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#96 [我輩は匿名である]
 
第5章 〜小説を書こう! 描写の基本編〜

「では、今からは本格的な講義に入る」

「オラ、わくわくすっぞ」

「これからは地の文についてレクチャーしていこう」

「地の文ってなんだ?」

「『地の文』っていうのは会話文以外の文章のこと。情景描写や心理描写などの総称だね。

これらはその場の状況を詳細に読者に伝えてイメージを膨らませたり、登場人物の気持ちを描いて共感を持たせたりと、小説においてなくてはならない大切な文章だ」

⏰:08/11/20 00:31 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#97 [我輩は匿名である]
「よくわからんが大事だということはわかった」

「それでいいさ。詳しくは今から教えていこう。まずは、全ての描写に必要となる『視点』について教えていこう」

⏰:08/11/20 00:32 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#98 [我輩は匿名である]
 
5−1 視点

「物語は、基本的には主人公の視点で進んでいく」

「視点ってなんだ?」

「『視点』っていうのは、簡単に言えば物語の『主軸』だ。誰を中心に物語が回るか、ってことだね。
視点はそのまま読者の目線になる。
主人公の視点で進んでいく、っていうのはつまり、主人公を中心に物語が展開される、ってことだ」

「なるほど、確かにそうだな」

「だから、主人公が分からないようなことを書くのはタブーだ」

「分からないようなこと?」

「例文を用意したから見てくれ」

⏰:08/11/20 00:33 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#99 [我輩は匿名である]
太郎は町を歩いていた。
しばらくして女の子とすれ違った。茶髪でふわふわのパーマをかけた、美しい人だ。

太郎はその人に一目惚れした。彼女の気持ちが気になった。
彼女もまた、太郎に一目惚れしていた。


「これはひどい」

「ぶち殺すぞ。まぁそれはさておき、彼女は太郎のことをどう思っているのかな?」

「いや、一目惚れしてるんだろ?」

「恋愛ものってさぁ、相手が自分をどう思っているのか分からないのが面白いと思うんだよね」

「え?」

⏰:08/11/20 00:33 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#100 [我輩は匿名である]
「恋愛ものは主人公を視点に置いて読者を主人公とリンクさせ、より大きな共感を誘うのが肝要だ。
主人公の太郎に、彼女の気持ちがわかるわけないだろう? エスパーじゃないんだから」

「そりゃまぁ、そうだな」

「だから、彼女の気持ちまで描写しちゃいけないのさ。あくまでも主人公の視点で物語は進むんだ」

「なるほど」

「それを踏まえて、さっきの例文を直してみるよ」

⏰:08/11/20 00:34 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#101 [我輩は匿名である]
太郎は町を歩いていた。
しばらくして女の子とすれ違った。茶髪でふわふわのパーマをかけた、美しい人だ。

太郎はその人に一目惚れした。彼女の気持ちが気になった。

太郎が彼女のほうへ向き直ると、ちょうど彼女もこちらを見ている。
一瞬目が合ったが、すぐにそっぽを向かれた。
太郎はショックを受けた。


「これなら、太郎…ひいては読者には彼女の気持ちがわからない」

「このあとの展開にワクワクしてきたぜ」

「そのワクワク感を持たせるのが重要なのさ」

⏰:08/11/20 00:34 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#102 [我輩は匿名である]
 
5−2 一人称

「さて、この視点だが、一・二・三と人称によって変化するぞ」

「ほう?」

「まずは一人称。『僕』や『私』が主体となって進んでいく。
心理描写が容易なため感情移入がしやすい反面、客観的な描写がしにくい欠点がある」

「口で言われてもよーわからん」

「例文を用意した」

⏰:08/11/20 00:35 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#103 [我輩は匿名である]
かくして俺はこの栄光を手に入れたわけだが、それを乱用するつもりはない。
俺が世界のヒーローなんて馬鹿げている。
それについて俺はどうとも思わないけどな。


「とまぁ、こんな感じだ。
一番の長所は、やはり『使いやすい』こと。作者がその人物になりきって書けばいいわけだからね」

「なるほど」

「ただし注意点がいくつか。
まず、この人称を使った場合は、語り手が知り得ない情報を描写してはいけない」

「…? よーわからん」

⏰:08/11/20 00:35 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#104 [我輩は匿名である]
「上の例文で言えば、語り手は『俺』だ。この場合、『俺』が知ることができない情報は描写できない。

例えば『俺』以外の人物の気持ちだとか、『俺』がいない場所で起きている出来事とかね」

「なるほど、『俺』が知らないことは書けないってわけか」

「その通り。この人称を使った場合は、基本的に視点が動かない。
だから、恋愛ものや日常ものなど、心理描写が重要で視点の変動が少ない小説に向いている」

「最初から最後まで主人公を中心にして回る物語で使いやすい、ってことだな」

⏰:08/11/20 00:36 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#105 [我輩は匿名である]
「そう。だからバトルもののファンタジーや連続殺人が起きるミステリーなんかでは使いづらい。主人公がいない場所での描写ができないからね」

「なるほど」

「でも使いやすい。だから、初心者におすすめの人称だ。
夏目漱石の『吾輩は猫である』も一人称だから、読んでみるといい」

「把握だぜ」

⏰:08/11/20 00:37 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#106 [我輩は匿名である]
 
5−3 二人称

「続いて二人称。これは『あなた』とか『お前』とかだ。
注意してほしいのが、主語が『あなた』なだけあってで、語り手は『あなた』ではない、ということ」

「またよーわからん事を…」

「つまりね、手紙や会話なんかにしか使えないってことだ。
ここに、『太郎』と『ナナシ』がいたとする。主人公は太郎だ」

「うん」

⏰:08/11/20 00:37 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#107 [我輩は匿名である]
「ナナシ(第二者)の視点で太郎(第一者)を語ることが二人称と思われがちなんだけど、それは逆だ。
太郎の視点でナナシを語ったり、ナナシに問いかけたりするのが二人称だ。以下、例文」


ナナシさん、あなたは素晴らしい人だ。
あなたがいなければ、世界が救われることはなかった。

     とか

「あなたはなぜレクチャーをしているんですか?」


「みたいなね」

⏰:08/11/20 00:38 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#108 [我輩は匿名である]
「問いかける感じか」

「そう。だから二人称だけでは物語は作れない。
でも、二人称を効果的に使うことで読者を引き込むことができる」

「使いこなせれば強いってやつか」

「そうだね。慣れないうちはあまり意識する必要はないさ」

⏰:08/11/20 00:38 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#109 [我輩は匿名である]
 
5−4 三人称

「最後に三人称。これが最もポピュラーかな。
一人称と違って語り手のアクが出ない分、使い勝手はいい」

「でもその分扱いが難しいよな」

「そうだね。感情移入しづらい欠点もあるし。
でも一人称と比べて繊細で客観的な情景描写ができるから、ミステリーやオカルトなんかで威力を発揮できる。
以下、例文」

⏰:08/11/20 00:39 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#110 [我輩は匿名である]
太郎は町を歩いていた。
しばらくして女の子とすれ違った。茶髪でふわふわのパーマをかけた、美しい人だ。

太郎はその人に一目惚れした。彼女の気持ちが気になった。

太郎が彼女のほうへ向き直ると、ちょうど彼女もこちらを見ている。
一瞬目が合ったが、すぐにそっぽを向かれた。
太郎はショックを受けた。


「あれ? これってさっきのじゃん」

「うん、こういうのが三人称だ。正確には三人称は2種類あるんだけど…まぁ三人称のほとんどはこんな感じの、いわゆる『神視点』と呼ばれるものだ」

⏰:08/11/20 00:40 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#111 [我輩は匿名である]
「登場人物でも誰でもない、カメラが語っているようなものか」

「そうだね。語り手が登場人物じゃない分、視点の切替に制限がないし、主観が入らないから正確で繊細な描写がしやすい。
その反面、登場人物の心情を直接語るのが難しいので感情移入がしづらい」

「なるほど」

「使いこなせればどんなジャンルにも対応できるのが一番の魅力かな。
ただし、下手くそな人がこれを使うと本当に駄目になるから要注意だ」

「どうすりゃ上手くなるんだ?」

「練習あるのみさ」

⏰:08/11/20 00:41 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#112 [我輩は匿名である]
 
5−5 視点の切替・人称の使い分けはアリかナシか?

「ものにもよるが、視点も人称も、コロコロ変えすぎるのはあまりよくない」

「分かりづらいからか?」

「まぁそれもあるんだけど。最初に言ったように、視点や人称が変わる事で心情描写も増えてしまい、一定キャラへの感情移入がしづらい。
また視点が変わった場合は、それを明確に示しておかないと読者が混乱してしまうんだ」

「どういうことだ?」

⏰:08/11/20 00:42 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#113 [我輩は匿名である]
「つまり、さっきまで主人公の視点で話が進んでいたのに、いきなり違うキャラの視点に切り替わったらわけが分からないだろう?」

「ああ、なるほど」

「サスペンスやミステリーなど、視点の切替によって物語が進む場合もあるんだけどね。
その場合でも、やはり最初に『誰の視点か』を明確にしなくてはいけない」

「どうすりゃいいんだ?」

⏰:08/11/20 00:43 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#114 [我輩は匿名である]
「『5W1H』、覚えてるかい?
Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)の3つを最初に示しておけばいい」

「人物、時間、場所ってことか」

「そうそう。これは人称が切り替わる場合も同じだ、必ずその3つを最初に明確にすること」

「分かったぜ」

「じゃあ、おさらいに入ろう」

⏰:08/11/20 00:43 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


#115 [我輩は匿名である]
 
 〜5章のおさらい!〜

「小説では『誰の視点で物語が進んでいるか』が非常に重要。
視点となっている人物が分からないようなことは極力描写しないこと」

「人称は一・二・三と複数ある。それぞれに長所と短所があるので、プロットと照らし合わせて選ぼう」

「視点や人称の変えすぎはあまりよくない。
切り替える場合は、必ず視点を明確にすること。読者が混乱してしまうぞ!」

⏰:08/11/20 00:44 📱:P903i 🆔:TDftdaZo


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