こいごころ
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#296 [向日葵]
悪いのは、苦しめた自分だから……。
だから……。
そう思っても、胸を締めつける痛みや、込み上げる嗚咽を止めることは出来なかった。
また、嘘をついた。
失恋ごときで落ち込まないなんて、嘘。
今、消えてしまいたいほど、辛い……。
涙が、雪のように、地面に落ちては消えていく。
クリスマスまで、あと4日の出来事だった。
:09/07/22 02:21
:SO906i
:☆☆☆
#297 [向日葵]
[9]それぞれの気持ち。
明日はクリスマス。
そして今日は終業式。
ミュシャはそれはもう怒っていた。
どちらかと言えばたれ目と言える彼女の目はつり上がり、髪の毛に隠れた額にはおさらく、いや絶対青筋があるだろう。
しかしそれは、あくまで茉里にバレないように気をつけている。
「ミュー。通知表どうだった?」
茉里が無邪気に笑いかけてくる。
その目が、また赤かった。
きっとまた泣いたんだ。
:09/07/31 03:43
:SO906i
:☆☆☆
#298 [向日葵]
一昨日の一連の出来事を、茉里は親友であるミュシャに話した。
ミュシャが宗助をあまり好いてないのは知っていたが、いつもより今回はミュシャに迷惑をかけたりしたので、関係ないだろうと報告しないのは何か違う気がした。
話した時、からりと不自然なくらい笑っていた茉里だが、ミュシャには何もかも分かっていた。
きっと、子供のように、大声で泣きたいほど、今辛いのだと。
茉里は元気でいるように努めているが、バレバレだったのだ。
「加賀ー。ちょっとー」
:09/07/31 03:43
:SO906i
:☆☆☆
#299 [向日葵]
担任が茉里を呼ぶ。
茉里がどこかに行った隙に、ミュシャは動いた。
歩いていくその先にいるのは、決まっていた。
男子と談笑している途中、歩いてきたミュシャに気づいた宗助は、突然ネクタイを引っ張って、顔を近づけて低く声を出す。
「ちょっと来なさいよ」
そのままネクタイを引っ張って、強制的に宗助を廊下に連れ出す。
廊下に出ると同時に、投げるようにして宗助を出し、ネクタイを持っていた手を離す。
ネクタイで首が絞められていた宗助は、少し咳き込む。
:09/07/31 03:44
:SO906i
:☆☆☆
#300 [向日葵]
「なにから言ってほしい?……違うわね。なにからしてほしい?」
「……なんでもいいよ」
投げやりのような答えに、いつも冷静なミュシャはカッとなって宗助に平手をお見舞いした。
乾いた音が、廊下に小さくこだまする。
「たくさん叩けばいい」
前髪が長い宗助は、あまり表情が見えない。
しかし口元は、なにか悔しそうに歯を食いしばっていた。
「俺だって、自分が許せない……」
そんな顔、するのは反則だ。
:09/07/31 03:44
:SO906i
:☆☆☆
#301 [向日葵]
こんな顔をさせるのを、茉里は望まない。
いつだって、相手に罪悪感を抱かせないように、笑ってた。
頑張って、本当に欲しいものを我慢した。
それでめ、ミュシャの怒りがおさまるわけではない。
「自分が許せないなんて被害者ぶらないで。一番、中途半端な事をして、辛い思いをさせるだけさしたのはアンタよ!」
宗助はなにも言わない。
口を真一文字に結んで、下を向いている。
「結局、アンタは茉里を利用したのよ」
宗助の肩が、少しだけピクリと動く。
:09/07/31 03:44
:SO906i
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#302 [向日葵]
「自分の心の傷が少しでもいたくならないように、どうでもいい奴に甘えて、自分を守ったのよ」
「どうでもいいなんて俺は……っ」
「言い訳なんてしないでっ!」
宗助の言葉は遮られた。
ミュシャを見ると、蜜色の目が少しだけ潤んでいた。
口も少し、わなわなと震えている。
そんなミュシャに、宗助はもう口を開く事は出来なかった。
茉里とミュシャがどれだけ仲が良いのかは知らない。
でも2人もいつも一緒にいるから、親友だと言えるくらい仲が良いのだろう。
:09/07/31 03:45
:SO906i
:☆☆☆
#303 [向日葵]
そんな大切な友達が傷つけられて、しかもそれをそばで見ているのは、辛いだろうと分かるから、宗助はミュシャを見つめるしか出来なかった。
「どんなに茉里に対して贔屓だと思われたっていい……。とにかく私はアンタを許さない。2度と、茉里に思わせぶりなことしないで。アンタに次なんて……ないんだからね」
最後にドンと宗助の胸を軽く拳で叩いてから、ミュシャは教室に入った。
宗助はその場から動けず、ただあの日、最後に見た茉里の悲しそうな笑顔を思い出した。
:09/07/31 03:45
:SO906i
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#304 [向日葵]
この先、彼女の悲しみを癒してあげられるのは、誰なんだろう。
何故かその事ばかり、頭の中を回る。
そんな事、思う権利なんてないのに。
どうかしてる……。
―――――――――…………
一足早く、道場に来た茉里。
宗助はしばらくの休みで友達と別れるのが寂しいのか、茉里と2人きりになるのが気まずいのか分からないけれど、宗助とは別々にきた。
今11時半。練習は12時半からだ。
:09/07/31 03:45
:SO906i
:☆☆☆
#305 [向日葵]
きっとまだ誰も来ていない。
お昼ご飯を買いに行ったり、まだ教室にいたり。
だから自分が一番だろうとおもっていた、が、道場の戸が開いていた。
誰か来てるの?
道場に入る茉里。
しかしそこにいたのは、今一番、会いたくない人物だった。
「あ、茉里ちゃん、こんにちわ」
爽やかな笑顔に、茉里の胸はかき乱される思いがした。
「……どうしたんですか……」
「皆とご飯食べたいなって思って。練習は何時から?」
:09/07/31 03:45
:SO906i
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