黒猫の棲むところU
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#151 [イリア]
七「……何があったんですか…」
麗「…………」
泣き続ける麗さん。
言葉は返ってこない。
代わりに、横の男が
私を見ながら言った。
:09/04/05 03:04 :W61P :☆☆☆
#152 [イリア]
男「…ん?それって、
麗と俺たちのこと?
―…別に何もないよねぇ〜」
男「そうそう。敢えて言えば、
麗が、俺たちが妖側の
スパイなんじゃないかって
嗅ぎつけてきて、
話しかけてきたもんだから…」
:09/04/05 03:05 :W61P :☆☆☆
#153 [イリア]
男「嗅覚いいんだよねー麗ちゃん♪
まぁそれで何か
言い合いになったりしちゃったり?
あんまりしつこいんで
ちょっと殴ったりしたら、
痣(アザ)になっちゃうしさあ」
:09/04/05 03:05 :W61P :☆☆☆
#154 [イリア]
男「ついでにキスなんかしてみたら、
めっきり大人しくなっちゃって。
本当可愛いよねー♪
―……死んだ仲間のために、
生きている仲間のために、
スパイを見つけだそうとした?
でも麗ちゃん、やっぱ甘いよ。
一人で何でもしようとするから―…」
:09/04/05 03:06 :W61P :☆☆☆
#155 [イリア]
七「――……痛ッッ……!!」
上から髪を引っ張られ、
思わず声が出る。
:09/04/05 03:07 :W61P :☆☆☆
#156 [イリア]
男「結局、こういう風に…
麗ちゃんいわく『関係ない雨原』まで
巻き込むことになるんだよ…
……ねぇ俺たち、妖側から
呼び出しかかったんだ。
もう妖様(アヤカシサマ)のところに
戻らなきゃいけない……だから」
男が麗さんの顎(アゴ)を掴み、
無理やり上を向かせる。
:09/04/05 03:07 :W61P :☆☆☆
#157 [イリア]
男「――……最後に、
思い出ちょうだい?」
男が麗さんに口を近づける。
やめて。
:09/04/05 03:08 :W61P :☆☆☆
#158 [イリア]
七「―――……ッッ!!やめ…ッッ!!」
麗「―――――――………ッッやッ…!!」
――……そのとき、
:09/04/05 03:10 :W61P :☆☆☆
#159 [イリア]
男「ギャアァアアァア―――ッッ!!!!!!」
私の横にいる男の一人が、
叫び声をあげた。
:09/04/05 03:11 :W61P :☆☆☆
#160 [イリア]
いや、正確には
横に いた。
さっきまで私の横で
髪を掴んでいた男は、
何かに、首もとを噛みつかれたまま
麗さんの近くの壁に押さえつけられ、
血を流しぐったりしている。
男に噛みついているものは―……
:09/04/05 03:11 :W61P :☆☆☆
#161 [イリア]
美しい、金色の毛並み。
男の二倍はあるであろう体。
七「――――………狼(オオカミ)…」
私が言葉を出したとき、
一瞬だけその狼がこっちを見た。
:09/04/05 03:12 :W61P :☆☆☆
#162 [イリア]
綺麗な毛並みから、赤色の瞳が覗く。
七「―――………狼さん……ッッ??!」
その狼は、ガルル…と
怒りに満ちた声を上げると、
麗さんの顎を掴んでいた男に
襲いかかる。
:09/04/05 03:12 :W61P :☆☆☆
#163 [イリア]
男「……ッッ!!やめろ!!やめ―…ッッ!!」
男の声も虚しく、
狼はその男の首もとに牙をむいた。
:09/04/05 03:13 :W61P :☆☆☆
#164 [イリア]
男「――………クソッッ!!!!」
七「…キャッ!!」
残り一人、私のそばにいた男が
私の首もとにナイフを突きつけた。
:09/04/05 03:13 :W61P :☆☆☆
#165 [イリア]
男「……狼!!今すぐそいつから離れろ!!
……この女の命が欲しくないのか??
今すぐ離れなければ、
この女の首…切り落として…ッッ!!」
:09/04/05 03:13 :W61P :☆☆☆
#166 [イリア]
「―――……ふーん」
男の声が止み、
代わりに違う声が響く。
:09/04/05 03:15 :W61P :☆☆☆
#167 [イリア]
そうだ私、
この声が聞きたかったんだ。
この声は私を安心させてくれるから。
綺麗な声は、私を守ってくれるから。
:09/04/05 03:15 :W61P :☆☆☆
#168 [イリア]
「―……やれるもんなら、やってみれば?
でも、1ミリでも体…動かしてみろよ」
甘く、妖艶な声が辺りに響く。
:09/04/05 03:16 :W61P :☆☆☆
#169 [イリア]
「――……あんたの首、
ひと思いにかっ切ってあげる」
クス…
猫さんが笑う。
男「――……ッッヒッ……!!」
:09/04/05 03:17 :W61P :☆☆☆
#170 [イリア]
猫「ナイフを、落とせ」
今度は猫さんの低い声が響く。
同時に男は、ナイフを地面に落とした。
:09/04/05 03:18 :W61P :☆☆☆
#171 [イリア]
カラン…
振り向くと猫さんは、
銀に煌(キラ)めく刃を
男の首もとに当てている。
:09/04/05 03:18 :W61P :☆☆☆
#172 [イリア]
七「――……///」
猫「―…大丈夫?怪我は」
男「ギャアアアアアア!!!!!」
猫さんがそこまで言ったとき、
後ろからまた、男の叫び声が聞こえた。
:09/04/05 03:19 :W61P :☆☆☆
#173 [イリア]
七「――……え…??」
後ろを見ると、男に噛みつく
美しい毛並みの狼。
:09/04/05 03:20 :W61P :☆☆☆
#174 [イリア]
猫「……チッ、おい、やめろ狼!!
その辺にしとけ!!」
猫さんの声が聞こえないのか、
狼(オオカミ)は変わらず男に牙を向ける。
:09/04/05 03:21 :W61P :☆☆☆
#175 [イリア]
猫「……あの、カス……ッッ!!」
ザッ
猫さんが狼のほうに
足を進めようとした、そのとき…
麗「――……やめて!!!!!!」
:09/04/05 03:21 :W61P :☆☆☆
#176 [イリア]
:09/04/05 03:24 :W61P :☆☆☆
#177 [かな]
更新がんばって下さい
:09/04/07 13:20 :D903i :☆☆☆
#178 [かな]
書かないんですか?
:09/04/13 22:24 :D903i :☆☆☆
#179 [鼻]
>>178感想板にしばらく書けないって書いてあるよ
こっちに書くと見づらくなるからやめて下さい
:09/04/14 03:27 :W53S :☆☆☆
#180 [イリア]
お久しぶりです(´゚ω゚`)
詳しくは感想板のほうに
書かせて戴きました。
良かったら見てやって下さい。
更新します!
:09/11/29 13:23 :W61P :☆☆☆
#181 [イリア]
狼「麗」
いつの間にか本来の姿に
戻っていた狼さんが
雨の中、麗さんに優しく問いかける。
狼「何があった?
こいつらと何かあったんだろ、
だから最近、様子が…」
:09/11/29 13:24 :W61P :☆☆☆
#182 [イリア]
麗「何もないってば!
あんたのお節介には
もううんざり!!
まだ話の途中なの…
雨原つれて、先に帰ってて…
講演までには必ず戻るから」
狼「何の話だ?俺もいる
猫、迷惑かけたな
雨も降ってきた。
新入りつれて先に行っててくれ」
:09/11/29 13:24 :W61P :☆☆☆
#183 [イリア]
麗「―…ッだから…!」
猫「…どうでもいいけど」
猫さんの声が、
二人の言い合いを遮る。
:09/11/29 13:25 :W61P :☆☆☆
#184 [イリア]
猫「お前ら時間分かってる?
あと何分で講演始まると思ってんの
しかも雨濡れて、声出にくいし
今頃 狐が血眼になって
俺たち探してるのが目に浮かぶ…」
男「―……ハッ……」
:09/11/29 13:26 :W61P :☆☆☆
#185 [イリア]
額の血を拭いながら、男が声を漏らす。
男「大変だなおい、劇団のトップスターさんはよ…こんな状況でも講演の心配か、…黒猫…ハハッ」
嘲笑じみたその笑いに、また狼さんの顔が歪む。
:09/11/30 00:59 :W61P :☆☆☆
#186 [イリア]
狼「―…こんな状況にしたのは誰だ?」
男「…ふふふ、それでもお前達は…俺達を殺さないだろう?生かすんだろう?…優しいな……でも」
止まることのない男の血は、地面に滴り、土に消える。
:09/11/30 00:59 :W61P :☆☆☆
#187 [イリア]
男「――……その優しさが、仲間を殺したんだ。そうだろう麗?気づいたときに、もっと意味ある行動を起こせば良かった。なのにお前はちんたらちんたら俺達を説得しようと…結果は、ほら。お前らの仲間が…」
――ガッ!!
狼さんの足が、男を勢いよく蹴りつける。
:09/11/30 01:00 :W61P :☆☆☆
#188 [イリア]
狼「それ以上一言でも喋ってみろ……今、殺す。」
狼さんのその瞳に、昨日までの優しさはない。
七「――……狼さん……」
:09/11/30 01:00 :W61P :☆☆☆
#189 [イリア]
猫「……プロ、だからね」
猫さんの声に、振り向く。
猫「俺も、狼も、……麗も。中途半端なことはできないんだ。余計な噂は立てられない……これ以上、な。」
猫さんが私を見る。意味ありげな猫さんの視線に、思わず首を傾げる。
:09/11/30 01:01 :W61P :☆☆☆
#190 [イリア]
男「……俺達を…殺すか?猫…」
猫「……まさか。狐(キツネ)に要相談ってとこかな。知ってる情報は全て吐いてもらう。…お前らの仕える、『妖(アヤカシ)』について…な。ただ、麗のこともあるし、命の保証まではできないんじゃない?」
男「…ハッ…甘いな…お前らは今、耐えられるのか…」
:09/11/30 01:02 :W61P :☆☆☆
#191 [イリア]
ポツ..ポツ..
雨は降り止まない。
ああ、本当にみんな、大丈夫なのかな。
男「仲間を…売ったのに……」
:09/11/30 01:02 :W61P :☆☆☆
#192 [イリア]
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――――――
―――――
男「…本当に…甘い……」
七「………?」
:09/11/30 01:03 :W61P :☆☆☆
#193 [イリア]
麗さんと私を襲った男達の頬に、一筋の涙が伝う。
猫さんのほうを見ると、嘲るような、…でもどこか悲しそうな、そんな横顔が見える。
やっぱり私にはまだこの劇団の全ては見えない。
いつか分かるのかな、私にも。
:09/11/30 01:04 :W61P :☆☆☆
#194 [イリア]
猫「……行こう、雨だ。」
猫さんの一言で男たちも互いに支え合いながらその場を立つ。
狼さんは麗さんを気づかいながら歩く。
私はただ、一人先行く猫さんの背中を追う。
こうして私にとって初めての、長い、長いお使いは終わった。
:09/11/30 01:05 :W61P :☆☆☆
#195 [イリア]
一区切りついたので、とりあえずここで切っておきます( ^ω^ )久々すぎて文章むちゃくちゃな気もします…精進だ;;
前の更新と改行の仕方を変えてみたのですが、意見等あれば感想板までお願いします(´゚ω゚`)
他、アドバイス・感想などもお待ちしています。不定期更新ですが、お付き合いお願いします><!
:09/11/30 01:13 :W61P :☆☆☆
#196 [イリア]
:09/11/30 01:13 :W61P :☆☆☆
#197 [イリア]
:09/11/30 20:25 :W61P :☆☆☆
#198 [イリア]
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狐「 ど こ 行 っ て た の ☆ ? 」
:09/11/30 20:26 :W61P :☆☆☆
#199 [イリア]
狐「ねぇ何?何なの?時計見える?いま何時?9時48分だって。ねえ、猫(ネコ)くん開演は何時からだっけ?」
猫「10時」
:09/11/30 20:26 :W61P :☆☆☆
#200 [イリア]
狐「流石っ!我がアスタリスク劇団きっての花形男優っ!そんな講演開始時間を間違えるなんてねぇ、そんな ま さ か っ ☆ 笑
ところでそんな講演時間まで後何分?はい狼(ロウ)くん」
狼「12分」
:09/11/30 20:27 :W61P :☆☆☆
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