夏祭り、恋花火
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#350 [七瀬]
なぜ?
そう聞きたかったけれど、聞けない。
なにも話されへん。
遊希は続けた。
「だから俺、知らんねん。
なんで奏が電話に出られへんかったのか。
一緒におらんかったからな。」
:09/03/29 01:00 :N703iD :raWiQQ8.
#351 [七瀬]
じ、じゃあ…
奏が知って私の電話を無視したわけじゃないんや!
そう喜んだのも束の間。
「けど大体、予想はついてんで。
なんで、奏が電話に出られへんかったのか。」
心臓がどんどん加速してゆく。
:09/03/29 01:04 :N703iD :raWiQQ8.
#352 [七瀬]
『な…なんで?』
やっとの思いで口を開く。
「こんなこと言いたないけどな。」
遊希は念を押した。
「あいつには他に女がおる。」
なんとなく思ってた。
電話に出てくれなかった
あの日から、心の底のどこかで感じてた。
:09/03/29 13:51 :N703iD :raWiQQ8.
#353 [七瀬]
けど、そんなはずないと願っていたのも事実。
「でな…」
遊希は言葉を詰まらす。
「その、あんな……」
さっきよりも一層、深刻そうな顔に恐怖が倍増する。
『…なによ。』
ここで逃げたらアカン。
:09/03/29 13:58 :N703iD :raWiQQ8.
#354 [七瀬]
ピリリリリリ…
電話はもう10分近く鳴っている。
かけてきている主は遊希だと、見なくても分かる。
けれども私は、電話に出ず手にブザーを感じているだけ。
今はただ、駅へと足を急がすだけ。
:09/03/29 17:49 :N703iD :raWiQQ8.
#355 [七瀬]
駅に着いても、鳴り止まない携帯。
遊希…ごめんな。
私は電源を切った。
走ったからか、
それとも、
今から起こる出来事のせいか。
心臓は、
とてつもなく早い。
:09/03/29 17:54 :N703iD :raWiQQ8.
#356 [七瀬]
2時間かけて向かう場所。
カツカツカツカツ…
階段を上っていると、
小さく“仲嶋”とゆう表札が見えた。
いつ来ても汚いアパート。
そう、ここは奏の家。
:09/03/29 17:58 :N703iD :raWiQQ8.
#357 [七瀬]
よくここで、
一人暮らしをしている奏の家に遊びに来たなあ。
そんなことを思いながら、最後の一段を上り終えた。
ガチャ
:09/03/29 18:02 :N703iD :raWiQQ8.
#358 [七瀬]
「まつり……」
『……麻友ちゃん。』
:09/03/29 18:39 :N703iD :raWiQQ8.
#359 [七瀬]
さっきの遊希の言葉を思い出す。
「その、あんな……
奏の女ってゆうのは
多分、麻友…や。」
麻友ちゃん……?
その瞬間、
私は、走りだしていた。
:09/03/29 18:42 :N703iD :raWiQQ8.
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