こいごころ
最新 最初 全 
#256 [向日葵]
好きな人を思うだけで、涙が出るなんて知らなかった。
こんな気持ちになるのは、きっと、いや絶対宗助だけ。
他の誰にもなった事はない。
自分は何を弱気になってたんだろう。
見込みがないかもしれないのは、今までもそうだったじゃない。
仮彼女は、ただひたすら突き進むだけ。
そんな風にしてでも、私はあなたのそばにいたいの。
「加賀!」
出店の間から、宗助が出てくるのが見えた。
:09/06/29 04:01
:SO906i
:☆☆☆
#257 [向日葵]
宗助がこちらへ走って来る。
茉里も宗助の方へ走っていく。
そしてそのまま、茉里は宗助の胸に飛び込んだ。
そう来るとは思わなかった宗助は、飛び込んできた茉里の勢いに負けて尻餅をついた。
「いった……加賀?」
茉里は力一杯宗助にだきつく。
「泣いてるのか?」
茉里は答えない。
宗助は困るが、そっと手を伸ばし、茉里の頭を優しく撫でる。
「迷子になって、心細かったのか?もう大丈夫だから。ちゃんと、見つけたから」
その言葉に、茉里は更に涙を流す。
:09/06/29 04:01
:SO906i
:☆☆☆
#258 [向日葵]
「好き……」
涙声の茉里の声が、宗助の耳に届く。
「好き、私……宗助が好きだよ……っ」
「……うん」
「本当だよ」
「うん」
「信じて……っ」
「うん……」
信じてるよ、加賀の気持ちは。
ずっと前から。
真っ直ぐにぶつかってくる君が、俺は放っておけないんだ。
信じれないのは、霧の中に置いてきてしまった、自分の気持ちなんだ。
:09/06/29 04:01
:SO906i
:☆☆☆
#259 [向日葵]
だから今も、君のその細く震える肩を、抱いてあげる事すら、出来ないんだ。
――――――――…………
夏休みもついに終わった。
課題テストも終わり、今度は体育祭のお祭りムードが色濃くなってきた。
茉里は、また宗助と一緒に帰っている。
「体育祭、楽しみだねーっ」
「張り切りすぎて怪我しそうだよな、アンタは」
「それはー、あんまり頑張ると、怪我するから、無理しちゃ駄目だぞっ、て言ってくれてるの?」
:09/06/29 04:02
:SO906i
:☆☆☆
#260 [向日葵]
「アンタの妄想には毎度頭が下がるよ」
「違うの?」
「なにが?」
「心配、してくれてるんじゃないの?」
「好きなように取れば?」
そう言って、優しく、どこか意地悪に笑う。
最近、あの不器用な笑顔じゃなく、こんな風に自然に笑ってくれることが多くて嬉しい。
もちろん、あの不器用な笑顔だって好きだ。
でもこの頃の笑顔は、心から自分といることを楽しんでくれてる気がするから嬉しいのだ。
:09/06/29 04:02
:SO906i
:☆☆☆
#261 [向日葵]
そんな幸せも束の間。
体育祭も終わり、今度は冬の気配が色濃くなってきた頃のことだった。
その季節、茉里は知る事なる。
一途の重さと、苦しさを。
――――――――自分の諦めの悪さに、嫌気がさす。
どうして、運命を受け入れなかったんだろう……。
:09/06/29 04:02
:SO906i
:☆☆☆
#262 [向日葵]
[8]終わりの瞬間
気温は最近ついに1桁になってきた。
カイロはもちろん、マフラーは必需品。
「そーっおすーっけくーんっ。手がーさむーいんだけどなあー」
帰りの下校時間が早くなると同時に、日が暮れる時間も早くなって、辺りは真っ暗になるようになった。
当然、太陽が沈めば、また気温もグンッと下がるのだった。
手をプラプラとさせる茉里をじとっと見ながら宗助は呟く。
「……だからなに」
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#263 [向日葵]
「手っ!」
「見りゃ分かる」
「ちっがーうっ!繋ぎたいのーっ!」
「あーハイハイ」
まるでだだっ子。
しかしそんな茉里のわがままを、宗助はこの頃聞いてくれる。
普通に手を繋いだり、楽しく会話したり。
周りから見れば立派なカップルだ。
しかし未だ、茉里は仮彼女から昇格はしていない。
それでも茉里は楽しかったし、なんの不満もなかった。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#264 [向日葵]
でもやっぱり、好きって言葉は聞きたい。
いずれ言ってくれたらいいなと思う。
こうやって、一緒に過ごせるだけでも、結構な進歩なのだから。
―――――――――…………
その日、妙に胸がざわついた。
別に自分が特別勘がいいだなんて、茉里は思った事がない。
でも悪い事というのは、意外にもよく当たるから、余計に茉里は嫌な感じがしてならなかった。
おそらく、朝からクソ親父にあったせいかもしれない。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#265 [向日葵]
[おはよう茉里]
いつも朝は早いくせに、どうして今日だけは遅いのかと、茉里は嫌そうな顔を隠しもせずそう思った。
[そういえば、もうすぐクリスマスだけど、なにかその日予定はあるのか?]
「あってもアンタに言う訳ないでしょ」
茉里は用意を手早く済ませると、すぐに家を出た。
今日はいつも以上に寒い。
それもそのはず。雪が降っていたのだ。
そういえば、さっき少しだけ天気予報が耳に入ってきた。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194