夏祭り、恋花火
最新 最初 全
#525 [七瀬]
思わず、言葉を飲み込んだ。
だって…
麻友ちゃんが泣いてたから。
『まっ麻友ちゃん!?』
「なんで…なんよ。」
弱々しく響く声。
:09/04/11 14:51 :N703iD :EJWDtS.g
#526 [七瀬]
いつも強気な麻友ちゃんが泣いてる。
「私…っ、
ほんまに好きやねん…
そ…うが……」
途切れ途切れ聞こえる
“奏”の名前。
麻友ちゃんが、こんなに想っている奏を
私は今日“解放されたい”と思った。
:09/04/11 15:05 :N703iD :EJWDtS.g
#527 [七瀬]
私は…なんて愚か者なんだろう。
こんなに好きでいてくれる人がいても
私を選んで愛してくれてる“奏”がいるのに…
幸せ者のはずなのに。
私は愚か者。
:09/04/11 15:10 :N703iD :EJWDtS.g
#528 [七瀬]
だって
私が愛してほしい人は
奏じゃないから。
私の愛したい人は
きっと…
:09/04/11 15:12 :N703iD :EJWDtS.g
#529 [七瀬]
『別れよう。』
奏の目が見開かれ、
すぐに優しい目になった。
「わかった。」
空気が重たい。
『ありがとう。』
「こちらこそ…ありがとう」
:09/04/11 15:17 :N703iD :EJWDtS.g
#530 [七瀬]
正直…意外だった。
別れを切り出したら
絶対に怒ると思ったから。
「最後くらい笑って。」
『ご…めん。グズッ』
頭を撫でてくれる。
“笑って”なんて
無理に決まってるやん。
なんで…そんなに優しいんよ……
:09/04/11 15:21 :N703iD :EJWDtS.g
#531 [七瀬]
“最後くらい”って
奏はゆうけど、
私も“最後くらい”もっと怒って罵ってほしかった。
そんなに優しくしんといてほしかった。
罪悪感は増えてくばかり。
「気付いてた。」
:09/04/11 15:24 :N703iD :EJWDtS.g
#532 [七瀬]
『え…っ?』
赤くなった目を向けた。
「俺、気付いててん。
もうまつりの気持ちが俺にないこと。
分かってて知らんふりしてた…ズルいよな。」
そう笑った。
それはお互い様や。
だって私も、そんな自分に薄々気付いてながらも
奏にしがみ付いてたんやから。
:09/04/11 15:28 :N703iD :EJWDtS.g
#533 [七瀬]
首を振った。
『ほんまにありがとう…』
そうゆって立ち上がった。
『バイバイ。』
:09/04/11 15:30 :N703iD :EJWDtS.g
#534 [七瀬]
そうやって、
店を出ようとした…その時
「まつり!」
奏がこっちを見ている。
「遊希はまつりのこと
好きやで!!
やから大丈夫や!」
『なっ…』
なんで知ってんの!?
口をパクパクさせた。
:09/04/11 15:34 :N703iD :EJWDtS.g
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194