夏祭り、恋花火
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#245 [七瀬]
 
私を見る原田さん。


『死んだら、なにもかも終わりやでっ!?

オシャレも出けへんし、
おいしいもんも食べられへん。
遊園地にも行かれへんねんで!?』


わわ、何言ってんねん私。
訳分からん!

そう思いつつも止まらない憎らしい口。

⏰:09/03/24 16:15 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#246 [七瀬]
 
『それにっ……


それにな!

原田さんの大好きな奥さんはもう、いいひん。

でも大好きな人が死んで、

“あの人が死んだから、
自分も死ぬ”とか

いちいちゆうてたら、

世界中の人口おらんくなるわっ!
人類滅亡やわ!!』
 

⏰:09/03/24 16:22 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#247 [七瀬]
 
かなり、的外れなことゆうてるよな?

自分でわかってる。


やけど、

どうしても彼に生きる希望を見てほしかった。

こんなこと、ゆうて
引き止められるのか、分からへん。

ってか絶対無理!

でも、言わずにはいられへんかった。

⏰:09/03/24 16:26 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#248 [七瀬]
 
 
「プッ、ハハハハハハ…」


あ…笑ってる?

てか爆笑やん。

ウケ狙ったわけとちゃうねんけど

むしろ結構、真剣やってんけど……


ま、いっか。

彼が笑ってくれるならええ。

⏰:09/03/24 16:30 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#249 [七瀬]
腹を抱えながら、まだ笑っている。


「ほんま…ほんまやわ!
まつりのゆう通り!!

人類滅亡するわあ〜!」

笑い過ぎてヒィヒィゆうてる原田さんに

さっきまでの気持ちは
どこへやら。


『はい。
戦争とか、新型インフルエンザとか、隕石とかゆうてる場合とちゃいますー!』

⏰:09/03/24 16:36 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#250 [七瀬]
少し膨れて見せた。


「うん、ほんまそやな。


やっぱりまつりに会えて良かった。
なんか光が見えた気がするわ。」

『そ、それは良かったなっ!』


ほんまに良かった…。



『あと…』

⏰:09/03/24 16:41 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#251 [七瀬]
 
「ん?
“あと”…なんや?」


『もし、
原田さんが死んだら、私が頭おかしなるわ…。』


真剣な目付きに戻る。

『それに、私はずっと思ってた。

“この花火、原田さんも見てるんかな?”って。

天神祭の花火を見るたびに。』

⏰:09/03/24 16:46 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#252 [七瀬]
 
 
「花火は見えへん。
俺の家からは見えへんな、残念ながら。


でも

聞こえてた。

花火がバーン!!
って弾ける音。

ほんま小さくやけどな。」


そう彼は笑った。
 

⏰:09/03/24 16:50 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#253 [七瀬]
 
「ほんまにありがとう、まつり」
 
 
そう言って、彼は去って行った。


新たな光へと向かって。



私は、もう忘れた。

彼との記憶ではなく、

その記憶をいつまでも引きずっていた私を。
 

⏰:09/03/24 16:58 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#254 [七瀬]
 
上を見上げる。

天神祭よりも、かなり小規模な今夜の祭の花火。


目を閉じる。

耳に神経を集中させる。


バーン!!

パチパチパチパチ…


上がった花火が、燃え尽きる音が聞こえる。
 

⏰:09/03/24 17:05 📱:N703iD 🆔:z5682swI


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