こいごころ
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#481 [向日葵]
「久瀬ミュシャ。茉里の幼なじみよ」
自己紹介もすんだところで、一同は階段を上って、上にある境内を目指す。
当然、茉里は宗助と並んで行くと思いきや、隣を陣取ったのは幼なじみの栞だった。
ご丁寧に宗助の袖を少しだけ掴んでいる。
隣にいる茉里を見れば、ミュシャの視線に気づき、苦笑いを浮かべる。
それだけで全てを理解したミュシャは、宗助に声をかける。
「おい、多分彼氏の笹部」
「多分て……」
「彼女が流されそうになってるぞ。手を繋いでリードしなさい」
茉里の手を掴んで引っ張り、宗助の元へやる。
:10/04/26 22:23
:SH05A3
:☆☆☆
#482 [向日葵]
「頼むから、迷子にならないでくれよ」
「そんなヘマしません!」
憎まれ口を叩きながら、2人は仲良く手を繋ぐ。
茉里はそっとミュシャを振り返ると、ミュシャはウィンクをした。
「余計なことを……」
右斜め後ろから、低い呟きが聞こえた。
なるほど、あなたはそういう性格。
栞をチラリとみる。
:10/04/26 22:24
:SH05A3
:☆☆☆
#483 [向日葵]
大方、この栞とやらに邪魔されたりしたのだろうとミュシャは思った。
でなければ茉里があんな表情を見せないだろう。
「あのう……」
おずおずという風に、華名がミュシャに話し掛ける。
「ん?」
「ミュシャさんにはあ、彼氏さんとかいらっしゃるんですかあ?」
「ううん。いた時もあったけど、今はいないかな」
「へえ。意外ですね」
:10/05/15 23:28
:SH05A3
:☆☆☆
#484 [向日葵]
そう言ったのは栞だ。
本性がわかってしまったのもあってか、人懐っこそうな笑顔が、ミュシャには白々しく見えて仕方がなかった。
そしてさっきのこともあってか、ミュシャは栞から敵と判断されたようだった。
「ミュシャさん素敵だから、百戦錬磨っぽいですよね。なんていうか……男には困らないというか」
真っ正面から喧嘩をふっかけるのか。
本人たちしか、言外にある罵った言葉はきこえない。
つまり今、栞はミュシャに、「男遊びしてそうだ」と、「淫らな女」だと言ったのだ。
そんな密かな戦いをしているだなんて知らない華名は、大人の恋愛をしているミュシャに尊敬の眼差しを送る。
:10/05/15 23:28
:SH05A3
:☆☆☆
#485 [向日葵]
「か、華名も……ミュシャさんみたいになれますかあ……っ!」
「他人のマネなんてしなくていいのよ。自分にあった恋愛をちゃんとすればいいわ」
「華名を好いてくれる人はいるでしょうかあ……」
「いるわよー。むしろ華名ちゃんみたいなタイプなんか、無駄に気取ってて嫌なタイプよりかは全然モテるんだからねー」
トドメとばかりに言ってやれば、栞は何を言い返そうかと悔しそうに歯噛みした。
喧嘩を売る相手を間違ってんのよ。
ミュシャは栞をちらりと見ながら思った。
そして今度は前を歩く2人を見る。
:10/05/15 23:29
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#486 [向日葵]
幸せそうに笑う茉里と宗助。
つい最近まで殺伐としていた空気を持っていただなんて誰が思うだろうか。
でもミュシャは、あんな茉里よりは、恋愛バカと言えるような茉里の今のあの気の抜けた顔のほうが断然良かった。
もう、自分の無力さを知るのは、こりごりだ。
今も、昔も……。
――――――――…………
委員会で遅くなった小学生のミュシャは、ぶつぶつ言いながら自分の教室を目指していた。
:10/05/15 23:29
:SH05A3
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#487 [向日葵]
ったく、誰もやろうとしないから私がやるはめに……。
イライラしながら教室につくと、同い年の友達より背が高いミュシャは、皆が見にくいであろうドアの窓から、教室の中を見る。
誰かいる……?
目をこらすが、オレンジ色の光が差し込んでるせいで、眩しくて見えない。
とりあえず入らなきゃ始まらない。
ガラッと開けると、教室にいた人物が振り向いた。
振り向いたのは、ミュシャもよく、いや、知りすぎているぐらいの人だった。
:10/05/15 23:30
:SH05A3
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#488 [向日葵]
「あ、ミュー……」
茉里だった。
大人っぽくもあり、小学生らしい可愛らしさもそなえている彼女は、少し気取っている自分よりも魅力があった。
それ故に、好きになる男子も数知れなくはない。
女子にも好かれている。
「あ、委員会?お疲れ様」
「うん」
ランドセルに筆記用具を入れ、帰り支度をする。
そんなミュシャを、ぼんやりとみつめる茉里。
ミュシャがランドセルを背負っても、茉里は帰るそぶりを見せない。
:10/06/06 23:29
:SH05A3
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#489 [向日葵]
そういえば、この頃変に帰るのを嫌がってる気がしなくもないわね。
今日はたまたまミュシャが委員会があって一緒に帰ることは無理だと思っていたが、それ以外の日は、なぜか一緒に帰ろうとはしなかった。
時計をちらりと見れば、もう4時半を過ぎている。
子供っぽい男子ならば一目散に帰り、5時までには帰ってくるようにという親の言い付けを守っている頃だというのに。
それに、どこか上の空だし。
「帰らないの?」
ミュシャが訊く。
:10/06/06 23:30
:SH05A3
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#490 [向日葵]
「夕日が綺麗だから……」
きっぱりとしない否定は、逆に言ってしまえば帰ることを拒絶しているかのようにも聞こえた。
言ってくるまで訊かないつもりだったがもう限界だ。
「何かあったの?」
その言葉を聞いた途端、わずかに口元に笑みを残していた茉里は、悲しみに口を震わす。
そして、涙を静かに流し始めた。
:10/06/06 23:30
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