漆黒の夜に君と。U[BL]
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#201 [ちか]
ちゅ。


軽く唇を乗せると、柔らかい感触を感じた。

高鳴る鼓動と、きつく瞑る瞳。
全身が熱くなるのが分かった。
その時。


「んふ…ぁ?!!///」

突然忍びこんできた舌。

「んんっ…//‥‥―!!!」

余韻を残して離された唇を辿ると、まだ少し微睡んだ漆黒の瞳があった。


「寝込み襲うなんて悪趣味だね。」

⏰:09/07/14 21:32 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#202 [ちか]
そう言われて俺の顔は一気に熱が込み上げる。

「や…っ、ちがっ!!!///
これはその…っ、つまり//」

「《つまり》、なに?」

上半身を起こしてて、
ぐいぐいと迫ってくる恭弥

「えっと…その、うわあっ!!?」

ドンッ

「いったぁ〜…(涙)」

迫ってくる恭弥から逃げるように後ろへ後ろへと退いていると、いつの間にかベッドの範囲を越えてしまったようだ。
音を立てて俺は床に叩きつけられた。

⏰:09/07/14 21:44 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#203 [ちか]
「…何してんの、全く。」

恭弥があんな顔して
近づいてくるからだろ?!//

心の中でそう叫びながらも口に出すことは出来ず、俺は起き上がろうと腰をあげた。






が。

⏰:09/07/14 21:47 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#204 [ちか]
「いっってぇーッ!!!(泣)」


腰に激痛が走る。
ジンジンとしみるように痛さが伝わってきた。


「腰痛いの?」

ベッドの上から見下ろすように俺を覗く恭弥に、俺は顔を大きく縦に振った。


「情けないなぁ。《アレ》くらいで。クス‥」


《アレくらい》じゃなくて《アレだけすれば》だっつーのっ!!!!!!!(泣)

⏰:09/07/14 21:52 📱:P906i 🆔:uUIWmaXs


#205 [ちか]
ベッドから落ちた衝撃でさらに腰の痛みは悪化したようで、俺はその場を動けずに居た。

が、

「仕方ないなぁ。」

と気だるそうに呟くと、恭弥は軽々と俺を抱き上げた。
いつものお姫様抱っこで。

暴れたくても暴れられない俺は、ただ顔が赤くなっていくのを感じるしかなかった。

⏰:09/07/16 17:36 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#206 [ちか]
ゆっくりとベッドに降ろされた俺。
俺を気遣ってくれてるのかいつもより丁寧だ。

「…あ、ありがと..」

目も合わせないままそう言うと、恭弥は俺の頭を軽く撫でた。

「どういたしまして。」

その笑顔はすごく優しくて。愛しくて。



いつの間にか俺達の唇は重なろうとしていた。…――

⏰:09/07/16 17:39 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#207 [ちか]
バァンッ!!!!

「朝やで〜っ!!起きい〜♪」


残り数mmといったところで、愛しかった雰囲気はいとも簡単に掻き消された。

固まる俺と恭弥。
徐々に恭弥の怒りが辺り一帯に広がっていく。

そんなこともお構い無しに相変わらず暢気な声をあげるめぐさん。

「あ、ごめんごめん!!もしかして俺、邪魔してもた?!」

⏰:09/07/16 17:50 📱:P906i 🆔:cLbwCS8g


#208 [ちか]
「もしかしてじゃなくて、邪魔なんだよ、ねぇ?分かってる?」

めぐさんの居る方へ振り返った恭弥の背中からは殺気が漂っていた。

「ごめんて!!そんな怖い顔せんとってや〜(汗)」

苦笑いを浮かべ両手を合わせるめぐさん。
そんな姿に恭弥はあからさまな溜め息を吐いた。

「で、なんの用?」

⏰:09/07/17 13:16 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#209 [ちか]
「ん?あ〜!!!そうそう!!」

恭弥の問いかけにめぐさんは大きく手を叩いた。


「海!!!海行こーや!!」


満面の笑み。
口元からは八重歯がチラリと見えた。

しかし、今のこの状況。


‥‥‥行けるはずない。

⏰:09/07/17 22:25 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#210 [ちか]
「悪いけど、冥体調良くないから今日は無理。」

「えっ?!なんで?!どーしたん冥ちゃん!!」


大袈裟なリアクションが独特だ。

「とにかく今日は無理。」

鬱陶しそうにめぐさんに返す恭弥の声を聞きながら、俺は俯いた。


行きたかったなぁ…海。

⏰:09/07/17 23:13 📱:P906i 🆔:kBnPgbV.


#211 [ちか]
「ん〜…じゃあバーベキューしよ、バーベキュー!!」

大きくて通る声が雰囲気をパッと明るくした。

「だから体調が…、」

俺は恭弥の言葉を遮るように服の裾を引っ張った。

「…バーベキューしたい。」

小さく呟いたその声に恭弥は少し戸惑う。

「でも…「大丈夫だよ、さすがに今すぐは無理だけど..」

そう言って少し引きつるように笑った。
そうすると恭弥はいつもみたいに優しく俺の頭を撫でた。

「分かった。」

優しい微笑み。

⏰:09/07/18 09:10 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#212 [ちか]
「よし!じゃあ決まりやな★恭!!朝飯食ったら買い出し行くで!」

「買い出し?」

「おう!」

きょとんとした顔を向ける恭弥。


そして一言。

「バーベキューの準備って僕達でするの?」


あぁ…この人って、こう言う人だったよな‥

⏰:09/07/18 09:14 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#213 [ちか]
「当たり前やろ!!お前、ほんま相変わらずやなぁ」

ケラケラと笑うめぐさんにつられて俺も少し笑う。
本人はなんで笑われてるのか分かってない様子。


「ところで今何時か分かる?」

恭弥にそう聞かれ、めぐさんは自分の腕時計に目をやった。

「え〜っと、12時半過ぎやな!!」

「「‥‥‥‥。」」


あぁ…この人もこう言う人だったよな…。

⏰:09/07/18 09:19 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#214 [ちか]
その後、3人で朝御飯と言うには遅すぎる食事をとった。

「そう言えば凌は?」

「さぁ。どっかでヴァイオリンでも弾いてるんちゃう。」

めぐさんは凌さんの事となると、途端に機嫌を悪くする。

「ふぅん。」

「「「‥‥‥‥‥。」」」

なんだ、この空気!!

この雰囲気を変えるために俺はやたら饒舌(ジョウゼツ)になった。


そんな風に食事を終えた俺達は、暫くしてバーベキューの準備に取り掛かることにした。

⏰:09/07/18 10:20 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#215 [ちか]
「じゃあ俺と恭は買い出し行ってくるから、冥ちゃんは留守番しときぃ。」

「僕も留守番が‥「んじゃあ、行ってきまーす♪」


そうして玄関の扉はバタンと音をたてた。


「恭弥もめぐさんも居ないし暇だなぁ。」

そう思いながらまだ痛む腰を少しさすった。

⏰:09/07/18 10:25 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#216 [ちか]
だだっ広いリビング。

さすがに一人で居るには寂しい。


「…凌さんどこかな?」


そう呟いて俺の足は自然と昨日の庭へ向かっていた。

――――――――――――――――――――――――

⏰:09/07/18 15:09 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#217 [ちか]
― めぐるside.―

「「「 あ。 」」」

玄関を出てすぐ俺達はバッタリ出会ってしまった。


(コイツ、あからさまに嫌な顔しやがって‥‥)

俺は思いっきり凌を睨んだ
その碧色の瞳に俺の姿なんて映ってないと言うのに。

「どこ行くの?」

「ん?ちょっと買い出しにね。」

⏰:09/07/18 20:00 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#218 [ちか]
「買い出し?」

首をかしげながら凌はそう言った。

「バーベキューすんねん!!!バーベキュー!!お前はココで留守番しとけ。」

自分で言うのもなんやけど、かなりの憎たらしい口調。

案の定、凌はムッとした顔を家の中へ入っていった。

⏰:09/07/18 21:01 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#219 [ちか]
「なんやねん、あの目!!
ほんっっまムカつくわ!!!」

吐き捨てるようにそう言って俺はスタスタと歩いていく。

「ちょっ、車は?!?!」

後ろからそう叫ぶ恭の声がする。

あ゙ーっ!!!!
イライラする!!!!


「買い出しっちゅーもんはなぁ!!!歩いてするもんなんじゃ!!!」

※完璧な八つ当たり(笑)

⏰:09/07/18 21:44 📱:P906i 🆔:ohQY5GhA


#220 [ちか]
恭弥もこれには呆れた様子で、でも隣に並んできた。

やけど、なんせこの雰囲気の悪さ。
いや、俺が悪くしたんやけど!!
俺は自業自得のこの沈黙を破れずにいた。


照りつける真夏の太陽が、俺の額を湿らせる。

(この空気どないしよ‥)

考えれば考えるほど解決案が見つからず、汗がタラリと首筋を伝った。その時。

「あのさ、」

沈黙を破る乾いた声。

⏰:09/07/19 08:46 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#221 [ちか]
声のする方へ顔を向けると、夏とは無関係のような真っ白な肌が目に映った。


「なに。」

応答は自分でも驚くほど静かで短いものやった。

セミの声が辺り一面を五月蝿くするが、俺達の間だけはやけに静かな気がする。


「めぐ、凌のこと
     好きでしょ?」

⏰:09/07/19 08:56 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#222 [ちか]
一瞬、この世の何もかもが止まった気がした。

それくらい衝撃的だった。


「…は、はぁ?!何言ってんねん!!お前俺のどこ見てそんなん言って‥‥、」


何故か心臓が早く脈を打った。
何故自分が焦っているのか分からない。
解らない…。

⏰:09/07/19 09:04 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#223 [ちか]
「どこを見てって言うか‥‥、なんとなくだけど。」

「は…はは、なんやそれ。変なこと言うなよ。」

なんで俺、こんなひきつってるんや?
こんなんいつもの俺やったら、笑い飛ばすなりキレるなりするはずやのに‥‥


でも、今俺の中はどっちでもない。
なんなんやろ、この感覚…

⏰:09/07/19 14:11 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#224 [ちか]
「じゃあ、めぐは凌の何が嫌いなの?」

その問いかけの口調は、嫌味や悪気などは全くなくただ素朴だった。

「そ、そりゃ…俺を馬鹿にしてるようなあの目とか‥」

「凌の目付きはもともと悪いよ?」

「あの憎たらしい口調とか…」

「いつも先に喧嘩吹っ掛けるのはめぐでしょ。」

「俺を見下ろす態度‥、」

「めぐの方が身長低いんだから仕方ないよ。」

「‥‥‥‥‥‥。」

⏰:09/07/19 14:29 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#225 [ちか]
ことごとく覆された俺は黙り込んだ。
それに追い討ちをかけるようにして恭弥は言う。

「そもそも、何がキッカケであんな仲悪くなったっけ?」

「それは…っ‥‥‥」

「それは?」

「いや、なんでもない。そんなん忘れたわ。」

「?変なの。」

そう言って恭弥は歩いていく。でも俺は立ち止まってしまった。

『忘れる』わけないから

⏰:09/07/19 16:49 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#226 [ちか]
でも、それは仲が悪くなったキッカケじゃない。

俺が、俺一人がアイツを拒んだ理由‥‥―――
―――――――――――

まだ8つか9つの頃だった。
たまたまパーティーで顔を合わせた俺とアイツ。
親同士の思いつきで急遽皆の前で、俺はピアノ、アイツはヴァイオリンで一つの曲を一緒に演奏することになった。

⏰:09/07/19 17:04 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#227 [ちか]
だけど、演奏中。

俺の親は仕事でパーティーを抜けた。

演奏が終わった後、舞台を降りるとアイツは両親に抱き締められていた。
何度も何度も頭を撫でられて誉められていた。

でも俺は‥‥―――
隣に世話係りが居るだけ。

「なんで俺だけ‥‥っ
なんで‥‥‥っ
俺は一人やねん…!!!!」

そう言って世話係りの服の裾を千切れるくらい強く握った。

嫉妬した。妬んだ。

そんなキッカケで俺はアイツを遠ざけるようになった。

⏰:09/07/19 17:16 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#228 [ちか]
「アホやな…俺。」


そう呟いてまた恭の隣に並んだ。
でもきっと俺はもうアイツとは並んで歩けない。

俺がそうしたから‥――


恭弥はチラリとこっちに目を向けたがすぐにまたそらした。



「また女抱いたんだね。」

―――‥‥え?

⏰:09/07/19 17:36 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#229 [ちか]
「女物の香水の匂いする。」

顔をしかめる恭弥。

「…ふ、はは。昨日俺が出ていく時から分かってたくせにいちいち言うんや?
性悪やな恭も。」

「お前には言われたくない」


お前には、か。


――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/19 17:47 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#230 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

更新ストップします(´`)
誰か読んでくれてる方
いますか?(;_;`)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/19 17:53 📱:P906i 🆔:4c/3kdjU


#231 [りえ]
読んでます
ずっと見てます
大好きです

⏰:09/07/19 20:11 📱:SH905i 🆔:kuBLqg1c


#232 [ウ]
この小説大好きですイ
毎回楽しみにしてます~。

⏰:09/07/19 22:31 📱:W53T 🆔:1nzXVRTU


#233 [ちか]
>>331
└→りえさま

ずっとですか!!><
大好きなんて言ってもらえて嬉しすぎます(;д;`)
これからも頑張ります!
>>3感想板にもぜひお越しください♪
ありがとうございましたっ

⏰:09/07/20 01:22 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#234 [ちか]
>>233さま

私の携帯がドコモのせいで、名前が分からずすいません(;_;`)
嬉しいお言葉ありがとうございます!!
私にはもったいないくらいです(T_T*)
これからも楽しんでもらえるように頑張ります★
>>3感想板にもぜひ♪
ありがとうございましたっ

⏰:09/07/20 01:23 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#235 [ちか]
― 冥side.―

「い…いた‥‥!!」

方向音痴の俺が、
わりと簡単にココまで来れたのは、やっぱり


♪―‥♪〜‥


この音のおかげかな?

⏰:09/07/20 09:40 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#236 [ちか]
だけど今回は、


「また来たの。」





「あ…ごめんなさい。」


すぐバレちゃった。

⏰:09/07/20 12:35 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#237 [ちか]
凌さんと俺の間には
中途半端な距離。


凌さんの眼がそうさせる。
近寄れないオーラみたいな


だけど、
嫌な感じじゃないんだよな

「そんなトコ居ないでこっち来れば。」

ほら。

⏰:09/07/20 12:49 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#238 [ちか]
凌さんの隣に小さくなって座ってみる。

「なんで体育座り…。」

「え?あ‥や、癖って言うか…あは、あはは‥」

何緊張してんだ俺!!!!//


少し左上を見上げると、ブロンドの髪を靡かせる色白な顔が見える。


つくづく綺麗だよなぁ…

⏰:09/07/20 13:21 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#239 [ちか]
って!!!!!///
俺なに考えてんのっ!!!

相手はあくまでオ・ト・コ!!
これじゃあホモ道まっしぐらじゃんかあああ!!


「はぁ…。」

俺が好きなのはあくまで
恭弥なワケで

「どうかした?」

男ではない。絶対…。

「なんでもないです‥」

⏰:09/07/20 13:26 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#240 [ちか]
「あ、そう。」

「はい…。」

「‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥。」

「「‥‥‥‥‥‥‥‥。」」

気まずっ!!!!(汗)
どうすりゃいいんだよ…
なんか話題話題話題‥


「あ、あの…っ」

「何?」

「凌さんは、めぐさんの事、きっ‥嫌いですか?」

⏰:09/07/20 13:44 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#241 [ちか]
「え‥‥‥、」

目を丸くする凌さん。

「あ‥‥‥っと…」

俺の馬鹿ぁぁっ!!!!(泣)
なに聞いてんだよ!!!
よりによって、めぐさんのこと‥‥っ

「ご、ごごめんなさい!!!
別に悪い意味とかじゃなくて!!その…「嫌い。」

「嫌いだよ、アイツのこと」

「え…あ、そう‥ですか…」

なんでかな。
分かってたハズなのに、なんか悲しい…。

⏰:09/07/20 13:51 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#242 [ちか]
「でも…昔はもっと嫌いだった。」

「え?」

俯いていた顔をあげて左を見ると、至って無表情な凌さんが目に映る。

が、その碧眼は何かを物語っていた。

「昨日言っただろ?
俺が虐待を受けて施設に入れられて。今の両親が本当の両親じゃないこと。」

俺は力なく頷いた。

⏰:09/07/20 14:48 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#243 [ちか]
「だから昔っから嫌いだったんだ。我が儘言いたい放題のアイツが。」

いつの間にか俺達を照りつけていた太陽は沈む準備を始めていた。

「俺は言えなかった。
欲しい物とかしたい事とか、我が儘言ったらまた捨てられるんじゃないか、って思うと恐くて言えなかった。」

「凌さん‥‥。」

…そんな哀しい顔しないで

⏰:09/07/20 14:57 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#244 [ちか]
「でも今思えば、羨ましかったんだよ、アイツが。
俺は嫉妬してたんだ。」

凌さんはそう言って無理な笑顔を作った。

「でも今は違う意味で嫌い」

「違う意味?」

「うん。」

小さく頷いて、凌さんはヴァイオリンを撫でた。

⏰:09/07/20 15:03 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#245 [ちか]
「アイツ昨日の夜出ていっただろ?あの後、きっと女と寝てた。」

「えっ?!」

初耳な事と衝撃的な事で、俺は思わず声を大きくした。
そして慌てて口元を手で覆う。
凌さんはそんな俺をチラリと横目で見て、話を続けた。

「いつからだかは分かんないけど、アイツそうやって何かから逃げてんの。」

そう言って表情を曇らせた。

「《何か》って…?」

⏰:09/07/20 15:11 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#246 [ちか]
そう問いかけると、凌さんは静かに顔を横を振った。


「それは分からない。
でもああやって逃げるのは違うと思う。ムカつくし、なんて言うか‥‥
見てて痛い。」

俺はそう言い終えた凌さんに、なかなか声をかけられなかった。


だって…、俺思うんだ。

⏰:09/07/20 15:17 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#247 [ちか]
きっと凌さんは
めぐさんの事嫌いじゃない


嫌いだったら、もっと拒絶してるよ。
見ないようにするはずだよ。

でも凌さんは違う。

多分、解りたいんだ。
凌さんはめぐさんのこと。

もっと近づきたいんだよ…

⏰:09/07/20 15:21 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#248 [ちか]
「仲良くなれたら…良いですね。」


気づけば無意識に
そんなことを呟いていた。

「?べ、別に俺は‥‥っ」

凌さんは何かを言いかけたが、それが最後まで言い終わる前に、

『ただいまぁーっ!!!』

と買い出しから帰ってきためぐさんの声が響いた。

「あ、おかえりなさーい。」

振り返ると、たんまり食料を買い込んだ2人が見えた。

⏰:09/07/20 15:28 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#249 [ちか]
「冥ちゃーん!!準備するでー♪」

少し遠くからめぐさんの明るい声が届く。
俺もそんな明るさにつられて「はーい!」と返事を返し、腰を上げた。
いつの間にか、だいぶ痛みは無くなっていた。

「あ、」

凌さんは動かず座りこんだまま。

「ほら、凌さんも行くんですよっ!!」

俺がそう言って手を差し出すと、
凌さんは少し戸惑いの表情を見せた後、

その手を掴んだ。
――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/20 15:47 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#250 [ちか]
― 凌side.―

『仲良くなれたら
     良いですね』


まさかそんな風に言われるなんて、思ってもみなかった。


アイツと仲良く
なんて考えてもみなかった


だけど、何だろう?
嫌(イヤ)じゃないこの感覚。

嫌い(キライ)なはずなのに。
─────‥‥
───────────

⏰:09/07/20 16:08 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#251 [ちか]
――――――――――――
――――――――――――
― 冥side.―

「あ〜!!!食った食った♪
もう食われへんわあ!」

太陽はすっかり沈み、無数の星が瞬く下で俺達はバーベキューの終盤を迎えた。

「俺ももう限界‥。」

無理やりと言っていいほどめぐさんに食べさせられた俺は、椅子に座りこみすっかりダウン。


恭弥も凌さんも最初は乗り気じゃなかったけど、なんやかんやで楽しんでたみたい。

⏰:09/07/20 16:11 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#252 [ちか]
恭弥は少し眠そうに肩肘をついて椅子に座っているし、凌さんは相変わらずの無表情を貫いていた。


「ほな、俺ちょっと散歩でもしてくるわ〜♪」


言い放った口調の軽さに対し、俺達3人の反応は重く、そして敏感なものだった。


それを知ってか知らずか、めぐさんは足早に玄関へと向かっていく。

⏰:09/07/20 16:42 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#253 [ちか]
そうと決まったワケじゃないのに、さっきあんな事を聞かされたせいか、めぐさんの目的が散歩とは思えなかった。


嫌な予感がする‥‥


きっと誰もがそう感じていたはずだ。


「し、凌さん‥‥っ
追いかけなくて良いんですか?!」

⏰:09/07/20 16:49 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#254 [ちか]
「俺には関係無い。」

「関係無いって……
でもっ‥‥「うるさい。」

「‥‥‥ッ!!」

凌さんはこれまでにないくらいキツい眼で俺を睨んだあと、立ち上がった。

俺は遠退いていく背中に必死で叫ぶ。

「でもッ…、めぐさんを助けてあげられるのは凌さんだけなんですよ‥‥っ!!!!」

しかし凌さんはなんの反応を示すこともなく、屋内に消えていった‥‥───

⏰:09/07/20 16:55 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#255 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
更新ストップします^p^
もし読んでくれている方
いましたら、ぜひ感想等
聞かせてください★

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/20 16:58 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#256 [ちか]
― 凌side.―

───‥‥
『めぐさんを助けられるのは凌さんだけなんですよ』
      ‥‥────


部屋に戻ってからも
頭に残るのはその言葉ばっかりだ。

⏰:09/07/20 20:40 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#257 [ちか]
助ける?

俺がアイツを?


そんな事出来るわけ‥──


だけど何故だろう

アイツの去っていく背中が
目に焼き付いて離れない。

⏰:09/07/20 20:52 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#258 [ちか]
俺には関係ない
俺には…


何度もそう言い聞かせた


だいたい俺が行ったところで何になる?


きっと払いのけられて終わる。きっと。

⏰:09/07/20 21:12 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#259 [ちか]
だけど‥‥───

もしかしたら、
なんて思ってしまう自分がいる。


俺達が感じてるモノは
同じなんじゃないかって


逃げたいモノは
同じなんじゃないかって

⏰:09/07/20 21:18 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#260 [ちか]
コンコン.


ドアをノックする軽い音


出てみるとそこには

「恭‥‥」

恭の姿があった。

「なんか用?」

「いや、用ってほどじゃないんだけどね。」

⏰:09/07/20 21:25 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#261 [ちか]
「ふーん。」


恭は大切な人。
だから訪ねにきてくれるのはすごい嬉しい。

でも時々、なんか掴めなくて解らなくなる。

今のこの表情も何考えてんのか解らない。


「凌はさ、突然施設に入れられてどう思った?」

⏰:09/07/20 21:36 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#262 [ちか]
突然の質問に少し困惑する俺。

「なんだよ、いきなり。」

「いや、純粋にどんな気持ちだったのかなって。」

そう言って怪しげに微笑む恭弥。
やっぱり掴めない。


「それは‥‥───」

言いかけて言葉に詰まった。

⏰:09/07/20 21:43 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#263 [ちか]
『居場所』
なんてもの無かった。


周りの人間なんて
所詮は他人事で、

可哀想だの、なんだのって同情はする癖に実際は偽善者の塊だった。


いつも独りで孤独で、


寂しかった‥‥───

⏰:09/07/20 21:47 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#264 [ちか]
俯いていっこうに話そうとしない俺に話を続ける恭弥。




「じゃあめぐはどうだったのかな?」





アイツ‥‥‥?

⏰:09/07/20 22:35 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#265 [ちか]
「大病院の院長を父親に持って、昼も夜も、誕生日も傍に居なくてさ。
代わりに世話係り達とプレゼントばっかり用意されて。
それって、
それってどれだけ寂しかったのかな?」


そこまで言われてハッとした。


『どれだけ寂しかったのかな』……───

⏰:09/07/20 22:42 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#266 [ちか]
「恭‥‥‥」

「ん?」

「ありがとう。」




そう呟くと同時に俺は走り出していた。

⏰:09/07/20 22:45 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#267 [ちか]
あの子の言葉の意味を、
恭の言葉の意味を、


今やっと解った気がした。


行き先なんて分からない。
会えるかどうかなんて
分からない。


だけど、

俺には今、行かなきゃいけないトコロがある───‥‥

⏰:09/07/20 22:53 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#268 [ちか]
`




アイツの居るトコロに。




.

⏰:09/07/20 22:56 📱:P906i 🆔:8LQ1D/eo


#269 [ちか]
`







「全く世話が焼けるよねぇ」

そんな恭弥の呟きが、ひっそりとした廊下に溶けた。
――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/21 16:05 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#270 [ちか]
― めぐるside.―

散歩とは言ってみたものの、ここらの道には詳しくなく、

「あれここさっきも通ったような‥‥?」




この有り様や。

⏰:09/07/21 16:14 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#271 [ちか]
バーベキューはめっちゃ楽しかった。

冥ちゃんに食わしすぎたか?
なんてちょっと思うけど。

とにかく楽しい時間やった


けど、やっぱり何処か
孤独で仕方なかった。

だから抜け出してしまった

⏰:09/07/21 16:29 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#272 [ちか]
そしてまた無意識に探してる。


一瞬だとしても
その場しのぎだとしても



孤独を忘れさせてくれる奴を。

⏰:09/07/21 16:35 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#273 [ちか]
昨日も、その辺を歩いてたら声をかけられた。

──────‥‥
呼び止められて、

「君、ココらの人?」

「や、大阪から。」

「そうなんだぁ!!私も旅行で来てね〜、でも今彼氏と喧嘩中でさぁ。良かったら遊ばない?」

「‥‥‥ええよ。」
     ‥‥‥────

そんなやり取りをした後の結果は、きっと言わなくても分かるやろ。

⏰:09/07/21 16:44 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#274 [ちか]
「今日はどないしょーかな」

そんなことを呟いてフラフラしていると、


「そこのお前。」



低く聞き取りにくい声で呼び止められた。

⏰:09/07/21 18:54 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#275 [ちか]
「?‥なんですか…ぐふ…ッ!!!」


振り向くと同時に、頬に焼けるような痛みが走った。

そのまま道端に倒れ込む俺。


「い゙…ったぁ〜‥」

見上げると大柄で色黒の男とその後ろに見覚えのある女が立っていた。

⏰:09/07/21 19:05 📱:P906i 🆔:3mc/G7.U


#276 [ちか]
「ちょっ…!!待って、話聞いてよ!!!」

「お前は黙ってろ!!!!」

怒りで興奮状態の男と、それに慌てる昨日の女。

(そう言うことね〜‥)

殴られて赤くなっているであろう頬を撫でながら、俺はそんな2人をまるで他人事のように見ていた。

「てめぇ、人の女に手出しやがってッッ!!!!ぶっ殺してやる!!!!」

そう言って男は座りこんでいた俺の胸ぐらを掴み、拳を高くあげた。

(これ喰らったら、さすがに痛いやろなぁ‥)

なんて暢気な事を考える俺

⏰:09/07/22 18:05 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#277 [ちか]
どうせなら、いっそのことこのまま‥‥───

そんな考えが頭に過った

「……まで………れよ。」

「あ゙?!」

「気が済むまで殴れよ。あんたの好きなだけ。」

気が付けばそんな事を口にしていた。
男はその言葉に更に逆上し今にも拳を降ろそうとしている。


そうや。
いっそこのまま、俺を殺してくれたら‥‥───
そしたら、孤独からも解放されるかな?

最早俺の目は現実を見ていなかった。

⏰:09/07/22 18:12 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#278 [ちか]
固く突き上げられた拳が、一気に俺目掛けて勢いよく降りてきた。
俺は固く目を瞑る。
──…これで俺も楽に‥

そう思ったその時。

バキッ..

鈍く生々しい音が鳴った。
しかし俺の頬はいっこうに痛くならない。
ゆっくりと目開けてみると俺に馬乗りになっていたハズの男がすぐ傍に倒れ、唸っていた。

何事か分からず上を見上げるとそこには…──

「し……のぐ‥‥?」

息を切らせる凌の姿があった。

⏰:09/07/22 18:27 📱:P906i 🆔:GJUAHk0k


#279 [ちか]
走ってきたのか、肩で息をする凌。
そんな凌を見てただ呆然とする俺。


「なんで…お前が……、」

『此処にいるのか』と言い終わる前に、手首を掴まれた。

「えっ…ちょ‥‥え?!!?」

状況を把握出来ずパニック状態のまま、俺は凌に引っ張られる形で走り出す。

後ろを見ると、踞(ウズクマ)っている男が遠くなっていくのが見えた。‥‥───

⏰:09/07/23 19:02 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#280 [ちか]
ハァ‥‥ッ‥ハァ‥ハァ‥──

「ちょ、どこまで行くねん!?」

どれくらい走っただろうか
息が上がり、体力にも限界が近づいてきた頃、漸く凌は足を止めた。

凌は俺に背中を向けたまま返事をしない。

「ハァッハァ‥おい、なんとか言え‥や‥──い゙っ!!?」


パン!!!

と斬れの良い音が辺りに響き渡り、俺の頬は滲むように痛みだした。

⏰:09/07/23 19:36 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#281 [ちか]
「何してんだよ!!!!
なんで逃げないわけ?!!
馬鹿か?!!」

振り向いた凌は、今まで見たことがないくらい怒りの表情を露(アラワ)にした。

凌の平手打ちを受け混乱するが、じんじんとする痛みで我に戻る。

「…っな、お前には関係無いやろ!!!!」

お前に‥‥──
お前なんかに‥‥───

「お前なんかに俺の何が分かんねん……っ!!!!」

気が付けばそう叫んでいた

⏰:09/07/23 19:56 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#282 [ちか]
シンと静まりかえる辺り。
しかし凌に驚いたような素振りはない。
それどころか、

「あぁ、分かんないよ。」

そう言って俺を怒りのこもった目で睨み付ける。
俺もその表情に一瞬怯んだが、言い返そうと口を開く。

「それやったら、もう…「分かんないから、分かろうとしてんだよ。」

その声は『怒り』とはまた違う、何とも言えない静けさがあった。

⏰:09/07/23 23:12 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#283 [ちか]
「…う、嘘や!!嘘つくな!!
分かろうとなんか‥─ッ」

分かろうとなんか、
今まで誰一人かてしてくれへんかったやんか。

嘘なんかいらんねん…っ
嘘なんか‥──

込み上がってくる何かが、俺の感情をコントロール出来なくする。

震える身体。
怯えるように耳を塞ぐ俺はまるで子供のようで。
冷めきった心が全てを拒絶する。

しかし突然、身体に温かさを感じた。

⏰:09/07/23 23:20 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#284 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。」

耳元で鳴るその声と苦しいほどの締め付けは不思議なほど俺を落ち着かせていく。

けど、心の何処かで
まだソレを信じられない俺が居る。

「は、離せや…っ!!!」

みんないつかは離れていく
俺から遠くなっていく

それなら最初から、そんなモノ要らん‥


「もう一人で抱え込むなよ」

⏰:09/07/23 23:31 📱:P906i 🆔:x5f2JRqo


#285 [ちか]
「お前が辛い時は、その辛さ俺も半分背負うから。
だから逃げたりすんなよ。
目そらすなよ‥──
一緒に受け止めてやるから。」


そう言って凌はさらに締め付けを強くした。

───‥『一緒に』…


ポタ‥─ッ

凌の肩に小さな円が滲む。
それは連続的に。
そして零れ落ちるように。

何かの歯止めが取れたかのように俺の瞳(メ)からは大粒の涙が溢れ出した。

⏰:09/07/24 22:52 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#286 [ちか]
そうか。

「お…俺は‥──っ」

俺は、

「ずっと…」

孤独を忘れさせてくれる人じゃなくて、

「ずっと独りで‥──ッ」

一緒に受け止めてくれる人を探してた‥──
       ずっと。

⏰:09/07/24 23:05 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#287 [ちか]
「大丈夫。大丈夫だから。
もう独りじゃないから。」

「うっ…グス‥‥うぅ…っ」


俺をあやすようなその手つきが優しかったから、
余計に涙が止まらなくなって

俺はまるで子供のように泣いた。
声が枯れるまで。


月明かりに照らされて
涙はキラリと光った。

――――――――――――
――――――――――――

⏰:09/07/24 23:10 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#288 [ちか]
― 冥side.―

「あーっ!!!!!
ちょ、恭弥ぁっ!!!!(怒)」

「ん?」

俺は朝から鏡を通して、後ろでコーヒーの入ったティーカップをすする恭弥を睨む。

そんな俺に暢気な返事を返す恭弥。

「見えるトコにはつけんなってあれだけ言ったのに!!//
どーしてくれんの、コレ!!」

"コレ"の正体、それは

「僕のモノって印だもん。
見えるトコじゃないと分かんないでしょ?」

赤い小さな痕。

⏰:09/07/24 23:18 📱:P906i 🆔:CzAz7gTI


#289 [ちか]
「あ〜もうっ…〜。」

そう呟いて、消えるわけないと分かっているのにそこを擦る。

暫くそんなやり取りをした後、俺達はリビングへやって来た。


ついに今日は海へ。
テンションもだんだんと上がってくる。

リビングに着くと、既にめぐさんの姿があった。

「めぐさん早いですね〜っ!って、…えぇ?!!;」

俺はめぐさんの顔を見て思わず驚きの声をあげる。

⏰:09/07/25 17:32 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#290 [ちか]
「どっどーしたんですか、その目っ!!!」

「ん?あ〜これなぁ〜‥、えっと‥」

泣き腫らしたようにパンパンなめぐさんの目。

「なんて言うか〜…」

なかなか真相話そうとしないめぐさんに俺はさらに心配になる。

そんな俺達を見てクスクスと笑う恭弥。
コイツ絶対何か知ってる…
けど、意地悪なコイツがタダで教えてくれるはずない

昨日散歩に行くと言って出ていったきり会ってなかった俺は、良からぬ事ばかり考えて一人焦っていた。

そんな時、突然後ろから聞き覚えのある声がした


「ひっどい顔。」

⏰:09/07/25 17:42 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#291 [ちか]
振り返ると、意地悪そうに笑う凌さんが居た。

「はぁ?!うるさいわっ!!」

あ〜また始まったよ…

「めぐの方が十分うるさい」

あれ‥??

「俺のどこがうるさいねんっ!!」

今凌さん、『めぐ』って呼んだ‥‥?!

⏰:09/07/25 18:32 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#292 [ちか]
「きょ、恭弥、恭弥!!///」

「ん?」

肩を叩き、耳元でコソコソと名前を呼ぶと、短い返事を返した恭弥の恭弥の顔も心なしか綻んで見えた。

「なんか、めぐさんと凌さん仲良くなってない??」

チラリと二人に目をやると、昨日まではあり得なかったような、表情が優しいって言うか、あったかいって言うか‥‥
空気が柔らかい気がする。

「何かあったみたいだね。」

そう言って恭弥はふふっと笑った。

⏰:09/07/25 19:09 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#293 [ちか]
「そう言う馬鹿なトコ。」

「アホはええけど馬鹿はむかつく!!!」


喧嘩してるけど、時々笑った表情が見える。

二人の間に何があったのかは分かんないけど、
確かに二人の溝は無くなっていた。


だって、ホラ。


隣に並んで歩いてる。

⏰:09/07/25 21:56 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#294 [ちか]
「し、凌さん!!!//
めぐさんの事どう思いますか‥?!//」

無意識に俺はそんな問いかけをしていた。
喧嘩中だった二人は同時に俺の方を向く。

「っな!!///いきなり何聞いて…」

大きな瞳をさらに大きくさせてめぐさんは言う。
が、俺の耳には届かない。
俺の耳が求めてるのは、ただ一つ、凌さんの答え。

⏰:09/07/25 22:04 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#295 [ちか]
「…………嫌い、じゃない。」


わざと視線をそらしたまま、凌さんはそう不器用に呟いた。

その瞬間、俺の表情はパッと明るくなった。

嫌いじゃない
って、それって…──
それってさ…──!!

「なにニヤニヤしてんの。」

「ほぇっ?!!//」

凌さんは呆れた風に笑った

⏰:09/07/25 22:12 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#296 [ちか]
恭弥もゆっくりとめぐさんの隣に歩いていくと、ポンと肩を叩いた。

「良かったね、めぐ。」

「っな!!!!俺は別に…っ//」

「クスッ顔真っ赤だよ?」

「〜…っっ!!///うるさいわ!!//」




  嫌い嫌いも好きのうち      ってね。

⏰:09/07/25 22:19 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#297 [ちか]
――――――――――――――――――――――――
寂しさを
忘れることは出来ないかも知れない。

孤独から
逃げることは出来ないかも知れない。

だけど、

キミが傍に居てくれるなら

受け止めることは

出来る気がするよ。

ありがとう。───‥‥


  ― 第五話 e n d ― 

⏰:09/07/25 22:28 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#298 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
第五話 不器用なココロ
>>7-297

長くなりましたが、第五話ついに完結しましたっ><
なんか、ぐだぐだですいません(´;ω;`)笑

めぐ×凌編はこれからも時々書く予定です*^^

今回の冥、恭弥、めぐ、凌はどうでしたか?
感想・ご意見などよろしくお願いします∩^ω^∩

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/07/25 22:34 📱:P906i 🆔:aI2ZqENk


#299 [ちか]



第六話
鬼と悪魔と時々×××?!


⏰:09/07/26 23:20 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


#300 [ちか]
──‥楽しかった夏休みも終わりを告げ、季節は紅葉が頬を染める秋となった。


そして、今日は
我が高校の文化祭なのです


「なぁ、頼むよ〜」
「日下〜」
「日下くん〜」


そんでもって俺は今、

⏰:09/07/26 23:33 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


#301 [ちか]



「絶ッッッ対ぇ、い・や・だ!!!!」






人生最大の大ピンチ。

⏰:09/07/26 23:35 📱:P906i 🆔:fOT1gjcc


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