こいごころ
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#437 [向日葵]
すると栞が宗助の頬を人差し指でつつく。
「彼女が来たのにそっけないなあ。ごめんなさい茉里さん、宗助って家族以外はあんまり素顔見せないから」
茉里はびくりと片眉を動かす。
少しひっかかったからだ。
なんでもないその言葉に、何故か棘を感じる。
わざわざそんな説明いるのだろうか。
それとも自分が気にしすぎているのか?
「もしかして、一緒の部屋で寝るの?」
「まさか。華名の部屋だよ」
:10/02/07 01:13
:SH05A3
:☆☆☆
#438 [向日葵]
「あらそう。残念ね」
言いながら茉里を見る。
敵意を感じるのは、気のせい……?
――――――――…………
そんなことがあったのが約2時間前。
結局宗助は栞に付き合わされてゲームを開始した。
さっきからわざとらしいくらいに笑い声を上げている。
「茉里ちゃん、華名のお部屋に行きませんかあ?」
:10/02/07 01:14
:SH05A3
:☆☆☆
#439 [向日葵]
「あ、いいね、行こっか」
じゃないと宗助の方ばかり気になってしまって、せっかくの華名との時間が無駄になってしまう。
それはいけない。
「ん?どこ行くの?」
宗助が問う。
口を開いた時、
「宗助ゲームオーバー!」
栞が声をあげる。
すると宗助も「え?!」と驚き、テレビの方を向いてしまった。
私よりゲームなわけ……?
少しムッとして、もう華名についていった。
「大丈夫だよお」
:10/02/07 01:14
:SH05A3
:☆☆☆
#440 [向日葵]
華名が階段を昇りながら言う。
何が大丈夫なのかわからず、先に歩く華名を見る。
「栞ちゃんは兄弟がいないから、宗兄を本当のお兄ちゃんみたいに思ってて、とられたくないんだよお。だから華名みたいに家族じゃない異性はあんまり好きじゃないみたいー」
よほど茉里の顔に「ムカつく」と書いていたのだろう。
安心させるようにいってくれているのだと思えば、年下に気を遣われて、ちょっと情けないような、でも荒んだ心が癒されるような気がした。
こういう勘の鋭いとこというかなんというか、宗助に似てるよなー。
:10/02/07 01:15
:SH05A3
:☆☆☆
#441 [向日葵]
「ありがとう。気にしてないから大丈夫だよ」
微笑めば、華名も微笑む。
「ここですう。どうぞお」
ドアを開けられて、中に招かれると、そこは淡いピンクで統一された部屋だった。
でも彼女の雰囲気とあっていたし、嫌味のない色調は、素直に素敵だと思えた。
「華名はピンクが好きなのお。茉里ちゃんは何色が好きですかあ?」
「んー、緑かな。部屋も緑系統の物が多いし」
:10/02/07 01:15
:SH05A3
:☆☆☆
#442 [向日葵]
「そうなんだあ。華名もまたお邪魔したいなあ」
「いつでもいいよ。今度は華名ちゃんがお泊りに来てね」
にこりと微笑めば、照れるように華名はもじもじする。
「茉里ちゃんに、思い切ってメールしてみて良かったあ」
顔を少し桃色にしながらいうものだから、可愛らしくて思わず抱きしめてしまう。
「華名ちゃんみたいな妹欲しかったなあ……」
「茉里ちゃんは兄弟いないのお?」
:10/02/07 01:15
:SH05A3
:☆☆☆
#443 [向日葵]
「うん……。……ってか、1人で良かった」
「どうしてえ?」
訊かれたが、茉里は答えられなかった。
こんな純粋な子に、あんな思いを話すのは酷だと思ったからだ。
でも、初めて会った茉里に、友達がいないと自分のことを話してくれた華名には、隠したくないとも思った。
「うーん……。クソ親父が嫌いだから」
それだけ言った。
茶化すように笑いながら言えば、華名も茉里の言い方がおかしかったのか、クスクス笑った。
1人で良かった。
:10/02/07 01:16
:SH05A3
:☆☆☆
#444 [向日葵]
本当を言えば、華名に言ったみたいに妹が欲しかった。
妹がいれば、きっとすごく可愛がるだろう。
でも、あんな思いを妹にはさせたくない。
そう思えば、自分だけが苦しめばいいと思った。
眉を寄せれば、華名が心配そうに見るから、安心させるように微笑んでから、またギュッと抱き締めた。
―――――――――…………
「彼女、美人だね」
ゲームをしながら栞が言った。
:10/02/07 01:16
:SH05A3
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#445 [向日葵]
「ああ、まあな」
「まあな?なにその曖昧な返事」
笑いながら栞は言う。
「別に自慢したって仕方ないだろ」
「そう?普通あんな美人なら、自慢したいのが男なんじゃないの?本当に好きなのおー?」
「……好きだよ」
画面を見ている宗助の顔を、栞はちらりと見る。
その目が、切なさと親愛に満ちているのが嫌になって、栞はコントローラーを置いた。
:10/02/07 01:16
:SH05A3
:☆☆☆
#446 [向日葵]
「ちょっと華名のとこ見てくるー!」
階段を駆け上がる。
ムカつく。
なによ、あんなのそこら辺にいるのと変わらないじゃない。
一体あたしとなにが違うの?
絶対あたしの方が可愛いのに!
ノックもなしに、急に部屋のドアを開けた。
栞が集めている絵本を読んでいた2人は、驚きそちらを見る。
「ごめんなさい、驚かせて。あたしも茉里さんとお話してみたくて」
:10/02/07 01:17
:SH05A3
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