こいごころ
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#222 [向日葵]
「いいの。あれは、少し……虫の居所が悪くて。あなたのせいじゃないから」
「そっか……良かった」
人懐っこく笑う。
その笑顔を見れば、初めのような悪い印象は無くなりつつあった。
好きにはなれない。
何故なら自分には宗助がいるから。
でも友達くらいなら考えてみなくもない。
などと考えて、茉里はハッとする。
「ごめん。私、宗助……笹部を探しに行くの。だから……」
:09/06/13 01:45
:SO906i
:☆☆☆
#223 [向日葵]
「笹部?笹部なら、さっき外で見たよ。すぐそこの自販機で」
「あ、そうなの?ありがとう!」
茉里は走って自販機の所まで行く。
良かった。なにも無かった。
あれ?でもなんで電源切ってんだろう。
その答えは、曲がり角を曲がったところで分かった。
ベンチで、宗助が先輩を抱き締めていた。
どういう状況か、分からないけれど、茉里は足を地面に縫いつけられたように動かないでいた。
先輩が顔を上げ、笑う。
宗助は座り直して、先輩がなにか言うのに、微笑みながら頷いている。
:09/06/13 01:49
:SO906i
:☆☆☆
#224 [向日葵]
なんだ……そっか……。
私からのメールで、邪魔にならないように、電源を……。
すると後ろから、沢口が追いついてきて、止まる。
「呼ばないの?」
呼びたい。
呼びたいよ……。でも、今は……。
迷っていると、先輩がこちらに気づいた。
「茉里ちゃーん!久しぶりー!」
それに驚いたように振り返る宗助は、振り返って更に驚いた。
沢口がいたからだ。
「せっかくだし、これからお昼一緒に食べに行こうよっ。沢口くんも」
:09/06/13 01:53
:SO906i
:☆☆☆
#225 [向日葵]
無邪気に笑う先輩が、今は殴ってしまいたいほど憎い。
どうして、彼氏がいるくせに、宗助に抱き締められて平然としてるの?
こんなの……まるで……。
ふと、瞼の裏に、声が漏れないように、枕に顔を押し付けて泣いていた昔の自分が映る。
……結局、宗助は自分の事を気にかけてすらいなかったんだ。
だから言ったじゃない。
自惚れたらダメって。
「わ……私、沢口くんに用があるので……失礼します……」
茉里は沢口の腕を引っ張って行ってしまう。
宗助は追いかけようとするが、すぐにやめた。
追いかける資格なんて、自分はないからだ。
そういえばと、携帯の電源を入れる。
:09/06/13 01:57
:SO906i
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#226 [向日葵]
しばらくして、センターに止まっていたメールがくる。
茉里からだった。
〈宗助!事故とかにあってないよね!?〉
心配してくれたメール。
自分はそれを、邪魔かのように無視した。
宗助は自己嫌悪に陥りながら、茉里が行ってしまった方を見る。
茉里の姿は、もう見えなかった。
―――――あの時、気づくべきだった。
私が入る場所なんて、ないって事に。
:09/06/17 00:59
:SO906i
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#227 [向日葵]
[7]揺れる先
宗助と、あの日以来、一緒に課題をする事はなかった。
部活の休みが終わったのもある。
でも茉里自身、宗助と2人きりになる事を避けていた。
だからミュシャに頼んで、部活帰りはいつも一緒に帰ってもらうよう頼んだ。
宗助は、一緒に帰らない事に、何も言わなかった。
「まったく……。私はいつまで有意義な夏休みを潰さなきゃいけないのかしら」
「ごめんなさい……」
:09/06/17 00:59
:SO906i
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#228 [向日葵]
茶化したつもりが、思ったより茉里が落ち込むので、ミュシャは首を傾げる。
昼間の電車は、朝や夕方よりも空いているため、座れる。
ひんやりした車内は、少し肌寒い。
「無理に訊かないけど、あんまり溜め込むと、胃に穴があいちゃうわよ」
撫でてくれる細い指に、少し励まされる。
裏切られたように感じるのは間違っる。
でも、ほんの小さな、ただ課題を一緒にするっていう小さな約束は、守って欲しかった。
自分だけを、考えて欲しかった。
:09/06/17 00:59
:SO906i
:☆☆☆
#229 [向日葵]
―――――――…………
「花火大会?」
夏休みも終わりに近づいた時、沢口が校門で待っていた。
なんの用かと思えば、B5サイズの紙を渡してきた。
「良かったらどうかなーって。部活の人も誘っていいからさ」
茉里は紙を受け取りながら、少しうつむく。
「この前は……ごめんなさい……」
勝手に連れ出して、引っ張りまわして、自分の気分が少しほぐれるまで、沢口に付き合ってもらったのだ。
:09/06/17 01:00
:SO906i
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#230 [向日葵]
沢口は何も言わず、ただいつものように、にこにこ笑ってついて来てくれた。
茉里は、それが嬉しかった。
沢口はそんな事気にしてないかのように微笑む。
「いいよ。こうして話してくれてるだけで、僕は嬉しいからさ」
その笑顔に、少し気が楽になり、茉里も少し微笑む。
どうして、こんな風に話さなかったか自分でも不思議なくらい、沢口はいい人だ。
「ありがとう……」
こんな勝手な自分を、責めもせず、受け止めてくれて。
:09/06/17 01:00
:SO906i
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#231 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
茉里が話している間、ミュシャは暇だったので、学校の中をうろうろしていた。
茉里と帰ってる時、何回かさっきの沢口とかいう男の子に会った事があった。
物腰が柔らかくて、茉里のことを好きらしい。
茉里も、あっちにすればいいのに。
でも、1度好きになった人を、そう簡単に諦められないのが茉里なのも、ミュシャは知っている。
だから余計、茉里の今の状態が心配なのだ。
それもこれも……。
:09/06/17 01:00
:SO906i
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