夏祭り、恋花火
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#165 [七瀬]
確実に前に進んでいる。
中学生で止まったままの
記憶も流れてゆく。
恋花火は、もう聞こえない。
聞こえるのは、
奏の優しい声だけ。
今、私は幸せなんや。
:09/03/20 23:01
:N703iD
:bKNl0Pwo
#166 [七瀬]
「まつり!まつりっ!!」
『どうしたん?麻友ちゃん。
そんな血相変えて…。』
今は、
祭で一番、忙しい時間帯。
麻友ちゃん、
こんな忙しい時に、どしたんやろか。
:09/03/20 23:07
:N703iD
:bKNl0Pwo
#167 [七瀬]
息を整え、
麻友ちゃんは言った。
「あんな、まつり。
落ち着いて聞いてや。」
頷く。
「…来てんねん。
ハラダタカシが、ここに来てんねん!」
ハラダ…タカシ……。
:09/03/20 23:12
:N703iD
:bKNl0Pwo
#168 [七瀬]
呼吸が荒くなる。
苦しい。
ハラダタカシ
ハラダタカシ
ハラダタカシ…
原田俊(ハラダタカシ)。
あの人。
私の初恋の人……。
:09/03/20 23:15
:N703iD
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#169 [七瀬]
『…うそ。うそやっ!
来てるわけない……。
そんなん嘘やっ!』
私は完全に混乱している。
お客さんがおるのも忘れ
一人、取り乱す。
「ううん。嘘やない。
嘘ちゃうねん、まつり。」
麻友ちゃんは落ち着いた口調で言う。
:09/03/20 23:19
:N703iD
:bKNl0Pwo
#170 [七瀬]
なんで?
なんで今さら。
せっかく忘れかけてたのに。
昨日は奏との記念日であんなに楽しかったのに、
今は苦しくって仕方ない。
:09/03/20 23:21
:N703iD
:bKNl0Pwo
#171 [七瀬]
「まつりに会いたいって原田さんゆうてるよ。」
少し落ち着いて、
そんなことを麻友ちゃんから聞かされる。
『…会わへん。』
「まつり、アカン。」
麻友ちゃんは厳しい目をして言った。
:09/03/20 23:25
:N703iD
:bKNl0Pwo
#172 [七瀬]
麻友ちゃんは
…麻友ちゃんだけは、
私の初恋を知っている。
「ちゃんと自分の気持ちにけじめをつけ。」
けじめ?
そんなん
もうとっくについてる。
7年も時が過ぎてんで?
:09/03/20 23:29
:N703iD
:bKNl0Pwo
#173 [七瀬]
「そのままやったら、
奏君も苦しい思いすることになる。」
奏が?
なんでなん?
私が愛してんのは奏だけやのに。
「まつりっ!待って!!」
麻友ちゃんの声も聞かず、私は立ち去った。
:09/03/20 23:32
:N703iD
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#174 [七瀬]
「ちょっと…まつり。
どしたんや、急に。」
気が付けば、ボールに来ていた。
『奏っ!』
奏に抱きつき、泣きじゃくる。
『うっ、ヒック…。』
いきなりのことやのに、
奏はこれ以上、何も聞かずにいてくれた。
:09/03/20 23:36
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