こいごころ
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#161 [向日葵]
「な、何でもない!」

宗助は足早に部屋へ帰って行ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宗助は部屋の手前で壁によりかかっていた。

最近、先輩に対する気持ちが薄れつつある気がする。
それは、茉里に惹かれている事だろうか?
沢口が彼女に興味をもってべたべたしてるのはなんだか嫌だった。

だから可愛くないことを言ったり、意地悪な風にからかってみたりした。

⏰:09/05/19 02:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#162 [向日葵]
それは彼女にとって、不快なだけだったに違いないけれど、口が止まらなかった。

先輩に帰り誘われた時だって、先輩が彼氏と帰ると言ってくれなければ迷っているとこだった。

先輩が好きなのは事実。
しかし茉里が気になるのもまた事実なのだ。

彼女は、仮彼女という立場の不満をぶつけたりしない。
むしろ宗助を応援してくれたりだってしてくれる。

⏰:09/05/19 02:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#163 [向日葵]
そんな彼女の、自分に対する健気さは、少し心うたれるものがある。
だからと言って、茉里を好きになるのかと言ったらまた別の話のような気がする。

宗助は背中を壁につけたままズルズルとしゃがみ込む。

そして長いため息をもらす。

もしかしたら、いや、一番悪い事をしているのは、自分なのではないだれうか。

どうして茉里は、こんな自分を好きでいてくれるんだろうか。

⏰:09/05/19 02:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#164 [向日葵]
[男だからって、泣いちゃ駄目なんて、私は思わないよ?]

試合の帰りの、茉里の言葉だ。

そうやって、どんな自分も受け入れてくれる彼女に、自分は甘えているだけなのかもしれない。

そう思えば、やっぱり先輩に対する好きとは、違うような気がした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕飯の用意が整ったので、皆が食堂に集まる。
好きな場所に座るとき、茉里はさりげなく宗助の隣を選んだ。

⏰:09/05/19 02:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#165 [向日葵]
それに気づいた宗助は眉を寄せる。

「……なんでここ」

「席なんて決まってないじゃない」

「だからって……」

「美味しいものは、特別な人の隣だとより美味しいのっ」

ニカッと笑う茉里を見て、宗助はため息を吐く。

「やっぱり違うよな……」

「え?なにが?」

茉里の言葉を無視して、宗助は号令をかける。

皆、宗助に合わせて、手を合わせ、「いただきます」と言った。

⏰:09/05/19 02:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#166 [向日葵]
疲れた体に、夕飯が染み渡る。

「笹部君、いつ始める?」

綾香が言う。

「なにを?」

「肝試し」

それを聞いた茉里の握っていた箸が、音を立てて机に落ちる。

忘れてた……。

「あんまり遅くなって騒いでたら迷惑になるから、7時くらいに始めたら?」

「了解!じゃあ7時にロビーね!……って、茉里ちゃん、なんか顔青くない?」

⏰:09/05/19 02:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#167 [向日葵]
「え?気のせいじゃない?」

箸を拾った茉里は、早口で答える。

きっと誰かとペアになるから、大丈夫。
怖さも半減するだろう。

宗助が、茉里の顔をじっとみつめる。

「アンタ……もしかして、怖いの苦手?」

それを聞いた皆の楽しみに満ちていた表情がなくなる。
肝試しは中止になるのか?と。

「ま、まさか!全然だし!」

そう言ったあと、机の下で宗助の足を踏みつけた。

⏰:09/05/19 02:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#168 [向日葵]
宗助は声こそ出さなかったが、茉里を睨む。
茉里は何事もなかったかのように料理を口にいれていく。

「先生、交じりますかー?」

「俺はいいよ。でもまあ、気分出すために、怖い話の1つや2つ、話してやってもいいよ」

1つで充分です。

茉里は心の中で激しく抗議した。

正直に言って、スタート地点で待つという手もあったとあとで気づく。
でも今更言うのも……と、茉里はせっかくの料理の味もわからないぐらいにパニックに陥っていた。

⏰:09/05/22 01:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#169 [向日葵]
ああ……どうしよう……。

―――――――……

「加賀」

部屋に帰ろうとしたら、宗助に呼び止められた。

「なに?」

「別に辞退したらいいじゃないか」

「……なんの話?」

「肝試しの話」

茉里は誰もいないことを確認し、宗助の近くまで行くと、声を落とす。

「そんなの、あんな皆の前で宣言したのに、実は怖いんですアハハなんて、格好悪いじゃない」

⏰:09/05/22 01:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#170 [向日葵]
「ビビりまくって腰抜かすのも格好悪いぞ」

「そんなヘマしませーん」

べーっと舌を出す。
宗助はしばらく茉里をじっと見て、ふうっとため息をする。

「じゃあ、俺とペアになれ」

「え?」

思わずアホっぽい声が出てしまった。
茉里は何回も瞬きをする。

「なんて?」

「俺とペアなら、心置きなく怖がれて楽だろ。まあ、アンタにとって、肝試し自体が楽じゃないだろうけど……」

⏰:09/05/22 01:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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