こいごころ
最新 最初 🆕
#276 [向日葵]
それとも……宗助が……。

目を瞑る。
そうしようとした時だった。

「こんにちわー!先輩今日は試合練習ですかー?」

がらりと道場の戸が開けられた瞬間、2人はすごい勢いで離れた。

「ま、まだ決めてない……」

「じゃあ一応、旗とストップウォッチと拍子木の用意しときますねー」

「わ、わ、私、お茶用意してくる……っ」

茉里はやかんを持って、全速力で道場を出る。
その時、今来たところの綾香に当たりそうになった。

⏰:09/07/17 01:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#277 [向日葵]
「わっ!ごめんっ!」

「ま、茉里ちゃんかあ……。びっくりした……。ん?なんか顔赤いよ?大丈夫?」

そう言われて、さっき吸い込まれそうになった宗助の目を思い出す。

だんだん近づいてきて……。

宗助ってまつ毛長いんだとか、のん気に思いながら目を閉じた。

更に、茉里は顔を赤くした。

「だ、大丈夫……っ!」

また走って、ウォータークーラーまで行く。
もうなんの息切れか分からないまま、その場にへたり込む。

⏰:09/07/17 01:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#278 [向日葵]
もしあのまま……なんて考えたら、顔が赤くなってるとか、そんな問題じゃくなりそうで怖い。

思い出せば、胸が苦しい。

でもこのキューッと締め付けるような感覚は嫌いじゃない。
悲しい事があった時の胸の痛みとはまた違う。

しかしいつまでも余韻に浸ってる訳にもいかないので、さっさとやかんに水を入れる。

「――――っ」

「ん?」

どこかで話し声が聞こえてきた。
きになって、辺りを見回す。
しかし他の人たちの話し声と重なったりして、なかなかどこから聞こえてくるか分からない。

⏰:09/07/17 01:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#279 [向日葵]
すると、中庭に通じる道から、男の人が出てきた。
多分1つ上の人。

近くにあったベンチで話していたのかもしれない。
茉里の位置からでは、そのベンチは植え込みがあるせいで見えにくい。

だが、一緒にいただろう人物が、ベンチから立ち上がると誰だか分かった。

千早先輩だった。

後ろ姿だったから、その表情は分からなかったけれど、悲しそうな雰囲気を漂わせていた。

どうしたのだろうと、声をかけようと思い、でもと思い止まる。

どうして、ライバルの心配をしなくちゃならないのかと。

⏰:09/07/17 01:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#280 [向日葵]
茉里はやかんに水を入れて、見て見ぬふりをして、その場をあとにした。

――――――――…………

結局、その日は試合練習となった。

茉里はスコアを黒板に書いたり、時計係をしたり、バタバタとしていたら、さっきの事など忘れつつあった。

「茉里ちゃーん、竹刀削りってどこにあったっけー?」

「ちょっと待ってねー」

練習も終わり、後片付けをしていた茉里が立ち上がると同時に、道場の戸が開いた。

皆が先生かと思い、一瞬ピリッとするが、その人を見た途端、皆は肩の力を抜いた。

⏰:09/07/17 01:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#281 [向日葵]
「千早先輩ーっ!」

「やー、なんかここに来るのひっさびさだなー」

さっきの悲しい気配はどこへやら。
先輩はからりと笑っている。

「今日は試合しただけ?」

綾香に訊く。

「クリスマスに、毎年恒例の山の中にあるキャンパス使っての大会があるもんで」

「あの相互審判のね。あの大会変に旗が軽かったり重かったりするから嫌なんだよねー。私なんか相手場外出しても反則とられなかったんだよー?」

明るく笑う先輩は、先ほど見た悲しそうな雰囲気なんてまったくなかった。

⏰:09/07/17 01:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#282 [向日葵]
あの時、声をかけなくて良かった。
やっぱりなんともないじゃないか。

「宗助」

先輩が宗助を呼ぶ。

「なんですか?」

「ちょっといい?」

そう言われて、少しためらった宗助は、茉里がいるところまで来る。

「すぐ終わるから、校門で待ってて」

待っててなんて初めて言われたから、茉里は嬉しくなる。

大きく頷いて、道場をあとにした。

――――――――…………

「先輩別れたんでしょうかね?」

後輩がポツリと言った。

⏰:09/07/17 01:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#283 [向日葵]
「別れた?」

綾香が訊く。

「千早先輩カップルって、結構有名なんですよ。でこの頃ケンカと言うか、もめてる所を目撃してる人多くて。なんで、ついに別れてしまったのかなーって」

あんなに明るかったのに?
まさか。

茉里は帰る支度をしながら少し悪態づいてみる。

「でも、今日の先輩、なんだかカラ元気って感じしませんでした?目だって赤くなってた気もしますし」

そんな細かいところまできにしてられないよ。

そう思いながら、ふと思う。

⏰:09/07/17 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#284 [向日葵]
もし、自分が宗助を好きではなかったら、きっとこの会話に加わっているんだろうなと。

人って本当に勝手だな……。

「―――……ね?茉里ちゃん」

「えっ……。えっと、なに?」

「茉里ちゃんは笹部くんと付き合って結構になるよね?」

え。

「な、なに言って……っ!私、宗助と付き合ってないよっ!」

それを聞いて、皆一斉に「えーっ!?」と叫んだ。

「だって、毎日好きだって言ってるんでしょ?噂で聞いたよ?」

⏰:09/07/17 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#285 [向日葵]
「しかもこの頃めちゃくちゃ雰囲気いいじゃないですか」

そんなことを言われても、自分は正式には仮彼女だ。
未だそこから進展はない。

でも……と、今日道場であった出来事を思い出す。

あれは絶対、キスしようとしたよね?
もしかすれば、近いうちに昇格する確立が?
なら、こうしちゃいられない。
鞄を持ち、更衣室を出る。

「あー!逃げるの反則!」

皆からブーイングの嵐。

「その話はまた今度!」

茉里は走って校門まで行く。

⏰:09/07/17 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194