こいごころ
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#11 [向日葵]
「知らない」

「私はね、直感を信じるの。笹部は絶対私の運命の相手なのっ」

茉里はいつもそうだけど、と口には出さず、ミュシャは代わりにため息を出す。

「それにしても、利用してもいいだなんて言っちゃ駄目だよ。本当にされたらどうするの?」

「それはそれ、これはこれ」

ミュシャは何も言えず、椅子の背もたれに背を預けて、ペットボトルの蓋を開けた。

「あ、ジュース買ってくるよっ」

「一緒に行こうか?」

⏰:09/04/10 01:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#12 [向日葵]
「いいよっ」

茉里は1人、自販機に向かった。

足取りは軽く、すぐに自販機に近く着いたところで、ある2人を発見した。

宗助と、千早先輩だ。

茉里は足を止める。
そして姿を隠す。

本当は、間に割り込んで、今すぐ邪魔したい。
宗助は私のモノだって言いたい。

でも、そうすれば、宗助が悲しむから。
自分より、宗助が幸せの方が嬉しい。

⏰:09/04/10 01:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#13 [向日葵]
ただ、宗助が、いつかこっちを向いてくれたらって、好意を全面に出している。

なんだか矛盾してるなって、茉里は自分でも思った。

2人を影から見れば、胸は痛むけれど……。

分かってるのかもしれない。
毎回告げられる、“重い”の意味。

宗助にはそう思って欲しくない。
そう思うのは、この猛アピールを、宗助が“重い”と言わないからかもしれなかった。

茉里はそっと、その場を後にした。

――――――――…………

⏰:09/04/10 01:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#14 [向日葵]
「ねえ笹部、そろそろ宗助って呼んでもいい?」

半ば強制的に一緒に道場に向かってる時、茉里が言った。
宗助はまた眉を寄せて、茉里を見る。

「なんで」

「みんな気軽に呼んでるじゃん。だからいーかなーって」

「……駄目」

「ケーチーッ」

そう言いながら、道場のドアをくぐる。

「宗助ーっ!聞けよーっ!」

入るなり、1つ上の先輩で、主将の笠井先輩が宗助の肩を掴んだ。

⏰:09/04/10 01:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#15 [向日葵]
笠井先輩は若干興奮している。

「ちょっと、笠井やめてよっ」

慌てて後ろから、千早先輩が来る。
迷惑そうにしながら首を傾げる宗助に対し、茉里は嫌な予感がした。

「せ、先輩、早く練習しないと、先生に怒られちゃいますよっ」

話を中断させようとするも、笠井は大きな口を笑みの形にする。

「大丈夫だって。今日先生出張だから」

最悪だ。

「なんなんですか」

いい加減うっとおしいとばかりに、宗助は先輩と距離をとった。

⏰:09/04/10 01:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#16 [向日葵]
「千早、彼氏出来たんだとっ!」

宗助の体が、小さくピクリと動くのを、茉里は見逃さなかった。

嫌な予感は必ず的中する。
茉里は宗助の顔を伺う。
宗助は、目を見開いていた。

「……え」

小さく呟きが漏れる。

「もーっ!笠井は口が軽すぎっ!」

千早先輩は顔を赤くしながら、笠井先輩の頭を叩いた。

嘘じゃないんだ……。

茉里は冷静にそう思った。

⏰:09/04/10 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#17 [向日葵]
宗助をまた見れば、元の宗助の顔に戻っていた。
でも、茉里は分かっていた。

これ以上ないほど、傷ついている。

「それだけっすか。俺、トイレ行きたいんで」

鞄を雑に置いて、宗助は道場を出る。
そんな宗助にお構いなしに、先輩達は話題に盛り上がっていた。

茉里も鞄を置いて、宗助を追いかけた。

宗助はゆっくりと、渡り廊下を歩いていた。

「笹部っ」

呼べば、宗助は立ち止まる、
すぐ後ろまで、茉里は追いつく。

⏰:09/04/10 01:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#18 [向日葵]
「あの……。先輩に、彼氏がいようと関係ないよっ。笹部の気持ち伝え続ければ、もしかしたら彼氏に勝つかもしれないじゃないっ!」

どう言ったらいいか分からない。しどろもどらしながら、茉里は話していた。

「そ、それに、私がいるよっ。今が利用するチャンスって言うか、気をまぎらわす材料って言うか……」

「うるさいっ!」

鉄の柱を、思いきり殴る。
殴った音が、鉄から鉄へと伝わって、エコーのように響く。

茉里はただ驚いて、宗助を見るだけだ。

⏰:09/04/10 01:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#19 [向日葵]
こちらを向いた宗助は、今まで以上に眉を寄せて、睨み付けているのに近い目で、茉里を見る。

「俺は、アンタみたいに軽い気持ちで好意を示したりしない、アンタに、俺の何が分かるんだよ」

軽い……?

「下手な慰めなんて、俺はいらない」

それだけ言って、宗助はどこかへ行ってしまった。
茉里は、立ち尽くすしかなかった。

それ以上にショックだった。
今まで伝えてきた好きの気持ちを、“軽い”と言われた。

まだ、足りなかった?
何が、足りなかった?

⏰:09/04/10 01:44 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#20 [向日葵]
あれ?
好きって伝えるのって、こんな難しかったっけ?

―――――――――…………

言いすぎた。
宗助は反省していた。

あれから、道場に戻ったが、茉里の姿は無かった。

“軽い”だなんて、言わなければ良かった。

彼女のあからさまな好意は、確かに疑う時もあるけれど、好きな人がいると言っている自分に毎日好きだと言ってくるガッツはすごいと思った。

あんな風に、自分も表現出来ればいいなと、羨ましく思う程。

教室前で、宗助は一旦立ち止まる。

⏰:09/04/10 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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