こいごころ
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#41 [向日葵]
期間はない。

ただ、どうしても宗助が先輩を諦められないと言うなら、茉里はまた片思いに戻る。

宗助は言った。

[好きになる保証なんてない]

そんなのやってもないのに分からない。

それに日頃の宗助を見ていれば、意外といけるんじゃないかと思う。

無理にじゃなく、徐々にこっちに向いてくれれば……。

「別に言ってもいいけど。自分で言うのもなんだけど、俺はアンタに酷なことしてるだろうし……」

ほらね。こうやってさりげない優しさをくれる。

⏰:09/04/15 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#42 [向日葵]
顔がニヤけてしまうのを抑えるため、そっぽを向く。
そして宗助の方を見る。
だが、宗助はもうこちらを向いてなかった。
窓の外を見て、物思いにふけっている。

考えてることが、丸分かり。
まあ……すぐにこっちは向いてはくれないだろうしね……。

立ち上がるついでに、宗助が飲み干してしまったお茶のコップを取り上げる。

「あと1時間、頑張ってね」

背を向けながら、ちょっとスネ気味に言ってみる。

「加賀」

呼ばれたら、止まってしまう。

⏰:09/04/15 01:31 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#43 [向日葵]
宗助の声っていいな……。
低すぎず、高すぎず、ちょっとエロい……。

なんて思いながら、茉里は背を向けたまま返事をする。

「なに?」

「わざわざ持ってきてくれて、ありがとう……」

先に惚れた方はつくづく損だと思う。
たった、その一言で、機嫌を直してしまう。

「宗助の為だもんっ」

笑顔で言ってから、いつも座っているパイプ椅子に座りに行った。

―――――――――…………

「終わります、礼」

「ありがとうございました」

⏰:09/04/15 01:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#44 [向日葵]
今日の練習が終わった。
整列したまま、先生が話をする。

「お疲れさんでした。この時期、変質者がよく出るから、気をつけろ。男子、女子と出来るだけ帰るように。以上」

一緒に……か……。

「茉里ちゃん、大丈夫?」

「え?あ、多分。今まで1人で帰ってもなんともなかったですし」
剣道部の女子部員はマネージャーの茉里を入れて9人。
3年が3人、2年が2人、1年が4人だ。

自転車通学や家が近くの人が多く、電車でも違うのを使う子もいたりで、結果茉里はいつも1人だった。

⏰:09/04/15 01:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#45 [向日葵]
「そういえば、千早先輩、茉里ちゃんと同じ方向じゃなかった?」

もう1人の2年生、木部 綾香(きべ あやか)が言う。

「千早先輩は反対のホームだから、結局は別れちゃうの。それに、先輩よく部活終わったら授業のこと先生に訊きにいってるし……」

千早は文武両道を心がけている。
その為、やっぱり茉里は1人で帰るようになっていた。

女子全員で唸る。

「ねえ、男子で、茉里ちゃんと同じ方向の人っていなかったっけ?」

⏰:09/04/15 01:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#46 [向日葵]
女子の副キャプテンが男子に訊く。

男子はそれぞれの顔を見合わせて、首を傾げる。

「加賀さんて、何駅で降りるの?」

「海岸前駅ですよ」

「あ、なんだ、宗助途中まで同じじゃん」

えっ!

宗助の家がどこか、茉里は知らなかった。
更衣室に荷物を取りに行き、戸締まりをする頃にはもう帰っているからだ。

一緒に……帰れるの……?

目を輝かしながら宗助を見れば、やっぱり自分に白羽の矢が立ったかと片手で顔を抑えていた。

⏰:09/04/15 01:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#47 [向日葵]
「宗助ー、一緒に帰ってやれよー。加賀さん危ないし」

「……早く準備してこいよ」

「うん……っ!」

――――――――…………

「おまたせ!」

「ほんと待った……」

だって、宗助と帰れるなんて嬉しくて、何度も鏡で自分の姿をチェックしてたから……。

「せっかくだから……手、つないじゃう?」

「仮彼女さん。別に今は何もしたくないんだから黙って歩きましょう」

⏰:09/04/18 02:42 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#48 [向日葵]
スタスタと行ってしまうから、茉里は口を尖らせる。

「そんなに一緒が嫌なら1人で帰るっ。デパート側通れば明るいし安全だもんっ!」

駅まで行くには道が2つある。
1つは茉里が言うデパート側。
もう1つは少し暗いが駅までの近道である方。

変質者はよく後者に出るらしい。

茉里の声に、離れていた宗助が立ち止まり、また戻ってくる。

「……ゴメン。嫌とかじゃないから」

「どうだかね……」

⏰:09/04/18 02:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#49 [向日葵]
「……アンタのその……直球な感じが、俺には苦手なんだ……少し。どう反応すればいいか、わからないだけだから」

そろりと、宗助の顔をうかがう。
いつもの、不器用な笑顔を浮かべていた。
つくり笑われるより、ずっといい。

「手はつながないけど、アンタになんかあったら嫌だから、帰ろう?」

その好きな笑顔のまま言うからずるい……。
許すしか、ないじゃないか……。

でも一緒に帰れるのが嬉しいから、茉里は満面の笑みで頷く。

⏰:09/04/18 02:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#50 [向日葵]
「ねえ、宗助は先輩のこと、どうして好きになったの?」

「……別に。気がついたら好きになってたの」

「そう。私と一緒だっ」

「だからさ……」

宗助は眼鏡をしている。
前髪も長いので、口元を手で隠せば、表情がほぼ分からない。

それでも、声音で照れているのが丸分かりだ。

可愛いな……。

こっそり笑いながら歩いていく。

「じゃあ話を変えようっ。宗助が住んでるのはどこ?」

⏰:09/04/18 02:44 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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