夏祭り、恋花火
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#171 [七瀬]
 
 
 
「まつりに会いたいって原田さんゆうてるよ。」


少し落ち着いて、
そんなことを麻友ちゃんから聞かされる。



『…会わへん。』


「まつり、アカン。」

麻友ちゃんは厳しい目をして言った。

⏰:09/03/20 23:25 📱:N703iD 🆔:bKNl0Pwo


#172 [七瀬]
 
麻友ちゃんは

…麻友ちゃんだけは、
私の初恋を知っている。


「ちゃんと自分の気持ちにけじめをつけ。」


けじめ?

そんなん
もうとっくについてる。


7年も時が過ぎてんで?

⏰:09/03/20 23:29 📱:N703iD 🆔:bKNl0Pwo


#173 [七瀬]
 
 
「そのままやったら、
奏君も苦しい思いすることになる。」


奏が?

なんでなん?


私が愛してんのは奏だけやのに。


「まつりっ!待って!!」

麻友ちゃんの声も聞かず、私は立ち去った。

⏰:09/03/20 23:32 📱:N703iD 🆔:bKNl0Pwo


#174 [七瀬]
 
 
 
「ちょっと…まつり。
どしたんや、急に。」


気が付けば、ボールに来ていた。

『奏っ!』

奏に抱きつき、泣きじゃくる。

『うっ、ヒック…。』

いきなりのことやのに、
奏はこれ以上、何も聞かずにいてくれた。

⏰:09/03/20 23:36 📱:N703iD 🆔:bKNl0Pwo


#175 [七瀬]
『うっ、うっ、奏ぉ〜。』

「よしよし。」

頭を優しく撫でてくれる。

早く離れな。

ボールにも、金魚にも
お客さんがいっぱいおる。

このままじゃ
麻友ちゃんにも、奏にも
迷惑かけてまう。


早く泣き止め!

早く早く…。
 

⏰:09/03/21 01:35 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#176 [七瀬]
 
そう思ってるのに、

涙を堪えようとすれば、
するほど、溢れてくる。

あまのじゃくな自分の涙腺に腹が立つ。


「ちょっとお兄ちゃん?」

「抱き合ってんと、はよしてよ。」


そうゆう声が、後ろから聞こえてくる。
 
 

⏰:09/03/21 01:44 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#177 [七瀬]
お客さんの堪忍袋の緒も、もう限界。

なのに、体はチッともゆうことを聞いてくれない。







「まつり。」

声がした。



あの柔らかい声が。
 

⏰:09/03/21 01:47 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#178 [七瀬]
 
涙が止まる。

一瞬にして、
体温が上がってゆく。


ああ、

あの人が迎えに来てくれたんや。
 


 
「まつり?」

ピタリと泣き止んだ私を
奏が不思議そうに見る。
 

⏰:09/03/21 01:54 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#179 [七瀬]
 
 
「久しぶりやな、まつり。」

あの人の声。




「誰や、あいつ。」

奏の優しかった声が、低くなる。


なのに、
私はドキドキしてる。

あの人に。
 

⏰:09/03/21 02:14 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#180 [七瀬]
 
「なあ、まつり。
誰や?知り合いか?」

奏がさらに聞く。


「彼氏出来てんな。」

とあの人。



バッ

とっさに私は、奏から離れる。
 

⏰:09/03/21 02:18 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


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