンチ』これらを連想しやすいのは?」
「それだと『普通の公園』かな」
「では『噴水』を連想しやすいのは?」
「『大きな公園』一択だ」
「そう。だいたい僕の言いたいことが伝わったんじゃないかな?」
「えーっと…何となく分かったような…」
:10/04/11 16:23 :P08A3 :O2tsMI0s
#276 [我輩は匿名である]
「つまり、描写の必要・不要の判断には前提が必要なんだ。
小さな公園と書かれているのに噴水の描写があると少し不自然だろ?」
「あ、それは確かにそうかも」
「この場合、噴水の描写をする『前提』として、公園は『大きな公園』でないといけない。
描写を省く場合も同様だ。作者のイメージが『砂地の地面』だとしても、『大きな公園』と書かれていると連想されづらい。
大きな公園と言われると、河川敷のような場所を想像する人も多いだろうしね」
「『砂地の地面』の描写を省く場合、前提として『小さな公園』か『普通の公園』でないといけない、ってことか?」
:10/04/11 16:23 :P08A3 :O2tsMI0s
#277 [我輩は匿名である]
「そういうこと。必ずしもそうしないといけないって訳じゃないんだけどね。
逆に言うと、『砂地の地面』の『大きな公園』を読者にイメージさせたい場合は、描写が必要だってことだ」
「うーん…何となく分かるけど」
「まぁ、これは作者の個性というか、書き方に依るところが大きいんだけどね。
実際の小説ではこれに比喩などの表現を交えるから、イメージのしやすさや連想のされやすさも変わる。
あくまでも一例として捉えてくれればいい。それじゃ、おさらいだ」
:10/04/11 16:24 :P08A3 :O2tsMI0s
#278 [我輩は匿名である]
〜11章のおさらい!〜
「読者の想像は千差万別。しかしその中にはある程度共通したイメージが必ずある」
「共通したイメージを細かく描写する必要はない」
「共通したイメージとは、単語の選び方で決まってしまう。前、あるいは後の描写と比べて、矛盾や違和感がないか確認してみよう」
「小説の情景を決めるのは読み手の想像。あくまでも『読者ありき』である事を忘れないように」
:10/04/11 16:25 :P08A3 :O2tsMI0s
#279 [我輩は匿名である]
「おめでとう」
「ん?」
「僕のレクチャーは次で終わりだ」
「なんと!」
「これはあくまでも携帯小説のレクチャーだからね。最後は一般的な書籍小説と携帯小説の違いや注意点なんかをいくつか教えよう」
第11章 〜文章力を上げよう! 応用編…分かりやすい文章を書くために〜 完
次回は
最終章 『携帯』小説を書こう!
:10/04/11 16:26 :P08A3 :O2tsMI0s
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