夏祭り、恋花火
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#265 [七瀬]
『奏を裏切った……
それだけ。』
「それだけって…
ふざけてんのか、お前。」
『ごめん、それじゃ。』
そう言って、
その場を素早く立ち去った。
「まつり…なんでなんや。」
:09/03/24 20:37 :N703iD :z5682swI
#266 [七瀬]
その夜、奏にメールした。
“今日はごめんな。
会って話したい。”
それから眠りについた。
次の朝、奏からメールは来ていなかった。
やっぱ怒ってるかな。
当たり前か。
でも、奏。
私は決めてん。
もう私は答え出てるよ。
:09/03/24 20:46 :N703iD :z5682swI
#267 [七瀬]
それから次の日、
またその次の日……
奏からメールは来(コ)うへんかった。
毎朝、問い合わせしてる。
私のこと避けてるな。
でも、明日は祭がある。
逃げられへんで、奏。
一人で納得して、寝床についた。
:09/03/24 20:51 :N703iD :z5682swI
#268 [七瀬]
ガタンゴトン
ガタンゴトン…
「今日はいつもより、暑いなあ。」
そうゆうお母さんの首筋は汗で光っていた。
『ほんま真夏日どころとちゃうわ。』
そんな私も、びっしょり。
「次の駅で降りんで。」
:09/03/25 19:11 :N703iD :zoW2wVms
#269 [七瀬]
扉を開くと、
ふわ〜んと生暖かい風が顔に吹きかかった。
「はい、これ。」
『重っ!』
「そりゃ、ハチミツ入ってんもん。
じゃあこっち持つ?」
そう牛乳が6、7本入った、ビニール袋を見せた。
『…遠慮しときます。』
:09/03/25 19:16 :N703iD :zoW2wVms
#270 [七瀬]
「文句言わんと、はよ歩き。」
そう言われ、渋々歩き出す。
『まだ〜?まだ着かへんの?』
汗でベタベタして全身が気持ち悪い。
「後5分や!」
お母さんは言う。
:09/03/26 21:36 :N703iD :a//mBGPc
#271 [七瀬]
あの〜。
さっきから、ずっとゆうてるんですけど。
5分前に聞いた時も「後5分」
10分前に聞いた時も「後5分」……
重たい荷物に、
ガンガン照ってる太陽。
体力も限界に近づいていた。
:09/03/26 21:42 :N703iD :a//mBGPc
#272 [七瀬]
『なあ〜、
ちょっと休憩しよぉや。
ほら、そこの喫茶店で…』
「後5分やから!!」
『さっきから、5分5分ゆうて……、
もう20分近く経ってるわ!』
「そんなんゆうたって…
毎年来てるねんし、駅から遠いん、まつりも知ってるやん。」
:09/03/26 21:47 :N703iD :a//mBGPc
#273 [七瀬]
アカン。
もうアカンわ…
クラクラする。
「だいたい、あんたは…」
お母さんの小言が始まっても、
反論する力がない。
意識が朦朧としてきた。
ビニール袋を握っている手も、無意識にゆるむ。
:09/03/26 21:52 :N703iD :a//mBGPc
#274 [七瀬]
バサッ
「まつり?
まつり!」
あれ?
私、どしたんや。
私の目には、アスファルトが映る。
耳には、お母さんの
「まつり!まつり!」とゆう騒がしい声。
:09/03/26 21:55 :N703iD :a//mBGPc
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