黒猫の棲むところU
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#220 [イリア]



七「……え?」




麗「…どうしても舞台を休めない理由」


⏰:09/11/30 20:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#221 [イリア]



麗さんは震える手を固く結び、足を進める。



扉に手をかけ、ゆっくりと私のほうに振り返る。


⏰:09/11/30 20:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#222 [イリア]









麗「――……プロ、だからよ」



⏰:09/11/30 20:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#223 [イリア]





【 ……プロだからね 】



さっき猫さんが男たちに言った言葉と、麗さんの言葉が被る。


⏰:09/11/30 20:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#224 [イリア]



麗「……プロだから……私たちを待っている観客がいるから……代わりなんて、いないのよ」


麗さんが扉を押し開き、向こう側に消える。


⏰:09/11/30 20:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#225 [イリア]



何か、言えることはないんだろうか。

震える体で、『プロ』の仕事をしにいく彼女に。



仲間を想い、たった一人で戦い続けてきた彼女に。


⏰:09/11/30 20:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#226 [イリア]



扉に向かって走る。
向こう側を見ると、麗さんが小走りで長い廊下を進んでいた。




七「――……麗さん…!」


少し驚いたように、その人は私に振り返る。


⏰:09/11/30 20:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#227 [イリア]



麗「……」


七「…私…初めてだから…」


麗「……?」


七「―……舞台、見るの初めてだから!その舞台のヒロインが麗さんで良かったです!!」


⏰:09/11/30 20:42 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#228 [イリア]



麗さんはずっと私を見てくれている。
私が喋ってるときにちゃんとこっちを見てくれたのは、出会ってから初めてなんじゃないだろうか。



七「…あ…それだけです……時間ないのに呼びとめてすいませんでした……汗」


麗「――……それで」


⏰:09/11/30 20:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#229 [イリア]



七「?」


麗「その初めて見る舞台のヒーローが、猫で良かったです?」


ボッ////


顔が熱くなるのが分かる。


⏰:09/11/30 20:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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