こいごころ
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#121 [向日葵]
「え?前も言っただろ。先輩は彼氏と帰るって。そりゃ今日は休日だから、どうするかしんないけど……」

「いいじゃん。後輩との最後の帰りって言えば、きっと帰ってくれるって」

「……アンタは?」

口をキュッと結ぶ。
顔を上げて、微笑みを作る。

「仮彼女になに気遣ってんのよっ。馬鹿だね宗助はっ」

本当に馬鹿。
そんな優しさいらない。
いらないけど欲しい。

⏰:09/05/10 22:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#122 [向日葵]
本音と建前が、頭の中で戦う。

本当の馬鹿は、私だ……。

―――――――――…………

次の日。

先輩を交えてのミーティング。

今日は新しい練習メニューや、新しいキャプテンの発表がある。

茉里はいつもは宗助と道場へ来るが、今日は1人で来た。

朝も、いつもの公開告白は無しだった。

後から宗助が来て、茉里をちらりと見たが、茉里は1度も宗助を見ようとはしなかった。

自分でも驚くほど、茉里は落ち込んでいた。

⏰:09/05/10 22:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#123 [向日葵]
だから今は、宗助とまともに話せないと思った。
昨日の帰りみたいに、駄目な態度をとってしまうと思った。

全てが終わり、それぞれに帰る準備を進める。

その時、宗助が茉里の腕を引いた。
茉里がまるで怯えるように宗助を見るので、宗助は腕をすぐに放す。

「お前、なんか変だぞ。どうかしたか?」

「……なにも?宗助は心配性なんだから」

⏰:09/05/10 22:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#124 [向日葵]
「いくら俺が先輩しか見てないからって、そんな嘘通じると思うな」

困った事になったと、茉里は視線を泳がす。
すると、道場の入り口に、ミュシャがいるのが見えた。

「ミュシャ!どうしたの?」

逃げるように、宗助から離れる。

「帰ろうとしたら、茉里の知り合い見つけたから連れて来たのよ」
「知り合い?」

ミュシャが「こっち」と言えば、柱の陰からその人物が現れる。
その人を見て、茉里は口をあんぐりと開けた。

⏰:09/05/10 22:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#125 [向日葵]
「こんにちわ」

その人物とは、あの沢口 優真だった。
相変わらずの、柔らかな笑みを浮かべている。

「な、何をして……っ!」

「メールくれないから、遊びに来ちゃったんだ」

そんな……っ。

突然の来訪者に、茉里はただただ驚くしか出来なかった。

――――私は、本当にあなただけだった。
それでも、他の人を見つめる事をしていたら、あなたに辛い思いさせなくて良かったかな……。

⏰:09/05/10 22:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#126 [向日葵]
[4]突然の来訪者

今日は、茉里たちの代になって初めての休日。
……のはずだったのだが、予定が変更した。

茉里の高校、西高校で練習試合が入ったのだ。

その試合校に、茉里は複雑な心境でいた。

それもこの間、北高校のキャプテンである沢口が、わざわざ直談判しにきたのだ。

先生には、前もって言っていたらしく、あとは部員に聞いてくれと言われて来たらしい。

いつもの人数より、今日は遥かに多い。

⏰:09/05/10 22:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#127 [向日葵]
2つでいつも足りるヤカンのお茶は、すぐに無くなってしまう為、茉里は何度もウォータークーラーを往復していた。

ひたすら水が溜まるのを待っていたとき、視界に紺色の道着と手が現れる。

茉里が後ろを向くと、そこにいたのはにっこりと笑った沢口優真がいた。

「精がでるね」

「おかげさまで。もう休憩ですか?」

「うん、10分ね。加賀さんと話したかったのに、どこか行ってしまったから、探してたんだ」

「水分補給したいなら隣のウォータークーラーをどうぞ」

⏰:09/05/10 22:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#128 [向日葵]
素っ気なく、だけどにっこりと言う。
「離れろ」と言外でいいながら。

「水分はもういいんだ。僕はもともと汗をせんなにかかないから」

「そうですか」

棒読みもいいところな返事だ。

「メールしてくれないの?」

「なんのことです?」

これまたにっこりと笑って言う。
襟元にささったメールアドレスはもらってないのと同じようなものだと茉里は思っている。

ヤカンの蓋をして、持とうとすると、両方をひょいと沢口に持っていかれる。

⏰:09/05/13 02:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#129 [向日葵]
「ちょっと!返してください!」

「同い年なんだし、敬語やめない?」

「聞いてます?か・え・し・て!」

まるでじゃれあっているとでも思っているのか、沢口はにこにこと楽しげに笑っている。

対照的に茉里はイライラして、堪忍袋の緒が切れかけだった。

「もうっ!いい加減に……」

「沢口」

聞き慣れた声がした。
宗助だった。

「次にやる試合の事で、話したい事があるんだけど」

⏰:09/05/13 02:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#130 [向日葵]
茉里はホッとする。

これで解放される。

沢口は残念そうにヤカンを茉里に返すと、そのまま宗助と行ってしまう。
ホッとしながら、茉里はその一方でため息をつきたくなった。

別にさっきのは、助けてくれたわけじゃない。
キャプテンとして、沢口を呼びに来ただけだ。

満杯になったヤカンを持って歩き出す。
なんだか筋肉がついてしまいそうだ。

――――――――――…………

「加賀、たすき付けてくれ」

⏰:09/05/13 02:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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