こいごころ
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#151 [向日葵]
溢れれば溢れるほど、涙に変わる。

「ごめん……すぐ、泣き止むから……」

宗助……ください。
あなたの心を、私にください……。
私もたくさん、あげるから……。好き……好き……。
大好き……。

茉里の涙を拭っている手を、宗助が握る。
そのまま引っ張られるようにして、歩き出す。

「そ……宗助……?手が……」

「いいから、黙ってろ……」

⏰:09/05/19 01:49 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#152 [向日葵]
そういう宗助の耳が赤い。

不器用な優しさ。

ああ……こんなにも宗助が……。
握る手をみつめる。

この手が、本当の意味で、自分のものになるのは、いつなのだろう。


――――あの手を、あの時離せば、違う道を一緒に歩む事が出来たのかな……。

⏰:09/05/19 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#153 [向日葵]
[5]夏の合宿と動悸

夏休みに入った。

茉里所属の剣道部では、毎年の恒例である2泊3日の夏合宿が行われていた。

海が近い場所にある総合体育館を借り、朝から夕方まで行われる。
ちょうど今は昼休憩で、皆で業者に頼んでいたお弁当を食べていた。

「え?今年もやるの?肝試し」

そう言ったのは、現女子キャプテンである綾香だ。
男子の副キャプテンに言った。

⏰:09/05/19 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#154 [向日葵]
「そんなの俺知らないぞ」

キャプテンの宗助が言う。

「だって、宗助に言ったら必要ない、っとかって却下しそうじゃん」

確かに。
会話を聞きながら、茉里は心の中で頷いた。

「先生も言ってたぞ。楽しんで合宿しなきゃなって」

「結局はなんと言おうがやるんだろ?」

呆れ気味に言えば、男子の副キャプテンは歯を見せて笑った。

肝試し……ね……。

実は、茉里はそういう類が得意ではなかったりする。

⏰:09/05/19 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#155 [向日葵]
肝試しと言っても、毎年やるのは行く前になんらかの怖い話をして、決められた道を歩くのみの、なんともシンプルなものだ。

それでも、何故かそういう時に限って、生暖かい風が吹いたりするから気味が悪くて仕方ない。

「茉里ちゃんもいい?」

「え?ああ、いいよ!楽しそうだし!」

嘘です。
ついノリで答えました。

でももう後戻りは出来ない。
皆やる気モードだ。

⏰:09/05/19 01:51 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#156 [向日葵]
「よし、これで練習にも実が入るだろ」

「そうね、なんかわくわくするよ」

まったくしないんですけど。

「あと10分で再開するからな」

宗助は早くも準備し始める。
そのあとに、茉里はついて行く。

「宗助は怖いの平気?」

「見たことないしな」

「そ、そう……」

「ん?なに、怖いの?」

「ま、まさか!」

つい強がる。

⏰:09/05/19 01:51 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#157 [向日葵]
ああ……どうして私ってこうなんだろう……。

―――――――…………

「茉里先輩、救急箱どこですか?」

「あ、ちょっと待ってね」

救急箱は少し離れた所にあった。緑色のネットに隠れているように置いてある。

取りに行き、後輩が求めているものが入っているか確認した茉里は、すぐに行こうとした。

しかしその時、ネットが足に絡まっていたのに気づかず、派手に転ぶ。

⏰:09/05/19 01:52 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#158 [向日葵]
見ていた後輩が驚いて、茉里のいる場所に飛んでくる。

「せ、先輩、大丈夫ですか?」

「いったたた、うん、まあね……」

立ち上がる時、ズキリと足首に痛みが走る。
どうやらひねってしまったらしかった。

やってしまった……。
あとでコールドスプレー借りよう……。

―――――――…………

練習が終わり、泊まる旅館で夕飯の準備が出来るまで自由時間がもうけられた。

⏰:09/05/19 02:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#159 [向日葵]
汗と疲れを取る為、ほとんどが銭湯へと直行する。

暑いので早めにあがってきた茉里は、ロビーのソファーで宗助が座って新聞を読んでいるのに気づいた。

「じじくさい……」

背後からの声に、宗助は振り向いて眉を寄せる。

「いいだろ別に」

「今日なんか面白いのやってる?」

宗助の隣に座った茉里は新聞を覗き込む。
宗助はドキリとした。

⏰:09/05/19 02:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#160 [向日葵]
寝巻き用に茉里が着ているTシャツは襟ぐりが大きく、鎖骨が見え、暑さで火照ったピンク色の肌からはボディーソープのいい香りが漂う。

濡れた髪も手伝い、茉里の可愛い部類に余裕で入る顔つきを艶っぽく感じさせ、宗助は顔を赤らめる。

「あ!今日可愛い動物特集あったんだ!宗助これ知って……。どうしたの宗助」

ぼんやりとしている宗助に、茉里は首を傾げる。

ハッとした宗助は、急いで立ち上がる。

⏰:09/05/19 02:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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