こいごころ
最新 最初 🆕
#671 [向日葵]
ちらりと見ると、花形はふわりと微笑む。

そして彼女からは、懐かしくも感じる、あの香りが漂ってきたのだった。

ーーーーーーーーー…………

「そんなに似てたんですか?」

家に帰ってきて、裕之は花形のことを話した。
3歳になった茉里を寝かしつけ、リビングに戻ってきた馨は、台所に立って、食器を洗っている。

「うん。職場に馨がいたらって僕の願いが叶ったのかって一瞬疑ったよ」

⏰:11/04/10 22:35 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#672 [向日葵]
「それは良かったですね」

「でさー」と続けようとしたが、馨の後ろ姿から、さっきと雰囲気が変わったのがわかった。

気になった裕之は、おずおずと馨の隣に立つ。
馨を見ても、何も変わらないかのように見えるが、馨の機敏を読み取るのは、裕之は得意だった。

「なにか……怒らせた?」

泡だらけの手が、ぴたりととまる。

「ずいぶんと……、彼女が気に入ったんですね」

小さな声だった。

「私を、求めてくれてるのはよくわかりますけど、彼女は別人なんですよ」

⏰:11/04/10 22:35 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#673 [向日葵]
蛇口をひねると、騒がしい水の音が台所に響く。

シンクに洗った皿を置く。

「片付けの邪魔なので、あっちに行っててください」

その声が震えていたからいけなかった。

裕之は馨の腕をひいて、自分の腕の中に閉じ込めた。
少し抵抗があったが、裕之が抱く力を強くすると、ゆっくりと馨の力が抜けた。

「僕には馨だけだよ」

「わかってますよ。これは……私の勝手でわがままな嫉妬ですから」

「嫉妬なんて、僕を喜ばせたいの?」

⏰:11/04/10 22:36 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#674 [向日葵]
少し屈んで、唇を寄せる。
ちょっと抵抗するように馨は顔をそらそうとするが、顎に指をかけられては、そらしようがない。

熱いくちづけに馨はいつまでも慣れなくて、裕之を引き離そうとするが、裕之はそうすると余計に体を密着させる。

「ひ……ろ、ゆきさ……っ」

「もう少し黙ってて……」

口ごと食べられてしまいそうなキスに、馨もだんだんと酔いしれる。
息苦しい、でもそれが気持ちよくもある。

⏰:11/04/17 00:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#675 [向日葵]
キスの間に、裕之は何度も愛の言葉をささやく。

後に思い出す。

『あまり口にはしないで』

ーーどうして?嬉しくない?

『嬉しいの、とっても。でもね、あまり言ってしまうと、あなたの私への気持ちが、なくなってしまいそうで、とてもこわいわ』

なくなったわけじゃない。
むしろ増していた。
好きで、大好きで、いとおしくて、愛していて……。

⏰:11/04/17 00:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#676 [向日葵]
なのにーーーーーーーー






ドコデ間違エタ…………?

⏰:11/04/17 00:20 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#677 [向日葵]
ーーーーーー………………

「お前たちって仲良いな」

上司の田辺が言う。

裕之と花形、2人して田辺を見る。

「普通じゃないですか?なあ花形」

「ねえ加賀さん」

「そういうのほほんとした会話が仲良いって言ってんだよ」

実際に仲は良かった。
彼女はやっぱり馨に似ていて、会話から動作まで似ているから、どうしても、馨と接しているようになってしまう。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#678 [向日葵]
裕之はそれでも、馨と花形は違うと思っていたから、ただの同僚としてしか思っていない。

「あ、そうだ加賀、この資料まとめといてな」

「え、昨日やりましたよね?」

「訂正の部分が出たんだ。悪いな」

肩を叩いて去っていく上司は、ちっとも悪いと思っていない。
ちぇっと、訂正しなくてはならなくなった書類を苦々しくみつめる。

残業決定か。

最近こんなことが多くなって、茉里と遊べないし、馨ともゆっくり出来ない。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#679 [向日葵]
茉里ももう小学3年生になった。
この前も、父の日だからと、少ないお小遣でネクタイを買ってくれた茉里は、裕之にあげるのを楽しみにしていたのに、裕之はその日残業で、結局あげたのは次の日だった。

「気に入った?これを見てたまには茉里のことも思い出してね」

幼く、いじらしいその言葉は、裕之は胸を痛めた。

だから早く帰って、力いっぱい抱きしめてやりたいのに。
少し疲れ気味の裕之は嘆息する。

「あの加賀さん、私も手伝いますよ」

明らかに肩を落としている裕之を気遣ってか、花形は控えめに申し出た。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#680 [向日葵]
「ああ……悪いな……。頼む」

「任せてください!」

にっこりと微笑む。
その笑顔が、馨と重なる。
疲れた心が、癒される。

手を伸ばした裕之は、何か迷って、花形の頭を撫でた。

「ありがとな。ちょっとコーヒーでも飲んでくるわ」

花形の隣を通れば、あの香り。

裕之は頭を撫でるつもりなんてなかった。
そして自分のしようとしてたことを、歩きながら心の底から戒めた。

撫でるつもりなんてなかった。
本当はーーーーーー。

⏰:11/04/17 00:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194