漆黒の夜に君と。U[BL]
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#281 [ちか]
「何してんだよ!!!!
なんで逃げないわけ?!!
馬鹿か?!!」

振り向いた凌は、今まで見たことがないくらい怒りの表情を露(アラワ)にした。

凌の平手打ちを受け混乱するが、じんじんとする痛みで我に戻る。

「…っな、お前には関係無いやろ!!!!」

お前に‥‥──
お前なんかに‥‥───

「お前なんかに俺の何が分かんねん……っ!!!!」

気が付けばそう叫んでいた

⏰:09/07/23 19:56 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#282 [ちか]
シンと静まりかえる辺り。
しかし凌に驚いたような素振りはない。
それどころか、

「あぁ、分かんないよ。」

そう言って俺を怒りのこもった目で睨み付ける。
俺もその表情に一瞬怯んだが、言い返そうと口を開く。

「それやったら、もう…「分かんないから、分かろうとしてんだよ。」

その声は『怒り』とはまた違う、何とも言えない静けさがあった。

⏰:09/07/23 23:12 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#283 [ちか]
「…う、嘘や!!嘘つくな!!
分かろうとなんか‥─ッ」

分かろうとなんか、
今まで誰一人かてしてくれへんかったやんか。

嘘なんかいらんねん…っ
嘘なんか‥──

込み上がってくる何かが、俺の感情をコントロール出来なくする。

震える身体。
怯えるように耳を塞ぐ俺はまるで子供のようで。
冷めきった心が全てを拒絶する。

しかし突然、身体に温かさを感じた。

⏰:09/07/23 23:20 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#284 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。」

耳元で鳴るその声と苦しいほどの締め付けは不思議なほど俺を落ち着かせていく。

けど、心の何処かで
まだソレを信じられない俺が居る。

「は、離せや…っ!!!」

みんないつかは離れていく
俺から遠くなっていく

それなら最初から、そんなモノ要らん‥


「もう一人で抱え込むなよ」

⏰:09/07/23 23:31 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#285 [ちか]
「お前が辛い時は、その辛さ俺も半分背負うから。
だから逃げたりすんなよ。
目そらすなよ‥──
一緒に受け止めてやるから。」


そう言って凌はさらに締め付けを強くした。

───‥『一緒に』…


ポタ‥─ッ

凌の肩に小さな円が滲む。
それは連続的に。
そして零れ落ちるように。

何かの歯止めが取れたかのように俺の瞳(メ)からは大粒の涙が溢れ出した。

⏰:09/07/24 22:52 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#286 [ちか]
そうか。

「お…俺は‥──っ」

俺は、

「ずっと…」

孤独を忘れさせてくれる人じゃなくて、

「ずっと独りで‥──ッ」

一緒に受け止めてくれる人を探してた‥──
       ずっと。

⏰:09/07/24 23:05 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#287 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。
もう独りじゃないから。」

「うっ…グス‥‥うぅ…っ」


俺をあやすようなその手つきが優しかったから、
余計に涙が止まらなくなって

俺はまるで子供のように泣いた。
声が枯れるまで。


月明かりに照らされて
涙はキラリと光った。

――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/24 23:10 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#288 [ちか]
― 冥side.―

「あーっ!!!!!
ちょ、恭弥ぁっ!!!!(怒)」

「ん?」

俺は朝から鏡を通して、後ろでコーヒーの入ったティーカップをすする恭弥を睨む。

そんな俺に暢気な返事を返す恭弥。

「見えるトコにはつけんなってあれだけ言ったのに!!//
どーしてくれんの、コレ!!」

"コレ"の正体、それは

「僕のモノって印だもん。
見えるトコじゃないと分かんないでしょ?」

赤い小さな痕。

⏰:09/07/24 23:18 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#289 [ちか]
「あ〜もうっ…〜。」

そう呟いて、消えるわけないと分かっているのにそこを擦る。

暫くそんなやり取りをした後、俺達はリビングへやって来た。


ついに今日は海へ。
テンションもだんだんと上がってくる。

リビングに着くと、既にめぐさんの姿があった。

「めぐさん早いですね〜っ!って、…えぇ?!!;」

俺はめぐさんの顔を見て思わず驚きの声をあげる。

⏰:09/07/25 17:32 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#290 [ちか]
「どっどーしたんですか、その目っ!!!」

「ん?あ〜これなぁ〜‥、えっと‥」

泣き腫らしたようにパンパンなめぐさんの目。

「なんて言うか〜…」

なかなか真相話そうとしないめぐさんに俺はさらに心配になる。

そんな俺達を見てクスクスと笑う恭弥。
コイツ絶対何か知ってる…
けど、意地悪なコイツがタダで教えてくれるはずない

昨日散歩に行くと言って出ていったきり会ってなかった俺は、良からぬ事ばかり考えて一人焦っていた。

そんな時、突然後ろから聞き覚えのある声がした


「ひっどい顔。」

⏰:09/07/25 17:42 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


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