こいごころ
最新 最初 全 
#497 [向日葵]
華名に頭を抱えはじめる宗助。
そんな2人を見つめながら、ミュシャはまた、昔に思いを馳せる。
そう、いつだって、相手より優位に立った。
その思いは、あの頃から変わらなかったけれど、より一層、強いものにはなった。
どんな時でも、私が守ってあげると。
―――――――――…………
まだ自分達にはわからない、でもわかる世界が、そこにはあった。
:10/06/06 23:32
:SH05A3
:☆☆☆
#498 [向日葵]
茉里の話を聞いて、信じられないという思いで茉里を見つめていた。
あの優しく紳士らしい茉里のおじさんが、浮気……?
何かの間違いでは……?
でも、1回や2回の話ではないみたいだし……。
ポタポタと雫のしたたる音が聞こえる。
目の前で、茉里が静かに泣いている。
自分の家族が、壊れるのではないかという不安。
母の悲しそうな姿。
裏切りを繰り返す父。
その怒りを、どうすればいいかわからない迷い。
:10/06/09 00:19
:SH05A3
:☆☆☆
#499 [向日葵]
この子は、1人で戦ってたの?
両親にも言えない。
かと言って、友達にも言えない。言ったところで、知恵の少ない自分達は、何も解決出来やしない。
ミュシャは、なんとも言えない気分で茉里を見つめる。
それは次第に怒りに変わり、そして絶望に変わった。
力になれない。
何も出来ない。
苦しんでいた友達に気づけなかった自分が、腹立たしい。
私は、今のこの子に、何が出来る?
:10/06/09 00:20
:SH05A3
:☆☆☆
#500 [向日葵]
そう思う前に、ミュシャは茉里を抱きしめていた。
力一杯。
そして、茉里と同じように、静かに涙を流す。
ごめんね。
ごめんね。
守ってあげられなくて。
気づいてあげられなくて。
力になれなくて。
ごめんね……ごめんね……。
なんども、胸の中で繰り返す。
口にすれば、安っぽい言葉になってしまう気がして、出来なかった。
だから、抱擁でそれを示す。
:10/06/09 00:20
:SH05A3
:☆☆☆
#501 [向日葵]
「ミュー……」
茉里がミュシャの腕の中で呟く。
「ただ好きってだけで、そばにはいれないの?いてくれないの?好きなだけじゃ、皆、去っていってしまうの……?」
そんなことないと言いたかった。
でもそれこそ安っぽい言葉になると思った。
「それだけで、好きってだけで、そばにいてくれたらいいね……。いつか茉里に、そんな人が出来たらいいね……」
しばらくの間、お互いの鼻をすする音しか聞こえなかった。
茉里がミュシャの胸に擦り寄るように顔をうずめる。
:10/06/09 00:21
:SH05A3
:☆☆☆
#502 [向日葵]
「ありがとう……ミュー……」
涙で濡れた、か細い声で、茉里はそう言った。
―――――――――…………
それからは一緒に帰るようになったし、何かあれば私に絶対言うようになったわね。
回想から戻ってきたミュシャは、未だ華名から質問責めをうけている宗助を見ながら思う。
「宗兄ったら宗兄いーっ、いい加減言って頂戴よおー」
:10/06/09 00:21
:SH05A3
:☆☆☆
#503 [向日葵]
「男のくせにだらしないぞ彼氏ー」
ミュシャも茶々をいれる。
すると宗助はぴたりと動きを止め、急に立ち上がった。
「あーわかったよ!言えばいいんだろ!好きだからだよ!好きだからそばにいたいってただそれだけだよ!悪いかこの野郎!」
半ばヤケを起こして言ったように思うが、屋台からの灯りでわずかに照らされた宗助の顔が徐々に赤らんでいくのを見れば、言ったことは嘘ではないようだった。
華名は頬に手を添えて、「まあっ!」とでも言うように驚きながらも、自分ではまだ想像も出来ないような恋人たちに対し、憧れの眼差しを向ける。
:10/06/09 00:21
:SH05A3
:☆☆☆
#504 [向日葵]
一方でミュシャは、軽く驚いていた。
あ……、そうか、だから茉里は惹かれたんだ。
笹部はそういう奴だから、諦めようとしても、諦めなかったんだ。
たとえ今この言葉を茉里が聞いていなかったとしても、何かを感じとっていたのかもしれない。
フッと、落とすように笑む。
自分が思っているよりも、案外この2人は大丈夫なのかもしれないな。
:10/06/09 00:22
:SH05A3
:☆☆☆
#505 [向日葵]
茉里が大好きだ。
同性愛とかではなく、友達として、親友として、大切な人として……。
だから、たとえ不安を取り除くことが出来るのが、不器用な宗助でも心からの安心は出来なかった。
けれど、自分は案外心配症だったらしい。
空を見上げれば、綺麗な星が瞬いていた。
それに向かうように、白い息を吹きかける。
あれからずいぶん時が進んだんだなあ……。
:10/07/07 02:27
:SH05A3
:☆☆☆
#506 [向日葵]
そしてはたっと気づく。
「茉里ったら、遅いわね」
―――――――――…………
「あー、やっぱり電話かかってきてたー……」
一方茉里は、やっと携帯を見て、ミュシャからの電話通知と、受信メールに気づいた。
人の群れから離れ、今はおみくじが沢山ついている木の下にいる。
宗助と手が離れていたことにまったく気づかず、お参りをした後これからどうするかを訊こうとしたら、後ろは知らない人たちばかりで、しばし固まった。
:10/07/07 02:28
:SH05A3
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194