こいごころ
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#457 [向日葵]
だからか、茉里の言葉足らずの言い分を、理解してくれたのだろう。
「知ってる。だから、気にするな。大丈夫だから」
でも宗助は、そんな彼女を可愛く思い、柔らかく微笑む。
頭を撫でるが、まだ茉里の涙は止まらない。
そして泣いたことで、甘えたがっているのか、彼女は宗助に要求する。
「ハグがいいっ」
撫でていた宗助の手が不自然に止まり、固まる。
:10/03/01 03:37
:SH05A3
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#458 [向日葵]
「……ごめん。なんか聞こえなかったていうか、耳が言葉を受け付けなかったというか……」
こういうところが、またいい。
彼女がいたことのある男子なら、きっとなにも言わなくても抱きしめてくれているかもしれない。
でも、そんな宗助だから、茉里は好きなのだ。
涙もおさまり、茉里は笑顔になる。
「買い物、行こっか」
歩き出すが、宗助は歩き出さない。茉里の背中をじっと見つめ、そしてハッとすると、茉里の腕を引っ張る。
驚く茉里の頭を寄せ、そのまま抱きしめる。
:10/03/01 03:37
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#459 [向日葵]
要求したくせに茉里は、急な宗助の行動にうろたえ、思わず胸を押し返して、距離を作る。
「な、なになに!どうしたの!」
さっきまでの空気とは違い、宗助は真剣に茉里を見つめる。
「アンタはふざけて甘えれても、本当に甘えたいときは甘えないだろ。それを我慢する必要なんかないんだ。俺が……いるから」
その言葉が、温かく胸に広がる。どうして、そうやって、1つずつ私の心を暴いていってしまうのだろう。
嬉しくて、幸せで、どんどん好きになっていく。
好きって気持ちに上限がなくて、自分でもどこまでいくかわからない。
:10/03/01 03:38
:SH05A3
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#460 [向日葵]
でもせっかくだからと、その胸に顔をうずめて、その暖かさを確かめる。
しばらくして、顔を上げた。
「ありがとう……」
それから仲良く手を繋ぎ、歩き出した。
・・・・・・・・・・・
なにあれ……。
華名の部屋の窓から、茉里と宗助を見ていた栞は、眉間に深くシワを寄せた。
泣くなんて卑怯だわ。
:10/03/01 03:38
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#461 [向日葵]
あれじゃあたしが悪者みたいになるじゃない。
それでなくてもあたしはハンデがあるっていうのに。
カーテンを掴み、力を入れすぎて、その手が震える。
しかも宗助から抱き寄せるなんて。
あの宗助が、誰かを抱き寄せるだなんて……っ。
そんなの、見たくなかったのに。
あの女…………っ!
「栞……ちゃん……?」
栞の様子がおかしくなったのに気づいた華名が、栞の背中に呼びかける。
:10/03/01 03:38
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#462 [向日葵]
「あ、ごめん、なになに?」
振り返った時、窓の外に向けていた鬼の形相を捨てて、いつもの優しく人懐っこい笑みに戻す。
「紅白終わったらねえ、初詣にいかなあい?」
「うん、もちろん」
「やったあ!」
「ところで、あの人、いつまでいるの?」
「えー?茉里ちゃん?可愛いよねえ。宗兄ともお似合いだしい」
話が噛み合っていないが、栞にとって、そんなこと今はどうでも良かった。
:10/03/01 03:39
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#463 [向日葵]
ど、こ、が!
あたしのほうが若いし、可愛いし、こんっなに一途じゃない!
「華名……、あたしよりも、茉里さんがいいんだ……。寂しいな……」
そう言えば、優しい華名は、悲しそうな顔をして、栞に抱きつく。
「そんなことないよお!栞ちゃんだって大好きだもおん!」
「じゃあ、あたしがこの家の家族になってもいい?」
つまりは奥さんになりたいという意味だが、華名はわからず、首を少し傾けながら微笑む。
:10/03/01 03:39
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#464 [向日葵]
「心配しなくても、栞ちゃんはもう家族みたいなものだよお。もちろん、本物の家族になってくれたら、お姉ちゃんが出来たみたいでうれしいけどお」
「茉里さんは?」
「茉里ちゃんもお姉ちゃんみたいで大好きだけどお、その前に、華名の初めてのだーいじなだーいじなお友達だものお」
そうよ、あたしはまだまけてなんかない。
あたしは家族みたいに近しい存在でも、あの人は所詮友達、彼女、つまりは他人止まりなんだもの。
その前向きな解釈に、さっきまでのむかついた気持ちはマシになった。
あの人よりも、あたしのほうが優位に立っている。
まだ、諦めるのは、早い。
:10/03/01 03:40
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#465 [向日葵]
―――――――…………
買い物に行って、元気が回復した、……とは言えなかった。
「宗助、ガラスのお皿出していいー?」
「ああ」
夕飯の用意を、宗助と一緒にやろうと思っていた茉里は、キッチンの中にいる宗助と、そこに自分がいるはずの場所にいる栞とを見る。
納得がいかない。
どうして割り込まれなきゃならないのだろう。
:10/03/18 13:07
:SH05A3
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#466 [向日葵]
30分前のことだった。
夕飯のメニューも決まり、キッチンに一緒に立った茉里。
あ、なんか新婚みたい。
だなんて浮かれながら手を洗っていると。
「ちょっと宗助!」
少し甲高い声が聞こえた。
「お客様になにやらせてるの。料理なんて、招待した側がやるものでしょ!」
「あ、いいのいいの。私がやりたいって言ったから」
:10/03/18 13:07
:SH05A3
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