夏祭り、恋花火
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#1 [七瀬]
『星とぽんず』を書いてた七瀬ですo(^-^)o

趣味として書くので
更新が
遅くなる時もあります↓↓ご理解下さい。

中傷、荒らし
止めてね(ノд<。)゜。

感想板
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⏰:09/03/18 08:55 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#2 [七瀬]
 
 
前作 『星とぽんず』

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⏰:09/03/18 08:57 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#3 [七瀬]
 
ヒューッ ドーン!!





今日も遠くに聞こえる花火。


いつからだっただろう。



私の恋花火が上がってしまったのは。
 
 

⏰:09/03/18 09:00 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#4 [七瀬]
ジーンジーンジーン。
 
蝉の声が耳障りの7月下旬。
 
 
「いらっしゃい!」

「たこ焼きはどうですか?」

「はい、スーパーボールやってってやー!」


ここは大阪。

日本三代祭りの内の一つ。

天神祭。

⏰:09/03/18 09:05 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#5 [七瀬]
景気が悪かろうが、良かろうが、
この二日間は関係ない。
みんはアホになって騒ぐ。


そんな日に私は…

「お姉ちゃん。
金魚すくい一回、この子にやらしたって。」


『はーい。おおきに。』


私は働いている。

神野まつり(カンノマツリ)。
17歳。

⏰:09/03/18 09:10 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#6 [七瀬]
一回300円の文字。

持ち帰り 袋代50円。

赤と黒の金魚たち。


そう、ここは屋台。

“金魚すくい”


そして私は毎年ここで

『はい、いらっしゃーい!一回300円!!
今やったら金魚持ち帰り、オマケしとくでー!』

声を張り上げる。

⏰:09/03/18 09:14 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#7 [七瀬]
 
 
 
「お姉ちゃん、ありがとう。」


さっきの小さな子どもの紙が破けたらしく、
その母親が破れたワッパを返してきた。

『ありがとー。またしてなあ。』


そう言ってタオルを差し出してあげる。

⏰:09/03/18 09:17 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#8 [七瀬]
「すいません。ほんまに。」

『いえいえ。気にせんといて下さい。』

「お姉ちゃんありがとー!」

そう言う小さな子どもに、ニコッと笑いかける。


「バイバーイ!」

手を拭いてやっと帰った。

私、子ども嫌いやねん。
ほんまうんざり。


「お疲れさん。」

⏰:09/03/18 09:22 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#9 [七瀬]
横から声がする。

またうんざりする。


原因は、その声の持ち主。

「ほんま、お前は子ども嫌いやなあ。
顔に出とったぞ。」


佐藤遊希(サトウユウキ)。



『うっさいなあ。なんやねん。』

⏰:09/03/18 09:27 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#10 [七瀬]
「うるさいって
ゆうことはないやろ!

ワッパ持って来たってんぞ。」

さっきも出てきたけど、
“ワッパ”とは金魚すくいの時に使う紙を貼ったもの。

金魚すくい屋になかったら大変。


『はいはい。ありがと。』

「ほんま、
まつりは可愛げないなあ。」

⏰:09/03/18 09:31 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#11 [七瀬]
『黙れ、ボケ。』

「お前、顔はかわいいのに……。
学校とかでもモテへんやろ。」


『もぉ、なんなん!?
そんなん関係ないやろ?
さっさと自分の店へ帰りぃや。』

「わかったわかった。
はい、これ。」


熱帯びた私の腕に、ひんやり冷たいもんが当たる。
 

⏰:09/03/18 09:36 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#12 [七瀬]
「じゃあ頑張れよー。」


私の手元には冷たいジュースと、遊希が持ってきてくれたワッパ。


やっと行ったか。

遊希は2年前に“ここ”
つまり“神野商会”にやってきた。


遊希は今18歳で高校を中退した、
とか言ってた。

あとは何も知らない。

⏰:09/03/18 09:41 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#13 [七瀬]
 
住んでるところ。 

通っていた高校名。

職業
…は多分ここのバイトだけだと思うけど、

詳しいことは知らない。



これは遊希だけじゃなく、みんなそう。

ここで働いている子はみんなそう。

⏰:09/03/18 09:45 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#14 [七瀬]
 
でも、だからと言って
別に怪しい身元が分からないということはない。



私のおばあちゃんは大の買い物や。

そのおばあちゃんがよく行く
果物屋やら八百屋やら服屋やらの
息子、その息子の友達なんかを中心としてスカウトしてくる……らしい。

⏰:09/03/18 09:48 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#15 [七瀬]
で、遊希も2年前におばあちゃんにスカウトされ、この“神野商会”にやって来たわけや。


私?

私は、この“神野商会”を取り仕切る神野よしよの孫。

だから、ぜーんぜん怪しないよ。

むしろ一番、安全やから。笑

⏰:09/03/18 09:52 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#16 [七瀬]
だから、ここでは
数え切られへんくらいの
出会いがある。


バイト、ちゃう店の子、
地方の祭に出張に行った時に出会った子…。

年齢幅も
15〜50歳代まで。

選び放題やで。笑


だから、
デキ婚とか誰と誰が付き合ってるとかは、別に珍しい話ではない。

⏰:09/03/18 09:56 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#17 [七瀬]
特に、この“神野商会”。


たくさんある商会の中でも結構お偉いほう。

歴史もあるし。

金魚すくいやカステラ、
たこ焼きにリンゴ飴とか

まだまだいっぱい屋台をしてる。

さらに茶店も何店かやってる。

茶店ってゆうのは
飲んだり、おでんとかお好みとか食べたりするとこ。

⏰:09/03/18 10:02 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#18 [七瀬]
規模がデカいということは、

そんだけバイトもいっぱい必要やし、
色んなとこで店を出すから、

やっぱり出会いが
そんだけ多くなるわな。



私は今は一応4代目。

“神野商会”に継ぐことになったら
の話やけど。

⏰:09/03/18 10:06 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#19 [七瀬]
けど私に継ぐ気はさらさらない。

だって私には5人のいとこがいるし。

なんも私が継がんでも、
代わりはいっぱいおんねん。

まあ今のところ、
私が最有力候補やけどな。

だって春休み、夏休み、冬休み…。

祭がある日は、1日も欠かさず、商売を手伝いにきてる。

⏰:09/03/18 10:11 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#20 [七瀬]
あとは

“夏休みは遊びたい”

“なんかカッコ悪い”
         
とかゆうて、次第に来(コ)うへんくなった。


2つ上の麻友(マユ)ちゃんだけは
忙しい日は来てくれるけど。


でも私は欠かさず来てる。


あの日から、ずっと…。

⏰:09/03/18 10:17 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#21 [七瀬]
 
 
 
「まつり?
何をボーッとしてんの。
ご飯食べに行くよ。」


『あ、ああ…。
ごめんごめん。今行くわ。』

釣り銭を入れている袋。
つまり“釣り銭袋”を持って立ち上がる。


これ盗まれたら商売なれへんし!

⏰:09/03/18 10:25 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#22 [七瀬]
お母さんの後をついていく。

お母さんも、ずっとここで働いている。


昼食を食べるため、近くの牛丼屋へ。

『また牛丼〜?もう飽きたわ。』

「文句言わへんの!」

入るとクーラーの冷たい空気が気持ちいい。

⏰:09/03/18 10:29 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#23 [七瀬]
 
前のとこも、近くに牛丼屋しかなかったしなあ。



人の少ない昼は、店番を変わってもらったり、
ご飯を外で食べれる。

けど夜は人も多いし、
大概がお弁当やな。

食べられへん日だってあるくらい。

だって忙しかったり、
地域によっては、めっちゃ田舎で近くにコンビニもないとこもある。

⏰:09/03/18 10:35 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#24 [七瀬]
まあ、だから天神祭はまだマシな方かな。

近くにコンビニもあるし。


「はい。お待たせしました。牛丼の並がお二つでーす。」


いっぱい食べて体力つけへんと!


まだまだ夜は長いし…。
 

⏰:09/03/18 10:38 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#25 [七瀬]
「まつり、ごめん。
ちょっとカステラに持ってってほしいもん、あんねん。」

牛丼屋を出たあとに言われ、お母さんについていく。


この世界では

カステラ屋は“カステラ”

金魚すくい屋は“金魚”

リンゴ飴屋は“リンゴ”

スーパーボール屋は“ボール”
と略して呼ぶ。

⏰:09/03/18 11:10 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#26 [七瀬]
カステラは金魚に行く道のりの途中にある。


「はい。これ。」

大きなドリルを渡される。


重〜いっ!!

そんなこと思いながら、
カステラへ。


『はぁ、やっと着いた。
これ、はい。』 
 

⏰:09/03/18 11:13 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#27 [七瀬]
「おぅ、悪いな。
サンキュー。」

遊希が言った。


『あれ、大竹さんは?』

大竹さんとは、神野商会に長年いる40歳近くのおじさんだ。


いつもカステラを焼いている。

⏰:09/03/18 11:16 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#28 [七瀬]
「さっきご飯食べに行ったよ。」

と遊希。


遊希はカステラの“前場”をしている。

“前場”とは前に出て、カステラを袋に詰めて、
お金を貰ったりする役。

そんなに売れないところはカステラ焼く人が“前場”をしている。

でも、ここは天神祭。
一人じゃ普通に追い付けない。

⏰:09/03/18 11:21 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#29 [七瀬]
 
 
『ふーん。
遊希は食べに行ったん?』

「ああ、俺はまだや。
大竹さんが帰ってきてから行くわ。」


『私が店番、変わったるわ。
ご飯食べに行っといで。』

「いや、でもせっかく
まつりがドリル持って来てくれたしなぁ。
粉でも練るわ。」 
 

⏰:09/03/18 18:28 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


#30 [七瀬]
私が持ってきたドリルを指さして言った。


このドリルは粉を練るのに使う。

そもそも“粉を練る”というのは、

…なんてゆうたらえーやろ。

まあ簡単にゆうたら、
カステラの元を作るとゆうことやな。


まあ気にしんといて。
 

⏰:09/03/18 18:33 📱:N703iD 🆔:1U/TvnL6


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