こいごころ
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#461 [向日葵]
あれじゃあたしが悪者みたいになるじゃない。
それでなくてもあたしはハンデがあるっていうのに。

カーテンを掴み、力を入れすぎて、その手が震える。

しかも宗助から抱き寄せるなんて。
あの宗助が、誰かを抱き寄せるだなんて……っ。
そんなの、見たくなかったのに。

あの女…………っ!

「栞……ちゃん……?」

栞の様子がおかしくなったのに気づいた華名が、栞の背中に呼びかける。

⏰:10/03/01 03:38 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#462 [向日葵]
「あ、ごめん、なになに?」

振り返った時、窓の外に向けていた鬼の形相を捨てて、いつもの優しく人懐っこい笑みに戻す。

「紅白終わったらねえ、初詣にいかなあい?」

「うん、もちろん」

「やったあ!」

「ところで、あの人、いつまでいるの?」

「えー?茉里ちゃん?可愛いよねえ。宗兄ともお似合いだしい」

話が噛み合っていないが、栞にとって、そんなこと今はどうでも良かった。

⏰:10/03/01 03:39 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#463 [向日葵]
ど、こ、が!
あたしのほうが若いし、可愛いし、こんっなに一途じゃない!

「華名……、あたしよりも、茉里さんがいいんだ……。寂しいな……」

そう言えば、優しい華名は、悲しそうな顔をして、栞に抱きつく。

「そんなことないよお!栞ちゃんだって大好きだもおん!」

「じゃあ、あたしがこの家の家族になってもいい?」

つまりは奥さんになりたいという意味だが、華名はわからず、首を少し傾けながら微笑む。

⏰:10/03/01 03:39 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#464 [向日葵]
「心配しなくても、栞ちゃんはもう家族みたいなものだよお。もちろん、本物の家族になってくれたら、お姉ちゃんが出来たみたいでうれしいけどお」

「茉里さんは?」

「茉里ちゃんもお姉ちゃんみたいで大好きだけどお、その前に、華名の初めてのだーいじなだーいじなお友達だものお」

そうよ、あたしはまだまけてなんかない。
あたしは家族みたいに近しい存在でも、あの人は所詮友達、彼女、つまりは他人止まりなんだもの。

その前向きな解釈に、さっきまでのむかついた気持ちはマシになった。

あの人よりも、あたしのほうが優位に立っている。
まだ、諦めるのは、早い。

⏰:10/03/01 03:40 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#465 [向日葵]
―――――――…………

買い物に行って、元気が回復した、……とは言えなかった。

「宗助、ガラスのお皿出していいー?」

「ああ」

夕飯の用意を、宗助と一緒にやろうと思っていた茉里は、キッチンの中にいる宗助と、そこに自分がいるはずの場所にいる栞とを見る。

納得がいかない。
どうして割り込まれなきゃならないのだろう。

⏰:10/03/18 13:07 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#466 [向日葵]
30分前のことだった。

夕飯のメニューも決まり、キッチンに一緒に立った茉里。

あ、なんか新婚みたい。

だなんて浮かれながら手を洗っていると。

「ちょっと宗助!」

少し甲高い声が聞こえた。

「お客様になにやらせてるの。料理なんて、招待した側がやるものでしょ!」

「あ、いいのいいの。私がやりたいって言ったから」

⏰:10/03/18 13:07 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#467 [向日葵]
そう言う茉里の言葉を無視して、栞はにっこりと笑って茉里に言う。

「あたしの方が勝手もわかりますから、茉里さんは座っててくださいな。お客様なんですから」

と、半ば強制的に引っ張られ、近くのソファに座らされた。
料理が出来ない華名も、もうすぐ紅白だからと、録画の準備をするために座っている。

「茉里の口に合う料理を宗助と作りますね」

あっという間にポジションを奪われ、茉里は肩をがっくりとさせた。

⏰:10/03/18 13:08 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#468 [向日葵]
そして今に至る。

「茉里ちゃん、茉里ちゃん」

華名が新聞を広げ、紅白出場する人達の欄を指差す。

「茉里ちゃんは、好きな人出る?」

「あ、うん。この人達大好きだよ」

茉里は、男性アーティストのトップバッターを指した。

「ファンクラブも入ってるし、ライブも行くんだー」

「すごーい!今度華名も連れていってえ」

⏰:10/03/18 13:08 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#469 [向日葵]
「もちろん!華名ちゃんは?」

「華名はこの人お」

女性アーティストの中盤あたりに出てくる人物を指す。

「へー。聞いたことないなあ」

「今度CD貸すよお」

「加賀誰が好きってー?」

キッチンから宗助が会話に入る。新聞を持った茉里は、宗助のところまで行き、さっき指したアーティストを教える。

⏰:10/03/18 13:08 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#470 [向日葵]
すると、宗助が驚く。

「マジで?俺も好きだよ」

「すごい!じゃあ今度皆でライブ行っちゃう?」


盛り上がりかけた時、何かが落ちる音が聞こえた。
隣を見れば、栞が足を押さえてうずくまっていた。

どうやら用意しようとしていたガラス皿が、足の上に落ち、強く打ったらしい。

「だ、大丈夫?」

茉里が急いで駆け付ける。

⏰:10/03/18 13:09 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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