こいごころ
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#386 [向日葵]
「い……いつの……」

「医務室。“仮彼氏”のこと」

「……わかった」

不安がよぎる。

また違うの?考えすぎなの?
自惚れすぎなの?
もう……気持ちが通じることはないの……?

「そのかわり、別の頼みがある」

握ってる手が、さらに強く、けれど痛くならない程度に力をこめられる。

「こっち、向いてくれない?」

自分でも気づかないほど、茉里はうつむいていた。

⏰:09/11/23 23:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#387 [向日葵]
でも期待と、期待を裏切られないかの不安で、頑なにうつむいたままだ。

すると握っていた手が放された。急に温かさがなくなったので、手の温度が下がる。

なんで放したのかと疑問に思う暇もなく、その手が、頬にきた。
触れられて一瞬ビクッと震えてしまう。
その手が、そのまま上を向かせる。

宗助と目があってしまう。
顔が赤くなっていくのが自分でわかる。

「俺を……加賀の彼氏にしてほしい」

⏰:09/11/23 23:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#388 [向日葵]
茉里は目を見張る。

「……え」

かすれた声しか出ない。
ここには止まらない電車が通り過ぎていく。
その風で、2人の髪が巻き上がる。

前髪が長く、表情がわかりにくい宗助の顔が、それによってわかるようになる。

せつないその表情はは、今言った事が嘘ではないことを物語っていた。

「もう絶対に傷つけない。約束する。だから……」

一途であることは、とても罪だと思ったあの日。

⏰:09/11/23 23:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#389 [向日葵]
もう諦めるしかないと思った。
諦めて、恋愛の仕方を変えようと思った。

だって自分のこの想いは、人を苦しめたり、傷つけるしか出来ない。
そんな気持ち、いらないと思ったから。

でも。

見開いた目から、一筋の涙が落ちる。
それはクリスマスで飾られたイルミネーションで綺麗に光る。
その光に、宗助は眩しそうに目を細める。

⏰:09/11/23 23:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#390 [向日葵]
一途であれば、通じる想いがあるのを、こんな自分を求めてくれる人がいるのを、今わかった。

重いなんて思わない人が、こんな自分を1番だと言ってくれる人が、ここにいる。

それが、なにより嬉しくて、茉里は唇を震わせる。

喉が詰まり、声にならない嗚咽が漏れる。

「私が……それをどれだけ望んでたか……知ってるでしょ?そんなこと、訊かないでよ……っ」

⏰:09/11/23 23:23 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#391 [向日葵]
その可愛くないOKサインに、宗助は柔らかく笑った。
頬に触れていた手が、頭にきたかと思えば、宗助の胸に引き寄せられる。

自分から触れたことはあっても、宗助から触れるのは初めてで、ドキドキと高鳴る心臓とは裏腹に、涙が次から次へと溢れて、止めることが出来ない。

宗助も安堵しているのか、抱きしめる腕に力をいれる。

⏰:09/11/23 23:24 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#392 [向日葵]
キンとした、肌を切るような寒さの中、まるで暖めあうように2人はしばらくそのまま抱き合っていた。

茉里にとっても、宗助にとっても、忘れられないクリスマスになった。

⏰:09/11/23 23:24 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#393 [向日葵]
[11]いとおしい

試合が終われば、もう年末で、試合後の休みが明けてから1日しか練習はなく、早めの長期休暇に入った。

茉里の予想とは違い、部活に来ても、2人をからかったり騒ぎ立てたりする事はなかった。

もしかすると、たまたまあの日に茉里の複雑な想いを知った綾香が注意してくれたのかもしれない。

その気遣いに感謝しつつ、茉里は宗助と仲良く手を繋いで帰っていた。

「明日から来年の4日まで部活休みだねー」

⏰:09/12/10 23:53 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#394 [向日葵]
「冬休みの課題終わらすチャンスだな」

色気のない会話だなー……。
デートに誘うとかしてくれなうのかなー……。

「年末は何してんの?」

宗助が訊く。

「片付けとかかな。あとは1人で夜になるまで出かける」

「なんで?」

「くそ馬鹿親父が家にいるから」

にっこりと笑って嫌味を言う茉里に、宗助は苦笑する。

⏰:09/12/10 23:53 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#395 [向日葵]
毎年29日に茉里の父は休みに入り、家にいる事が多くなる。
顔を合わせるのが嫌なので、茉里はいつも出かけるか部屋にこもるかしていた。

幸い部屋にはテレビもDVDレコーダーもあるので、見たい映画をレンタルで貸りたりすれば、すぐに飽きることもない。

それに茉里は本好きで、部屋に行けば本があるので、1度見たものでもまた読んだりしている。

「でも夜までなんて危ないだろ。冬場は日暮が早いし」

「大丈夫よ。別にそんな危ないところに行くわけじゃないんだから」

「変質者に襲われかけた奴がなにを偉そうに」

⏰:09/12/10 23:54 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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