こいごころ
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#401 [向日葵]
「すいませえん」

そう言って、走ると言っていいのかわからないくらいゆっくりとこちらにきたのは、髪の毛をふわりと内側に膨らませた、背の低い可愛らしい女の子だった。

「それえ、カナのなんですう」

ゆっくりとした喋り方が、その可愛さをゆり引き立たせる。
ぶりっ子しているような作った喋り方ではなく、本当にそういう喋り方らしいので、茉里は好感が持てた。

「はい、どうぞ」

笑いかければ、カナと名乗る少女も、垂れ目がちの目を更に垂れさせ、ふにゃりと笑った。

⏰:09/12/10 23:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#402 [向日葵]
「おい、カナー」

男の人の声が聞こえた。

お兄ちゃんが妹の面倒を見てあげてるのかな?
偉いなー。

と、その方を見ると、茉里が予想していたお兄ちゃんよりははるかに大きく、そして相手を見るなり目をむく。

「そ、宗助!」

「加賀?!」

思わず立ち上がってしまう茉里。駅が3つ離れている宗助が、まさかここにいるだなんて思わなかった。
しかもこんな朝っぱらから。

⏰:09/12/10 23:57 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#403 [向日葵]
「なに……やってんの……?」

「俺は、妹の遊び相手になってて……」

妹?!

さっきの可愛らしい女の子を見る。
妹は不思議そうに2人を交互に見る。

「こんな……朝から、爽やかな……」

「華名は、言い出した聞かないから……」

会話が続かず、間が空いてしまう。
そんな2人を馬鹿にするかのように、遠くで鳩が1度鳴いた。

⏰:09/12/10 23:57 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#404 [向日葵]
――――――――…………

華名に少し離れた自販機で飲み物を買ってくるように告げた宗助は、茉里とベンチに座って喋っていた。

「アンタも、なんでこんな早くから……。散歩か?」

「まさか。私にそんな日課ないもの。くそ馬鹿親父が仕事の都合上朝帰りだって言うから、会うのが嫌で逃げてきたの」

もっとも、茉里は仕事だなんて嘘だと思ってる。
どうせ、どこかの知らない女と一晩過ごし、帰ってくれば愛用している香水とは違う匂いを漂わせる。

それがどれだけ母を傷つけるかもしらないで……。

⏰:09/12/10 23:57 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#405 [向日葵]
「ほんっとにアンタは……」

1人で、自分が考えたことにイラッとしていた茉里は、宗助が腹が立ったように立ち上がるのを見ながら首を傾げる。

ん?どうしたんだろ。

「そういう時は連絡しろよ!なんで俺になんにも言わないんだよ!」

怒鳴り声が早朝の公園に響く。
何羽かいた鳩が、それに驚いたように飛んでいった

突然怒られた茉里はしゅんと頭を垂れる。

⏰:09/12/10 23:58 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#406 [向日葵]
そりゃ言うことだって考えてたけど、毎度こうして自分の為に時間を割いてもらうのは悪いと思ったから。
ときどき付き合ってもらうだけで、茉里は満足なのだ。

「あー、宗兄悪いんだあ。女の子は大事にしなきゃ駄目なんだよーう」

細い手に、3つの缶を精一杯持って、華名が帰ってきた。

ばつが悪そうな顔をする宗助は、茉里から数歩、後ずさる。
その間に華名が入り、茉里の前に立つ。
そして缶を1つ差し出す。

⏰:10/01/01 02:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#407 [向日葵]
それが視界に入った茉里は、顔を上げ、華名を見る。

初めて会ったというのに、華名はとても人懐っこい笑みを向けてくれるので、茉里はなんだかホッとして、思わずつられて笑う。

「お姉さん、お名前はあ?」

まるで子供のように訊くので、クスリと笑う。

「加賀 茉里だよ」

「華名は、笹部 華名っていいまーす。13歳ですう」

と言うと、サッとバドミントンの羽を出す。

⏰:10/01/01 02:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#408 [向日葵]
「茉里ちゃんは、バドミントン好きですかあ?」

「うん。中学生のときやってたからね。それなりに出来るよ」

「じゃあ、やりましょー」

引っ張られて、茉里はさっきまで宗助たちがいた芝生まで連れてこられた。

「ゆるしてあげてくださいねえ」

突然そう言われたから、茉里は華名の方を見る。
垂れ目がちの目が、気遣うように潤む。

「宗兄心配性だから、茉里ちゃんが気にになってしまってるんですう。気持ちの表し方が下手で、あれで、すごくすごくすごーく、茉里ちゃんを大事に思ってるんですう」

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#409 [向日葵]
そう言われて、ちらりと宗助を見る。
離れたところで、じっと茉里たちを見つめている。

うん、ちゃんと分かってるよ。
そんな宗助だから、あまり心配かけたくなかったんだよ。

「ありがとう華名ちゃん。大丈夫だよ。ちょっとびっくりしちゃっただけだから」

安心したように微笑まれると、似てるなあと思った。
そうやって、誰かの心配しちゃうのは。

しばらくバドミントンを楽しみ、時計の針がもうすぐ11時を指す頃、休憩するため、芝生の上に座ると、華名が言った。

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#410 [向日葵]
「茉里ちゃん、華名のお友達になってくれませんかあ?」

「え、私でいいの?もちろんオッケーだよ!」

膝を抱えて座っていた華名は、ギュッと膝を胸に寄せた。

「皆、華名の喋り方が嫌だって、離れていっちゃうんですう……」

眉も目も下がってしまった華名は、本当に悲しそうだった。

人は本当に身勝手で、嫌だと思った相手とは、口をききたいとも思わない。

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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