こいごころ
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#467 [向日葵]
そう言う茉里の言葉を無視して、栞はにっこりと笑って茉里に言う。
「あたしの方が勝手もわかりますから、茉里さんは座っててくださいな。お客様なんですから」
と、半ば強制的に引っ張られ、近くのソファに座らされた。
料理が出来ない華名も、もうすぐ紅白だからと、録画の準備をするために座っている。
「茉里の口に合う料理を宗助と作りますね」
あっという間にポジションを奪われ、茉里は肩をがっくりとさせた。
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#468 [向日葵]
そして今に至る。
「茉里ちゃん、茉里ちゃん」
華名が新聞を広げ、紅白出場する人達の欄を指差す。
「茉里ちゃんは、好きな人出る?」
「あ、うん。この人達大好きだよ」
茉里は、男性アーティストのトップバッターを指した。
「ファンクラブも入ってるし、ライブも行くんだー」
「すごーい!今度華名も連れていってえ」
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#469 [向日葵]
「もちろん!華名ちゃんは?」
「華名はこの人お」
女性アーティストの中盤あたりに出てくる人物を指す。
「へー。聞いたことないなあ」
「今度CD貸すよお」
「加賀誰が好きってー?」
キッチンから宗助が会話に入る。新聞を持った茉里は、宗助のところまで行き、さっき指したアーティストを教える。
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#470 [向日葵]
すると、宗助が驚く。
「マジで?俺も好きだよ」
「すごい!じゃあ今度皆でライブ行っちゃう?」
盛り上がりかけた時、何かが落ちる音が聞こえた。
隣を見れば、栞が足を押さえてうずくまっていた。
どうやら用意しようとしていたガラス皿が、足の上に落ち、強く打ったらしい。
「だ、大丈夫?」
茉里が急いで駆け付ける。
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#471 [向日葵]
「大丈夫です……。ごめんなさい……」
青い顔をする栞は、明らかに大丈夫ではなさそうだった。
心配していると、栞は目を潤ませながら宗助のほうを見る。
「宗助え……、手当てしてくれる?」
宗助は仕方がないなというふうに栞のところまで来て、立たせるために手を貸す。
「加賀と華名……。……華名、栞の手当て、してやってくれ」
その言葉に、栞は目を見開く。
「な、なんで?あたしは、宗助に頼んだのに!」
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#472 [向日葵]
「華名のほうが手当ては綺麗にしてくれる。足なら尚更、歩くのに邪魔にならないよう綺麗にしたほうがいいだろ」
「でも……っ」
「うだうだ言ってる暇があるなら、さっさと行け」
冷たく引き離した宗助は、ソファに座り、もう華名のことには構わない様子だ。
それに気分を害し、青ざめていた顔が反対に赤くなった栞は、本当に足が痛いのかというぐらいスタスタとリビングをあとにした。
華名もあとに続く。
「そんな冷たい言い方しなくても……」
と言いながらも、宗助がここに残ってくれるのが嬉しい。
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#473 [向日葵]
「じゃあ、ついて行けばよかった?」
意地悪な問いに口を尖らせた茉里は、宗助の隣に座る。
「そういうわけじゃ……」
「だってアンタ、行かないでって顔してたように見えたからさ」
「うん……。ごめん、思った」
「なんで謝んの。いつものアンタなら、それで当たり前みたいな言い方するくせに」
おかしそうに、でも意地悪そうに笑う宗助に、ドキリとする。
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#474 [向日葵]
「心配しなくても、俺はアンタしか見てないし」
「……名前呼ぶのためらうくせに、そういうクサイ台詞は言えるのね」
「やかましい」
親しみのある力加減で、茉里の頬をつねる。
おかしそうに茉里が笑うと、宗助と目が合う。
茶目っ気を含んだ宗助の目が、切なげな雰囲気を漂わせる。
その目をじっと見つめているうちに、2人の距離が縮まっていた。
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#475 [向日葵]
つねられていた指が緩まったかと思えば、その手は、優しく頬にそえられる。
眼鏡かけたままキスって出来るのかしら……?
ふいに思った疑問は、今の状況にはどうでもよすぎて、頭のどこかへいってしまった。
前髪が触れ、吐息と体温を近くに感じる。
まつげ……長いなあ……。
そう思ったのを最後に、ゆっくりと目を閉じた。
「茉里……」
宗助が、名前を呟く。
すると、足音が近づいくるのが聞こえ、2人同時に目を開ける。
開ければお互いの顔がすぐそこにあり、うろたえ、素早く離れた。
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#476 [向日葵]
耳に、心臓があるみたい……。
うるさい……すごく……。
「栞ちゃんの手当て終わったよお」
「あ、そう!お疲れ様!」
絶対に顔が赤い。
それを知られたくなくて、テレビを見てるふりをしながら華名にちらりと視線を向け、またテレビを見る。
隣の宗助を盗み見れば、そっぽを向いていた。
しかし、その耳は、これ以上ないくらい真っ赤になっていた。
さっきみたいな甘いやりとりを、茉里は何度か経験したことがある。
しかし、その甘い雰囲気に浸りすぎて、相手をちゃんと見ていなかった気がする。
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