夏祭り、恋花火
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#175 [七瀬]
『うっ、うっ、奏ぉ〜。』

「よしよし。」

頭を優しく撫でてくれる。

早く離れな。

ボールにも、金魚にも
お客さんがいっぱいおる。

このままじゃ
麻友ちゃんにも、奏にも
迷惑かけてまう。


早く泣き止め!

早く早く…。
 

⏰:09/03/21 01:35 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#176 [七瀬]
 
そう思ってるのに、

涙を堪えようとすれば、
するほど、溢れてくる。

あまのじゃくな自分の涙腺に腹が立つ。


「ちょっとお兄ちゃん?」

「抱き合ってんと、はよしてよ。」


そうゆう声が、後ろから聞こえてくる。
 
 

⏰:09/03/21 01:44 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#177 [七瀬]
お客さんの堪忍袋の緒も、もう限界。

なのに、体はチッともゆうことを聞いてくれない。







「まつり。」

声がした。



あの柔らかい声が。
 

⏰:09/03/21 01:47 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#178 [七瀬]
 
涙が止まる。

一瞬にして、
体温が上がってゆく。


ああ、

あの人が迎えに来てくれたんや。
 


 
「まつり?」

ピタリと泣き止んだ私を
奏が不思議そうに見る。
 

⏰:09/03/21 01:54 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#179 [七瀬]
 
 
「久しぶりやな、まつり。」

あの人の声。




「誰や、あいつ。」

奏の優しかった声が、低くなる。


なのに、
私はドキドキしてる。

あの人に。
 

⏰:09/03/21 02:14 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#180 [七瀬]
 
「なあ、まつり。
誰や?知り合いか?」

奏がさらに聞く。


「彼氏出来てんな。」

とあの人。



バッ

とっさに私は、奏から離れる。
 

⏰:09/03/21 02:18 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#181 [七瀬]
 
私は最低な女。



「なんで離れるんや。
俺はお前の彼氏やろ?

なあ、まつり!
答えてくれ!
あいつは誰なんやっ!!」

低い声が今度は荒くなった奏。


『…ごめん、奏。

お客さんおる時にいきなり来て、ほんまごめん。』

⏰:09/03/21 02:23 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#182 [七瀬]
「違う。
俺が聞きたいのは、そんなことちゃう。」


首を振る奏。




「奏…君ってゆうんかな?

ちょっとまつりを借りるね。」

そうあの人に引かれ、着いていく私を

きっと奏は、怒りに震えて見ていたに違いない。

⏰:09/03/21 02:27 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#183 [七瀬]
 
だけども

その瞬間、私は幸せに感じた。


愛する奏を放ってってしまった悲しみよりも

あの人が迎えに来てくれた喜びが勝っている

私は



奏を裏切ったんだ。
 

⏰:09/03/21 02:33 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


#184 [七瀬]
 
 
「ええ加減に顔上げてくれへん?」


あの人が言う。

『…なんで。

なんで、
急におらんくなったん?』



「まつり、かわいくなったなあ。
あんなチビやったのに。」 

⏰:09/03/21 11:15 📱:N703iD 🆔:GhvADkNo


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