星とぽんず
最新 最初 全 
#101 [七瀬]
そいつは、すぐ目を離したけれど、私はしばらく見ていた。
実技が終わり、みんな立つ。
あ、背結構、高いんだ。
名前を知ろうと思い帰り道、探したけれどたくさんの人の中、見つけられなかった。
:09/02/28 15:15
:N703iD
:p45OiH1g
#102 [七瀬]
長い電車の中、私はドキドキが止まらなかった。
電車を降りた後も、頭の中はさっきの奴でいっぱいだった。
帰り道の1時間半。
ちっとも退屈しなかった。
『ただいま。』
「おかえりー。どうだった?」
お母さんの質問にも耳を通さず、自分の部屋へ向かった。
:09/02/28 15:19
:N703iD
:p45OiH1g
#103 [七瀬]
しばらく、放心状態の私。
思い浮かぶ。
さっきの男の子。
あんなきれいな切れ味と
あんなきれいな顔……。
じゃなくって!!
:09/02/28 15:22
:N703iD
:p45OiH1g
#104 [七瀬]
違う違う!!
顔じゃなくって!!
この気持ちはなに??
好き?
何にも知らない彼のことが?
ううん。
違う。きれいな顔してたから。それだけ。
でも、あの技術には惚れたかもなぁ。
:09/02/28 15:25
:N703iD
:p45OiH1g
#105 [七瀬]
3月3日。
松田柚子、
見事に合格しましたっ!
あ、もちろんG高にね。
あぁ〜、これで受験戦争からはいち早く、抜けることが出来た。
:09/02/28 16:01
:N703iD
:p45OiH1g
#106 [七瀬]
私はルンルン気分で登校。
でもまだ、
教室、いや学校全体は受験モードから抜け出せていなかった。
だってまだ後期選抜が残ってるしなぁ。
普通科や、前期に落ちた子は大変だな〜。
:09/02/28 16:04
:N703iD
:p45OiH1g
#107 [七瀬]
のんきに考える。
私立や前期に受かって、喜んでいる私たちも、
命懸けの受験戦争に飲み込まれそうだ。
とはいえ、まぁ、
心の中は高校生活への期待でいっぱいだろうけど。
私もその一人だしね。
:09/02/28 16:08
:N703iD
:p45OiH1g
#108 [七瀬]
あの男の子も受かっているていいなぁ〜。
そんなことを考えてると、林原が登校してきた。
私は緩んでいた顔が、瞬時に引き締まるを感じた。
「百面相。」
私に向かっていう林原。
:09/02/28 16:12
:N703iD
:p45OiH1g
#109 [七瀬]
そう言う林原は、いつもみたいに無表情だけど、
どこか機嫌が良さそうだ。
あ、そうか。
林原も前期だもんね。
J高だし。
ってことは受かったのかな?
聞いてみた。
『受かったの?』
「お前は?」
またまた、聞き返された。
:09/02/28 16:15
:N703iD
:p45OiH1g
#110 [七瀬]
『イェイ!』
Vサインをつくり
満面の笑みで答える。
「ふーん、良かったじゃん。」と林原。
『まーね。で林原は?』
「俺?俺も余裕だけど??」
ニヤニヤ答える林原。
自分の時の合格の時より、うれしかった。
:09/02/28 16:20
:N703iD
:p45OiH1g
#111 [七瀬]
気付いてしまう。
これだ。
私が林原を見た瞬間、顔が引き締まった理由。
林原に他の男のことを考えて、喜んでる姿を見せたくなかったんだ。
最近の私、変だよ。
2人にドキドキしてる。
:09/02/28 16:24
:N703iD
:p45OiH1g
#112 [七瀬]
林原と、
名前も知らないヤツ…。
「どうした?」
林原の声で、我にかえる。
『ん、なんでもない。』
とごまかす。
:09/02/28 16:26
:N703iD
:p45OiH1g
#113 [七瀬]
「ふーん。なんか松田、へん。」
『そんなことないよ。』
必死にごまかすも、
林原の大きな瞳が、じっと私の目を見る。
何もかも見透かしてるような、目。
あぁ、ダメだ。
隠し通せない。
:09/02/28 16:29
:N703iD
:p45OiH1g
#114 [七瀬]
「おーい、席に着けー。」
ヒグマが教室に入ってきた。
と同時に林原は前を向いた。
あーっ、助かったー。
バレちゃうかと思った。
私の気持ち。
:09/02/28 16:32
:N703iD
:p45OiH1g
#115 [七瀬]
私の気持ち?
って
どんな気持ち??
“林原に私が他の男のことを考えて、喜んでる姿を見せたくない”
という気持ち?
それとも
林原にひかれてる
って気持ち??
:09/02/28 16:35
:N703iD
:p45OiH1g
#116 [七瀬]
今、自分の部屋の中。
あれから帰るまで、
ボンヤリしてた私。
だって分かんない。
林原のことが好き?
あの子のことが好き?
なにそれ。
分かんないよ。
:09/02/28 16:38
:N703iD
:p45OiH1g
#117 [七瀬]
ただ確かなことは……、
私は2人にドキドキしてるということだけ。
:09/02/28 16:41
:N703iD
:p45OiH1g
#118 [七瀬]
「蛍のひかーり
窓のゆうーきー」
今、卒業式の一番、盛り上がる部分。
女子のほとんどが泣いている。
中には大粒の涙を流し、歌声になってない。
男子は目をウルっとさしているか、妙に割り切っているかのどっちかだ。
そんな私は、人間観察してるぐらいだから、
結構冷めてるのかも。
:09/02/28 16:50
:N703iD
:p45OiH1g
#119 [七瀬]
まったく悲しくない訳でもない。
ただ実感がないんだ。
“私、卒業するんだ”、
“明日から、この学校には来ないんだ”
というイメージが湧かない。
だから泣けない。
それだけ。
:09/02/28 16:54
:N703iD
:p45OiH1g
#120 [七瀬]
実感が湧かないくらい、
現実じゃないような卒業式だった。
歌い終わった
「3年2組、起立!」
最後に1、2年に見送られ、卒業証書を手に、
自分の教室へと戻る。
:09/02/28 16:58
:N703iD
:p45OiH1g
#121 [七瀬]
教室ではヒグマが、ごっつい肩を揺らし、泣いていた。
こんなこと言うなんてホントに冷めてるのかもしれないけど
ちょっと引いた。
:09/02/28 17:00
:N703iD
:p45OiH1g
#122 [七瀬]
でも周りを見てみると、みんなも同じ気持ちみたい。
さっきまで泣いてた子も、固まってヒグマをガン見してるし。笑
よかった。
思ったより、私は冷めていなかった。
でもヒグマも最後まで面白いなぁ。
と、しみじみする。
:09/02/28 17:04
:N703iD
:p45OiH1g
#123 [七瀬]
そんなヒグマも最後の言葉を終え、
また教室中は悲しいに包まれた。
みんながそれぞれ最後の思い出に写真を撮っている。
私も何人かの友達と撮った。
:09/02/28 17:07
:N703iD
:p45OiH1g
#124 [七瀬]
そして、辺りを見回す。
林原、どこだろう?
あいつは、こういうのが苦手なヤツ。
別に、嫌いなわけじゃなく、照れてるんだ。
あいつのああいう、不器用な優しさに、
何回ドキドキさせられただろう。
:09/02/28 17:10
:N703iD
:p45OiH1g
#125 [七瀬]
あれ?
いない。
卒業式には、ちゃんといたの、見たのに。
嘘!?なんでいないのよ〜。
今じゃなくても言える。
けど今、言いたいのに。
なんで肝心な時にいないのよぉ〜!
:09/02/28 17:14
:N703iD
:p45OiH1g
#126 [七瀬]
このままなんて、やだ!
『やだやだやだ!!』
「フッ、何がやなんだよ。」
この声は……
林原!
後ろを振り向くと林原が笑っていた。
:09/02/28 17:17
:N703iD
:p45OiH1g
#127 [七瀬]
林原…。
私はいきなりのことに、
びっくりした。
「どーしたんだよ、松田。」あの目でいう林原。
何もかも見透かしてしまうような目。
茶色くって大きな瞳。
なんか犬みたい。
そして私の大好きな目。
:09/02/28 17:20
:N703iD
:p45OiH1g
#128 [七瀬]
「だから、どーしたの?
ぼぉーっとして、熱でもあんの?」
ともう一度、聞いてくる。
い、言わないと……。
ちゃんと自分の気持ち。
林原にぼぉーっとしてるなんて言われたくない。
……じゃなくって!!
:09/02/28 17:24
:N703iD
:p45OiH1g
#129 [七瀬]
あぁーっ、もう!!
じれったいなぁ!
なんか自分にイラついてきた。
あの日、じっくり考えたことを、そのまま言えばいいんだ!
言おう!
言うんだ、柚子!!
:09/02/28 17:27
:N703iD
:p45OiH1g
#130 [七瀬]
『あのね、私ね……』
決意した私は言う。
恥ずかしくって、林原の顔を見れず下を向く。
『私はね、林原のことが、す、すす……
あいつは私の言葉を遮る。
「俺もだよ。俺も同じ気持ち。」
:09/02/28 17:31
:N703iD
:p45OiH1g
#131 [七瀬]
『へ……?』
思わず耳を疑う。
同じ気持ち??
林原も?
涙が出た。
一粒だけ。気付かないくらい小さい涙。
卒業式では泣けなかったのにな…。
:09/02/28 17:44
:N703iD
:p45OiH1g
#132 [七瀬]
『ホントに?』
「ああ、本当。」
『ホントのホント?』
「フッ、しつこいな。
ホントのホント。」
言いながらも林原は笑顔のまま。
:09/02/28 17:47
:N703iD
:p45OiH1g
#133 [七瀬]
「松田は俺のすごくいいライバルだよ。」
:09/02/28 20:05
:N703iD
:p45OiH1g
#134 [七瀬]
え?
ライバル??
目を大きく開いた。
:09/02/28 20:06
:N703iD
:p45OiH1g
#135 [七瀬]
林原は続けた。
「俺、技術ではお前に1度も勝てなかったんだ。
だから高校も同じ工業科を選んだ。」
あ…、そうか
だからJ高にしたんだ。
「だからお互い、高校で頑張ろうな。」
林原は、今まで見たことない、爽やかな笑顔で言う。
:09/02/28 20:11
:N703iD
:p45OiH1g
#136 [七瀬]
帰り道。
さっき林原に言われたことを思い出す。
私はフラれたのだろうか?
でもショックというよりも驚きが頭の中を支配している。
:09/02/28 20:13
:N703iD
:p45OiH1g
#137 [七瀬]
林原があんなことを思ってたなんて。
やっぱり何を考えるか分かんないヤツ。
そして
私は思い出したように走りだした。
:09/02/28 20:17
:N703iD
:p45OiH1g
#138 [七瀬]
あの公園に。
林原の言うとおり、もうあの公園は空っぽになっていた。
私はつっ立ったまま、夕焼けで赤く染まった、ただの土地を見ていた。
:09/02/28 20:24
:N703iD
:p45OiH1g
#139 [七瀬]
4月に入り、今日はとうとう入学式。
私は朝から、
いや一昨日から緊張していた。
だって、あの男の子にまた、会えるかもしれないから。
:09/02/28 23:36
:N703iD
:p45OiH1g
#140 [七瀬]
林原に告白しようと思っていたくせに、
と思うけれど。
やっぱり心臓はどくどくとうるさい。
あの子いるかなぁ…。
……いるといいな。
クラス表に目を向ける。
:09/02/28 23:39
:N703iD
:p45OiH1g
#141 [七瀬]
“1ー2 松田柚子”
見っけ。
また2組かあ。
中学の時も、三年間ずっと2組だったしなぁ。
「また松田は2組だな。」
隣から懐かしい声が聞こえた。
:09/02/28 23:43
:N703iD
:p45OiH1g
#142 [七瀬]
この声。
ほんと懐かしいなあ。
……って、
『林原ぁ!?』
「よっ。」
平然と答える林原。
なんで?
なんでなんで!?
:09/02/28 23:46
:N703iD
:p45OiH1g
#143 [七瀬]
『なんで?どういうこと??なんでここにいんの!?』
テンパる私。
「ちょ、お前、落ち着けよ。」
そう言われ、少し息を整える。
「俺、J高、受けんの止めて、このG高にしたんだよ。」
:09/02/28 23:59
:N703iD
:p45OiH1g
#144 [七瀬]
え、そうなの!?
……でも、
それはそれで意味わかんない。
なんで賢いJ高から、遠くて、こんなG高にしたわけ?
林原の頭ならJ高だっていけただろうし。
ますます分からなくなってきた。
:09/03/01 00:02
:N703iD
:v.i2gOkA
#145 [七瀬]
「俺は3組だからクラスは違うけど、
また三年間よろしくなー。」
私の疑問はほったらかしにされたまま、
林原は去っていった。
まっ、いっか。
また林原と三年間、過ごせると思うと
ちょっとうれしくなった。
:09/03/01 00:07
:N703iD
:v.i2gOkA
#146 [七瀬]
4階まで長い長い階段を上った。
はぁ、疲れた〜。
これから毎日、1時間半もかけて、ここに来て、この階段を上るのかぁ……。
気が重くなった。
“1ー2”
教室の中へ入った。
:09/03/01 00:13
:N703iD
:v.i2gOkA
#147 [凛]
おもしろいです∩・∀・∩
続き気になる♪
:09/03/01 00:24
:N706i
:hzGFLs8s
#148 [七瀬]
ありがとうございます。
頑張るねっ('∀'●)
:09/03/01 01:01
:N703iD
:v.i2gOkA
#149 [七瀬]
私は出席番号、34番。
窓際で奥の一番いい席。
ふぅ。
一息ついた。
えっ!?
うそ!うそうそっ!!
うそでしょーっ!?
:09/03/01 01:05
:N703iD
:v.i2gOkA
#150 [七瀬]
前にはあの男の子!!
素直にうれしい。
今はこれしか言えない。
その子は頬杖をつき、窓の外を見ている。
ほんときれいな顔。
つい、その横顔に見とれてしまった。
:09/03/01 01:09
:N703iD
:v.i2gOkA
#151 [七瀬]
そろそろ始業式が始まるみたい。
上履き袋を持って、廊下に並ぶ。
周りが男ばっかで、並ぶと小さい私はスッポリと埋まってしまった。
:09/03/01 01:12
:N703iD
:v.i2gOkA
#152 [七瀬]
縦も横にも大きくて、ヒグマタイプの男の子。
背が高くって、ヒョロリとした男の子。
小さいけれど、筋肉があると制服を着ていても分かる男の子。
私は完璧、浮いていた。
当たり前か、
“ほぼ”男子校だし。
不安になってきた。
:09/03/01 01:16
:N703iD
:v.i2gOkA
#153 [七瀬]
そんなことを考えてると、体育館に着いた。
広いなぁ。
席に着いた。
校長の話は中学の時とは違い、
あっさりとしていて聞きやすかったし、短かった。
:09/03/01 01:20
:N703iD
:v.i2gOkA
#154 [七瀬]
「えー、それでは各学年、組の担任、副担任を紹介しましょう。
まず3年1組、担任の…」
それから2年、1ー1が紹介され、
とうとう1ー2の番に。
私は身を乗り出す。
やっぱ気になるし!
:09/03/01 01:24
:N703iD
:v.i2gOkA
#155 [七瀬]
でも、見えない!!
周りは男だっかだし、
私は後ろの方の席だし。
体を少し強引に横に傾ける。
すると前の奴の頭と頭の間から小さく、見えた。
ん?
:09/03/01 01:27
:N703iD
:v.i2gOkA
#156 [七瀬]
「担任の牧田宏介先生だ。」
ん?
あの人が私の担任??
私の目の先には
今日は曇りだし、
ってか室内なのに、
サングラスをかけている、少し小太りでチビなおっさん。
なんだありゃ。
私だけでなく、他の生徒も少しびっくりして、見ている。
:09/03/01 01:32
:N703iD
:v.i2gOkA
#157 [七瀬]
するとサングラスを外し、
「これから1年間、
お前らの担任をする、牧田宏介だ。
基本は電気、機械が専門だ。まぁよろしく。」
い、いかつい。
牧田宏介(マキタコウスケ)かぁ。
ってかサングラス外すと、結構、かわいい目をしていた。笑
:09/03/01 01:37
:N703iD
:v.i2gOkA
#158 [七瀬]
担任と共に教室へと戻って行く。
ってか、さっきから
あの子、見ないなぁ…。
少し心配してしまう。
席に着く。
やっぱいない。
:09/03/01 01:42
:N703iD
:v.i2gOkA
#159 [七瀬]
そんな私の心配とは裏腹に担任は話をしだした。
「さっき校長先生がおっしゃったが
副担の長江先生だが今日は生憎、お休みだ。」
そんなこと言ってたっけ?
ってかアンタのキャラが濃すぎて、
最後ら辺はなんも覚えてないよ。
:09/03/01 01:48
:N703iD
:v.i2gOkA
#160 [七瀬]
話を続ける、サングラス先生。
「あと、俺のことは
マッキーでも、コウちゃんでも、好きなように呼んでくれ。」
あ、そんな顔で冗談とか言うんだ。
「じゃあ、ヤクザ先生って呼んでいーすか?」
誰かがふざけて言う。
:09/03/01 01:52
:N703iD
:v.i2gOkA
#161 [七瀬]
ドッと笑いが起こる、
…はずだった。
が教室は冷たい空気が漂っていた。
「なぁにぃ?」
サングラス先生……。
いや、牧田先生が、その生徒を睨む。
怯えるその生徒。
そして息を呑んで見守る私たち。
:09/03/01 01:56
:N703iD
:v.i2gOkA
#162 [七瀬]
「お前、なかなか面白いな。」
ん?
目を丸くする私たち。
それは誉めているのかな?
ホッと胸を撫で下ろす、可哀想な生徒君。
:09/03/01 02:02
:N703iD
:v.i2gOkA
#163 [七瀬]
うん、これは誉めてるんだね、彼なりに。
そう解釈するのに時間がかかってしまった。
だって、めちゃくちゃ怖い顔してんだもん。
目はかわいーけど。笑
この日から牧田先生のあだ名はヤクザ……、
ではなくマッキーになった。
ほんとは、そう呼んでほしかったみたい。
:09/03/01 02:06
:N703iD
:v.i2gOkA
#164 [七瀬]
そんな感じで始業式を終えた。
結局、最後までアイツは現われなかった。
どこ行ったんだろ?
:09/03/01 02:57
:N703iD
:v.i2gOkA
#165 [七瀬]
登校2日目。
今度は来てるかな??
もうワクワクしている自分がいた。
また、あの技術が見たい!
そして、なにより
顔が見たかった。
:09/03/01 03:00
:N703iD
:v.i2gOkA
#166 [七瀬]
……が、
私の期待は見事に裏切られることとなる。
ヤツは来なかった。
今日だけじゃなく
明日も明後日も。
その次の日も……。
:09/03/01 03:02
:N703iD
:v.i2gOkA
#167 [七瀬]
1週間が経った。
が私は始業式以来、アイツを見ていない。
こんなに休んで、留年する気か!?
じゃっ、私も留年しちゃおっかなあ〜
とバカなことを考えた。
もちろん冗談だけど。
:09/03/01 03:05
:N703iD
:v.i2gOkA
#168 [七瀬]
授業が始まった。
つまんないし、苦手な英語の授業。
今朝、林原と話したことを思い出していた。
:09/03/01 03:07
:N703iD
:v.i2gOkA
#169 [七瀬]
『おーい。林原あーっ!』
たまたま電車で一緒になった。
「松田、久しぶりだな。」
ほんと久しぶり。
私たちは、高校に入ってから、
クラスが違うこともあり、全然、会わなかった。
そんな中、少しの間、沈黙が出来る。
:09/03/01 03:12
:N703iD
:v.i2gOkA
#170 [七瀬]
自分から声かけたくせに、何か話さないと。
この沈黙のワケは自分が一番、理解していた。
私が妙に緊張してるからだ。
林原は普通だ。
いつもの、ぼぉーっとした林原だ。
だって何、話したらいいか分かんない。
:09/03/01 03:16
:N703iD
:v.i2gOkA
#171 [七瀬]
この沈黙を破ったのは林原。
「なあ、松田んとこの担任、強烈だな。」
『うんっ!すごいでしょ!?こないだなんてね……』
マッキーネタのおかげで、また、いつもの私たちになった。
ありがと、マッキー!!
:09/03/01 03:19
:N703iD
:v.i2gOkA
#172 [七瀬]
マッキーで柔らかいだ雰囲気の中、林原が話しだした。
「あんなこの前、
俺らの技術の時間に初めて、技術室に行ってよ〜」
えっ!?
なにそれ。
私のクラスの技術は、
ただのマッキーの長い話でいつも終わっている。
まあ、面白いけど。
とりあえず技術室なんて、一度も行ったことない!
:09/03/01 03:26
:N703iD
:v.i2gOkA
#173 [七瀬]
その後、林原は
技術室で機械の名前や、それはどのように使うのか、学んだらしい。
うらやましいなぁ。
また近々、私のクラスも連れてってもらえるよね?
1時間半はあっという間に過ぎた。
:09/03/01 13:55
:N703iD
:v.i2gOkA
#174 [七瀬]
キーンコンカーンコン
2限目 技術
「よーし、始めるぞー。」
マッキーの言葉でみんな、席に着く。
あれから、電気について説明してたけど、
途中からマッキーの大学時代の話になっていた。
:09/03/01 13:59
:N703iD
:v.i2gOkA
#175 [七瀬]
いつもこんな感じ。
3分の1はマッキー自身の話が占めている。
まあ、そのおかげで
授業中、睡魔に襲われずにすむんだけど。
マッキーは、そういう意味では天才だなぁ。
あ、話する天才ね。
なんか自然と耳を傾けてしまうんだよなー。
:09/03/01 14:03
:N703iD
:v.i2gOkA
#176 [七瀬]
キーンコンカーンコン
2限目、終わりの合図。
「起立。」
日直が言う。
みんなが立った。
「あ、今日は5限目も技術だからな。忘れんなよー。」
そっかまた技術なんだ。
:09/03/01 14:07
:N703iD
:v.i2gOkA
#177 [七瀬]
やっぱり工業科だし、
技術の時間が多い。
ほぼ毎日あるし、
今日みたいに2時間あるところもある。
だから国、数、英、理、社はもちろん少なくなる。
しかも、今習ってることは中学生レベル。
数学は今、因数分解です。
苦手な英語、
なんか余裕だと思ったんだよね。
:09/03/01 14:12
:N703iD
:v.i2gOkA
#178 [七瀬]
だから、大学とかでは、ちょっとバカ扱いされる。
でもその分、機械、使わしたら誰も勝てないだろうけどね。
だから工業科の高校出身はあなどれない。
ヒグマとか、いい例だしね。
:09/03/01 14:17
:N703iD
:v.i2gOkA
#179 [七瀬]
一学期までは、みんな同じことを学ぶ。
技術という一くくりの授業。
建築についても、
機械、電気についても、
理数についても。
そして二学期から、
それぞれ興味が、あるものを選び、学んで行く。
:09/03/01 14:21
:N703iD
:v.i2gOkA
#180 [七瀬]
だから今はつまんない。
技術室にも
行ける気配ないし!
それに授業だけでなく、
学校生活も……。
:09/03/01 14:23
:N703iD
:v.i2gOkA
#181 [七瀬]
やっぱ男ばっかだし、なんか汗臭いし!!
それにチビで女の私はクラスでかなり浮いてる。
周りは私を、バカにするような目をする。
女だからって舐めんなよ!
それにアイツもこないしなぁ……。
:09/03/01 15:36
:N703iD
:v.i2gOkA
#182 [七瀬]
昼休みになった。
お弁当の時間だぁー!
でも楽しいようで、
悲しい。
だって1人ぼっちだし。
今日も1人で食べるのかぁ、と少し憂うつになってさまう。
:09/03/01 15:39
:N703iD
:v.i2gOkA
#183 [七瀬]
「松田、いる?」
ん?
この声は林原!!
「あ、いたいた。
一緒に食べよーぜ。」
ポカーンとしてる
私と周りの男ども。
「何やってんの?
お弁当、忘れたの?」
首をかしげる林原。
:09/03/01 15:43
:N703iD
:v.i2gOkA
#184 [七瀬]
いやいや、そんなワケないじゃん。
と思ってると、
「ヒューッ!!ラブラブだなぁ、お前ら。
付き合ってんの?」
クラスのお調子者が言い出す。
なっ!
『んなわけないじゃん!』
:09/03/01 15:46
:N703iD
:v.i2gOkA
#185 [七瀬]
「だよな。
食いしん坊のお前がお弁当、忘れるなんてありえねーよな。」
のほほんと林原。
そうじゃなくって!
こうして私と林原は一緒に食べることになった。
:09/03/01 15:49
:N703iD
:v.i2gOkA
#186 [七瀬]
まだ、
“ヒューッ”とか
“ラブラブー”とか、
後ろから聞こえる中、私たちは中庭に向かった。
が中庭は広いのに、
大きな体の男たちで、とても暑そうに見えた。
まだ春なのに。
こんなとこで食べても、
食欲が湧かない……。
:09/03/01 15:53
:N703iD
:v.i2gOkA
#187 [七瀬]
林原も同じみたいで、
食堂に向かう。
が食堂も同じ状態。
『んー、どうしよっか?』
「俺、あっこがいい。」
林原が指さす先は
……屋上?
:09/03/01 15:56
:N703iD
:v.i2gOkA
#188 [七瀬]
『え、あそこ?』
「うん。」
楽しそうにする林原に何も言えなかった。
仕方なく屋上へ移動。
思った通り、誰もいない。
:09/03/01 15:59
:N703iD
:v.i2gOkA
#189 [七瀬]
私は食欲がまったく湧かなかった。
さっきの男集団のせいと、
林原と二人っきりだから。
ドキドキが止まらない。
:09/03/01 16:01
:N703iD
:v.i2gOkA
#190 [七瀬]
今までは二人っきりでも、なんとも思わなかった。
…ただ!!
あんな冷やかされたら、
嫌でも意識してしまうではないか!
あーっ、あいつらのバカ!私のバカっ!!
そんな私の気持ちとは裏腹に林原は相変わらずだ。
:09/03/01 16:04
:N703iD
:v.i2gOkA
#191 [七瀬]
『屋上は日が差し込んでて気持ちーね。』
気を紛らわすため、林原に話し掛ける。
『ん、そーだな。
ってか、さっきのことなんだけどさぁ。』
さっきのこと!?
:09/03/01 20:06
:N703iD
:v.i2gOkA
#192 [七瀬]
『い、いや全然、気にしてないから!
ホントに全く気にしてな……』
「俺は気にしてるよ。」
え?
「朝の電車でのこと。」
:09/03/01 20:08
:N703iD
:v.i2gOkA
#193 [七瀬]
はぁ。
なんだ、朝のことね。
卒業式での勘違い事件以来、私は林原の
思わせ振り?発言には
なれてしまった。
ま、私が勝手に勘違いしてるだけで
林原にそんな気はないだろうけど。
:09/03/01 20:11
:N703iD
:v.i2gOkA
#194 [七瀬]
とりあえず、私の緊張は、ほぐれた。
「お前んとこは、まだ技術室も行ってないんだよなぁ。」
『うん。そうだよ。
林原が羨ましい。』
「1組も俺たちのとこも行ったし、
2組だけだろ?行ってないの。」
そーなんだよね。
:09/03/01 20:15
:N703iD
:v.i2gOkA
#195 [七瀬]
ぼんやり考えてると、なぜか林原のお弁当が目に入った。
かわいい。
たこさんウィンナーに
色とりどりの野菜たち。
たわら型のおにぎりは、ふりかけで着飾っている。
冷凍食品らしきものも
見当たらない。
手作り感で溢れている。
:09/03/01 22:00
:N703iD
:v.i2gOkA
#196 [七瀬]
林原のお母さんって、
どんな人なんだろう。
こんなかわいいお弁当を作れて、
こんなヤツを育てた人。
会ってみたいな。
っていうか、長い付き合いなのに、林原のことは、何も知らないんだな、私。
:09/03/01 22:05
:N703iD
:v.i2gOkA
#197 [七瀬]
林原の家族。
趣味、特技。
恋人
……は、多分いないと思うけど。
とりあえず何も知らない。
知ってるのは、
変わったヤツだということだけ。
なんか悲しい。
:09/03/01 22:09
:N703iD
:v.i2gOkA
#198 [七瀬]
そんなことを思っていると、
「ってかさぁ、松田んとこの担任、牧田宏介だっけ?
ヒグマの同級生らしいな。」
と、いきなりのびっくり発言。
『そうなの!?』
「うん。」
卵焼きを突きながら、林原は言う。
:09/03/01 23:14
:N703iD
:v.i2gOkA
#199 [七瀬]
「だからさ、ヒグマに聞けば分かるんじゃないの?」
『なにが?』
「技術室に連れてってくんない理由。」
あっ、そうか!
林原、勘良い!!
:09/03/01 23:18
:N703iD
:v.i2gOkA
#200 [七瀬]
そんなことを話してる内に林原は食べおわった。
「悪ぃけど、俺は先に行くわ。
やらなきゃなんない、課題あるし。」
え?
『あっありがと。
ってか、それだけのために、お弁当誘ってくれたの?』
また心臓が激しくなる気配。
:09/03/01 23:22
:N703iD
:v.i2gOkA
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194